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2.5 臨床に関する概括評価

2.5.4 有効性の概括評価

2.5.4.2 有効性の全般的結果

有効性評価に用いた臨床試験の要約を表 2.5.4.2-1に示した.また,個々の試験結果の要 約を以下に示した.

本剤のALSに対する全般的な有効性は,主たる有効性を評価した比較対照試験である検証

的試験2(MCI186-19試験)の結果から評価した.

表 2.5.4.2-1 有効性評価に用いた臨床試験の要約(2/2)

試験番号

添付資料 番号

試験 施設 場所

試験開始日 登録状況

日付 総登録数/

登録目標数

デザイン 対照の種類

(併用薬剤 の種類を含 む)

試験薬 比較対照薬

投与量 投与経路・投与方法

試験の 目的

登録時/

完了時の 群別被験 者数

試験 期間

男性/女性

年齢の 中央値

(範囲)

診断 選択基準

主たる エンド ポイント

MCI186-12

[5.3.5.2-

1]

1 国内

2001/11/1 完了 2002/11/8 19/20

オープンラ ベル非対照 試験

MCI-186 30 mg又は60 mg

11回点滴静脈内投与

有効性 安全性

30 mg 群:5/4 60 mg 群:14/12

6クール 15/4

30 mg群:57.0(30-75)

60 mg群:59.5(33-73)

ALS患者 ALSFRS-Rスコア

P群:プラセボ群,M群:MCI-186群,P-M群:MCI186-19試験二重盲検期プラセボ群 実薬期MCI-186群,M-M群:MCI186-19試験二重盲検期MCI-186実薬期MCI-186群,MP群:

検証MCI-186継続プラセボ群,MM群:検証MCI-186継続MCI-186群,PM群:検証プラセボ群 継続MCI-186群{検証:検証的試験(MCI186-16試験),継続:継続試験(MCI186-17 試験)}.

2.5.4.2.1 検証的試験2(MCI186-19試験)

FASを主たる解析対象集団とした.二重盲検期のM群69名,P群68名,合計137名を解 析対象とした.なお,実薬期には,二重盲検期がM群であった被験者(以下,M-M群)65 名,P群であった被験者(以下,P-M群)58名,合計123名が移行した.

(1) ALSFRS-R(主要評価項目)(二重盲検期)

1) ALSFRS-Rスコアの推移(二重盲検期)

本剤又はプラセボを6クール投与したときのALSFRS-Rスコアの推移を,投与群ごとに図

2.5.4.2-1に示した.

図 2.5.4.2-1 ALSFRS-Rスコアの推移{平均値±標準偏差(以下,S.D.)}

(MCI186-19試験二重盲検期,FAS)

P群:プラセボ群,M群:MCI-186群.

被験者数:P68名,M69名.

3クール完了被験者(投与開始81日後到達被験者)をLOCFの対象とした.

[5 3 5 1-1 図 11.4.1.1-1より引用(一部改変)]

2) 主要解析(二重盲検期)

主要評価項目ALSFRS-Rスコアの主要解析の結果を表 2.5.4.2-2に示した.

「第 1 クール投与開始前」と「第 6 クール投与終了 2 週間後又は中止時(LOCF)」の ALSFRS-Rスコアの差{Least squared means(以下,LSMean)±標準誤差(以下,S.E.)}は,

M群:-5.01±0.64,P群:-7.50±0.66であった.投与群間差のLSMean±S.E.とその95%信頼区

ALSFRS-Rスコア

0 10 20 30 40 50

時期

仮登録 本登録

1

1クール 2クール 3クール 4クール 5クール 6クール LOCF

Key Code P群 M群

間は 2.49±0.76(0.99~3.98)であり,ALSFRS-R スコアの低下は投与群間で統計学的に有意 な差を認めた(p=0.0013).

表 2.5.4.2-2 ALSFRS-Rの第1クール投与開始前と第6クール投与終了2週後(LOCF) の差についての解析(MCI186-19試験二重盲検期,FAS)

P群:プラセボ群,M群:MCI-186群.

被験者数:P66名,M68名.

動的割付に用いた3因子{前観察期開始時のALSFRS-Rスコアと前観察期終了時(12週間後)のALSFRS-Rスコアの変化 量(差)(-1,-2/ -3,-4),El Escorial 改訂 Airlie House診断基準(Definite/Probable),年齢(65歳以上/65歳未満)}を共 変量とした解析を実施し,群間比較を行った.

3クール完了被験者(投与開始81日後到達被験者)をLOCFの対象とした.

[5 3 5 1-1 表 11.4.1.1-2より引用(一部改変)]

3) ALSFRS-Rスコアで定義したイベントについての生存時間解析(二重盲検期)

ALSFRS-Rスコアで定義したイベントについての生存時間解析を表 2.5.4.2-3に示した.

ALSFRS-Rスコアが第1クール投与開始前から6以上減少した場合,12以上減少した場合

をそれぞれイベントとした生存時間解析では,いずれのイベントにおいても,イベント数は,

投与群間で統計学的に有意な差を認めた{(6点)層別 Log-rank検定 p=0.0338,層別一般化 Wilcoxon 検定 p=0.0180.(12 点)層別 Log-rank 検定 p=0.0261,層別一般化 Wilcoxon 検定 p=0.0208}.

t値 p値

P群 -7.50 ±0.66 2.49 ±0.76 t=3.29 p=0.0013

M群 -5.01 ±0.64 (0.99 , 3.98)

LSMean±S.E.

調整済み平均値

LSMean±S.E.

(95%信頼区間)

投与群

調整済み平均値の投与群間差

表 2.5.4.2-3 ALSFRS-Rで定義したイベントについての生存時間解析

(MCI186-19試験二重盲検期,FAS)

P群:プラセボ群,M群:MCI-186群.

被験者数:P68名,M69名.

ALSFRS-Rスコアが第1クール投与開始前から6以上減少した場合,12以上減少した場合をそれぞれイベント,それ以外

を打ち切りと定義した.「前観察期ALSFRS-Rスコア変化量」を層とした.打ち切り日は観察終了日とした.

[5 3 5 1-1 表 11.4.1.1-7より引用(一部改変)]

(2) 死亡又は一定の病勢進展までの期間(二重盲検期)

「死亡,独立歩行不能,上肢機能の廃絶,気管切開,レスピレータ装着,経管栄養補給及 び実用的会話の喪失」について,投与群ごとの発現イベント数を表 2.5.4.2-4に示した.

表 2.5.4.2-4 死亡又は一定の病勢進展についてのイベント数

(MCI186-19試験二重盲検期,FAS)

P群:プラセボ群,M群:MCI-186群.

被験者数:P68名,M69名.

[5 3 5 1-1 表 11.4.1.1-12より引用(一部改変)]

また,いずれかの状態になった場合をイベント,それ以外を打ち切りと定義したLog-Rank 検定及び一般化 Wilcoxon 検定では,投与群間で統計学的に有意な差を認めなかった

イベントの定義 前観察期

ALSFRS-R変化量 投与群 例数 イベント数 群間比較

P 11 7 p=0 0338

M 12 6 (層別Log-Rank検定)

P 57 26 p=0 0180

M 57 17 (層別一般化Wilcoxon検定)

P群 11 3 p=0 0261

M群 12 2 (層別Log-Rank検定)

P群 57 10 p=0 0208

M群 57 3 (層別一般化Wilcoxon検定)

-4, -3

-2, -1 第1クール

投与開始前から 6点以上減少

1クール 投与開始前から

12点以上減少

-4, -3

-2, -1

イベント名 P群 M群 合計

死亡 0 0 0

独立歩行不能 2 0 2

上肢機能の廃絶 0 0 0

気管切開 0 1 1

レスピレータ装着 0 0 0

経管栄養補給 1 0 1

実用的会話の喪失 3 1 4

(Log-Rank検定:p=0.1284,一般化Wilcoxon検定:p=0.1415).

(3) %FVC(二重盲検期)

%FVCに関する群間比較の結果を表 2.5.4.2-5に示した.

「第1クール投与開始前」と「第6クール投与終了2週間後又は中止時(LOCF)」の%FVC の差(LSMean±S.E.)は,M群:-15.61±2.41%,P群:-20.40±2.48%であった.投与群間差の LSMean±S.E.とその95%信頼区間は4.78±2.84%(-0.83~10.40%)であり,投与群間で統計学 的に有意な差を認めなかった(p=0.0942).

表 2.5.4.2-5 %FVCの第1クール投与開始前と第6クール投与終了2週後(LOCF)の差 についての解析(MCI186-19試験二重盲検期,FAS)

単位:%FVC(%).

P群:プラセボ群,M群:MCI-186群.

被験者数:P66名,M67名.

動的割付に用いた3因子{前観察期開始時のALSFRS-Rスコアと前観察期終了時(12週間後)のALSFRS-Rスコアの変化 量(差)(-1,-2/ -3,-4),El Escorial 改訂 Airlie House診断基準(Definite/Probable),年齢(65歳以上/65歳未満)}を共 変量とした解析を実施し,群間比較を行った.

3クール完了被験者(投与開始81日後到達被験者)をLOCFの対象とした.

[5 3 5 1-1 表 11.4.1.1-24より引用(一部改変)]

(4) ALSAQ40スコア(二重盲検期)

ALSAQ40スコアに関する群間比較の結果を表 2.5.4.2-6に示した.

「第1クール投与開始前」と「第6クール投与終了2週間後又は中止時(LOCF)」のALSAQ40 スコアの差(LSMean±S.E.)は,M群:17.25±3.39,P群:26.04±3.53であった.投与群間差 の LSMean±S.E.とその 95%信頼区間は-8.79±4.03(-16.76~-0.82)であり,ALSAQ40スコア の上昇は,投与群間で統計学的に有意な差を認めた(p=0.0309).

t値 p値

P群 -20.40 ±2.48 4.78 ±2.84 t=1.69 p=0.0942

M群 -15.61 ±2.41 (-0.83 , 10.40)

調整済み平均値の投与群間差

投与群 LSMean±S.E.

95%信頼区間)

調整済み平均値 LSMean±S.E.

表 2.5.4.2-6 ALSAQ40の第1クール投与開始前と第6クール投与終了2週後(LOCF) の差についての解析(MCI186-19試験二重盲検期,FAS)

※:QOLに関連する40の質問に対して,被験者が1~5点で回答した合計スコア.スコアが大きいほどQOLは低下.

P群:プラセボ群,M群:MCI-186群.

被験者数:P64名,M68名.

動的割付に用いた3因子{前観察期開始時のALSFRS-Rスコアと前観察期終了時(12週間後)のALSFRS-Rスコアの変化 量(差)(-1,-2/ -3,-4),El Escorial 改訂 Airlie House診断基準(Definite/Probable),年齢(65歳以上/65歳未満)}を共 変量とした解析を実施し,群間比較を行った.

3クール完了被験者(投与開始81日後到達被験者)をLOCFの対象とした.

[5 3 5 1-1 表 11.4.1.1-33より引用(一部改変)]

(5) Modified Norris Scale(二重盲検期)

1) Limb Norris Scale(二重盲検期)

Limb Norris Scaleに関する群間比較の結果を表 2.5.4.2-7に示した.

「第1クール投与開始前」と「第6クール投与終了2週間後又は中止時(LOCF)」のLimb Norris Scaleスコアの差(LSMean±S.E.)は,M群:-11.47±1.61,P群:-14.91±1.68であった.

投与群間差のLSMean±S.E.とその95%信頼区間は3.44±1.92(-0.36~7.24)であり,投与群間 で統計学的に有意な差を認めなかった(p=0.0757).

表 2.5.4.2-7 Limb Norris Scaleの第1クール投与開始前と第6クール投与終了2週後

(LOCF)の差についての解析(MCI186-19試験二重盲検期,FAS)

P群:プラセボ群,M群:MCI-186群.

被験者数:P63名,M68名.

動的割付に用いた3因子{前観察期開始時のALSFRS-Rスコアと前観察期終了時(12週間後)のALSFRS-Rスコアの変化 量(差)(-1,-2/ -3,-4),El Escorial 改訂 Airlie House診断基準(Definite/Probable),年齢(65歳以上/65歳未満)}を共 変量とした解析を実施し,群間比較を行った.

3クール完了被験者(投与開始81日後到達被験者)をLOCFの対象とした.

[5 3 5 1-1 表 11.4.1.1-27より引用(一部改変)]

2) Norris Bulbar Scale(二重盲検期)

Norris Bulbar Scaleに関する群間比較の結果を表 2.5.4.2-8に示した.

t値 p値

P群 26.04 ±3.53 -8.79 ±4.03 t=-2.18 p=0.0309

M群 17.25 ±3.39 (-16.76 , -0.82)

調整済み平均値の投与群間差

投与群 LSMean±S.E.

(95%信頼区間)

調整済み平均値 LSMean±S.E.

t値 p値

P群 -14.91 ±1.68 3.44 ±1.92 t=1.79 p=0.0757

M群 -11.47 ±1.61 (-0.36 , 7.24)

投与群 LSMean±S.E.

(95%信頼区間)

調整済み平均値 LSMean±S.E.

調整済み平均値の投与群間差

「第1クール投与開始前」と「第6クール投与終了2週間後又は中止時(LOCF)」のNorris Bulbar Scaleスコアの差(LSMean±S.E.)は,M群:-4.44±0.76,P群:-5.89±0.79であった.

投与群間差のLSMean±S.E.とその95%信頼区間は1.46±0.90(-0.33~3.24)であり,投与群間 で統計学的に有意な差を認めなかった(p=0.1092).

表 2.5.4.2-8 Norris Bulbar Scaleの第1クール投与開始前と第6クール投与終了2週後

(LOCF)の差についての解析(MCI186-19試験二重盲検期,FAS)

P群:プラセボ群,M群:MCI-186群.

被験者数:P63名,M68名.

動的割付に用いた3因子{前観察期開始時のALSFRS-Rスコアと前観察期終了時(12週間後)のALSFRS-Rスコアの変化 量(差)(-1,-2/ -3,-4),El Escorial 改訂 Airlie House診断基準(Definite/Probable),年齢(65歳以上/65歳未満)}を共 変量とした解析を実施し,群間比較を行った.

3クール完了被験者(投与開始81日後到達被験者)をLOCFの対象とした.

[5 3 5 1-1 表 11.4.1.1-29より引用(一部改変)]

3) Modified Norris Scale(合計)(二重盲検期)

Modified Norris Scale(合計)に関する群間比較の結果を表 2.5.4.2-9に示した.

「第1クール投与開始前」と「第6クール投与終了2週間後又は中止時(LOCF)」のModified Norris Scale(合計)スコアの差(LSMean±S.E.)は,M 群:-15.91±1.97,P 群:-20.80±2.06 であった.投与群間差のLSMean±S.E.とその95%信頼区間は4.89±2.35(0.24~9.54)であり,

投与群間で統計学的に有意な差を認めた(p=0.0393).

t値 p値

P群 -5.89 ±0.79 1.46 ±0.90 t=1.61 p=0.1092

M群 -4.44 ±0.76 (-0.33 , 3.24)

LSMean±S.E.

調整済み平均値の投与群間差

投与群 LSMean±S.E.

(95%信頼区間)

調整済み平均値

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