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2.5 臨床に関する概括評価

2.5.5 安全性の概括評価

2.5.5.2 曝露状況

第II相及び第III相試験における試験期間・投与クールの一覧並びに治験薬の投与期間及び 投与被験者数をそれぞれ表 2.5.4.1-2及び表 2.5.5.2-1に示した.

MCI186-12試験,MCI186-16試験,MCI186-18試験及びMCI186-19試験(二重盲検期)の 投与期間は6クール(24週間)であった.

MCI186-17試験はMCI186-16試験を完了したALS患者を対象に9クール(36週間)投与 を実施しており,MCI186-16試験と合わせて最大で15クール(60週間)投与を行った.

第II相試験(MCI186-12試験)の投与被験者数は30 mg群5名,60 mg群14名であった.

第III相試験の投与量はすべて60 mgで,MCI186-16試験では102名,MCI186-17試験では投 与期間3クール(12週間)で45名,投与期間9クール(36週間)で136名であった.MCI186-16 試験のM群と合わせた投与期間が15クール(60週間)では48名であった.MCI186-18試 験では13名,MCI186-19試験(二重盲検期)では69名であった.

MCI186-16試験,MCI186-18試験,MCI186-19試験(二重盲検期)の6クールでの治験薬 の投与期間の平均値は,P群でそれぞれ75.0日,71.0日,71.2日であり,M群でそれぞれ76.2 日,67.5日,74.6日であった.

MCI186-17試験の9クールでの治験薬の投与期間の平均値は,MP群108.4日,MM群103.9 日,PM群105.4日であった.

MCI186-19試験(実薬期)の7~12クール(計6クール)での治験薬の投与期間の平均値

は,P-M群62.5日,M-M群68.2日であった.

安全性統合解析2対象集団における治験薬総投与日数を表 2.5.5.2-2に示した.

その内訳は,MCI186-16試験,18試験及び19試験(二重盲検期)のM群,MCI186-12試

統合解析

データセット名 目的 投与群

安全性統合解析1 対象集団

プラセボ対照二重盲検期の被験者 を対象に,プラセボと比較した本 剤の安全性を検討

P M

6クール: MCI186-16 MCI186-18 MCI186-19

安全性統合解析2 対象集団

MCI-186実薬が投与された全被験者

を対象に,最大の実薬投与集団と して本剤をALSに対して投与した場 合の安全性を検討

30 mg 60 mg M P-M M-M MP MM PM

6クール:

3又は9クール: 12クール:

MCI186-12 MCI186-16 MCI186-18

MCI186-19(二重盲検期)

MCI186-17

MCI186-19(二重盲検期+実薬期)

安全性統合解析3 対象集団

1クールから継続して第7クール 以上MCI-186実薬が投与された全被 験者を対象に,本剤を繰り返し投 与した場合の安全性を検討

M M-M

MM

6クール: 9クール: 12クール:

MCI186-16 MCI186-17

MCI186-19(二重盲検期+実薬期)

投与期間:試験番号

験の30 mg群,60 mg群,MCI186-17試験のMM群,MP群,PM群,並びにMCI186-19試 験(実薬期)の M-M群において本剤の投与経験のある349名であり,安全性統合解析2対 象集団における治験薬の投与期間の平均値は,113.4日であった.

安全性統合解析1対象集団の内訳は,MCI186-16試験,18試験及び19試験(二重盲検期)

のP群184名,M群184名で治験薬の投与期間の平均値はそれぞれ60.9日,62.7日であった.

P群とM群の投与期間に大きな違いはなかった.

表 2.5.5.2-1 投与期間及び投与被験者数(試験別)

[5 3 5 2-1 表 11.3,5.3.5.1-2 図 11.1-1,5.3.5.1-3 図 11 1-1,5.3.5.1-4 図 11.1-1,5.3.5.1-1 表 10.1.1-1,

表 10.1.2-1より引用(一部改変)

30 mg 60 mg

MCI186-12 6クール 5 14 ‐ MCI186-16 6クール ‐ 102 104

3クール ‐ 45 ‐ 9クール ‐ 136 ‐ MCI186-18 6クール ‐ 13 12 MCI186-19(二重盲検期) 6クール ‐ 69 68 MCI186-19(実薬期) 6クール ‐ 123 ‐

MCI186-17

試験番号 投与期間

投与被験者数 MCI-186

プラセボ

安全性統合解析3対象集団における男性の割合は55.8%,65歳以上の高齢者の割合は35.4%, 罹病期間の平均値は1.28年,初発症状(四肢症状)の割合は79.6%,El Escorial改訂Airlie House 診断基準「ALS確実」の割合は35.4%,「ALS可能性高し」の割合は55.8%,前観察期ALSFRS-R スコアの平均値は仮登録前(第1クール投与開始12週間前)で43.0,第1クール投与開始前 で41.3であった.

2.5.5.4 有害事象

有害事象の集計にあたり,治験責任医師又は治験分担医師により報告されたすべての有害 事象を,日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)国際医薬用語集日本語版(以下,MedDRA/J) で読み替え,器官別大分類(以下,SOC)及び基本語(以下,PT)に基づいて集計した.本

項のMedDRA/Jは,各臨床試験については,それぞれの治験総括報告書作成時に使用したバ

ージョンを使用し(MCI186-12試験:MedDRA/J ver.5.1,MCI186-16試験,17試験及び18試 験:MedDRA/J ver.11.1,MCI186-19試験:MedDRA/J ver.17.0),安全性統合解析1対象集団,

安全性統合解析2対象集団及び安全性統合解析3対象集団はMedDRA/J ver.17.0を使用した.

集計は,治療期間の治験薬服薬開始から治療期間終了日又は治療期間中止日の翌日から14 日後までに発現した有害事象を対象とした.

有害事象の治験薬との因果関係は,MCI186-12試験,MCI186-16試験,MCI186-17試験,

MCI186-18試験では治験責任医師又は治験分担医師が,「関連なし」,「多分関連なし」,「関連

あるかもしれない」又は「関連あり」の4段階で判断した.治験薬との因果関係が「関連あ るかもしれない」,「関連あり」と判断された有害事象を副作用として集計した.MCI186-19 試験では,「合理的な可能性あり」又は「合理的な可能性なし」の2段階で判断した.「合理 的な可能性あり」と判断された有害事象を副作用として集計した.

有害事象の程度は,MCI186-12試験では「軽度(日常生活に支障がない程度)」,「中等度(そ の症状が原因で,日常生活に多少の支障がある程度)」,「重度(その症状が原因で,日常生活 に大きな支障がある程度)」の3段階で集計した.MCI186-16試験,MCI186-17試験,MCI186-18

試験,MCI186-19試験では「軽度(日常生活に影響がない程度)」,「中等度(その事象が原因

で日常生活に多少の支障がある程度)」,「高度(その事象が原因で日常生活ができない程度)」 の3段階で集計した.重篤度は2段階{重篤でない,重篤(死亡,死亡につながるおそれの あるもの,治療のために病院又は診療所への入院又は入院期間の延長が必要とされるもの,

障害,障害につながるおそれのあるもの,前述する被験者に準じて重篤であるもの,後世代 における先天性の疾病又は異常)}に分類し集計した.

2.5.5.4.1 有害事象の概要

安全性統合解析1対象集団における有害事象発現率はP群で87.5%(161/184名),M群で 87.5%(161/184名)であり,P 群とM 群の発現率に差はなかった.副作用発現率はP 群で

14.1%(26/184名),M群で10.3%(19/184名)であった.重篤な有害事象発現率はP群で22.8%

(42/184名),M群で17.4%(32/184名)であった.死亡件数はP群で2件(1.1%,2/184名), M群で4件(2.2%,4/184名)であった.すべての項目でP群とM群の発現率の差に,統計 学的に有意な差を認めなかった.

安全性統合解析1対象集団において発現率が 2%以上かつP群よりも高かった有害事象内 訳のうち,最も多く発現した有害事象は,挫傷{M群14.7%(27/184名),P群9.2%(17/184 名)}であった.それ以外の有害事象ではM群とP群との間で発現率に大きな違いを認めな かった.副作用内訳のうち,発現率が 2%以上の副作用を認めなかった.M 群で程度が高度 の有害事象で発現率が2%以上の有害事象は発現率の高い順に歩行障害5.4%(10/184名),嚥 下障害3.3%(6/184名),筋骨格障害2.2%(4/184名)であった.M群で程度が高度の副作用 はなく,中等度の副作用発現率は中毒性皮疹0.5%(1/184名)のみであった.軽度の副作用

発現率は9.8%(18/184名)で,発現率が2%以上の副作用を認めなかった.発現時期別(ク

ール別)の有害事象のうち,発現率が2%以上かつP群より高かった有害事象は,第1クー ルでは頭痛,接触性皮膚炎,第2クールでは筋力低下,第3クールでは挫傷,鼻咽頭炎,嚥 下障害,第4クールでは便秘,挫傷,歩行障害,頭痛,第5クールでは挫傷,歩行障害,第 6クールでは挫傷,鼻咽頭炎であった.すべての発現時期(クール)で発現率2%以上の副作 用はなかった.M 群で 1%以上認めた副作用は,第 1 クールの肝機能検査異常 1.1%(2/184 名)のみであった.発現時期別で特に発現率の高かった副作用はなかった.

安全性統合解析2対象集団における有害事象発現率は93.1%(325/349名),副作用発現率 は11.7%(41/349名),死亡件数は21件(5.2%,18/349名)であった.重篤な有害事象発現

率は41.5%(145/349名)であった.有害事象内訳のうち,最も多く発現した有害事象は鼻咽

頭炎23.2%(81/349名)であり,次いで歩行障害21.5%(75/349名)であった.副作用内訳 のうち,発現率が 2%以上の副作用を認めず,最も多く発現した副作用は発疹 1.4%(5/349 名)であった.

安全性統合解析3対象集団における発現時期別(クール別)の有害事象発現率は,第1ク ール34.5%,第2クール25.7%,第3クール32.7%,第4クール29.2%,第5クール26.5%, 第6クール36.3%,第7クール39.8%,第8クール37.3%,第9クール29.6%,第10クール 31.4%,第11クール34.3%,第12クール30.6%,第13クール40.9%,第14クール31.7%, 第15クール32.4%であった.副作用発現率は,第1クール2.7%,第2クール0.9%,第3ク ール2.7%,第4クール0.0%,第5クール1.8%,第6クール2.7%,第7クール1.8%,第8 クール0.0%,第9クール0.9%,第10クール1.9%,第11クール1.0%,第12クール0.0%, 第13クール6.8%,第14クール2.4%,第15クール0.0%であった.死亡件数(死亡に至った 有害事象発現日より集計)は,第1~7クール0件,第8クール1件,第9,10クール0件,

第11クール1件,第12クール2件,第13,14クール0件,第15クール3件であった.重 篤な有害事象発現率は,第1クール1.8%,第2クール1.8%,第3クール3.5%,第4クール 1.8%,第5クール0.9%,第6クール7.1%,第7クール6.2%,第8クール7.3%,第9クール 7.4%,第10クール6.7%,第11クール6.9%,第12クール10.2%,第13クール6.8%,第14

クール12.2%,第15クール13.5%であった.

有害事象内訳のうち,発現率が 5%以上であった有害事象は,第 1 クールでは便秘,不眠 症,第5,6クールでは挫傷,第10クールでは便秘,第14クールでは嚥下障害,第15クー ルでは鼻咽頭炎,呼吸不全,腹部不快感であった.その他で発現時期別で特に発現率の高か った有害事象はなかった.

2.5.5.4.2 比較的よく見られる有害事象

安全性統合解析1対象集団においてP群又はM群で10%以上の有害事象が発現したSOC は,「感染症および寄生虫症」,「精神障害」,「神経系障害」,「呼吸器、胸郭および縦隔障害」,

「胃腸障害」,「皮膚および皮下組織障害」,「筋骨格系および結合組織障害」,「一般・全身障 害および投与部位の状態」,「傷害、中毒および処置合併症」であったが,P群とM群で発現 率に大きな違いはなかった.これらのSOCにおいて,10%以上発現した有害事象(PT)は,

SOC「感染症および寄生虫症」では鼻咽頭炎,SOC「胃腸障害」では便秘,嚥下障害,SOC

「一般・全身障害および投与部位の状態」では歩行障害,SOC「傷害、中毒および処置合併 症」では挫傷であった.発現率は挫傷でP群に比べM群がやや高かったが,それ以外ではP 群とM群で発現率に大きな違いはなかった.

安全性統合解析2対象集団において10%以上の有害事象が発現したSOCは,「感染症およ び寄生虫症」,「精神障害」,「神経系障害」,「呼吸器、胸郭および縦隔障害」,「胃腸障害」,「皮 膚および皮下組織障害」,「筋骨格系および結合組織障害」,「一般・全身障害および投与部位 の状態」,「臨床検査」,「傷害、中毒および処置合併症」であった.

これらのSOCにおいて,10%以上発現した有害事象(PT)は,SOC「感染症および寄生虫 症」では鼻咽頭炎,SOC「胃腸障害」では便秘,嚥下障害,SOC「筋骨格系および結合組織 障害」では筋骨格障害,SOC「一般・全身障害および投与部位の状態」では歩行障害,SOC

「傷害、中毒および処置合併症」では挫傷であった.

2.5.5.5 死亡,その他の重篤及び他の重要な有害事象

2.5.5.5.1 死亡

安全性統合解析1対象集団における死亡に至った有害事象の発現件数はP群で2件(1.1%,

2/184名),M群で4件(2.2%,4/184名)であった.P群の内訳は,MCI186-16試験で認め た呼吸不全による死亡の2名で,いずれも治験責任医師又は治験分担医師は,ALSの症状悪 化に伴うものであり,治験薬との因果関係はないと判断した.M群の内訳は,MCI186-16試 験で認めた呼吸障害2名と呼吸不全1名,MCI186-18試験で認めた呼吸不全1名で,いずれ も治験責任医師又は治験分担医師は,ALSの症状悪化に伴うものであり,治験薬との因果関 係はないと判断した.

安全性統合解析2対象集団における死亡に至った有害事象の発現件数は21件(5.2%,18/349

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