Eh6 pH 状 態 Eh6 pH 状 態
無処理対照区 134mv 49 274mv 4.9
3 日間湛水区 183 排水 後 3 日 排水後 17日
6 日間 〝 94 4小8 排水後(当日) 290 5.7 〝 14日
9 日間 〝 − 59 45 湛 水 中 290 57 〝 11日
12日間 〝 − 287 4小7 湛 水 中 275 5.4 〝 8日
(3)枝しょうの伸長と基部菓の同化力
実験開始時以降における新しょうの伸長状態は,第19図のとおりである
すなわち,両年ともに6日間以上の湛水区では,新しょう伸長が劣り,とくに12日間湛水区では排水後でもな お劣った.1964年と1965年の新しょう伸長の状態をくらべると,6日間以上の湛水区では,1965年の場合は前 年よりも新しょうの伸長が目立って劣り,いずれも樹勢の衰えが認められた・
っぎに,湛水処理前,湛水期間中および排水後に,新しょう基部の第4〜5節位葉について,見かけの同化量
− 34 −
無処理 3日湛水 6日湛水 9日湛水t12日湛水 第18図 湛水処理笹よる板群(細棍)の状態(1964年7
月13日)
第19図 湛水後の新しょうの伸長状態
− 35−
を測定した結果は,第31表のとおりである
第31表 湛水期間と基部葉の見かけの同化量変化(gr/nf/am6〜pm3:1964年)
7月1日 蚤のち暗 7月7日 うす曇 7月16日 暗 7月29日 暗 無処理対照区 2亘672 2496 1.748 1 349
3 日間湛水区 1.221 1小770 1548
6 日 間 〝
ト283
1 646 1482ぎ1.1729 日 間 〝 1.204 1.084iO 486
12 日間 〝 1小469 緑葉 0 774 黄変菓 −1460 注:新しょう基部の4〜5節位菓について半菓・打抜法により測定
すなわち,湛水処理前の同化量に対して,湛水期間中および排水後の測定では,湛水処理各区の同化量ほ無処 理対照区にくらべて劣り,なかでも12日間湛水区の場合には,健全な緑葉でも同化量がはなはだ少なく,とくに 黄変棄でほ同化機能の消失が認められた
(4)基部菓の案内5要素含量
本しょう基部の第3〜5節菓について,実験開始時から6日ごとに凝集して,N,P,K,Ca,Mgの5要素含量 を分析した結果は,第32表に示すとおりである.
第32表 湛水期間と基部菓の5要素含量の変化 (乾物重%:1964年)
7月7日 7月13日 7月19日 7月28日
7月1日 処理開始時 6 日後】12日後 18 日 後 27 日 後
無処理対照 区 2.66 2.62 1 2 60 251 2一40 3 日 間湛水 区 2.62 2.88 286 2.63 244
N 6 日 間 〝 265 2小59 2.47 2−′46 2′14
9 日 間 〝 282 2。56 219 2小13 2.06 12 日 間 〝 277 2 17 1小56 1 61 1.47 無処理対照 区 019 0.18 017 016 0..16
3 日 間湛水 区 】 0.18 0.16 0.15 015 0..15
P 6 日 間 〝 0.18 018 0。15 014 0..14
9 日 間 〝 0小19 0.20 0‖16 0.16 0..14 12 日 間 〝 0.19 0..21 0.18 0.14 0.12 無処理対照 区 1.85 1.90 1 84 1り50 1..64
3 日 間湛 水 区 179 1.79 1‡73 1.48 1.46
K 6 日 間 〝 182 1 64 1.58 1.45 1.29
9 日 間 〝 1.85 1.63 1.46 1.42 1一34 12 日 間 〝 1,.81 1.52 1小31 1.28 1.22 無処理対照 区 1.64 1.72 1.83 2.09 1..98
3 日 間湛水 区 1.82 1.78 1.82 1.64 1,93
Ca 6 日 間 〝 1.72 1.58 155 1.53 1い48
9 日 間 〝 1.83 1.51 1.48 1.40 1.36 12 日 間 〝 1..83 1小62 1.58 1.42 1.38 無処理対照 区 0.29 0.26 0.20 0.15 .14
3 日 間湛水 区 0,′32 0.28 0.28 0.29 0..23
Mg 0‖29 0.29 0.28 0.27 0.21
9 日 間 〝 0‖27 0‖25 0 22 0.19
12 日 間 〝
0.30 0.28 0.26
0..23 020 0.15ー36−
すなわち,N含量ほ湛水後次第に低下する憤向がみられ9日間湛水区および12日間湛水区では,湛水後半期 から排水直後にかけて,その含量の低下がいちじるしい…この場合,とくに葉脈黄変菓ほ緑色健全菓にくらべて,
案内のN含量がほなはだ低いことを認めた.P含量ほ,湛水後一博的にわずかに上月したが,その後は低下する 傾向がみられ,9日間湛水区および12日間湛水区においてほ,馴層その傾向が明らかであった.K含量は,湛水 および土壌湿度の高い期間(排水後の前半期)には,比較的高い含量を保持したが,排水後の後半期に土壌乾燥 がはなほだしくなるにつれて急激に低下した
また,Caほ湛水処理開始と同時に上昇がみられ 3日間湛水区ではその後も比較的高い含量を維持したが,6 日間以上の湛水区でほ,排水後の土壌湿度の低下とともにやや減少する傾向がみられたい Mg含量は湛水および 土壌湿度の高い期間にほあまり変化しないが,湛水期間が長い区および排水後の土壌が乾燥するにつれて減少す
る傾向を示した1・しかし,湛水処理によって発生した葉脈黄変菓のMg含量は,線色の健全菓とはは同じ含量で あった
別に,多湿ブドウ園において,7月11日に採取した結果枝基部の,緑色健全葉,葉脈黄変菓,全案身の買変菓 および既落葉について,それぞれ菓内5要素含量を分析した結果ほ.第33表のとおりである
第33表 多湿ブドウ園の黄変薬と落葉内の5要素含量(乾物垂%:1965年)
N P K Ca Mg 健 全 菓 3.03 0.185 1.27 1.60 0.31 葉脈の黄変葉 2.37 0115 1.18 1.45 0.28 同上の既落葉 2.30 0。079 1.06 140 0…33
全集身の黄変菓 1..51 0165 1.08 1.60 0.37 同上の既落葉 152 0088 0 98 1 33 0.31
注:1965年7月11日採菓
すなわち,黄変菓および既落葉のN,P含意は,健全菓のそれにくらべてほるかに低く,K含量もほほ同じ傾向 がみられるいCa含量についてはおのおのの差異ほ明らかでほないい また,Mg含量についても,各相互間に−・定 の傾向は認められない
(5)基部菓の黄変・落葉
新しょう基部における黄変菓の発生ならびに落葉状態は,両年とも同様の傾向を示し,湛水処理によって生し た黄変菓の多くが,第20図に示すような葉脈の黄変によるものであった.なお,このような黄変菓は,湛水処理 開始後7日目ごろより発現がみられた…
本実験においてみられた葉脈黄変薬は,第1章で 述べた1962年および1963年の実態調査において,
排水不良園や地下水位の過高園でみられた葉脈の夢 変菓と同様な徴候を示すものであった 各区におけ る累加落葉の状態ほ第21図のようで,湛水処理の各 区および湛水期間の長いものほど黄変・落葉が多い 傾向がみられた.この場合,7月25日以降における 落葉数の増加は,おもに菓焼け症煩似の褐変菓の発 生によるものであった.
なお,多湿ブドウ園における結果技基部菓の黄変
第20図 湛水処理によって発生した葉脈の黄変 菓(1964年)
ー37 −
1/Ⅶ 7 13 19 25 316/Ⅷ
調査月 日 1/Ⅶ 7 13 19 25 316/Ⅷ
調査日 日
第21国 土壌の湛水処理と基部菓の累加落葉状態(本しょう1本当たり)
・落葉の発生状態を・,7月11日と7月26日に調査した結果は,第34表のとおりである..すなわち,同一・ブドウ 園内ではあるが,多湿地樹ほ排水良好樹にくらべて黄変菓の発生数および落葉数がほるかに多いことが認められ た.この時期における多湿ブドウ園の大部分は,葉脈の黄変によるものであった・
第34表 多湿ブド ウ 園の黄変・落葉状態 (1965年)
7 月11日 7 月 26 日 排水良好地樹 多 湿 地 樹 排水良好地樹 多 湿 地 樹
結 果 模 本 数(本) 35 77 35 77 黄 変 乗 数(枚) 42(0‖49) 146(1.89) 46(0.54) 153(2‖00)
既 落 莫 数(枚) 14(0〝16) 24(0‖31) 37(0.43) 136(1、76)
地 下 水 位(地表下cm) 63‖0 27‖0
注:()は結果枝1本当たりの換算値.
ⅠⅠⅠ考 察
一・般に果樹園土壌の過湿や排水不良は,土壌空気とくに02の欠乏(6・7さ1・5051),土壌の酸化還元電位の低下なら びに有害還元物質の生成(814・るS144〉などによる板の呼吸作用の減退をはじめ,新板の伸長停止あるいは養水分の 吸収阻害を起こす..それがために樹体の発育不良や果実の品質・収量の低下をきたすことが認められている・
小林・庵原・村井・林ら(1949)(40)は,各種の果樹根群の耐水性について実験的な観察を行ない,土壌が過 湿になった場合,土壌が還元状態になる以前に02不足による枝しょうの伸長停止あるいは萎ちょうの現象が現
−38−
われ 耐水性の比較的強いプトウ,カキでほ,いちじるしい還元状態で亜酸化鉄(FeO)の生成ならびに硫化水素
(H2S)の検出されるころに,枝しょうの伸長停止あるいほ萎ちょうが現われることを観察している.さらに小林・
島村・池田(1954)(41)が,糖を有機質材料として添加しト果樹の種横間の耐水性を・実験した結果,単なる湛水では 抵抗性の強い7■ドゥ,オリーブなどでも,有機屑加用の土壁湛水では,きわめて抵抗性が弱いことを報告してい
る.
林・脇坂(1956)(14)ほ,果樹の湿害について詳細な実験を行ない,土壌が湛水あるいは過湿の場合には,果樹の 酸素要求度の差異のほか,土壌中の有機物含量が多いときには,土壌の酸化還元電位の低下がいらじるしく,宥 害還元物質も短期間に現われることを述べている.また,森田(1939,1940)(8485)は,土壌中の02濃度と果樹の 植生との関係を\述べ,岩崎(1972)(31)および 小林・岩崎ら(1962,1963,1964)(48−5051)は,土壌中の02濃度がブ
ドウDelawareの生育ならびに養分吸収に及ぼす影響について実験を行ない,ともに土壌通気の不良あるいほ土 壌空気中の02濃度が低下するにともなって,樹体生長が悪くなり,葉内のK,PおよびMgの含量が減少するこ
とを観察している.川口(1948)(35)は水田土壌の化学について,山崎(1952)(144)ほ畑作物の湿害について,そ れぞれ土壌の酸化還元電位と植生の関係を詳細に述べている.
以上のような諸報告からみて,本実験の場合に6日間以上の湛水各区においてほ,土壌のEh値の低下がみら れ,それにともなってなんらかの肩書還元物質の生成が予想される.それがためにこれらの各区でほ,細根の枯 死がみられ,新しょうの伸長が劣、つたものと思われる、
つぎに,基部案内の5安素含量の分析結果において,湛水処理開始初期に新しょう伸長の一・時的な促進ととも に,葉内要素含量の一・時的な上月がみられたのは,本実験がポット実験であるために,湛水処理前における土壌
水分の不足勝ちに対して,湛水がむしろ一時的に土壌水分の補給と,可給態養分の吸収促進に役立ったものと思 われる.しかしながら,長期の湛水処理区および多湿ブトウ固における黄変・落葉状態と,結果枝基部菓内の要 素含量の調査結果が示すように,明らかに湛水またほ園地土壌の過湿によって,黄変菓と落莫数が多くなってい る.また,湛水または土壌過湿によって発生した葉脈の黄変菓ほ,健全菓にくらべてN,PおよびK含量が低かっ たことほ,岩崎(1972)(31)の実験結果とよく一・致する点がある.
以上のように,フトウ樹に対する梅雨期の湛水処理,またほ多湿ブドウ園における結果枝基部菓の黄変葉の 発生ほ,第1章における早期落葉の実態調査において観察された,葉脈黄変菓と外観的にまったく一・致するもの がある.つまり,梅雨期における葉脈黄変集の発生と早期落葉は,園地の過湿による土壌の理化学性の変化が,
細根および樹体の発育,根および菓の生理的機能などに,強い影響を及ほしているものと思われる.
Ⅳ 摘 要
梅雨期における園地土壌の過湿が,結果枝基部薬の黄変,落葉に及ぼす影響をみるために,湛水処理実験なら びにブドウ園について調査した.
(1)湛水処掛こよって結果枝基部菓に,葉脈の黄変菓が現われた.それは多湿ブドウ園に発生した葉脈黄変葉と 同じ徴候であった…
(2)湛水処理後の土壌は土壌Ehが低下し,湛水期間の長い場合にほ細板の多くが枯死した
(3)結果枝基部菓の同化力は,湛水期間が長くなると低下し,黄変菓でほ同化機能が失われていた.
(4)湛水処理の長い区では,結果枝基部菓のN含量が次第に低下し,黄変菓のN含量は健全菓の約半分であっ た.P含量は湛水後,一・時的に高まったが,その後は低下した.KおよびCa含量は湛水および土壌湿度の高い期 間には比較的高かったが,排水後の土壌乾燥につれて低下した..Mg含量ほ排水後の土壌乾燥にともなって低下し