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星のエネルギー

ドキュメント内 /2/22 2 (ページ 185-189)

一般に定常的で球対称な系を考えます。等方座標を採用し、計量を、

g00 = f(r), gij = −g(r)δji, g0i = gi0 = 0 (r = xixi) とします。このとき接続係数は、

Γ00i = Γ0i0 = −Γi00 = f0(r)xi

2r, Γijk = g0(r) 2r

³

xiδkj −xkδji −xjδki

´

で、他の成分は 0 になります。また、 = p

f(r)g(r)3. これらから Fi00 は、

Fi00 = 1 2

³

Γ˜i Γi i00

´

= s

f(r) g(r)

g0(r)xi r

と計算されます。

特にシュヴァルツシルト解、

f(r) =

µr −b r +b

2

, g(r) =

µr +b r

4

, b = a

4 = GM 2 においては、

Fi00 = 4b(b−r)xi r4

となります。よって、原点を中心とし、座標半径 r0 の球内部の領域が持つエネル ギーは、

E(r0) = Z

r<r0

d3x¡√T00+√t00¢

= −1 8πG

Z

r<r0

d3x ∂iFi00

= −1 8πG

Z

r=r0

d2xiFi00 = 2b(r0−b)

Gr0 = M µ

1 GM 2r0

と評価されます。ガウスの定理により、空間積分が r = r0 の球面上の積分に帰着 したことに注意してください。このためこの結果は、r = r0 でシュヴァルツシル ト解になっている全ての系において正しいことになります。

特に、系全体のエネルギーは、

P0 = E(∞) =M

です。すなわち、遠方の重力ポテンシャルから推察される星の重力質量 M と、系 全体のエネルギー P0 は、正確に一致するわけです。

また、E(b) =E(GM/2) = 0 がわかりますが、これはブラックホールの内部(事

象の地平面の内部)のエネルギーが正確に 0 であることを意味しています(∗)。シュ ヴァルツシルト解のエネルギー M は、地平面外部の重力場が全て担っているわ けです。さらに、E(0) = −∞ がわかりますが、これはブラックホール中心の特異 点が負の無限大のエネルギーを持っていることを意味しています。

一方、座標の中心に密度 ρ が一定の星がある場合を考えると、シュヴァルツシ ルト内部解 :

2 = 1 4

¡3p

A(R)−p

A(r)¢2

dt2 1

A(r) dr2 −r22 −r2sin2θdφ2, A(r) = 1− 8

3πGρr2, M = 4

3πρR3

を用いて、物質のエネルギーは、

P0物質 = Z

d3x√T00 = Z R

0

dr Z π

0

Z

0

3p

A(R)−p A(r) 2p

A(r) r2sinθ ρ

= 3M 2R3

Z R

0

dr Ã

3r2 s

12GM/R

12GMr2/R3 −r2

!

= Mh

µ2GM R

ここで、

h(x) = 7 4 9

4x + 9

1−x arcsin x 4x

x

です。R は星の座標半径ですが、計量の式からわかるように、これは球面の面積 が 4πR2 になるように定められた座標半径で、等方座標における半径や実際の動 径距離とは異なることに注意してください。

関数 h(x)x = 0 の周りで展開すると、

h(x) = 1− 3x

10 +O(x2)

となることが確かめられるので、特に非相対論的な星 (GM/R¿ 1) においては、

P0物質 M 3GM2 5R と近似され、また、重力場のエネルギーは、

P0重力場 = M −P0物質 3GM2 5R

と近似されます。これはニュートン理論の結果と一致しています。

(*注) 星が重力崩壊してできるブラックホールは、ここで扱っているような物質のないものとは 内部構造が異なり、地平面の球殻周囲に物質が寄り集まり、地平面の時間凍結効果により準定常的 とみなされる矮小天体です。このようなブラックホールはその内部がフラットな真空となり、やは り内部のエネルギーは 0になります。外部の世界から観測する限り、物質が降着するブラックホー ルも、そうでない真性のブラックホールも、まったく区別はつかないことに注意してください。

10 宇宙論

この章では一般相対論に基づく膨張宇宙論について解説し、観測値に基づく宇 宙膨張のおおよその様子をグラフで示します。後半では、初期宇宙、観測に基づ く宇宙の構造とスケール、一様等方空間の数学的側面について触れます。

10.1 ロバートソン・ウォーカー計量

銀河や銀河団が粒のように扱われる巨大なスケールにおいては、宇宙は空間的 に一様等方と考えられます。この仮定は宇宙原理と呼ばれます。さらに定常性を 仮定した場合、それは完全宇宙原理と呼ばれますが、これは観測により否定的で す(例えば、オルバースのパラドックス)。一様等方性を仮定したとき、一般相対 論により記述される非定常的な膨張する宇宙の理論は、標準宇宙論と呼ばれます。

以下では標準宇宙論について説明します。

一様等方空間の数学的議論は少しこみいっているので後回しにしますが、空間 的に一様等方な時空の計量は、

2 = dt2 −a(t)2

µ 2

1−ηζ2 +ζ22 +ζ2sin2θdφ2

と書くことができ、これをロバートソン・ウォーカー計量といいます。a(t) はス ケール因子と呼ばれ、宇宙時 t に依存します。η は空間の曲率符号を意味し、0,

±1 のいずれかです。空間座標 (ζ, θ, φ) は宇宙にくっついて共に動くという意味 で、共動座標と呼ばれます。

リッチテンソルを計算するのは少々大変ですが、結果は、

R00 = a

a, R11 = R22 = R33 = a¨a+ 2( ˙a2 + η)

a2 (他の成分は0) となり、アインシュタインテンソルは、

G00 = 3( ˙a2 +η)

a2, G11 = G22 = G33 = 2a¨a+ ˙a2 +η

a2 (他の成分は0)

となります。ドットは宇宙時 t による微分を意味します。一方、エネルギー運動 量テンソルはTνµ = diag(ρ,−P,−P,−P)µν であり、物質のエネルギー密度 ρ と圧 力 P は宇宙の一様性のため空間座標に依存しません。宇宙項を含むアインシュタ

イン方程式 Gµν −λδνµ = 8πGTνµ は、

3( ˙a2 +η)

a2 −λ = 8πGρ, (1)

2a¨a+ ˙a2 +η

a2 −λ = −8πGP (2)

を与えますが、(2) はやや複雑なので、(1)(2) および (1) を時間微分した式を 比較して得られる、

˙+ 3 ˙a(ρ+P) = 0 (3) を代わりに用います。(1)(3)および物質の状態方程式により、スケール因子 a(t) の時間が発展が決まり、宇宙の膨張の様子が決まります。

(余談) 「“標準”などと称してその理論が絶対正しいかのように主張する」と、ある人、有り体 にいえばトンデモな人が述べていましたが、これは逆です。“標準”は、対抗馬がある場合や、叩 き台として考えられる場合に用いられる形容です。標準宇宙論の場合、「まずはこれが一番シンプ ルで様々な観測と整合するモデルなので、違うというなら叩いて否定してください。さもなくば 我々は他のモデルには興味が持てません」ということが、共通認識としてあるわけです。

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