3次元ユークリッド空間においては、空間上の任意の関数(0形式)をφ = φ(r) として、
dφ = dxi∂iφ,
d(dxiφ) =−dxi ∧dφ = −dxi ∧dxj∂jφ = −²ijkd2xk∂jφ = ²ikjd2xk∂jφ, d(d2xiφ) = d2xi∧dφ = 1
2²ijkdxj ∧dxk∧ dxl∂lφ
= 1
2²ijk²jkldx1 ∧dx2 ∧dx3∂lφ = δild3x ∂lφ = d3x ∂iφ.
ここで、d3x = d3r, d2xi = (d2r)i です。また、面積要素の定義からすぐにわかる 関係式、dxi ∧dxj = ²ijkd2xk を用いました。
よってストークスの定理は、1次元領域 C, 2次元領域 S, 3次元領域 V に対 して、 Z
∂C
= Z
C
dr·∇, Z
∂S
dr = Z
S
d2r×∇, Z
∂V
d2r = Z
V
d3r∇
を与えます。2番目の式はやはりストークスの定理と呼ばれ、最後の式はガウスの 定理と呼ばれます。
ここで境界 ∂S の向きですが、図10左のように葉層座標を取ると、面 S の面積 要素 ∂r
∂ξ1× ∂r
∂ξ2 dξ1 ∧dξ2 は図の上向きとなり、S と ∂S の関係は右ねじの規則に より与えられることがわかります。一方、∂V の向きは、図10右のように葉層座 標を取ることで、V の体積要素は(右手系の場合)正となり、このとき、∂V の面 積要素 ∂r
∂ξ2×∂r
∂ξ3 dξ2 ∧dξ3 は領域 V から外向きということになります。
図 10: 境界の向き
これら3次元空間における積分の定理は、物理においては特に電磁気学において 多用され、重要です。
(余談) 3次元におけるガウスの定理やストークスの定理に限っていえば、もう少し直接的に導
出することもできますが、ここでは一般的なストークスの定理から演繹しました。初学者には少 し難しいかもしれませんが、3次元のみ知っていて、一般次元においてどうなるのかわからないと いうのも気持ち悪いことだと思うので、頑張ってフォローしてください。
2 関数論と応用数学
複素関数論やこれを応用した数学は物理においてよく用いられ、重要です。ここ に手短にまとめておきます。関数論の簡単な説明の後、微分方程式の解法、ガン マ関数、デルタ関数、フーリエ変換について説明し、理論物理学の準備とします。
2.1 指数関数と対数関数 極限値、
e = lim
h→0(1 +h)1/h ∼ 2.71828
を自然対数の底、あるいはネイピア数といいます。また、実数 x に対し、
expx = ex
を指数関数といいます。指数関数の逆関数を対数関数(log)といい、
y = logx ⇔ x = ey で定義します。対数関数の定義域は x > 0 です(図1)。
log(xy) = logx+ logy, log(xy) = ylogx という性質が確かめられるでしょう。また、
h→0lim
log(1 +h)
h = lim
h→0 log³
(1 +h)1/h´
= loge = 1 がわかるので、これを用いて、微分公式、
d
dx logx = 1 x,
d
dx ex = ex
を得ます。これらはあくまで実数における関数です。三角関数、指数関数、対数 関数は初等関数と呼ばれ、高校においても必ず習う、必須の関数です。
また、高校では習いませんが、
coshx = ex+e−x
2, sinhx = ex−e−x
2, tanhx = sinhx coshx
図 1: 指数対数関数と双曲線関数
で定義される双曲線関数も物理ではよく登場します。このとき、
cosh2x−sinh2x = 1, d
dx coshx= sinhx, d
dx sinhx = coshx.
曲線 {(coshθ,sinhθ)| θは実数} が双曲線を意味するため、この名前で呼ばれま す。三角関数 cosθ, sinθ はこの意味で ‘円関数’ であり、そう呼ばれることもあり ます。
(余談) 特に工学の方面においては、自然対数をlnと表すことがあります。この場合、log は常 用対数を意味することが多く、すなわち、y= logx⇔x= 10y です。例えば Excelではこのよう な用法になっています。一方、Excel に付属されている VBA では log は自然対数を意味します。
ややこしいですね。傾向として、理論方面に行けば行くほど、常用対数を使うことがなく、log は 自然対数を意味するようです。
2.2 複素数と複素関数