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方    法 2. 1 調査対象試料

ドキュメント内 は じ め に (ページ 131-137)

過去 6 年間に検出した腸管出血性大腸菌(EHEC)のPFGEパターン

2  方    法 2. 1 調査対象試料

平成15年度厚生労働省委託事業のトータルダイエッ トスタディーで用いた群別に調理・混合した試料(群 別試料)及び,混合前の食品個別用の試料(個別試料)

を分析対象とした。

なお,個別試料は,Ⅹ群の魚介類及びⅩI群の肉類・

卵を対象とし,群別試料及び個別試料共に-18℃で保 存した。

2. 2 分析装置

日本インスツルメンツ㈱水銀測定用専用装置リガク マーキュリーSP

2. 3 測定方法

解凍した保存試料(約50g)をフードカッターで細

切した後,さらに乳鉢で擂りつぶし,均一化した後,

群別試料は約200mg,個別試料は約100mgを磁性燃焼 ボートに精秤し,分析機器で推奨されている添加剤を 積層して測定に供した。

3  結    果

(1)I群からⅩIII群の群別試料の総水銀含有量を求 めたところ,Ⅹ群及びⅩI群から総水銀が検出さ れ,その他の群は検出限界以下であった。東北地 域の食品群別摂取量から計算した一日水銀摂取量 は8.0μg/人・日〜22μg/人・日(平均14.0μg/人・

日)であり,魚介類(1)(2)(3)のように食品の組 み合わせによって水銀摂取量に約3倍の較差があ った。又,Ⅹ群からの摂取量が96%〜97%を占め,

Ⅹ群からの摂取が多いことが明らかになった。

(表1 )

(2)Ⅹ群の魚介類は13のグループに区分されている。

その内まぐろについては3検体中2検体で総水銀

濃度が1 ppmを超えている他,全ての魚介類個別

試料から水銀が検出された(0.004ppm〜1.8ppm)。

また,摂取量についてもまぐろ類からの摂取(平 均6.7μg/人・日)が多く,Ⅹ群の約50%を占めて いる。(表2 )

(3)ⅩI群の肉類・卵は7のグループに区分されて いる。鯨類で0.029ppm〜0.26ppm,豚バラ肉1検 体で0.010ppm及びあいがもで0.004ppmの総水銀 が検出されたが,その他の食品では検出されな かった。(表3 )

(4)調査した東北地域の一日水銀摂取量は,厚生労 働省が昭和48年に設定した暫定的耐容週間摂取量

(メチル水銀:0.17mg/人・週)と比べ25%〜68%

(平均43%)(総水銀中に占めるメチル水銀を75%

と仮定)に相当するものであった。

4  ま と め

(1)魚介類等には微量の水銀が含有され,食物連鎖 の結果高レベルの水銀を含有する魚介類等の存在

日常食品中の水銀摂取量調査

−魚介類の含有量実態を中心に−

Survey of Mercury Intake in Daily Foods

− Mainly Content Picture in Fish and Seafood −

山内 一成   氏家 愛子  佐藤 信俊 Kazushige YAMANOUCHI,Aiko UJIIE,Nobutoshi SATO

*現 原子力センター

表 1 群別試料の総水銀量と一日水銀摂取量 群 食品群名

一日 摂取量

水銀 含有量

一日水銀 摂取量

(g) (ppm)(μg/人・日)

1 米 173.4 ND

-2 雑穀・芋 151.9 ND

-3 砂糖・菓子 29.9 ND

-4 油 脂 14.3 ND

-5 豆・豆加工品 90.8 ND

-6 果 実 139.0 ND

-7 有色野菜類 102.5 ND -8 野菜・海草類 234.3 ND

-9 嗜好品 191.4 ND

-Ⅹ 魚介類(1) 107.4 0.20 22

Ⅹ 魚介類(2) 107.4 0.072 7.7

Ⅹ 魚介類(3) 107.4 0.11 12

Ⅹ群平均 14

Ⅹ1 肉・卵類(1) 0.002 0.3

Ⅹ1 肉・卵類(2) 110.9 0.003 0.4

Ⅹ1 肉・卵類(3) 110.9 0.004 0.4

Ⅹ1群平均 0.4

Ⅹ2 乳・乳製品 132.0 ND

-Ⅹ3 その他の食品 5.0 ND -110.9

注:Ⅹ群,ⅩI群は3検体を分析した。

注:一日摂取量は,平成12年国民栄養調査に基づく(以下同じ) 注:NDは,検出下限値(0.002ppm)未満を示す(以下同じ)。

表 2 魚介類別総水銀量と一日水銀摂取量 魚介類(1)

魚介類名

一日 摂取量

水銀 含有量

(g) (ppm)

生鮭 12.6 0.032

めばちまぐろ 6.1 1.8

まだい 6.35 0.17

赤魚(冷凍) 6.35 0.28

まあじ 6.35 0.18

さんま 6.35 0.091

きす 7.5 0.22

生いか 7.3 0.10

赤えび 7.3 0.012

あさり(殻付き) 4.9 0.10

塩鮭 11.9 0.053

さんまみりんぼし 8.5 0.074 いわし味付け缶詰 4.2 0.009 ちりめん佃煮 0.4 0.008 ささかまぼこ 10.5 0.005 魚肉ソーセージ 0.8 0.004

計 107.4

一日水銀 摂取量

(μg/人・日)

0.41 11 1.1 1.8 1.1 0.58 1.7 0.74 0.086 0.50 0.64 0.63 0.037 0.003 0.047 0.004 20

魚介類(3)

魚介類名

一日 摂取量

水銀 含有量

一日水銀 摂取量

(g) (ppm)(μg/人・日)

トラウトサーモン 12.6 0.045 0.57 びんちょうまぐろ 6.1 1.2 7.4 なめたかれい 12.7 0.13 1.7

いわし 12.7 0.039 0.50

きす 7.5 0.22 1.7

たこ 7.3 0.042 0.31

うに 7.3 0.007 0.052

ほたてがい 4.9 0.014 0.070

塩たら 11.9 0.092 1.1

ちりめん 8.5 0.019 0.16

さけ水煮缶詰 4.2 0.039 0.17 わかさぎ佃煮 0.4 0.063 0.025

ちくわ 10.5 0.021 0.22

魚肉ハム 0.8 0.037 0.029

計 107.4 14

魚介類(2)

魚介類名

水銀 含有量

一日水銀 摂取量

(ppm)(μg/人・日)

生鮭 0.016 0.20

きはだまぐろ 0.31 1.9

たら 0.032 0.41

にしん 0.077 0.97

銀たら 0.14 1.0

甘えび 0.077 0.56

ずわいがに 0.096 0.70

かき 0.012 0.059

塩銀さけ 0.039 0.46

ししゃも 0.008 0.065

さば水煮缶詰 0.16 0.66 わかさぎ佃煮 0.032 0.013 さつまあげ 0.013 0.14 魚肉ソーセージ 0.019 0.015

計 7.1

一日 摂取量

(g)

12.6 6.1 12.7 12.7 7.5 7.3 7.3 4.9 11.9 8.5 4.2 0.4 10.5 0.8 107.4

注:各魚介類は,調理前の可食部について分析した(以下同じ。

が知られているが,今回食物連鎖の上位にあるま ぐろ類及び鯨類から高濃度の水銀が検出されたこ とで,それが裏付けられた。

(2)厚生労働省での水銀一日摂取量調査(1992年か ら2001年平均8.4μg/人・日)と比較すると今回調 査の値は高めではあるが,その値がまぐろ類からの 寄与率が高い結果であることを考慮すれば,水銀 摂取については個人差が大きいことが予想される。

(3)今回の調査の結果,まぐろ類や鯨類については 水銀含有量が高めであることが改めて明らかにな ったが,「水銀を含有する魚介類等の摂取に関す る注意事項」の一層の理解と妊娠している方等へ の周知の継続等適切な情報提供が望まれる。

(4)なお,宮城県では,すずきの水銀含有量につい てモニタリング調査を行っているが,過去10年間 の値は,最大0.28ppm最小0.07ppm平均0.16ppm であり,特記すべき経年変化は特に認められてい ない。

参 考 文 献

1 )厚生労働省: 平成14年国民栄養調査 平成16年

5月

2 )厚生労働省医薬局食品保健部基準課長通知 水銀

を含有する魚介類等の摂取に関する注意事項につい て 平成15年6月3日,食基発第0603003号

表 3 肉類・卵別総水銀量と一日水銀摂取量 肉類・卵(1)

肉類・卵名

一日 摂取量

水銀 含有量

一日水銀 摂取量

(g) (ppm)(μg/人・日)

牛肉(もも) 10.8 ND -豚肉(ヒレ) 30.4 ND -鶏肉(もも) 18.0 ND

-鯨肉 0.3 0.029 0.009

あいがも 1.5 0.004 0.006

ロースハム 7.3 ND

-鶏卵 42.6 ND

-肉類・卵(2)

肉類・卵名

一日 摂取量

水銀 含有量

一日水銀 摂取量

(g) (ppm)(μg/人・日)

牛肉(ロース) 10.8 ND -豚肉(かたロース) 30.4 ND -鶏肉(むねにく) 18.0 ND -鯨肉(ミンク鯨) 0.3 0.260 0.078 マトン 1.5 ND -ウインナーソーセージ 7.3 ND

-鶏卵 42.6 ND

-注:各肉類・卵は,調理前の可食部について分析した

(以下同じ。)

肉類・卵(3)

肉類・卵名

一日 摂取量

水銀 含有量

一日水銀 摂取量

(g) (ppm)(μg/人・日)

牛肉(すね肉) 10.8 ND -豚肉(ばら) 30.4 0.010  0.31 鶏肉(ささみ) 18.0 ND -鯨肉(ニタリ鯨) 0.3 0.051 0.015 さくら肉大和煮(缶詰) 1.5 ND

-ベーコン 7.3 ND

-鶏卵 42.6 ND

-1  は じ め に

当センターでは平成13年度より遺伝子組換え食品

(以下GMO)検査を実施している。当初,我々は大豆

DNA抽出精製法として公定法の1つであるシリカゲル

膜タイプキット法を採用した。しかし,渡邉ら1)より,

遺伝子組換え大豆DNA抽出において,同法により抽出 されたDNAを対象に定量PCRを実施した場合,測定値 が低くなる可能性があるとの報告から,平成15年11月,

同法は公定法の大豆DNA抽出精製から除外され,当セン ターでは他の公定法であるCTAB法に切り替えた。

大豆穀粒は1粒1粒がGMOまたは非GMOのいずれ かであり,その混入率を測定するためには,試料量と 粉砕・混合の方法,及び試料の粒径等が測定誤差に大 きく反映することになる。従って,CTAB法(公定法)で は使用する試料量が多いことから,データの安定性が 良いと考えられるが,反面,抽出等に用いる試薬量が 多くなり,容量の大きい遠心分離機や器具機材が必要 となる等,操作性・経済性の面での問題がある。

そこで,我々はCTAB法を改良し,少量の試料でも 安定したデータを得ることを目的に抽出液や試薬の使 用量及び試料の粒径について検討した結果,若干の知 見を得たので報告する。

2  方    法 2. 1 試料

今回の実験では以下の2種の大豆を使用した。

① 標 準 大 豆 :E L I S A試 験 用 の 標 準 大 豆 粉 末 ( 粒 径 100mesh以下,全粒紛用,Strategic Diagnositcs Inc.社 製)1.25%,2.5%

②陽性大豆:昨年度行った定性PCRでラウンドアップ レディ陽性と判定された豆腐の原材料大豆穀粒

2. 2 前処理

陽性大豆(穀粒)をグラインダーで二回粉砕し,乳鉢 ですりつぶした後,48mesh,80meshのふるいにかけ,粒 径0.295mm以上,粒径0.175〜0.295mm,粒径0.175mm 以下に分取した。

2. 3 DNA抽出

公定法では50mlチューブを使用し,検体2gに対し CTAB液45mlを加え試料溶液を調製するが,操作性が 悪いということから,今回,作業行程すべてにおいて 1.7mlマイクロチューブを使用し,容器容量にあわせ て試料採取量を公定法の1/40の50mgにし,その縮小化 が有効であるか検討した。

松岡ら2)の方法と平成13年度厚生科学研究3)の方法 をもとにCTAB法を改良し,CTAB液量とProteinaseK添 加量について抽出液のUV吸収によるDNA濃度を指標 にして検討を行った。また,その結果をふまえて試料 の粒径による定量PCRのバラツキも検討した。なお,

測定は一検体につき二回から五回並行して実施した。

2. 4 定量 PCR

公定法に基づきABI PRISM 7900HTにて定量PCRを 実施し,GMOの混入率を算出した。

3  結果および考察 3. 1 CTAB液量の検討

1.25%標準大豆を試料とし,CTAB液量を300〜1400 μlの範囲で6段階に加え,各々のDNA抽出量をPCI 抽出液(水層)の採取量で除し,PCI液中の濃度に換 算して比較した。

結果を図1に示したが,CTAB液量が900μlのとき 30.1ng/μl,600μlのとき27.9ng/μlと6段階のうちで高 濃度であった。従って,検体の容量とマイクロチュー ブ内での混和のし易さを考慮して,CTAB液量を600μl とした。

GMO検査におけるサンプル量縮小化への検討

A Study of Reduction of Sample-Weight to Quantify for Recombinant DNA from Genetically Modified Soybeans

福原 郁子  曽根 美千代  氏家 愛子 佐藤 信俊1

Ikuko FUKUHARA,Michiyo SONE,Aiko UJIIE,

Nobutoshi SATO

1 現 原子力センター

キーワード:遺伝子組換え大豆;ProteinaseK;定量PCR

Keywords:Genetically modified soybeans;ProteinaseK;Quantitative Polymerase Chain Reaction

定量PCR後の結果を公定法と比較してみると,GMO の混入率は,公定法では1.69%,CTAB液量600μlでは 1.68%であり,ほぼ同じ値が得られた。

3. 2 ProteinaseK 添加量によるDNA抽出量への影響 CTAB公定法ではPCI液添加後の中間層が厚く,上清 の採取が困難であり,何度も遠心分離をしなければ必 要量を採取できない。そこで蛋白分解酵素のProteinaseK を添加し,中間層の成分である蛋白質を除くことを検 討した。

2.5%標準大豆を試料とし,試料溶液にProteinaseKを 3〜40μlの範囲で5段階に添加し抽出されたDNA量 を比較した。

ProteinaseKを添加することによりPCI添加・遠心分 離後の中間層が減少し,上清を採取することが容易で あった。

結果を図2に示したが,DNA抽出量は,ProteinaseK の添加量にかかわらず約23μgで,無添加の場合の約 2.5倍であった。

3. 3 ProteinaseK 添加量による定量値への影響 3. 2で抽出したDNAについて定量PCRを実施し,

GMO混入率を求めた。

結果を図3に示したが,ProteinaseK無添加では4.3±

0.2%,添加量3μlで3.4±0.5%,6μlで3.5±0.5%,12μl で3.3±0.2%,20μlで3.2±0.2%,40μlで3.5±0.2%と なり,ProteinaseKを添加したものは約3.3%に収束し,

無添加のものに比べて表示値である2.5%に近い値が 得られた。

また,添加量が多いほどバラツキが少なかった。こ れらの結果より,ProteinaseKの添加量は,表示値の混入 率に最も近い値が得られ,バラツキも少なかった20μl とした。

3.1〜3.3までの検討で改良したD N A抽出フロー

(CTAB法)を図4に記す。

3. 4 粒径別のG M O混入率測定値

今回検討した縮小化法(図4 )を粒径別に分別した 陽性大豆に適用してGMO混入率のバラツキを検討した。

5回繰り返し試験の結果を図5に示したが,未ふるい のものは0.32±0.09%,粒径0.295mm以上のものが0.30±

0.08%,粒径0.175〜0.295mmのものが0.30±0.09%,粒 径0.175mm以下のものが0.30±0.05%であった。公定 法での5回繰り返し試験の結果は0.32±0.07%であり,

いずれも公定法と比較して有意な差は見られず,粒径 図 1 CTAB液量の違いによるPC I 抽出液中のDNA濃度

図 2 Proteinase K量の違いによるDNA抽出量 図 4 改良D N A抽出フロー(CTAB法)

図 3 Proteinase K量の違いによる定量結果

ドキュメント内 は じ め に (ページ 131-137)