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1.分析対象とする論文の選択基準

CiNii(Citation Information by NII)を用いて1995年から2010年までに発表された論文 の検索を行った。家庭場面における行動問題のある対象児者をもつ家族との協働的アプロ ーチを検索するために、「家庭場面」「家庭支援」「家族支援」「行動問題」「問題行動」

「PBS(積極的行動支援)」のいずれかをキーワードとして含み、家庭場面において専門家 と障害児者をもつ家族が協働で行った事例研究で、指導・支援の結果を数量で示したもの を対象とした。対象とした論文は、『発達障害研究』『行動分析学研究』『LD研究』『特 殊教育学研究』と国内の大学における研究紀要であった。検索日時は、2010年3月30日

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2.分析方法

分析対象に該当した論文のうち、「対象児者」「標的行動」「支援手続き」の分類を行 った。なお、標的行動に関して後述する「標的行動の選定理由」の①~⑪のいずれか、あ るいは、支援手続きに関して、「支援手続きの決め方」の①~⑨のいずれかの記述が論文 中にあった場合に、「協議」がなされたと判断して分析の対象とした。

(1)対象児者

年齢は0~6歳、7~12歳、13~18歳、19歳以上の4段階に分類した。年齢、障害種、

知能レベル(IQ85以上を正常、70以上85未満を境界線、50以上70未満を軽度、35以上 50未満を中度、20以上35未満を重度、20未満を最重度、記述のないものは不明と分類) ごとに各分類カテゴリーが全対象数に対して占める割合を算出した。また、同時に効果の 違いを検討するために、カテゴリーごとに効果量の平均値および標準偏差を算出した。

(2)標的行動

標的行動の選定理由について、まず「誰が」行ったかを分類し、次に「どのような観点 で」決定したかを論文中から抽出した。そして、類似した内容をカテゴリー化した結果、

以下の 11 種類に分類された。いずれにも属さない場合は、分析対象から除外した。そし て、分類されたそれぞれが、全対象数に対して占める割合を算出した。同時に効果の違い を検討するために、カテゴリーごとに効果量の平均値および標準偏差を算出した。

①「家族の希望」:家族の希望、要望、主訴、改善ニーズの最も高い行動、行動問題の 減少の観点から決定した場合。②「家族が支援で必要なこと」:家族が支援で最も必要と 考えるという観点から決定した場合。③「家族の選択」:専門家から提示された標的行動 の中から、家族が選択して決定した場合。④「家族が実行可能」:家族が実行できる観点 から決定した場合。⑤「家族の支援機会」:家族の対象児者への支援機会が豊富という観 点から決定した場合。⑥「家族がビデオ可」:家族がビデオ撮影可能という観点から決定 した場合。⑦「専門家による対象児者のアセスメント」:専門家による対象児者への実態 把握、あるいはアセスメントという観点から決定した場合。⑧「専門家による対象児者・

家族のアセスメント」:専門家による対象児者と家族のアセスメントという観点から決定 した場合。⑨「対象児者の独力」:対象児者が独力で遂行できるスキルという観点から決 定した場合。⑩「対象児者の達成感・選択肢拡大」:対象児者の達成感あるいは選択肢拡 大という観点から決定した場合。⑪「対象児者の選択」:専門家から提示された標的行動

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さらに、選定理由が記された研究(上記①~⑪が該当)において、本研究の目的は、行動 問題のある発達障害児を対象にしたことと、高橋・山田・小笠原(2009)を参考に標的行動 のタイプを抽出した結果から、以下の3種類に分類し、それぞれが全対象数に対して占め る割合を算出した。また、同時に効果の違いを検討するために、カテゴリーごとに効果量 の平均値および標準偏差を算出した。①適応行動の増加:日常生活スキルなど適切な行動 の獲得を目指した研究。②行動問題の減少:自傷、他傷など社会的に不適切な行動の減少 を目指した研究。③適応行動の増加+行動問題の減少:上記の①と②の両方を含んだ研究。

(3)支援手続き

支援手続きの決め方について、「誰が(と)誰に(が)」「どのように」決定したかを、

内容によりカテゴリー分けして8種類に分類した。いずれも属さない場合は、分析対象か ら除外した。分類されたそれぞれが、全対象数に対して占める割合を算出した。同時に効 果の違いを検討するために、カテゴリーごとに効果量の平均値および標準偏差を算出した。

①「専門家が手続き説明」:専門家が家族に支援手続きの説明または依頼、教示した場 合。②「専門家が先行研究説明」:専門家が家族に先行研究やその効果を説明した場合。

③「専門家が長期的見通し説明」:専門家が家族に支援手続きの長期的な見通しを説明し た場合。④「専門家が立案→協議して修正」:専門家が支援手続きを立案し、家族と協議 して具体的な内容を決めたり修正したりした場合。⑤「専門家が立案→家族の実行可能性 から修正」:専門家が支援手続きを立案し、家族の実行可能性(やりやすさ)から修正した 場合。⑥「専門家がライフスタイルを考慮して立案→協議して修正」:専門家がライフス タイルを考慮した支援手続きを立案し、家族と協議して修正した場合。⑦「家族が選択」:

専門家が支援手続きを複数立案し家族が選択した場合。⑧「家族が立案→専門家が修正」:

家族が支援手続きを立案し、専門家が修正した場合。

さらに、支援手続きのタイプを内容ごとにカテゴリー分けし、小笠原・朝倉ら(2004)を 参考に以下の5種類に分類した。また、それぞれが全対象数に対して占める割合を算出し た。そして、支援手続きによる効果の違いを検討するため、それぞれの効果量の平均値と 標準偏差を算出した。

①先行刺激に基づいた手続き:ワークシステム、物理的環境整備といった先行事象の変 化を含んだ手続き、②直接的な教授に基づいた手続き:専門家や家族によるPECS、ソー シャルストーリーなど適切な行動に対する直接的な教授が含まれる手続き、③消去に基づ

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いた手続き:行動問題が生起しても行動に強化刺激を随伴しないようにデザインされた手 続き、④強化に基づいた手続き:適切な行動を増加させるために社会的に適切な行動の生 起に強化刺激を随伴する手続き、⑤罰に基づいた手続き:行動問題の生起後、行動問題に 嫌悪刺激やレスポンスコストなどの随伴提示により、行動問題の減少を目的とした手続き。

家族による社会的妥当性が記述された論文に対して「効果」「家族の負担」「本人の負 担」「継続性」という観点から、「継続性」以外は、評価の基準を「とてもあった」から

「ほとんどなかった」まで5段階に分類した。「効果」は、家族が主観的に支援手続きの 効果を評価したもので、「家族の負担」「本人の負担」は、それぞれにかかる負担を主観 的に評価したものである。「継続性」は、研究終了後の支援手続きの実行可能性を主観的 に評価したもので、「ずっと継続できる」から「継続できない」まで5段階に分類した。

また、社会的妥当性と支援手続きによる効果の違いを検討するため、それぞれの効果量の 平均値と標準偏差を算出した。

3.効果の測定方法 (1)効果量の測定

標的行動が行動問題の低減を目指した研究に関して、小笠原・朝倉ら(2004)と同様に、

各論文の図表から介入前の最初に導入されたBL期のすべてのデータの平均値と最終のフ ェイズの最後から連続する3セッションの平均値を算出した。その上で、次の方法で効果 量を算出した。

効果量(%)=(BL期の平均値-介入期の平均値)÷BL期の平均値×100

適応行動の増加を目指した研究において、各論文の図表から、介入前の最初に導入され たBL期のすべてのデータの平均値と最終のフェイズの最後3からセッションの平均値を 算出した。そして、次の方法で効果量を算出した。

効果量(%)=(介入期の平均値-BL期の平均値)÷介入期の平均値×100

なお、BL期の測定がない研究は、介入期の最初から連続する 3セッションから最終の 連続する3セッションを用いて上記の方法で測定し、さらに結果がグラフのみで表示され ている研究については視認を行い、数量を求めて効果量を測定した。

(2)社会的妥当性の測定

社会的妥当性のデータをとった論文に対して、「効果」「家族の負担」「本人の負担」

「継続」の各観点から5段階評価を行った。論文中に段階評価ではなく、エピソードとし て記述された場合は、その内容を文章から判断して5段階評価を行った。論文中にこれら

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の評価の記載が3つ(A、B、C)あった場合は、(A+B+C)÷3として求めた。「効果」「継 続」については、数値の大きい方が肯定的な評価を示した。「家族の負担」「本人の負担」

については、数値の小さい方が肯定的な評価を示した。

4.信頼性と妥当性

著者と他の 2 名(特別支援学校教員と大学教員)が協議を行い、上記の標的行動、支援手 続きの分類の仕方と分類名は、3 者から同意が得られたものを採用した。また、それらが どこに分類されるのかを3者で協議をして決定した。

第3節 結果

家庭場面で専門家と障害児者をもつ家族が協働で行った論文は 34 編であったが、結果 が数量で示されたものは、1996年から2010年までの31編であった。さらに、これらの 論文中に「標的行動の選定理由」または「支援手続きの決め方」のいずれかが記述された

論文はTable 5-2に示す30編であったため、これらを分析対象とした。

行動問題を扱った研究では、どの障害種においても高い効果量であった。また、専門家 と家族が協議した上で、家族の希望を聞き対象児者と家族のアセスメントをして標的行動 を決めた効果量が高かった。支援手続きに関しては、専門家が立案して先行研究などを説 明し、それをもとに協議して修正する効果量が高かった。

1.対象児者

Table 5-3 に、対象児者に関する特徴と効果量平均、標準偏差を示した。年齢別で一番

多かったのは13~18歳、7~12歳の順で、13~18歳は全体の44.9%を占めた。7~12歳 以外の適応行動の効果量平均は70%以上で、行動問題の効果量はどの年齢でも 80%以上 であった。障害種では、自閉症が最も多く38.8%、次いで知的障害が28.6%であった。適 応行動の効果量平均は、いずれの障害種も60~70%程度で、行動問題の効果量平均は自閉 症を除いた障害種において80%以上であった。行動問題の効果量平均は、中度レベルを除

いて90%以上であった。

2.標的行動

Table 5-4 に、標的行動に関する特徴と効果量平均、標準偏差を示した。標的行動の選

定理由が記述された研究は、26編であった。標的行動の選定理由では、専門家と家族が協 議して、「家族の希望」に基づいて決定したものが多く、行動問題に関する効果量が91.5%

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