第 8 章 プロトン照射実験 65
8.2 プロトン照射実験による CsI シンチレータの放射化
8.2.6 放射性同位体の生成
8.2 プロトン照射実験によるCsIシンチレータの放射化 75
最初のデータに対するフィッティングの結果を図8.11と表8.5に示す。
F(E) =N ×exp
(−(E−E0)2 2σ2
)
+const (8.5)
∫ ∞
−∞F(R)dx=√
2π·N ·σ (8.6)
146 148 150 152 154
11025
count/sec
energy (keV) first data const+Gauss fit
F(x)=GN*exp(−(x−GC)2/2GW2) + CO CO=1.492
GC=149.1 GW=0.3749 GN=6.396 integral count=12.02
CO= 1.492 , GC= 149.1 , GW= 0.3749 , GN= 6.396 , WV= 24.38 N= 20.00
図8.11 149 keVのラインについてガウス関数でフィッティングした結果。
表8.5 ガウス関数でのフィッティング結果
パラメータ フィット結果 誤差 (90%誤差) const 1.492 +5.197−5.304××1010−−22
E0 149.079 ±2.133×10−2 σ 0.3749 +2.588−2.3516−×210−2
N 6.396 +4.809−4.751××1010−−11
χν 1.283
放射能の減衰は式8.7で表せる。
A=A0e−λt (8.7)
A : 時間tの放射能 A0 : 最初の時刻における放射能
ビーム停止から最初のデータを測定するまで約25分間の時間がかかったので、時刻の原点 をビームの停止時とし、ゲルマニウム検出器での測定データの 149 keVのラインのカウント
8.2 プロトン照射実験によるCsIシンチレータの放射化 77 数と時間の関係を求める。放射能の減衰に伴ってカウントも減少しているので、二つは同じ関 数で書ける。ただし、149 keVのラインを作っているのは12254 Xeと12354 Xeなので、149 keVの ラインは式8.7の足し合わせとなる。したがって、カウント数と時間の関係を式8.8でフィッ ティングした。結果を図8.12と表8.6に示す。
F(t) =N1·exp
(−(t−t1) τ1
)
+N2·exp
(−(t−t2) τ2
)
(8.8) N1、t1、τ1 は12254 Xeのパラメータ
N2、t2、τ2 は12354 Xeのパラメータ
0 104 2×104 3×104 4×104
0.010.1110
count/sec
time since beam stop (sec) 149keV exp+exp fit
F(x)=EN1*exp(−(x−EC1)/EW1)+EN2*exp(−(x−EC2)/EW2)
EN1=0.0486 EN2=14.363 EC1=0 EC2=0 EW1=104393 EW2=10802
EC= 0.000 , EW= 1.0439E+05, EN= 4.8608E−02, EC= 0.000 , EW= 1.0802E+04 EN= 14.36 , WV= 438.2 , N= 432.0
図8.12 149 keVのラインについてガウス関数でフィッティングした結果。
表8.6 ガウス関数でのフィッティング結果
パラメータ フィット結果 誤差 (90%誤差) N1 4.860×10−2 ±1.888×10−2
t1 0 fix
τ1 104393 fix
N2 14.36. ±1.19×10−1
t2 0 fix
τ2 10802 fix
χν 1.017
ゲルマニウム検出器で 149=keVを観測したカウントレートは 12254 Xe と12354 Xe について、
それぞれ4.860×10−2±1.888×10−2 count/s、14.36±1.19×10−1 count/sということが
フィットから分かった。この値から、照射終了時に生成された 12354 Xeが149 keVのガンマ線 を、どれだけの放射能で出していたかを求める。
ゲルマニウムの149 keV の全エネルギーピークの確率は0.0945となることがシミュレー ションから分かっているので、CsIシンチレータ内で発生している放射能は、
14.36÷0.0945 = 152.0 count/s/CsI (8.9) 放射能と放射性同位体の原子数の関係は
A =λNp (8.10)
であるので、12354 Xeの中の149 keVのエネルギーを放射する原子数はの照射終了時に
Np = 152.0÷(9.257×10−5) (8.11)
= 1.642×106 個/CsI
= 1.642×106÷3.825
= 4.292×105 個/cm3 と求められる。
• 陽子照射実験での照射のフラックスを求める。
今回の実験では陽子は単位面積当たりで合計∼ 109 個を 100回に分けて照射した。実験時 間は約24分であったので、実験での陽子フラックスは
fe = 109
1440 proton/s/cm2 (8.12)
= 6.94×105 proton/s/cm2 であった。
• 生成された原子数とフラックスから、反応断面積を求める。
123
54 Xe は 12753 I が 放 射 化 し た も の な の で あ る 。放 射 の 標 的 と な る 12753 I の 原 子 数 は 5.2×1021個/cm3 で 、標 的 と な る 原 子 数 、生 成 さ れ た 12354 Xe の 原 子 数 と フ ラ ッ ク ス 、 照射時間を式8.13に代入すると反応断面積σ は
σ= λNp
Ntf(1−e−λt) (8.13)
= 88.16×10−26 cm2
=88.16 mb となった。
• 惑星間空間での陽子フラックスから、放射平衡に達したときの原子数を求める。
惑星間空間での陽子フラックスは2.26 proton/cm2/sである (7章参照)。式8.13に、惑星間 空間でのフラックス、反応断面積、標的となる原子数、崩壊係数を代入し、十分時間が経った ときの149 keVを放射する生成原子数は
8.2 プロトン照射実験によるCsIシンチレータの放射化 79
Np = Ntf σ
λ = 11.19 個/cm3 (8.14)
となった。一つのCsI当たりの量で考えると Np = Ntf σ
λ = 42.80 個/CsI (8.15)
程度である。単位体積あたりの149 keVのエネルギーの放射能は
A =λNp = 1.036×10−3 Bq/cm3 (8.16) また一つのCsI当たりの149 keVのエネルギーの放射能は
A =λNp = 3.963×10−3 Bq/CsI (8.17) 程度である。
時間と単位体積あたりに生成される原子数、時間と単位体積あたりの放射能を見てみると図 8.13のようになり、放射平衡になるのは∼104 s後である事が分かる。
10−30.010.1110100
n/cm3
produce_N.out
Xe123 produced Np and A
1 10 100 1000 104 105 106
10−710−610−510−410−30.01
Bq/cm3
time (sec)
図8.13 赤は惑星間空間の陽子フラックスで生成される12354 Xeの原子数と緑は放射能の量を表す。
8.2.6.3 その他の放射性核種について
表8.3に示した、核種とそのガンマ線エネルギーについて、同様の解析を行った、図8.14に 各エネルギーでのゲルマニウム検出器で検出したカウントレートの時間変化を示す。それぞれ のエネルギーについて式8.7もしくはその足し合わせでフィッティングを行った。
125
54 Xeの188.5 keV、243.5 keV、12153 Iの212 keVについては、カウントレートが一番多く なる時が陽子照射時よりも遅い事が分かる。これはこれらの放射性核種が他の核種の壊変によ り生成されたものであることを示しており、照射終了時の生成原子数を見積もる事が難しい。
したがって、12254 Xeの149 keV、12354 Xe の149 keV、178 keV、330 keV、12755 Csと12955 Csの
412 keVから惑星間空間で生成される原子数と放射能を見積もることにした。
0 104 2×104 3×104 4×104
0.010.1110
count/sec
time since beam stop (sec) 149keV exp+exp fit
F(x)=EN1*exp(−(x−EC1)/EW1)+EN2*exp(−(x−EC2)/EW2)
EN1=0.0486 EN2=14.363 EC1=0 EC2=0 EW1=104393 EW2=10802
EC= 0.000 , EW= 1.0439E+05, EN= 4.8608E−02, EC= 0.000 , EW= 1.0802E+04 EN= 14.36 , WV= 438.2 , N= 432.0 0 104 2×104 3×104
0.1110
count/sec
time since beam stop (sec) 178keV exp fit
F(x)=EN*exp(−(x−EC)/EW) EC=0 EW=10802 EN=5.13787556
EC= 0.000 , EW= 1.0802E+04, EN= 5.138
0 2×104 4×104 6×104
125
count/sec
time since beam stop (sec) 188.5keV exp+exp fit
F(x)=EN*exp(−(x−EC)/EW) EC=0 EW=87773 EN=4.52421045
EC= 0.000 , EW= 8.7773E+04, EN= 4.524 , WV= 833.1 , N= 740.0 0 2×104 4×104 6×1040.010.1110100
count/sec
time since beam stop (sec) 212keV exp+exp fit
F(x)=EN*exp(−(x−EC)/EW) EC=0 EW=11010 EN=48.7469788
EC= 0.000 , EW= 1.1010E+04, EN= 45.42 , WV= 2.0912E+13, N= 731.0
0 2×104 4×104 6×104
10.52
count/sec
time since beam stop (sec) 243.5keV exp+exp fit
F(x)=EN*exp(−(x−EC)/EW) EC=0 EW=87773 EN=2.29165268
EC= 0.000 , EW= 8.7773E+04, EN= 2.292 , WV= 817.3 , N= 740.0 0 2×104 4×104 6×10410−30.010.1110100
count/sec
time since beam stop (sec) 330keV exp+exp fit
F(x)=EN*exp(−(x−EC)/EW) EC=0 EW=10802 EN=2.42814112
EC= 0.000 , EW= 1.0802E+04, EN= 2.428 , WV= 2191. , N= 617.0
0 2×104 4×104 6×104
125
count/sec
time since beam stop (sec) T0_412inte_2.qdp
412keV exp+exp fit
F(x)=EN1*exp(−(x−EC1)/EW1)+EN2*exp(−(x−EC2)/EW2) EC1=0 EC2=0
EW1=32460 EW2=166510 EN1=6.80563211 EN2=0.666848421
EC= 0.000 , EW= 3.2460E+04, EN= 6.806 , EC= 0.000 , EW= 1.6651E+05 EN= 0.6668
図8.14 ゲルマニウム検出器で検出したカウントレートの時間変化