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提案手法 B の性能評価

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第 6 章 干渉波抑圧の提案方式の評価

6.2. 提案手法 B の性能評価

6.2.1 ゼロフォーシング等化 (ZF Equalizer)

受信信号yは,送信信号x,伝搬路応答h,雑音nで,次の式で表す.

y =hx+n (6.2)

伝搬路推定値をwとし,伝搬路の振幅および位相変動を補正した信号xˆは以下の ように求めることができる.次の複素数の除算(ゼロフォーシング等化)を行な えばよい.

ˆ x= y

w = hx w + n

w (6.3)

式から明らかなように,付加雑音nの影響が小さければxˆは希望シンボルxに 近いものになり,正しいシンボル判定を行うことができるようになる.ゼロフォー シング等化は計算簡単が,問題点も存在する.上の式ではyを伝送路特性wで割 ることによってシンボルの歪みの補正を行っており,希望シンボル部分の歪みが 完全に補正される.しかしながら,同時に付加雑音も伝送路特性によって割られ ることになる.この時の伝送路特性の絶対値がマルチパルなどの影響によって非 常に小さな値になっている場合は,雑音の大きさががえって強調されてしまうこ とになる.従って,マルチパスの状況が悪い場合には,十分な特性を確保できな い場合も起こる.

6.2.2 最小平均二乗誤差等化 (MMSE Equalizer)

MMSE方式は無線通信技術において一般的な伝搬路推定方式であるが,ここ でW-LANでのMMSE方式の適用例を示す.

MMSE等化は重み付けした信号と希望シンボルとの平均二乗差(Mean Square

Error)が最小になるように重みを求めて等化を行う方式である.次の式で表すこ

とができる.

ˆ

xM M SE =wH(wwH + Γ1I)1Y (6.4) Γは付加雑音の平均電力を表す.MMSE等化の場合には最終的に希望シンボル に歪みは残っているが,付加雑音の大きさを加えるうえで,希望シンボルにでき

るだけ近い補正後のシンボルxM M SEˆ が得られている.MMSE等化を用いるとゼ ロフォーシング等化のような雑音の強調は起こらないため,雑音の影響が大きい 状況下でも特性の大きな劣化を防ぐことができる.雑音の影響が小さい場合には,

MMSE等化の特性はゼロフォーシング等化の特性に近づいてくる.

6.2.3 Training sequence one-tap Equalizer

伝送路特性を知るため,送信シンボルの先頭にトレーニング信号を付加する.

そして,すべてのシンボルが同一の伝送路を通過することを仮定する.送信トレー ニング信号xtraining,受信トレーニング信号ytraining,伝送路推定値はGとする.

送信シンボルの判定は次の式で表す.

ˆ

xT raining = y

G = y

ytraining

xtraining

(6.5) この等化器の特性はMMSE型及びZF型より優れているが,チャンネル情報は時 間的に変化すれば,この等化器を利用できなくなる.

6.2.4 CNR BER 特性

IEEE802.11aシステムにおいて,遅延時間20サンプル,ガードインターバル

長は16サンプル,誤り訂正しない,伝送路で実際に発生する遅延波数を20波と したの環境における提案方式と従来方式とのCNR対BER特性の比較を示す.従 来方式として,トレーニングシーケンス,MMSE方式,ゼロフォーシング方式 (ZF)を比較対象とする.図においてBayesian Equalizerは提案方式であるベイズ の定理によって干渉の軽減を行った場合を表す.図6.5から明らかなように,干 渉に対する対策を行っていない場合に対して,提案方式によって特性の改善が図 られていることがわかる.また,ベイズ定理の繰り返し処理を行うことによって 特性が向上していることが分かる.

また,図6.5は干渉信号に窓関数をかけていない場合で,図6.6は窓関数をか けている場合の特性である.図6.5,図6.6からわかるように,窓関数を加えるこ とにより,BER特性の改善が得られていることがわかる.これは,滑らかな窓関 数を用いてICI成分を抑圧できると考えられる.また,ICIの他のサブキャリア への漏れ込みを隣接サブキャリア程度に抑えることが出きることがわかる.

例えば,CNR=20dBにおいて,干渉除去手法が無い場合,BERは3.23 ×102 の誤り率であったが除去手法を用いた場合は初回のベイズ定理で7.7 ×103,さ らに繰り返し処理後は約1.73 ×103に改善した.

10-4 10-3 10-2 10-1 100

5 10 15 20 25 30 35 40

BER

C/N[dB]

QPSK,TI=0,CR=1/2,Delay Sample=20(1.0us),w/o window

Equalizer by training sequence ZF Equalizer Bayesian Equalizer Reconstruction once Bayesian Recons twice Bayesian Recons thirdly MMSE Equalizer

図 6.5 マルチパスチャンネルにおけるBER特性(窓関数無し)

10-4 10-3 10-2 10-1 100

5 10 15 20 25 30 35 40

BER

C/N[dB]

QPSK,TI=0,CR=1/2,Delay Sample=20(1.0us),w/ window

Equalizer by training sequence ZF Equalizer Bayesian Equalizer Reconstruction once Bayesian Recons twice Bayesian Recons thirdly MMSE Equalizer

図 6.6 マルチパスチャンネルにおけるBER特性(窓関数あり)

6.2.5 遅延時間対 BER 特性

図6.7が,第2信号の到来遅延時間に対するBER特性を示す.第2信号がGI 内に到来した場合では,干渉を生じないため,理想的なBER特性が得られるこ とが分かる.図からわかるように,干渉の除去手法を用いられない場合,第2信 号の到来時間がGI長を超えると,BER特性が極めに劣化してしまう.それに対 して,提案手法により,初回のベイズ定理は従来方式に比べ特性が劣化している.

これは,隣接キャリアからの干渉対策を行っていないためである.ただし,繰り 返し判定により,受信特性を改善できたことが分かる.

また,図6.8の結果により,窓関数を加えた場合について,第2信号の到来遅延 時間がGIを超えて到来したときに,初回のベイズ定理でも干渉を軽減でき,従 来手法より優れた受信特性を得られることがわかる.そして,提案手法の繰り返 し処理により図6.7と同じように,受信品質の改善は更なる向上していることが わかる.

本方式では,逆行列演算をせずに,ベイズ定理によるキャリア間干渉の除去を 行っている.この方式は,ゼロフォーシング型のキャンセラやMMSE型のキャ ンセラなどより演算量の軽減を実現される.そして,雑音の影響の少ないQPSK では良好に特性の改善が行えるが,より雑音に対する要求の厳しい64QAMでは,

その影響が現れていると考えられる.それについて,今後検討する対象となる.

10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100

10 12 14 16 18 20 22 24 26 28

BER

delay sample

QPSK,TI=0,CR=1/2,CNR=20dB,Delay length=(10:28),w/o window

Equalizer by training sequence ZF Equalizer Bayesian Equalizer reconstruction once Bayesian Recons twice Bayesian Recons thirdly MMSE Equalizer

図 6.7 遅延時間に対するBER特性(窓関数無し)

10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100

10 12 14 16 18 20 22 24 26 28

BER

delay sample

QPSK,TI=0,CR=1/2,CNR=20dB,Delay length=(10:28),w/ window

Equalizer by training sequence ZF Equalizer Bayesian Equalizer reconstruction once Bayesian Recons twice Bayesian Recons thirdly MMSE Equalizer

図 6.8 遅延時間に対するBER特性(窓関数あり)

6.2.6 本章のまとめ

本章では,遅延広がりがGI長を超える無線通信の環境下において,優れたBER 特性を達成可能なOFDM方式用の復調方式を二通りに提案した.提案手法Aに より送信信号の再構築で先行信号からの符号間干渉を除去でき,受信性能の改善 を確認した.

次に,解析したGI長を超える場合,多重伝搬モデルに基づいて,干渉妨害に 対して受信信号の隣接キャリアシンボルの特性を利用して受信シンボルを等化す る手法を提案した.さらに,QPSK-OFDMについて,ベイズ定理による等化を 計算機シミュレーションにより検討した.その結果,ISIとICIの影響を抑圧で き,その有効性を認められた.

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