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提案手法 A の性能評価

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第 6 章 干渉波抑圧の提案方式の評価

6.1. 提案手法 A の性能評価

提案手法の有効性を確認するため,遅延広がりがGI長を超える移動通信環境 下における伝送特性を計算機シミュレーションで評価を行った.システム内部雑 音モデルはAWGNモデルとする.フェ─ジング雑音モデルは,走行中他方向より 電波が到来することから,2波レイリー分布雑音モデルとする.最大ドップラー 周波数は0Hzとする.

ISDB-Tの仕様に準拠して伝送パラメータを決定した.伝送モードMode3,ガー

ドインターバル比1/8,タイムインターリーブ長 4と 2,変調方式QPSK及び

64QAM,符号化率2/3及び3/4とする.伝搬路モデルは,第2遅延波に対する直

接波のパワー比は2dBとする.遅延波の遅延時間を160µs(Tgi = 126µs),170µs をした.提案手法Aで,ISI,ICIの干渉除去を行わない方式を従来方式として比 較検討した.

シミュレーション諸元を表6.1に示す.

6.1.1 評価指標

評価指標には,ビット誤り率(Bit Error Rate; BER)を用いる. ビット誤り率と は,ある送信ビット列に対して,受信側で復調されたビット列の中で誤っている ものの割合であり,次式で定義される.

BER= 誤っているビット数

総ビット数 (6.1)

シミュレーション諸元

表 6.1 提案手法Aのシミュレーション諸元

一次変調 QPSK,64QAM

有効シンボル長 (Ts) 1008 µs サブキャリア数 5617 FFTポイント数 8192 送信側 ガードインターバル Ts/8

パイロット信号配置 時間軸方向の補間 伝送モード  Mode3

タイムインターリーブ長 4,2 符号化率  2/3,3/4 システム内部雑音モデル AWGN

フェ−ジング雑音モデル 2波レイリー分布

チャネル 遅延時間 160µs,170µs

D/U 2dB

最大ドップラー周波数 0Hz 受信側 伝搬路推定方式 Linear,ZF

6.1.2 CNR BER 特性

図6.1と6.2は,変調方式QPSKと64QAM,DUR(D/U)=2dBの2パスレイ リーフェ─ジングチャンネルにおける,遅延時間を増加させた場合のBER特性 を示す.

マルチパス環境において,遅延広がりがGI長以内であれば,マルチパスによ る符号間干渉(ISI)を完全に防ぐことができるため,BER特性は熱雑音のみの影 響を受ける.つまり,CNRの値を大きくすることにより,BERの値を小さくす ることができ,図6.1の赤ラインのようなBER特性となる.

しかしながら,遅延広がりがGI長を超えると,このGI長を飛び越えた波が ISIをもたらし,同時にサブキャリア間干渉(ICI)も生じるため,BER特性が悪 くなってしまう.CNRを大きくしても,BER値は小さくなることなく,図6.1の 青いラインと紫ラインに見られるフロア値をもつ.したがって,干渉信号がより 大きな遅延時間で到来するに従って,シンボル間干渉が増大するため,BER特 性も劣化していることがわかる.提案干渉波キャンセラを用いる場合は,より良 い特性を示しているが,干渉信号が存在しない場合のBER特性と比較して,搬 送波対雑音電力比(CNR:Carrier-to-Noise power Ratio)に劣化がある.変調方式 QPSKの場合は,遅延時間160µsのときに,干渉に対する対策を行っていない場 合に対して,提案方式によって特性の改善が図られていることがわかる.

例えば,CNR=15dBにおいて,干渉を除去しない場合,BERは3.86×103の 誤り率であったが除去手法を用いた場合は6.85×105に改善された.また同じ 条件で変調方式64QAMの場合でも,同じ特性を現れる.64QAMのときに復調 は難しくなるため,受信特性はQPSKに比較して劣化する.CNR=21dBにおい て,干渉を除去手法を用いないときのBER= 3.88×102に対して,除去された 後のBERは7.53×104まで改善できた.図より,CNRが大きくなるに従い,干 渉を除去しないと比較して大幅なBER特性の改善が得られていることがわかる.

この結果から,提案方式は一般的に想定される無線通信システムにおいて,優れ たBER特性が達成可能となることが明かとなった.

10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100

0 5 10 15 20 25

BER

C/N[dB]

2path-rayleigh,GI=1/8,TI=0,QPSK,CR=1/2,DUR=2dB

w/o interference delay=126us w/ canceller delay=160us w/o canceller delay=160us w/o canceller delay=170us

図 6.1 BER characteristic of 2path-rayleigh channel(QPSK,DUR=2dB)

10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100

0 5 10 15 20 25

BER

C/N[dB]

2path-rayleigh,Mode3,GI=1/8,TI=2,64QAM,CR=3/4,DUR=2dB

w/o interference delay=120us w/o interference delay=126us w/ canceller delay=160us w/o canceller delay=160us

図 6.2 BER characteristic of 2path-rayleigh channel(64QAM,DUR=2dB)

6.1.3 遅延時間対 BER 特性

次の図では,第2信号の到来遅延時間に対するBER特性を示す.第2信号が GI内に到来した場合は,その信号が希望信号となりBER特性は向上する.しか しながら,第2信号がGIを超えて到来した場合では,第1信号に干渉し,その 結果,BER特性が悪化する.提案手法では,第2信号が干渉信号となる場合,つ まり,Delay > GI となる場合においても,干渉信号の影響を大きく軽減できて いる.変調方式QPSK及び64QAMでの計算結果は次の図6.3及び図6.4に示す.

図より,遅延時間がガードインタバール長である126µs以下の場合はISIとICI が生じないため,提案方式と従来方式はほぼ等しいBER特性を示している.し かしながら,遅延時間が126µs以上になると従来方式は遅延時間の増大につれて BER特性が大きく劣化している.これに対して,提案方式では特性は劣化して いるが,遅延時間140µsから180µsまでの間にBER特性はほぼ変化していない.

つまり,遅延時間がGI長を超える場合においても180µsまで良好な特性が得ら れることがわかる.

10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100

120 130 140 150 160 170 180 190 200

BER

Delay of secondary signal[us]

2path-rayleigh,Mode3,GI=1/8,TI=4,QPSK,CR=3/4,DUR=2dB,CNR=15dB w/o canceller

w/ canceller

図 6.3 第2信号の遅延時間に対するBER特性(QPSK,DUR=2dB)

10-4 10-3 10-2 10-1 100

120 130 140 150 160 170 180 190 200

BER

Delay of secondary signal[us]

2path-rayleigh,Mode3,GI=1/8,TI=2,64QAM,CR=2/3,DUR=2dB,CNR=15dB w/o canceller

w/ canceller

図 6.4 第2信号の遅延時間に対するBER特性(64QAM,DUR=6dB)

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