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提案する方位情報提示方式におけるユーザ行動のモデ ル化ル化

ドキュメント内 ւ̐UGohpԏ (ページ 32-44)

3.5.1 モデル化の意義

システムの有用性や問題点を評価する方法としてユーザモデルの構築がある。これ はシステムとユーザの相互作用を通してユーザに関する情報を取得、解析し、ユーザ

表 3.2: 振動モータの仕様表

型番 FM34F

電圧 使用範囲 2.5〜3.5(V)

標準電圧 3(V) 標準回転数 13,000(rpm)

標準電流 100 or less(mA) 最小起動電圧 2.3(V)

振動量 17.6(m/S2)

図 3.11: 振動モータの外観

図 3.12: ピエゾフィルムの外観

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図 3.13: 計測された振動センサの出力波形

の行動パターンをモデル化するものである。このモデルを利用することで、システム の環境下でユーザの行動がどのように表現されるか、また異なる条件下でユーザの行 動がどのように変化するかを探ることができる[23]

このユーザモデルの構築は、IT機器開発の分野などにおいて広く行われているが、

触覚情報提示システムにおいて検討された例はほとんどなく、本研究において、3.3節 で提案した情報提示方式に関するモデル構築を行うことは、人間の触覚情報取得に伴 う認知活動を新たに理解することにつながる。そこで得られたモデルを参照すること で、例えばユーザの移動を伴うシステムを設計する際、移動による影響を評価しやす くなり、またその条件における効率的な情報提示のアルゴリズムを検討することも容 易となる。すなわち、本研究においてユーザ行動のモデル化を行うことで、今後のア プリケーション構築の際の有用な設計指針を提供できると期待される。

3.5.2 予備実験によるユーザの行動分析

そこで、3.3節で提案した方位情報提示方式について、ユーザの認知活動の観点から ユーザ行動のモデル化を行う。まず、モデルの仮説を導出する手段として、3.4節に述

べたシステムを用いて予備実験を行った。この予備実験は、被験者が実験者により提 示された方位に対し、自身が認識した方位を円形の回答用紙に矢印で記入するという 方法で行った。被験者は自身が正確な方位情報を得られたと感じた時点で回答終了の 合図を送り、その時点で実験者はシステムを停止した。この際、ジャイロセンサの出 力履歴を記録しておき、方位情報取得時の被験者の行動を調べた。

ジャイロセンサの出力履歴をグラフ化した例を図3.14と図3.15に示す。図中の横軸 は情報提示が開始されてからの時間、縦軸は初期状態から被験者が頭部を回転させた 角度で、時計回りを正方向としている。図中の横線は振動角度範囲を表し、この内側 の角度分だけ頭部を回転させた時、いずれかのモータが振動することになる。青い実 線がその時間でのジャイロセンサの出力であり、被験者が回答終了の合図を送った時間 で途切れている。また、この図の状況では∆xの値はπ/32[rad](5.625)となっている。

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図 3.14: ジャイロセンサの出力履歴の例(1)

3.3節で提案した方位情報提示方式は、提示した角度から±∆xの範囲にモータが存 在する時、それが振動する仕組みとなっている。これはユーザ側から見れば、ある一 定の幅の振動角度範囲の中央方向が提示された方向ということになる(被験者には、振 動する範囲の中央を回答するよう要請した)。

振動角度範囲の中央を認識するためには、振動角度範囲の両端を認識する必要があ る。図3.14と図3.15から分かるように、被験者は最初に振動角度範囲に到達してから 複数回振動角度範囲の境界を横切っており、提示された方向の確認を行っている様子 が見てとれる。また、図3.14と図3.15の相違点として、前者が最初に振動を感知した モータを用いて確認を行っているのに対し、後者はその隣接するモータへの移動を頻

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図 3.15: ジャイロセンサの出力履歴の例(2)

繁に行っている。

3.5.3 ユーザの行動フローモデル仮説

予備実験の結果を鑑み、提案した方位情報提示方式を用いた際、そのユーザの行動 は「情報提示開始時から振動する角度に到達するまでのモード」「振動角度範囲の中か ら外に出るまでのモード」「振動角度範囲の外から中に入るまでのモード」からなると いう仮説を立てた。これら3つのモードからなる行動フローの構造を図3.16に示す。

「情報提示開始時から振動する角度に到達するまでのモード」とは、情報が提示された 時点から、ユーザが頭部を回転させ、初めて振動する角度に頭部の向きが到達するま でを表すものである。また、「振動角度範囲の中から外に出るモード」「振動角度範囲 の外から中に入るモード」とは、それぞれ頭部を回転させ、振動角度範囲を中から外 へ、外から中へ横切りながら振動角度範囲の中央を確認するというモードである。こ の行動フローは、ユーザは最初に振動する角度を探索した後、振動角度範囲への出入 りを繰り返し、自身が正確な方位情報が得られたと納得した時点で情報の取得を終え るという過程を表している。

さらに、ユーザの方位情報を取得するまでの認知処理を考えるため、それぞれのモー ドにおけるユーザの認知活動を、「感覚」「知覚」「思考」「行動」の4種に分類し、詳細 な行動フローを考案した。「感覚」や「知覚」といった言葉には様々な定義があるが、

本研究ではこれらを以下のように定義する。

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図 3.16: ユーザの行動フローの基本構造

感覚・・・物理的刺激(触覚刺激)に対する感覚受容器での情報処理を始点とする神 経生理的情報処理過程。(情報の入力過程)

知覚・・・感覚情報に基づいた認知であり感覚情報から意味を抽出したり感覚情報 に意味を与えたりする過程。(感覚情報から外界の情報を取得する過程)

思考・・・自身に貯蔵された情報を照合・比較等により処理する過程。(情報の処理 過程)

行動・・・外面から判断できる人間の物理的な運動。

ユーザの認知活動と、その時点でのシステムの状態を併記したユーザの行動フロー チャートを図3.17〜図3.20に示す。図3.17が情報提示開始時から振動する角度に到達 するまでのモード、図3.18が振動角度範囲の中から外に出るまでのモード、図3.19と 図3.20が振動角度範囲の外から中に入るまでのモードである。それぞれの図において、

s:感覚、p:知覚、t:思考、a:行動、d:システムの状態を表す。また、図中の変数の意味は 以下の通りである。

R・・・被験者が頭部を回転させている方向を表す。最初に回転させる方向をA方 向、その逆をB方向とする。

NA・・・A方向に振動角度範囲の境界を横切った回数。ただし1度B方向に横切る とリセット。

NB・・・B方向に振動角度範囲の境界を横切った回数。ただし1度A方向に横切る とリセット。

P・・・NAかNBが一度でも2以上になると1(真)となる。

Ncross・・・振動角度範囲の境界を横切った回数のカウンタ。

振動角度範囲の中央を認識するためには、振動角度範囲の両端を認識する必要があ り、この必要条件として、「少なくとも1回以上、振動角度範囲を同一方向に連続して 横切る」ことが挙げられる。変数NA、NB、Pはこの条件を判定するための変数であ り、Pが1(真)とならない限りは終了しないモデルとなっている。また変数Ncrossは振 動角度範囲の境界を横切った回数であり、この回数が多ければ提示された方位情報に 対する確認が十分に行われており、方位情報認識の精度が良くなると考えた。

続いてこの行動フローの流れを、各モードに分けて説明する。

情報提示開始時から振動する角度に到達するまでのモード まず、システムを起動さ せると、特定の角度範囲でモータが振動する状態になる。初期状態でその角度範囲に いずれかのモータが入っている場合はその振動を感知し、その刺激を方位情報として 知覚し、自身から見て何度の方向が提示されているのかを思考する。この感覚・知覚・

思考の流れは振動から方位情報を取得する際の共通の流れであり、以下では単に「方 位情報を得る」と表す。

初期状態で振動を感知しない場合は、そのことを確認した後、頭部をいずれかの方向 に回転させる。最初に回転を始めた方向のまま振動する角度に到達すれば、その位置の 方位情報を得る。この際、振動角度範囲の境界を横切ることになるので、Ncrossが1加 算される。一方頭部回転中に違和感を感じた(「ある程度頭を回したのに振動を感じな いのはおかしい」など)場合は、頭部を逆回転させる。この回転の向きの変化を状況に よっては繰り返し、最終的には振動を感知する位置に到達し、方位情報を得る。Ncross

は1加算される。

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