44
第5章 振動現象 45 の両方が解ということである。ところでこの方程式は線形微分方程式である。すな わちf(t), g(t)が解ならCf(x) +Dg(x)も解である。つまり
x=A1eiω0t+A2e−iω0t (5.7) となる。A1, A2は複素数である。xは実数なので
A1 =A∗2 (5.8)
である。
5.2 減衰振動と強制振動
こんどは外力が加わったときの振動を考えよう。
md2x
dt2 =−kx−2mγx˙ (5.9)
のように復元力と抵抗が混じってる運動を考える。前と同じようにx=Aeptを代入 すると
p2+ 2γp+ω02= 0 (5.10)
である。この解は以下のように分類される。
I) ω02 > γ2のとき
p=−γ±i
ω02−γ2 (5.11)
となる。よって
x=A1e−γt+i
√ω02−γ2t+ c.c. (5.12) となる。A1 =Aeiδとして
x= 2Ae−γtcos(
ω02−γ2t+δ) (5.13) となる。これは振幅がe−γtで小さくなり、また角振動数が
ω02−γ2と小さく なった、つまり周期が延びた振動である。これを減衰振動(damped oscillation) という。
II) ω02 < γ2のとき、pは実数で減衰するだけである。これは過減衰と呼ばれる。
第5章 振動現象 46 III) ω02 = γ2のとき、解はe−γtだけとなる。しかし2階微分方程式の場合、独立 な解は二つある。もう一つを探すためAeptをAも時間に依存しているとして (5.9)に代入すると、
m
d2A
dt2 + 2pA˙+p2A
=−kA−2mγ( ˙A+pA) となり、
d2A
dt2 + 2pA˙ + 2γA˙ = 0 , γ =−p (5.14) となる。これより
A=A0+A1t (5.15)
となるので
x= (A0+A1t)e−γt (5.16) となる。これは臨界減衰である。
自動ドアなど、なるべくスムーズに、しかしバタンバタンと振動しないように 閉まらなければならない。この臨界減衰はこのような状況に使える。
このままではいつも減りっぱなしである。これを防ぐため、周期的な外力
F(t) =F0cosωt (5.17)
をいれて、方程式
md2x
dt2 =−kx−2mγx˙ +F0cosωt (5.18) としよう。この解はF0 = 0の解x1(t)とF0を含んだ方程式をみたす解x(t)の和と なる。前者を一般解、後者を特解とよぶ。前者はt → ∞で0になるので、特解のみ が重要となる。その解はおそらく2π/ωの周期を持っているだろうと仮定し、
x(t) =Acos(ωt−θ) (5.19)
とおくと
A[(ω02−ω2) cos(ωt−θ)−2γωsin(ωt−θ)] = F0
m cosωt (5.20) となる。三角関数の合成より、
tanα= 2γω
ω02−ω2 (5.21)
第5章 振動現象 47 とおき、
A
(ω02−ω2)2+ 4γ2ω2[cosαcos(ωt−θ)−sinαsin(ωt−θ)]
= A
(ω02−ω2)2+ 4γ2ω2cos(ωt−θ+α) 時間の原点を適当に選び直すと
A= F0/m
(ω02−ω2)2+ 4γ2ω2 (5.22) となる。こうして
ω =
ω20−2γ2 (5.23)
のとき振幅が最大となる。これが共鳴の条件である。
5.3 波
物理では波が至るところで現れる。ある一点で波を観測すれば、これは振動であ るし、時間を止めれば空間的に周期を持ったパターンが存在する。このように波は 空間と時間が絡み合っている周期運動である。
簡単に波長λの正弦波
y=Asin2π
λ x (5.24)
が速さvで動いているとしよう。このとき y=Asin 2π
λ (x−vt) (5.25)
となる。
k= 2π
λ (5.26)
を波数、
ω = 2πv
λ (5.27)
を角振動数として
y=Asin(kx−ωt) (5.28)
となる。
一般に速さvで関数fが動くと
y=f(x−vt) (5.29)
第5章 振動現象 48 となる。よってyは
∂2y
∂t2 =v2∂2y
∂x2 (5.30)
となる。これを波動方程式とよぶ。
空気中の密度の振動を例にとって考えよう。空気の変位をyとし、密度の波はx 方向に伝わるとすると
y(x+δx) =y+ ∂y
∂xδx (5.31)
となる。単位断面積あたり
f =E∂y
∂x (5.32)
の力が働くとすると1、この変位の復元力は
f(x+δx)−f(x) =E∂2y
∂x2δx (5.33)
となるので、
(ρSδx)∂2y
∂t2 =E∂2y
∂x2δxS となり
∂2y
∂t2 = E ρ
∂2y
∂x2 (5.34)
となる。これから空気中の音速は
v =
E
ρ (5.35)
となる。
(5.32)は単位断面積あたりの力なので、気体の場合、
ΔP =−E∂y
∂x (5.36)
となる。断熱膨張
P Vγ= const. (5.37)
の場合、
ΔP =−γP
V ΔV (5.38)
となるので、
ΔV V = ∂y
∂x S
S (5.39)
1Eはヤング率と呼ばれるものであり、フックの法則の弾性体バージョンである。
第5章 振動現象 49 となり、
E =γP (5.40)
となる。こうして
v =
γP ρ =
γRT V ρ =
γRT
M (5.41)
をうる。Mは1モルあたりの分子の重さである。
Problem 5.1 空気中ではγ = 1.4, ρ= 0.0013g/cm3として、音速を求めよ。
5.4 単振り子
高校時代、振り子の等時性を学んだと思う。これは振り子の周期は振幅によらな いということであった。もちろん、これは近似的にしか成り立たない。振り子の振 動が単振動になったのは
sinθ≈θ (5.42)
と近似したためである。
実際の振り子はエネルギーの保存則から θ˙2 = 2g
l (cosθ−cosθ0) (5.43) となるので(θ0は最大に振れたときの角度である)、
t =
l 2g
dθ
√cosθ−cosθ0
= 1 2
l g
dθ
sin2(θ0/2)−sin2(θ/2) が周期を求める式になる。
sinα = sinθ/2
sinθ0/2 (5.44)
として
t=
l g
dα
√1−k2sin2α (5.45)
右辺の積分は楕円積分と呼ばれる。ここで
k = sin(θ0/2) (5.46)
である。
第5章 振動現象 50 楕円積分は特殊関数として性質がよく調べられているが、ここではそれを使わず、
今ある知識だけで振り子の等時性の破れを議論しよう。αが−π/2からπ/2だけ動 くと、ちょうど周期の半分だけ動いたことになるので、右辺の
T 2 ≈
l g
π/2
−π/2
dα
1 + k2 2 sin2α
(5.47) となり、
T = 2π
l g
1 + k2 4
≈T0
1 + θ20 16
(5.48) となる。このように最大振れ角θ0が大きくなると、振り子の周期は長くなることが わかる。
Problem 5.2 鉛直方向からの振れ角が10◦のとき、周期は何パーセント増えるか?
51