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剛体

ドキュメント内 基礎物理コースI (ページ 56-59)

第 6 章 質点系・剛体 51

6.3 剛体

質点が集まった系というのは実の世の中のほとんどの物を指す。気体も液体も固 体もそうである。このうち、固体のように各質点の相対的な距離が不変な物を剛体 とよぶ。

質点の場合、位置を表すには3N の変数が必要であった。剛体の場合は剛体の一 点P1がどこにあるかを指定するのに3個、もう一つの点P2がどの方向を向いてい るのか指定するのに変数が2個、さらにP1P2を結ぶ直線の周りに何度回せばよいか を指定するのに1個で、合計たったの6個の変数を指定すればよい。これは大変な 簡単化である。

6.3.1 剛体の運動方程式

剛体は質点から出来ているがこれらは強固に固定されている。この固定の原因は 質点間の相互作用である。これは作用・反作用の法則を満たすので、

P˙ =F , L˙ =N (6.16)

が成立する。これは6個の方程式なので、先に述べた6個の変数がすべて決まる。

6.3.2 固定軸のまわりの回転

簡単な場合として軸が固定されている場合を考えよう。この回転軸をz方向にと ると、

L˙z =Nz (6.17)

となる。

Lz =

i

(ri×mir˙i)z (6.18) なので

ri =rizez+riei (6.19) r˙i =riθ˙ieθi (6.20) より

Lz =ω

i

mir2i (6.21)

が得られる。そこで慣性モーメント Iz =

i

mir2i (6.22)

第6章 質点系・剛体 54 とおくと、

Lz =Izω (6.23)

Iz

dt =Nz (6.24)

となる。

回転の運動エネルギーはどうなるか?運動エネルギーは T = 1

2

i

mir˙i

となる。(6.20)よりこれは

T = 1 2

i

mir2iθ˙= 1

22 (6.25)

となる。

このように剛体の場合、通常の質点の場合と以下のような対応関係がある。

質点  剛体 質量 m Iz

速度 v ω

加速度 α ω˙ 運動エネルギー mv2/2 2/2

Problem 6.1 スケート選手が回転中、手を縮めると回転が速くなる。なぜか?

6.3.3 慣性モーメントの性質

ここで慣性モーメントのいくつかの性質を考えよう。

1.

I =IG+M d2 (6.26)

ここでIGは重心を通るある軸の周りの慣性モーメントで、Iはそれと平行に dだけ離れた軸の周りの慣性モーメントである。なぜならばxi, yiを重心から 測った座標として

I =

i

mi[(xG+xi)2+ (yG+yi)2]

= M(x2G+yG2) +

i

2mi(xGxi+yGyi) +

i

mi(x2i +yi2)

= M d2+IG

第6章 質点系・剛体 55 であるから。

慣性質量が動かしづらさを表していたように、慣性モーメントは回りにくさを 表している。つまり重心を通る軸が一番回しやすいということがわかる。

2. 薄い板の場合

Iz =

i

(x2i +yi2)mi (6.27) Ix =

i

yi2mi (6.28)

Iy =

i

x2imi (6.29)

となるので、

Iz =Ix+Iy (6.30)

である。

Problem 6.2 質量M、長さlの細い一様な棒の中心を通り、これに垂直な軸の回 りの慣性モーメントは?

Problem 6.3 円板の中心を通る軸(2種類ある)のそれぞれのまわりの慣性モー

メントは?

Problem 6.4 球の中心を通る軸の周りの慣性モーメントは?これより地球の慣性

モーメントを求めよ。

Problem 6.5 2原子分子の運動エネルギーを慣性モーメントを使って表せ。

6.3.4 実体振り子

剛体の軸を固定して軸を地面に平行にして微小振動をさせる。このとき(6.24)より Id2θ

dt2 =−M ghsinθ (6.31)

となる。振れ角が小さいとすると周期は T = 2π

I

M gh (6.32)

となる。I =IG+M h2なので T = 2π

IG+M h2 M gh = 2π

h g

1 + IG M h2

(6.33)

第6章 質点系・剛体 56 となる。このように単なる振り子の場合の2π

h/g よりも周期が延びることがわか る。つまり振り子の長さが

h→ I M h =h

1 + IG M h2

(6.34) と実効的になるわけである。

Problem 6.6 周期が一番短くなるのはどのような場合か?

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