第 7 章 運動する座標 57
7.2 回転座標系
次に座標軸が回転している場合を考えよう。簡単のため、回転軸をz方向にとり、
これが角速度ωで回転してるとする。このとき、
x = xcosωt−ysinωt (7.4)
y = xsinωt+ycosωt (7.5)
第7章 運動する座標 58 これを時間で2階微分して、
d2x
dt2 = x¨ −2ωy˙−ω2xcosωt−y¨+ 2ωx˙−ω2ysinωt d2y
dt2 = x¨ −2ωy˙−ω2xsinωt+y¨+ 2ωx˙−ω2ycosωt となる。また加速度は
αx = αxcosωt−αysinωt (7.6) αy = αxsinωt+αycosωt (7.7) となるので、この式を見比べて、
αx = ¨x−2ωy˙−ω2x (7.8) αy = ¨y+ 2ωx˙−ω2y (7.9) となる。これと
F =mα (7.10)
を組み合わせて、
Fx = md2x
dt2 −2mωy˙−mω2x (7.11) Fy = md2y
dt2 + 2mωx˙−mω2y (7.12) となる。これをまとめて、
md2x
dt2 =F−2mω×v+mω2x (7.13) となる。この第2項がコリオリ(Coriolis)の力、第3項が遠心力である。
ところで地球のように球が回転しているとき、鉛直軸と回転軸は一致していない。
このときはどうなるだろう?まず任意のベクトルAはdtの間に|A|sinθωdtだけま わる。つまり
A˙ =ω×A (7.14)
となる。このように回転軸ベクトルe˙x,e˙y,e˙z は
e˙i =ω×ei , (i=x, y, z) (7.15) となる。
第7章 運動する座標 59 Aが時間変化しているときは、回転座標で見た時間変化は
A˙ = d
dt(Axex+Ayey +Azez) = δA
δt +ω×A (7.16) となる。よって固定座標系における時間微分A˙ は運動座標系の各軸に対するAの 時間変化からなる部分δA/δtと座標が回転することからくる部分に分けられること がわかる。
物体の位置ベクトルrは
r =xex+yey+zez =xex+yey +zez (7.17) と書けるので、
r˙ = ˙xex + ˙yey+ ˙zez+ω×r (7.18) となる。さらにもう一回微分すると
d2r
dt2 = ¨xex + ¨yey + ¨zez + 2ω×r˙+ω×(ω×r) (7.19) 慣性系からみた座標は
md2r dt2 =F を満たすので、
mα =F −2mω×v−mω×(ω×r) (7.20) 右辺の第二項がコリオリ力で第三項が遠心力である。
Problem 7.1 ωも時間変化しているとき、(7.19)はどうなるか?
コリオリ力は地球規模で見える。たとえば台風の渦の巻き方は北半球と南半球で 違う。これはコリオリ力で説明できる。台風は低気圧なので風が吹き込む。この風 の速度ベクトルと地球の自転の回転ベクトルの外積から、北半球では台風が反時計 回りに風が吹き込むことがわかる。
赤道上で真上にv0で球を投げるとコリオリ力により、西に落ちることがわかる。
その距離は
t0 0
dt
t
0
2ω(v0−gt”)dt” = 4ωv30 3g2 となる。
Problem 7.2 これを地球の外側からみて、同じ結果を再現せよ。
第7章 運動する座標 60 コリオリ力の出てくる例としてフーコー(Foucault)の振り子を考察する。緯度α のところで
ω=ωcosαey +ωsinαez (7.21) とかける。こうしてコリオリ力は
F = 2mω(vysinα−vzcosα,−vxsinα, vxcosα) (7.22) となる。運動方程式は
md2x
dt2 = −Tx
l + 2mωy˙sinα (7.23)
md2y
dt2 = −Ty
l −2mωx˙sinα (7.24)
となる。vzは小さく、地球の自転による遠心力は鉛直軸を変える効果しかないので 無視する。z方向は
T cosθ−mg≈0 (7.25)
である。微小振動しているとしてθ 1とするとω02 =g/lとして d2x
dt2 = −ω02x+ 2ωy˙sinα (7.26) d2y
dt2 = −ω02y−2ωx˙sinα (7.27) 2番目の式にiをかけて
X =x+ iy (7.28)
とすると
d2X
dt2 =−ω02X−2iωX˙ sinα (7.29) となる。これは振動解であろうから
X= e−iωtsinαX (7.30)
とおくと
d2X
dt2 =−(ω02+ω2sin2α)X (7.31) こうしてこの運動は
ω =
ω20+ω2sin2α (7.32) という振動数で振動し、回転面がωtsinα で回転する運動になる。
Problem 7.3 東京の緯度を調べ、上野科学博物館のフーコーの振り子が何時間で
一回転するか、計算せよ。
Problem 7.4 遠心力から地球の潮汐力を見積もれ。
第7章 運動する座標 61