第 3 章 評価方法及び測定原理
3.7 拡散反射測定
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吸収のない標準試料で散乱させて試料光との比をとれば、
R or T = 𝑎(𝐼𝑆+𝐼𝑑)
𝑎𝐼0
= (𝐼𝑆+𝐼𝐼 𝑑)
0 (a:減衰比) … (3.9) となる。
散乱光 Idにも正反射光成分と吸収光成分があり、正反射光成分はスネルの法則(Snell’s
law)に従う。複素屈折率とフレネルの公式(Fresnel’s formulas)をこの法則に適用すると、
屈折率と吸収係数が大きいほど反射率は1に近づくことがわかる。5反射率が大きくなれば 正反射光は多くなり、試料によって吸収される成分は少なくなる。また粉体粒子の粒径が 小さくなると反射面が増えて、光は粉体層に深く侵入できない。粒径が大きい場合に着色 していても、細かくするにしたがって白色になることからもうかがえる。さらに、粒子の 径が光の波長より小さくなると、気体分子によるレイリー散乱(Rayleigh scattering)と同様 な現象が生じ、散乱光に波長依存性が生ずる。以上は、光源光によって蛍光を発しないか、
蛍光が微弱でほとんど無視できる場合であった。試料の蛍光が無視できない場合について 以下に述べる。
励起波長領域と発光波長領域が重ならずに十分離れている場合は、光源の励起波長領域
に相当する成分をフィルターなどで遮断してやればよい。しかしながら、励起と発光の波 長領域が重なる場合は工夫がいる。一般的に、物質に吸収された光エネルギー(励起エネ ルギー)よりも光放出エネルギーの方が小さい。このような光エネルギーの低下をストー クスシフト(Stokes Shift)6といい、このエネルギーの相違を用いる。光源からの光を分光 器などで十分バンド幅の狭い単色光とし、試料からの光を、光源側分光器と同じ波長に同 期させた分光器で受ける。この光検出側分光器のバンド幅も十分狭くして、試料特有のス トークスシフト量以内にする。このようにして、蛍光成分を除去した反射・吸収スペクト ルが得られる。
3.7.2 実験系
反射・吸収スペクトルを測定するには、Figure 3.21に示すような分光光度計を用いる。
これは複光束形で、分光された標準光束と試料光束を波長走査しながら比較する。一般的 に、直流測定では外光の影響や電気系のドリフトなどで誤差が生じやすい。そこで交流測 定が多く用いられる。チョッパーで光を断続し、セクタ鏡で標準光、試料光の切り替えを 行って同じ検出器で受ける。信号は位相分割法で二つの成分に分離し、比較される。
信号を比較する方法はいくつかあるが、光電子増倍管を検出器として用いる場合、印加
電圧を変化させて利得を調節する方法がとられる。標準光の波長における照射強度を、
この時の検出器の利得をとし
·= V0 (=constant) … (3.10)
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となるようにを設定する。= Vc /となるので、試料光をこの利得での検出 器で受ければ、出力信号は
V0 = ·= 𝐸𝐸(𝜆)
0(𝜆)𝑉𝑐 … (3.11) となり、試料光と標準光の比が得られる。
反射・吸収スペクトル測定に積分球(integrating sphere)を用いると、精度の良い結果を得 ることができる。7積分球は内壁にMgOまたはBaSO4などの粉末が全面一様に塗布してあ
る球で、Figure 3.22に示す構造となっている。塗布してある粉末は広い波長領域にわたって
一様で高い拡散反射率を示し、積分球内部では入射光は完全拡散状態になっている。入社 窓の面積が内壁の全面積と比較して十分に小さければ、球内部のどの位置でも光強度は一 定である。
積分球を反射・吸収スペクトル測定に用いる場合は、分光光度計に取り付け、試料面を
積分球内壁の一部とする。入射光が直接試料 面を照射する配置にし、複光束を用いる場合 は標準白色拡散反射面とそのための入射窓 を別に設ける。球内壁は完全拡散面に近いと はいえ、正反射光成分も含まれる。したがっ て、検出器を置く出射窓は正反射光成分が向 かわない入射窓と試料面を結んだ線の鉛直 線上に設ける。さらに、試料面の正反射光を 吸収するために、正反射光が到達する位置に 黒色面か黒穴を設ける場合もある。
分光器 チョッパーセクタ鏡
標準セル 反射鏡
検出器
試料セル
目的によって積分球にする
Figure 3.21 複光束形分光光度計の構成 光源 フィルタ
ー
Figure 3.22 積分球 入射窓 試料
拡散反射面
出射窓
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