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打ち上げ成功までの変遷

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4. SpaceX の Falcon

4.5 打ち上げ成功までの変遷

図4-35 1段目の回収(source:SpaceX)

めた。

一方、Falcon 1がDELTA、ATLAS、TITANロケット開発以降、新規開 発するロケットとして注目されていたが、ノウハウの再習得に時間を要し たことから、初打ち上げは延期に延期を重ねた。

(2) Falcon 1初号機

初号機は、2006 年 3 月 24 日に打上げられ、打上 26 秒後に大きく姿勢 を崩し、約 40 秒後に海上落下した。失敗直後の報道では、「作業員が打 上前に緩めたプラグを締め忘れた」という説があったが、1段目を回収・

し検査した結果、失敗原因は「燃料ポンプ入口圧力センシング配管のアル ミ製ナットが応力腐食割れを起こし、腐食部から燃料が漏れたことで燃料 に引火し、火炎が制御用空圧系ラインを焼き切ったのが原因」と発表され た。また、応力腐食割れの推定原因は判明していないが、赤道上付近の小 島という高温多湿な環境に3ヶ月間ロケットを晒したとあるが、ステンレ スフィッティングとナット間の異種金属接触による電解腐食が原因とい う情報もある。また、配管バルブ表面はアノダイズ処理されているが、カ ウントダウンを繰り返して実施しているため、傷があった可能性もあると 指摘されている。さらに、直接失敗原因ではないものの、燃料タンクから 発生するLOX 蒸発問題の対策として、ブランケットを装着していたが、

これが発射時に分離されるはずが、打上 20秒後に分離落下している点も 指摘されている。

この結果から、SpaceX では、ロケットのバルブ等の腐食問題を防止す るため、設計変更を加える一方、デリケートな部位は梱包を解いてから数 週間以内に打上げるよう運用基準を変更したとしている。

(3) Falcon 1の2号機

初号機打上失敗の1年後の2007年3月20日に2号機の打ち上げを実施 し、失敗している。

打上前のカウントダウンにおいて、テレメトリが地上から電波へ切替す る際に、地上ソフトウェア側での切り替え過程でトラブルが発生、カウン トダウンが停止して打上は1日延期された。搭載燃料は排液処理されてい る。不具合の原因は、地上から電波切替する際に、切り替え時の遅れを考 慮した設計が反映されていなかったためであり、即日ソフトウェアを更新

している。

改修後の翌日(打上日当日)は、カウントダウンが順調に進んだが、燃 焼室圧力が危険ラインを下回ったことで、Merlinエンジン点火直前に中止 された。原因として燃料のケロシン温度が低かったとされ、燃料再充填し て1時間5分後に再打ち上げを実施、ロケットは発射台を離れた。打上げ られた2号機は、第1段Merlinエンジンが正常に燃焼したが、1/2段分離 時に第2段エンジンKestrelのノズルに第1段が接触、姿勢を崩している。

その後、Kestrelエンジン着火、フェアリング分離と、2段目の燃焼は正常

に動作したが、高度 300km へ達したものの、ターゲット軌道への投入に は失敗している。

打上失敗後の2007年6月15日に、SpaceXはDARPAと共に「Demo Flight 2 Flight Review Update (http://www.SpaceX.com/F1-DemoFlight2-Flight- Review.pdf)」において、下記の不具合項目、原因等を公表している。

(a) Stage 2 LOX Quick Disconnect (QD) Failed to Disconnect at Liftoff Quick DisconnectパネルとLOX充填配管が機体から脱落

チェックバルブによってLOX漏洩の発生はなし。

(b) Stage 1 LOX, Fuel, and Electrical QD’s Poor Disconnect at Liftoff リフトオフ時の液体燃料と電気系統の離脱(計画より離脱が遅い)

(c) Stage 1 Trajectory Performance

1段目エンジンの PU(Propellant Utilization)ファイルに不具合があ り、燃料混合比が変わったため初期推力が低下して予測高度・速度を 不達成

LOX タンクで圧力低下が発生し、キャビテーションが発生。圧力 制御の設計変更

(d) Stage 2 Propellant Utilization (PU) 2段目の PU機能不良

(e) Stage Separation Re-contact 1段目分離時に姿勢異常

高度が低く、仰角が予想より大

高度以上は、Merlin-1Cエンジンの採用解消 混合比と圧力用Heのマージンを変更

(f) Marmon Clamp Joint Separation Anomaly at Fairing Jettison

フェアリング分離時にテレメータ上はクランプを切り離す爆発ボ ルトは作動したが、搭載カメラ観測では、落下するクランプ同士が繋 がっている様子を確認

(g) Upper Stage Control Anomaly

アッパステージの制御不具合のため、2nd stage slosh bafflesを追加 (h) 1st Stage Location and Recovery

1段目回収失敗については、パラシュートの動作不明 GPSによる位置判定不良 - 3重冗長へ変更

また、第1段目の帰還時における熱対策の強化

(パラシュートは高度4kmで展開する設計)

この原因究明に加えて SpaceX は、ロケットの技術的リスクの 90%はク リアできたとし、「試験飛行としては成功したといって良い」とのコメン トを打上後に発表している。

(4) Falcon 1の3号機

初号機、2号機で失敗したFalcon 1は、エンジンをMerlin-1Cへ変更し て過去の問題点を改良して再製造された。Merlin-1CはRP-1による再生冷却 型に変更されている。

Falcon 1の3号機は2008年4月18日に出荷され、8月2日に打上げられ た。しかし、打ち上げ前のカウントダウン時にターボポンプの圧力が規定値

より 0.5PSI ズレたことで、自動カウントダウンが緊急停止した。その問題

を解決し、再度カウントダウンを実施し、約 30 分後に打上げを実施してい る。

3号機の新型エンジンは予定通り燃焼したが、第1段が分離後、残留推力 によって第 2 段に追突し、2 段目は正常に燃焼したものの打上は失敗した。

追突については動画でも観測されている。SpaceX では、第1段分離の 1.5 秒前にシャットダウンするシーケンスだったとしている。この残留推力の推 定が失敗原因としているが、2号機、3 号機共に分離時に“ノズル接触”や

“残留推力による衝突”による問題が発生したことで、分離時における不具 合対策は時間をかけて検証・解決されたと考えられる。そして SpaceX は 3 回目の打上に対して、以下のコメントを公表している。

・ Merlin 1Cエンジンや1段目全体のシステムは正常に作動し、総合的に は1段ステージは良好であった。

・ 残留推力による衝突があったものの、分離時の姿勢は正常で火工品も 正常作動してpneumatic pushers(空気圧による押出装置)も正常作動し た。

・ 2段目ステージの点火とチャンバー圧力も正常だった

・ フェアリング分離も正常

・ 多くの問題をFalcon 9ではなくFalcon 1で経験した

・ ロケットのステージ・インテグレーションと発射台設置と打上を7日 間で実施できた。

・ 過去のフライトでの失敗や問題になるリスクが発生せず、技術的諸問 題は解決したとし、近いうちに4号機を打ち上げる。

(5) Falcon 1の4号機

3号機失敗から約2ヵ月後の2008年9月28日、SpaceXはFalcon 1の4 号機を打上げて成功した。打上前の事前作業では、9月20日に短時間の燃 焼試験を実施して成功裡に終了している。しかし、2段目の LOX系部品交 換が行われたため、9月23日の打上は9月28日に延期されている。4号機 打上では衛星を搭載しておらず、衛星分離信号の受信をもって成功と定義 している。また、第2段のKestrelエンジンの再着火が行われている。

SpaceXのプレスリリースでは、第1回燃焼終了時の軌道は高度330.5km、

軌道傾斜角 8.99 度であり、再着火による上昇により、到達軌道は高度

621x643km・軌道傾斜角 9.3 度と発表し、傾斜角の変更を実施している。

この理由として、SpaceXは投入軌道が長楕円軌道になるためとしている。

また、4 号機打上ではテレメータのデータより、1 段目が分離後の落下中 に空中分解したことで、1段目回収には失敗している。今後は熱対策を実施 して1段目回収を実施するとしていることから、1段目回収は後日の課題と して残っている。

(6) Falcon 1の5号機

Falcon 1 の衛星打上成功は 5 号機からである。5号機は 2009 年 3月 17 日に出荷され、4月21日に打上予定であったが、4月19日に振動環境レベ ルに問題があり、打上延期が発表されている。この問題解決のため、ロケ

ットと衛星の結合振動対策として振動減衰装置を追加装備することで解決 し て い る 。 こ の 装 置 は Pegasus や Minotaur-I で 採 用 実 績 の あ る CSA Engineering (2008 年 5月に Moog に買収される)の SoftRideを採用して いる。この改良の後、2009年7月14日にマレーシアのRazakSAT(韓国の

SaTReC Initiative社製)を搭載して初商業打上に成功している。

また、第1段の回収が実施されたかは明らかにはされていない。SpaceX は、「Flight 5 is a better shot, but I think on Flight 6 it's highly likely we'll recover

the first stage.」としており、1段回収は元々計画されておらず、6号機で実

施予定と見られる。

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