(2)十分性審査の結果
3. ニュージーランドの立法によるデータ保護の十分性水準に関する評価
3.3. 手続的又は執行上の仕組み
WP12では、データ保護の手続的制度の基本的な目的を確認し、これを基礎として、第三国におい て利用されている様々な司法及び非司法の手続上の仕組みを判断することを求めている。
この点に関するデータ保護制度の目的は、以下のとおりである。
― ルールに対する十分な水準の遵守に資すること ― データ主体が権利行使する際の援助を提供すること
― ルールが遵守されなかったことに伴い侵害された当事者に対する適切な救済を提供すること
a) ルールの遵守について良好な水準を確保すること「優れた制度とは、データ管理者が自らの義務に ついて、また、データ主体が自らの権利やその行使方法について、高程度で認識していることと一般 的に特徴づけられる。
効果的かつ抑止的な(dissuasive)制裁の存在は、公権力、検閲者、独立したデータ保護機関の役人 による直接的な認証の制度がそうであるように、そのルールの尊重を確保するうえで重要な役割を果 たす。」
データ管理者及び個人における認識
・ プライバシー法は、1993年から施行され、あらゆる公的部門又は私的部門の機関が、少なくとも 1人のプライバシー官(privacy officer)をおくことが求められている。彼らは、たとえば、アク セス請求を処理すること、調査に際してプライバシー・コミッショナーと活動すること、その他、
彼らの機関がプライバシー法を遵守するよう確保することなど、情報プライバシー原則を彼らの機 関が遵守するよう奨励する責務を負う。国内では、プライバシー官ネットワークがいくつか存在し、
会合を開いている。
・ プライバシー ・コミッショナー ・オフィスでは、そのウェブサイト上に、選別された調査に関する 匿名の事例ノートを含む、広範囲の情報を載せており、4半期にニュース・レターを発行している。
また、このオフィスでは、プライバシー官などに対して、通常の研修やワーク・ショップを国内各 地で行っており、毎年開催されているアジア太平洋プライバシー認知週間(Asia-Pacific Privacy Awareness week)にも関与している。さらに、このオフィスでは、数年に1回、コミッショナー の効果及び認知度を測るための調査を行っている。
プライバシー ・コミッショナー ・オフィス
・ プライバシー ・コミッショナーは、クラウン・エンティティ(Crown entity)であり、その役割、義務、
権限において、独立して活動することが求められている。プライバシー ・コミッショナーは、責任 のある大臣(responsible minister)、すなわち法務大臣の推薦に基づいて、総督(Governor-General、
ニュージーランドの国家代表)によって指名される。総督による指名は、ごく少数の重要な制定法 上の指名のためのとりわけ高い水準の手続である。コミッショナーとしてその指名を推薦するため
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には、その者が適切な知識、技術及び経験をもつという意見を責任ある大臣が有しなければならな い。
・ プライバシー法13条(1A)は、コミッショナーが定められた役割や義務を果たし、権限を行使する 際に、これを独立して行わなければならないことを定めている。
・ プライバシー ・コミッショナー ・オフィスは、その年に行われた承認されている(authorized)公 権力の情報照合プログラム及びその法令遵守の評価などの内容について、毎年、議会に報告するこ とが求められている。
・ プライバシー ・コミッショナーは、苦情を調査し、これを解決しようと試み、自発的に調査を実施 するなど、オンブズマンとしての役割を果たす。また、同コミッショナーは、教育、法令遵守の監視、
政策的助言の付与、質問回答、首相への報告など、本法で定められた役割を有する。本法第9章で は、プライバシー ・コミッショナーに対して、宣誓による証人を尋問し、その証人に対して、平日 20日以内に情報及び書類を提供するよう求める権限を付与している。
・ コミッショナーは、プライバシー法以外の法律のもとでも、権限、役割、義務を有している(たとえば、
健康法(Health Act)、社会保障法(Social Security Act)、家庭内暴力法(Domestic Violence Act)、旅券法(Passport Act)などにおいて)。
・ プライバシー ・コミッショナー ・オフィスは、データ保護及びプライバシー ・コミッショナーの国 際会議(International Conference of Data Protection and Privacy Commissioners)、APEC越 境プライバシー執行協定(APEC Cross-border Privacy Enforcement Arrangement)、及び、国 際プライバシー執行ネットワークのメンバーとして認められている。
執行手段及び制裁
・ 本法の第9章(コミッショナーの手続)では、プライバシー ・コミッショナーの調査手続及びその 権限が定められている。この調査に協力しない又は妨害した場合には、2,000ドル以下の罰金に処 せられる。
・ プライバシー ・ コミッショナーによって紛争が解決されず、その紛争の申立人又は人権手続長
(Director of Human Rights Proceedings)が更なる審理を求めた場合、その紛争を人権審査裁判 所に付託することができる。紛争の申立人は、コミッショナーが拒否した場合であっても、その手 続長に対して、人権審理裁判所への付託を求めることができる。この裁判所では、損害賠償、禁止 的又は命令的な差止めの性質を有する性質の命令を含む、あらゆる救済方法が用意されている。メ ディアは、このような決定を報道する傾向にあり、小国であるニュージーランドでは、否定的な報 道が抑止的な効果を有する。
・ 手続長が申立人を代理しないと決定し、また、よくあるように、申立人に代理人がついていないに もかかわらず、プライバシー法における重要な原則が争われている場合、コミッショナーが、通常 その訴訟を代理する。人権手続長は、出廷又は意見を述べる権限を有しているが、この権限を行使 しなかった場合、コミッショナーがそのような権限を有すると定められている。人権手続長は、複
数の個人のために集団訴訟を提起する権限も有するが、これまでのところ、この権限が行使された ことはない。
・ 既に指摘したように、2010年プライバシー(越境情報)改正法では、ニュージーランドから十分 性の水準を充足しない第三国への移転に関連し、移転禁止通知を発出できる権限をコミッショナー に対して付与した。
・ このようなことに鑑みると、本作業部会は、ニュージーランド法制が、データ保護に関するルール の遵守において良好な水準を確保するための必要な要素を有していると解する。
b) データ主体の権利行使に対して援助を提供すること「個人は、迅速かつ効果的に、また、法外な費 用がかからずに、自己の権利を行使できなければならない。そのために、苦情を独立して調査するこ とを認める、何らかの制度的な仕組みがなければならない。」
・ 既に指摘したように、プライバシー ・コミッショナーは、そのオフィスの役割、義務、権限との関 係で、独立して行動することが求められている。このオフィスでは、ここ数年間、苦情をより効果 的に処理し、未処理件数を減らすための仕組みをおいている。コミッショナーは、苦情処理の際、
事実関係を確認し、紛争当事者の合意を導く目的で、強制的に当事者を召喚することができる。オ フィスは、紛争解決のため、独立した内部の仲裁手続をとることがある。機関は、プライバシー法 で特に定められていない救済手段を内容とする、合意に基づく取決めをすることができる。
・ 個人が、コミッショナーや裁判でその代理人となっている人権手続長に対する不服を申立てる際に、
費用はかからない。不服申立人は、無料かつ代理人なしで、人権審査裁判所へ出訴することができ る。しかし、その不服申立人が敗訴した場合、勝訴した当事者の現実的かつ合理的な訴訟費用を負 担しなければならない。
・ 本作業部会は、ニュージーランド法制が個人を支援するための十分な仕組みを有すると解する。
c)ルールが遵守されなかったことに伴い侵害を受けた当事者に対する適切な救済措置を提供すること
「これは、支払われるべき損害賠償を認め、妥当な場合には制裁を課すことのできる独立した司法機関 又は仲裁機関の制度を含まねばならないという点で重要な要素である。」
・ プライバシーに関するほとんどの苦情は、コミッショナーによって解決されてしまうか又は調査後 の手続へと進まない。人権審理裁判所へ出訴される事件は、1 年に 20 件ほどあり、その数は一定 している。
・ 人権審理裁判所は、確認判決(declarations)、差止命令(restraining orders)を出す権限や事件 の細部を排除又は個別の審理の一部若しくは全部を有効と扱う権限を有する。また、右裁判所は、
最高200,000ドルまでの損害賠償を認めることができる。プライバシー法下における現在までの最 高額は、侮辱、尊厳の喪失及び被害者の感情を害したということに対する40,000ドルの支払いで