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情報化を進めるにはデータの集積が肝要であるが、情報がシステム同士の業務フロー の中で共有できていないため、現段階では集積が困難である。都市の情報共有があまり できていないため、政府による総合的政策決定に対し、オンラインでのワンストップ情 報総合サービスができていない。

3)統一性とシステム性

産業がレベルアップするためには、情報を疎通させ、高度な業務連携を行う必要があ るが、それを十分にサポートできる情報化環境になっていない。

( 333 )3)))鄭州市モデルプロジェクトの推進体制と対象エリア概要、鄭州市モデルプロジェクトの推進体制と対象エリア概要、鄭州市モデルプロジェクトの推進体制と対象エリア概要、鄭州市モデルプロジェクトの推進体制と対象エリア概要、プロジェクトにより解プロジェクトにより解プロジェクトにより解プロジェクトにより解 決すべき課題

決すべき課題 決すべき課題 決すべき課題

( 333 -1)推進体制3-1)推進体制-1)推進体制-1)推進体制

鄭州市における都市開発の主要な推進者は、政府と民間の両輪である。

1)政府の関係部局

2015 年 7 月 13 日、鄭州市で開催された鄭州市関係政府機関との交流会における鄭州 市側の出席者から、主な関係部局が分かる。

鄭州市人民政府の規劃局、発展改革委員会、都市管理局、軌道弁公室(及び鄭州市軌道 公司)、建設委員会、財政局、不動産管理局、民政局、外事弁公室。鄭東新区管理委員 会。(順不同)

2)民間

河南省における最大のデベロッパーである建業住宅集団(中国)有限公司(以下「建 業集団」)が鍵を握っている。建業集団 胡葆森董事長の話をもとに、同集団の概要、戦 略等をまとめた。

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<発展戦略>

建業集団の設立は1992 年。「中原に根を張り、人々に幸福をもたらす」を核心的価値 観としながら、河南省域内に経営を集中する「省域化発展戦略」が特徴。都市の 4 階層

(省級→地方級市→県→鎮)順に事業展開する戦略であり、河南省内120都市のうち、

既に40 都市に展開中。15年末までには約 50 都市へ拡大し、最終的には全都市への事 業展開を目指す。2030 年までに、全省で 15%のシェア獲得を狙う。

これまでに手掛けた物件は10万件を超え、建設面積は1,300万㎡に及ぶ。建築中面

37 建業集団胡葆森董事長の鄭州市で開催された日中スマートシティ建設交流会における発言(2015 年 7 月 13 日)及び「スマートシティ建設における中日企業間協力」「日中経協ジャーナル」(2015 年 9 月号)

への寄稿に基づく

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積は 500 万㎡あり、毎年 2 万件を完成させるペースで、15 年末には竣工面積累計が 1,500 万㎡を超える。今年の売上高は30 億ドルの見通しで、納税額は 4 億ドル。

<日本との協力希望分野>

①河南省で1つか2つの都市を選び、そこをスマートシティのモデルケースとする。

②住宅産業化の面では、生産基地を構築する予定のため、専門家を派遣し日本の住宅 企業で視察や研修を行う。

③資金運用面では、2012 年に香港で 3 億米ドルの債券を投資銀行(野村証券も参加 メンバーの一つ)のサポートを得て発行した。

④ここ数年、鄭州は地下鉄建設を急ピッチで進めているが、同集団の不動産開発もこ れとリンクしている。日本の設計関係者や投資企業と協力したい。

<中国スマートシティ発展連盟>

建業集団は、2014 年 4 月に中国城市・小城鎮改革発展中心(CCUD)のリーダーシップ により創設された「中国スマートシティ発展連盟」の発起人。同連盟は、中国の新型都 市化の発展方針に沿い、市場化メカニズムを実践し、スマートシティ関連の施策管理、

社会管理、公共サービス、情報の民生活用等の分野における応用を推し進め、相互補完 で非競争な協力メカニズムを構築し、連盟メンバーと都市の間をつなぐ交流プラットフ ォームを作り上げるもの。国際協力のための交流会やフォーラムも開催。

<日本との交流実績>

2015 年 5 月、東京で開催された MIPIM JAPAN(不動産プロフェッショナル国際マーケ ット会議)に参加。会議では、中国と日本それぞれの業界発展情勢及び市場の状況比較 に関する情報を日本の不動産関連企業と共有した。また、建業集団と日建設計の協力意 向書に署名。

2015 年 5 月、建業集団は日建設計と河南省鄭州で「TODとスマートシティ建設シ ンポジウム」を開催。我々は鄭州軌道公司、鄭州土地儲備センター、鄭州新区建設投資 公司等の機関に参加を呼びかけ、日建設計と友好的な交流を行った。

( 333 -2)モデルプロジェクト3-2)モデルプロジェクト-2)モデルプロジェクト 対象-2)モデルプロジェクト対象対象対象 エリアの概要とエリアの概要とエリアの概要とエリアの概要と プロジェクトによりプロジェクトによりプロジェクトによりプロジェクトにより 解決すべき課解決すべき課解決すべき課解決すべき課 題

題 題 題

1)鄭州市の構想

2015 年 7 月に鄭州市で開催された鄭州市関係政府機関との交流会における張建慧 鄭 東新区管理委員会書記及び楊東方 鄭州市規劃局長の発言から鄭州市の構想を整理した。

<新型都市化の理念>

鄭州市が進める新型都市化の核心理念は「人間本位」。人々の為に役立つサービスを

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提供する。この理念に沿って都市建設を進めると同時に、産業の発展も促す。各地域に おける地理的条件、基本的理念、投資コスト、産業構造等に立脚し、最適な都市開発を 検討していく。

<インフラ投資の資金回収>

固定資産投資には 2 タイプある。一つは道路や橋梁建設等の100%公共投資。もう一 つは汚水処理や浄水供給など、公共ではあるが資金回収が可能な機能インフラ投資。そ の他の建設プロジェクトは、すべて社会的な投資。

<住宅>

①保障性住宅。救済住宅的な意味も持ち、中低所得層、生活困難層向けの公共賃貸住 宅のみを整備。民政局が定める基準を満たした者が対象で、一戸あたり面積40~60 ㎡。

②分譲住宅。不動産取引の大半を占め、市場によって取引されるもの。平均で一戸あ たり90 ㎡程度の面積。

<スマートシティの現状と課題>

鄭州の課題として、グリーン、エコ、低炭素、スマート発展計画の一部の着手が遅 れている。TODを基礎とした開発モデルの構築が必要。また、生活の利便性、就 業と居住の近接化、教育・衛生・医療・養老等を含めた良好なインフラと公共サー ビスの整備など、快適な環境作りのため様々なプロジェクトを実施。

鄭州のスマートシティ建設、低炭素都市の整備は模索段階。自然条件、地理条件、

気候条件、産業面での条件等を考慮したスマートシティ建設の指標体系を模索して いる。一定の経験を持つ日本側と協力し、評価基準、建設管理等の体系を構築でき れば大変意義深い。天津市とシンガポールの実践は、地域の特性を活かしている。

スマートコミュニティ建設を類型化して推進していくが、まだ系統化されていない。

江南地域の都市や天津に比べ、鄭州市は立ち後れている。

鄭州市が解決すべき課題は、都市交通問題、都市化推進過程における省エネ化、汚 染処理の問題等で、日本企業との協力に期待。問題解決に向け、都市設計部門に対 する教育・研修等を実施し、対策を進める。また、都市計画においては、文化財保 護も考慮しなくてはならない。

2)鄭東新区の構想

鄭州市関係政府機関との交流会における張建慧 鄭東新区管理委員会書記の発言及び 建業集団 胡葆森董事長の日中スマートシティ建設交流会における発言(いずれも2015 年7 月に鄭州市で開催)と「日中経協ジャーナル」(2015 年 9 月号)への寄稿「スマー トシティ建設における中日企業間協力」に基づき、鄭州市鄭東新区の構想を整理すると 以下の通りである。

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<マスタープラン>

近年、鄭州市は都市計画及び建設において日本との協力に力を入れている。その中で もシンボリックな出来事は、日本の著名な建築家である黒川紀章氏が鄭東新区のマスタ ープランを手がけたこと。2002 年、当時の河南省の指導者である李克強省委書記・省長 が鄭東新区のCBD初動区30㎢の計画を決定したばかりで、鄭州市政府から建業集団に 最初の開発企業として参入するよう要請があった。政府と建業が協力協定を締結すると き、黒川氏も都市の設計者として調印式に立ち会った。黒川氏が中国で設計した唯一の 住宅社区が鄭州東区の連盟新城であり、プロジェクト建設計画と第 1 期建築設計を手掛 けた。鄭東新区の建設は、今では中国の新型都市化の実践における成功事例となってい る。

<固定資産投資>

鄭東新区の固定資産投資は、100 ㎢の開発済み面積に対し3,000 億人民元。うち、政 府による直接的・誘導的投資は 700~800 億人民元。社会投資は市場機能に委ねている。

誘導的投資の機能インフラ投資は、投資と資金回収がほぼバランス。政府の直接投資は、

市場から資金を調達しており、完成した公共施設のメンテナンスや緑化事業等は、国の 基準に則して実施し、具体的には民間に委託。受託企業はメンテナンス事業において資 金投入を行うと同時に、広告設置等で収益を得る事も可能。

<産業と人材>

鄭東新区は、金融サービスを牽引役とする現代サービス産業の重点発展地域であり、

ハイエンド産業エリアでもある。就業人口は 30 万人以上だが、新たに10 万人以上の新 卒者、ハイレベル人材 2 万人、農民6 万人の都市化を推進するにあたり、特定機能エリ アを整備しているが、なかでも金融業が強化され、現在 245 の金融業社(商品の研究開 発、ハイエンド金融業、一般的な金融サービス業、金融関連のバックアップセンター等)

が進出している。人材を引きつけ、より活力のある都市作りに努力している。住宅の超 高級・大面積物件は、鄭東新区に集中して建設されている。

3)建業集団の構想

建業集団 胡葆森董事長の日中スマートシティ建設交流会(2015 年 7 月に鄭州市で開 催)における発言に基づき、同集団のスマートシティ構想を候補地ごとに整理してみる。

<巩義市回郭鎮>

鄭州市内の西端にあり、洛陽市に近い(図表11)。巩義市は、河南省直轄の県行政改 革試点市になっている。

人口は約10 万人で、全体的な改造を計画している。産業構造もしっかりしている。

河沿いの都市であり、環境に恵まれている。CCUD と協力して小都市である鎮級市のモ

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