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第3章  定風量方式

3.4  シミュレーション結果

3.4.1  制御性の傾向

 モード A ,温度センサー a における人員密度の最大値が 1 . 5 人 / m2の場合の F M -P I D 制御結果を図 3 - 1 0 に示す.なお,空調予熱時の 1 2 0 m i n まではファジィモデ ル未作成のため,P I D 制御としている.また、以後記載無き場合は人員密度の最 大値を 1 . 5 人 / m2とする . 図から予熱時間は 9 0 m i n 程度であること,人員の増加に よ温 度 上 昇 は 最 大 2 4 ℃程 度 と な る こ と ,人体 負 荷 が 安 定 し てい る 興 業 終 了 時 ( 2 7 0 m i n ) の居住域平均温度は 2 2 ℃であることが分かる.ファジィモデルの推定値 も居住域平均温度とほぼ同じであり,1 4 0 m i n 付近のように暖房から冷房へ変化す

10 14 18 22 26 30 34

0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330 360

時間 [min]

[]

0 1 2 3 4

[人/m2 ]

T0 Tsns Tr q 図 3 - 1 0  モード A ・温度センサー a における F M - P I D 制御結果

(T0:吹出し温度 , Tsns:センサー温度 ,

Tr:居住域平均温度 , Tr’:居住域平均温度推定値 , q:人員密度)

図 3 - 1 1  モード A ・温度センサー a における P I D 制御結果

(T0:吹出し温度 , Tsns:センサー温度 , Tr:居住域平均温度 , q:人員密度)

10 14 18 22 26 30 34

0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330 360

時間 [min]

[]

0 1 2 3 4

[人/m2 ] T0 Tsns Tr Tr' q

10 14 18 22 26 30 34

0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330 360

時間 [min]

[]

0 1 2 3 4

[人/m2 ]

T0 Tsns Tr q 図 3 - 1 2  モード A ・温度センサー c における F M - P I D 制御結果

(T0:吹出し温度 , Tsns:センサー温度 ,

Tr:居住域平均温度 , Tr’:居住域平均温度推定値 , q:人員密度)

図 3 - 1 3  モード A ・温度センサー c における P I D 制御結果

(T0:吹出し温度 , Tsns:センサー温度 , Tr:居住域平均温度 , q:人員密度)

10 14 18 22 26 30 34

0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330 360

時間 [min]

[]

0 1 2 3 4

[人/m2 ] T0 Tsns Tr Tr' q るような動的に流れが変化する状態においても定常 C F D 解析結果を用いたファ ジィモデルが高精度に居住域平均温度を推定していることが分かる.これに対し,

図 3 - 1 1 に示す P I D 制御はセンサー温度が 2 2 ℃になるよう制御を行うため,居住 域平均温度は 2 3 ℃以上となっている.

 モード A ,温度センサー c ではセンサー温度と居住域平均温度が等しく,F M - P I D 制御,P I D 制御ともほぼ同じ制御結果を示す.図 3 - 1 2 ,3 - 1 3 にそれぞれの制御結 果を 示す .

 図 3 -1 4 ,3- 15 に示すモード A ,温度センサー w での F M- P ID 制御,P ID 制御はセ ンサー温度が居住域平均温度よりも高くなるのが特徴となっている.その差は約 1 ℃であり,F M - P I D 制御の居住域平均温度がほぼ 2 2 ℃であるのに対し P I D 制御は 約 2 1 ℃である.

-20 -16 -12 -8 -4 0 4 8

-24 -20 -16 -12 -8 -4 0 4 8 dT0 [℃]

dTr []

10 14 18 22 26 30 34

0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330 360

時間 [min]

[]

0 1 2 3 4

[人/m2 ]

T0 Tsns Tr q 図 3 - 1 4  モード A ・温度センサー w における F M - P I D 制御結果

(T0:吹出し温度 , Tsns:センサー温度 ,

Tr:居住域平均温度 , Tr’:居住域平均温度推定値 , q:人員密度)

図 3 - 1 5  モード A ・温度センサー w における P I D 制御結果

(T0:吹出し温度 , Tsns:センサー温度 , Tr:居住域平均温度 , q:人員密度)

10 14 18 22 26 30 34

0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330 360

時間 [min]

[]

0 1 2 3 4

[人/m2 ] T0 Tsns Tr Tr' q  モデリングに誤差が生じていたモード B ,温度センサー w での F M - P I D 制御結果 を図 3-16 に示す.人体負荷の立ち上がり時(140min)と立ち下がり時(290min)に吹

補図 3-6(b) モード B、x=1.25m に おけるフ ァジィモ デルの入 出力関係 出 し 温 度 が 振 動 し て い る . こ れ は

図 3 - 6 ( b ) では分かりにくいが d T 0 が - 2 ℃付近で勾配が逆となってい るためと考えられる.補図 3 - 6 ( b ) に温度センサー w でのファジィモデ ル 入 出 力 関 係 を 示 す . こ の こ と か ら フ ァ ジ ィ モ デ ル の 推 定 値 が 極 端 に 増 減 す る 場 合 は 制 御 が 不 安 定 に

図 3 - 1 6  モード B ・温度センサー w における F M - P I D 制御結果

(T0:吹出し温度 , Tsns:センサー温度 ,

Tr:居住域平均温度 , Tr’:居住域平均温度推定値 , q:人員密度)

図 3 - 1 7  モード C ・温度センサー w における F M - P I D 制御結果

(T0:吹出し温度 , Tsns:センサー温度 ,

Tr:居住域平均温度 , Tr’:居住域平均温度推定値 , q:人員密度)

10 14 18 22 26 30 34

0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330 360

時間 [min]

[]

0 1 2 3 4

[人/m2 ] T0 Tsns Tr Tr' q なると予想される.しかし,それ以外の温度差では安定した制御が行われている.

同様にモデリングに誤差が生じていたモード C ,温度センサー w での F M - P I D 制御

10 14 18 22 26 30 34

0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330 360

時間 [min]

[]

0 1 2 3 4

[人/m2 ] T0 Tsns Tr Tr' q 補図 3-7(b) モード C、x=1.25m に おけるフ ァジィモ デルの入 出力関係 は 安 定 し た 制 御 が 行 わ れ て い る .

結果を図 3-17 に,補図 3- 6(b )に温 度セ ン サー w での フ ァ ジィ モ デ ル 入 出 力 関 係 を 示 す . 図 に 示 す よ う に フ ァ ジ ィ モ デ ル の 勾 配 の 変 化 が 急 な 部 分 は 制 御 に お い て 使 用 し て いないこと が分かる.

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6

-14 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 dT0 [℃]

dTr[]

制御 シ ミ ュレ ー シ ョ ン で の 使 用 範 囲

(a)0.5min(空調開始) (b)60min(予熱中)

(c)120min(予熱終了、開場) (d)150min(開演)

(e)210min(興業中) (f)270min(興業終了)

(g)300min(人員減終了) (f)360min(人員 33%)

温度[℃]

  25   24   23   22   21   20   19

図 3 -1 8  モード A ・温度センサー a における F M- P ID 制御 温度分 布・風速ベ クトル

 各モードにおける温度センサー a での F M - P I D 制御の時間別断面温度分布をそれ ぞれ図 3 - 1 8 ~ 3 - 2 0 に示す.表示断面は吹出し・吸込み口を含む断面であり,カ ラーバーの色幅にて温度を,さらにベクトルの向きで風向を,ベクトルの長さで 風速を示している.モード A ( 図 3 - 1 8 ) は,初期温度 1 8 ℃均一からスタート( 図中 ( a ) ) し,その後制御終了まで時計回りの循環流を形成している.予熱時( 図中( b ) )

(a)0.5min(空調開始) (b)60min(予熱中)

(c)120min(予熱終了、開場) (d)150min(開演)

(e)210min(興業中) (f)270min(興業終了)

(g)300min(人員減終了) (f)360min(人員 33%)

温度[℃]

  25   24   23   22   21   20   19

図 3 -1 9  モード B ・温度センサー a における F M- P ID 制御 温度分 布・風速ベ クトル

は暖房であり,興業中( 図中( d ) ~( f ) ) はほぼ等温吹出しとなる.興業が終了し,

人員が減少するに従い( 図中( g ) ,( f ) ) 再び暖房となる.また,モード A の人体負荷 はスタンドのみであるため興業中はスタンド部の温度がアリーナより高い.モー ド B ( 図 3 - 1 9 ) では開演時から冷房となり,吹出し気流が下降している.それに伴 い興業中は反時計回りの循環流となる.興業終了後は人員の減少に伴って暖房へ

(a)0.5min(空調開始) (b)60min(予熱中)

(c)120min(予熱終了、開場) (d)150min(開演)

(e)210min(興業中) (f)270min(興業終了)

(g)300min(人員減終了) (f)360min(人員 33%)

温度[℃]

  25   24   23   22   21   20   19

図 3 -2 0  モード C ・温度センサー a における F M- P ID 制御 温度分 布・風速ベ クトル

移行し,再び時計回りの循環流となる.興業中,モード B はスタンドとアリーナ に人体負荷が存在するが,冷房気流の影響でアリーナよりスタンドの温度が低く なる傾向 を示す.

 モード C ( 図 3 - 2 0 ) はモード B とほぼ同じ傾向となるが,モード B よりも総人体 負荷が少ないために冷房時の下降気流は 緩やかで水平方向の温度差も少ない.

最小 平均 最大 差 最小 平均 最大 差 最小 平均 最大 差 モードA 22.5 23.4 24.3 1.8 21.5 22.3 23.3 1.8 20.2 21.1 22.0 1.8 モードB 20.1 21.8 22.9 2.8 21.7 23.4 24.5 2.8 21.8 23.4 24.6 2.8 モードC 21.1 22.1 22.8 1.7 22.5 23.4 24.1 1.7 22.7 23.6 24.4 1.7

温度センサーa 温度センサーc 温度センサーw 最小 平均 最大 差 最小 平均 最大 差 最小 平均 最大 差 モードA 21.2 22.1 23.0 1.8 21.2 22.0 23.0 1.8 21.2 22.0 23.0 1.8 モードB 20.3 22.0 23.2 2.9 20.7 22.3 23.4 2.7 20.5 22.1 23.3 2.8 モードC 21.0 21.9 22.7 1.7 21.0 22.0 22.7 1.7 20.9 21.8 22.6 1.7

温度センサーa 温度センサーc 温度センサーw 3 . 4 . 2  居住域温度定常値

 興業時において室温が最も安定する 2 7 0 m i n での温度を定常値とし,2 7 0 m i n に おける居住域平均温度と居住域での最小・最大温度に関する F M - P I D 制御の結果を 表 3 - 4 に示す.居住域平均温度はいずれも室温± 0 . 5 ℃以内の快適制御温度と なっており,居住域の温度分布(表中,最小・最大値)も 2 0 ~ 2 4 ℃の快適域の 範囲内となっている.このことから F M - P I D 制御が人体負荷分布(使用用途),温 度センサー位置に依存せずに居住域を快適な範囲に制御可能であることが分かる.

 表 3 - 5 に示す P I D 制御の同様の結果において,居住域平均温度は全 9 ケース中 6 ケー ス で快 適 制 御温 度 にな ら な い.表に は 示し て い ない が セン サ ー 温度 は 全 ケースとも 2 2 ℃となっていることから,快適制御温度にならないケースはセン サー温度が居住域温度を代表しない場合となる.また,居住域温度分布に関して も 4 ケースにおいて快適範囲外の領域が存在している.これはモード B とモード C の温度センサー c と w という居住域と温度センサー位置が離れている場合に顕 著であること,居住域での温度差が F M - P I D 制御時とほぼ同じであることから居住 域平均温度が設定温度付近にならないことが快適範囲外の領域が存在する主要因 と考えら れる.

表 3 - 4  F M - P I D 制御における興業終了時の居住域温度

表 3 - 5  P I D 制御における興業終了時の居住域温度

最小 平均 最大 差 最小 平均 最大 差 最小 平均 最大 差 モードA 23.4 24.3 25.2 1.8 22.6 23.5 24.4 1.8 21.9 22.7 23.6 1.7 モードB 23.0 24.5 25.9 2.9 23.1 23.7 25.0 1.9 22.3 23.0 25.0 2.7 モードC 23.0 23.4 23.9 0.8 22.9 23.9 24.6 1.7 23.4 24.3 25.0 1.6

温度センサーa 温度センサーc 温度センサーw 最小 平均 最大 差 最小 平均 最大 差 最小 平均 最大 差 モードA 22.7 23.6 24.5 1.8 22.5 23.3 24.2 1.7 22.4 23.3 24.2 1.8 モードB 24.0 24.6 25.9 1.9 21.9 23.4 25.1 3.2 21.8 23.4 25.3 3.5 モードC 23.1 23.4 23.9 0.8 21.9 22.8 23.5 1.6 22.0 22.9 23.6 1.6

温度センサーa 温度センサーc 温度センサーw 3 . 4 . 3  行過ぎ量最大時の居住域温度

 人体負荷の立上がり時における行過ぎ量最大時の居住域温度を表 3 - 6 ,3 - 7 に示 す.それぞれ F M - P I D 制御,P I D 制御である.いずれのケースも一時的な許容値で ある 1 7 . 5 ~ 2 6 ℃の範囲内となっており,良好な結果となっている.さらに,F M -P I D 制御,-P I D 制御とも 3 ケースにおいて快適範囲となる.

表 3 - 6  F M - P I D 制御における行き過ぎ量最大時の居住域温度

表 3 - 7  P I D 制御における行き過ぎ量最大時の居住域温度

最小 平均 最大 差 最小 平均 最大 差 最小 平均 最大 差 モードA 22.5 23.2 23.9 1.4 22.4 22.9 23.5 1.2 22.2 22.6 23.2 0.9 モードB 23.1 23.6 25.2 2.1 22.7 23.2 24.2 1.6 22.3 22.7 23.6 1.3 モードC 22.6 22.9 23.3 0.7 22.4 22.6 23.0 0.6 22.2 22.4 22.7 0.4

1.0人/m2 0.75人/m2 0.5人/m2 人員密度

最小 平均 最大 差 最小 平均 最大 差 最小 平均 最大 差 モードA 21.2 21.9 22.6 1.4 21.7 22.2 22.8 1.2 21.8 22.2 22.7 0.9 モードB 21.0 22.1 22.9 2.0 22.2 22.7 23.7 1.6 21.6 22.0 22.9 1.3 モードC 21.3 21.9 22.4 1.2 21.9 22.1 22.4 0.5 21.8 22.0 22.3 0.4

1.0人/m2 0.75人/m2 0.5人/m2 人員密度

3.4.4 部分負荷時の FM-P ID 制御

 最大人員密度を 1 . 0 ,0 . 7 5 ,0 . 5 人 / m2とした場合の F M - P I D 制御結果における 居住域温度定常値,行過ぎ量最大時の居住域温度を表 3 - 8 ,3 - 9 に示す.なお,最 大人員密度 1 . 5 人 / m2において各温度センサー位置による差がなかったことから 制御シミュレーションは温度センサー a でのみ行った.表 3 - 8 に示す通り居住域 平均温度は1ケースを除き快適制御温度となる.モード B ,最大人員密度 0 .7 5 人 / m2において 2 2 . 7 ℃となるが,快適制御温度範囲を僅かに 0 . 2 ℃超えた程度で ある.居住域の温度分布に関してはすべてのケースで快適範囲となる.また,同 じモードであれば人員密度が小さいほど居住域の温度差が小さくなる傾向を示し ており,部分負荷量が小さいほど場所による温度差が小さく均一な温度環境とな ることが分かる.表 3 - 9 に示す行過ぎ量最大時の居住域温度はすべてのケースで 一時 的 な 許容 範 囲 内と な っ てい る .また ,人員 密 度 減少 に 伴 い最 大 温 度が 低 く なっていることから,外乱の減少により行過ぎ量が減少して いるといえる.

表 3 - 8  F M - P I D 制御における部分負荷時の興業終了時居住域温度

表 3 - 9  F M - P I D 制御における部分負荷時の行過ぎ量最大時居住域温度

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