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土壌植物栄養学研究室

(1)教員組織

(職種) (氏 名) (生年月日) (最 終 学 歴) (学位) (異動事項)

教 授

タカ

ハシ

マサ

アキ

昭和18年6月14日 京都大学大学院農学研究科博士課程修了 農博 助教授

ザワ

タカ

昭和24年9月17日 大阪府立大学大学院農学研究科博士課程修了 農博 助 手

スギ

ウラ

昭和42年7月15日 神戸大学大学院農学研究科博士課程修了 農博

(2)研究現況

植物は無機化合物である炭酸,硝酸,硫酸を大気中や水中から吸収し,その他の必須無機元素の助けを借りて,太陽のエネルギー を利用して有機物に還元し,個体を作り上げる機能を持つ自栄養生物である.ヒトを含めた動物や微生物の多くは, 太陽エネルギー が姿を変えた利用できる形のエネルギー を頼りにして生きている.健全な植物の生育は,大気環境と食糧を与えてくれる我々の生 活にとって,欠くべからざるものである.植物への無機養分の適切な供給は,作物の収量と栽培経費を決定する重要な要因であるが,

同時に過剰の施肥による環境の汚染を防ぐ.土壌植物栄養学研究室では,植物の生育の場である土壌中に住み,植物に有用な栄養を 供給する土壌微生物の機能を活かし,また,植物の養分吸収と光合成の機構を明らかにし改変することによって,植物の持つ能力と 生産性を更に高めることを目指し研究している.現在行われている研究のテーマは,

1)植物による無機養分の吸収戦略に関する研究

土壌中の微量必須元素の利用に対する植物の戦略を分子レベルで理解し,活用することにより,養分の有効利用を遺伝子改変に より達成する.

2)植物内在性細菌の植物との協同による合成有機化合物の分解と窒素固定についての研究

土壌中の除草剤の分解を促進するとともに,その植物の除草剤耐性を高めることを目的に,植物組織内に生息する微生物の中か ら除草剤分解活性の高い微生物を分離し,これらの植物内在性微生物による除草剤の効率的な分解除去について検討している.また,

これまでにイネ科植物から分離された例が多数報告されている窒素固定細菌をマメ科植物の根について検索し多数の株を得ている.

現在これらの分離株の感染と窒素固定活性の発現制御について解析している.

3)亜硝酸トランスポーターの機能の研究.

植物は,硝酸をアミノ酸に還元同化しているが,中間体であり,また,毒物でもある亜硝酸を素早く輸送するための亜硝酸トラ ンスポーター遺伝子をクローニングした.この遺伝子の発現や輸送機構について研究し,輸送機能の増強により窒素同化効率の改善 された植物の作成を目指している.

4)好熱性ラン藻Synechococcus elongatusの光化学系II反応中心複合体を用いた酸素発生機構の研究

光 合 成 の 酸 素 発 生 は 植 物 の 機 能 の 中 で 解 明 が 待 た れ る 重 要 な 機 能 で あ る . 常 温 性 の 光 合 成 生 物 よ り も , 好 熱 性 ラ ン 藻 Synechococcus  elongatusより得られる光化学系II反応中心は,構造がより安定であると考え,遺伝子操作を用いて,より生きた状態 に近い反応中心複合体を得,その構造を研究している.

5)植物を異種起源のタンパク質合成工場とする形質転換法の開発

光エネルギーを利用する,ほとんど経費の必要としない植物のタンパク合成系を利用して異種生物のタンパク質を作らせ,植物 体より簡単に回収するシステムを構築している.

食品代謝栄養学研究室

(1)教員組織

(職種) (氏 名) (生年月日) (最 終 学 歴) (学位) (異動事項)

教 授

ナカ

ヨシ

ヒサ

昭和19年3月4日 東北大学大学院農学研究科修士課程修了 農博 助教授

イヌイ

ヒロシ

昭和31年3月9日 大阪府立大学大学院農学研究科博士課程修了 農博 講 師

ヤマ

リョウ

イチ

昭和40年2月16日 大阪府立大学大学院農学研究科修士課程修了 農博

(2)研究現況

生命維持は食物の摂取に始まり,消化・吸収された栄養素はエネルギーの生成,体構成成分の合成,生体機能の調節などに利用さ れる.さらに,近年,食品中には栄養素以外に生体機能の調節に係わる様々な因子の存在が明らかにされてきている.

食品代謝栄養学研究室では,微量栄養素であるビタミン(ビタミンB1,ビタミンB12,ナイアシン,ビタミンCなど)について,原

生動物であるユーグレナ(Euglena  gracilis)とラットを対象に,比較生化学,比較栄養学的見地から,これらビタミンの代謝,機能 に関する研究を進めてきた.特に,ビタミンB12については,ユーグレナにおける細胞内動態を詳細に検討するとともに,その成果を もとに動物における補酵素型への変換システムについて明らかにした.さらに欠乏ラットを作成し,細胞内情報伝達等に係わるビタ ミンB12の新規な機能について解明を進めている.一方ナイアシンについては,その補酵素型であるNADを基質として生成するサイ クリックADP−リボース(cADPR)が,ユーグレナの細胞周期調節に重要な役割を担っている可能性を明らかにした.なお,このよ うなcADPRの役割は,その後高等動物の細胞でも報告されている.

食の機能は単に栄養素の摂取だけでなく,様々な生体機能の恒常性維持に関係している.このような観点から,食餌量(エネルギ ー摂取量)と免疫機能の関係について検討を行い,食餌量を制限すると飼料を自由摂取させた動物に比べ,抗腫瘍免疫機能は増強さ れ,一方過剰な免疫応答である炎症反応は抑制されることを見いだしている.また,新規機能性食品素材開発の観点から,植物成分 の生体調節作用について検討を行い,ユーカリ葉抽出物をラットに摂取させると腸管におけるフルクトース吸収が著しく抑制される ことを見いだしている.さらに,生体の恒常性維持に関係する細胞内情報伝達系を調節する植物成分に関する研究も進めている.こ れらの機能を応用することにより,食の機能を活用した肥満,糖尿病,高血圧症などの予防や改善が可能になるものと考えている.

摂取された食物中の成分はホルモンや神経系を介して動物の消化・吸収・代謝を制御して生命を維持している.しかし,悪性貧血,

心臓あるいは肺疾患によって引き起こされる血中酸素分圧の低下する低酸素症では,生命維持に必須のエネルギーであるATPの産生 は抑制される.そこで末梢組織への酸素と栄養素の運搬路となる毛細血管の内側に位置する毛細血管内皮細胞を用いて低酸素応答機 構を研究し,解糖系酵素のグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)とトリオースリン酸イソメラーゼが低酸素 によって誘導されることを見い出し,その機構も明らかにした.さらにGAPDHが,細胞質だけでなく,核および比重の異なる3つの 顆粒画分においても低酸素によって誘導されることを見い出した.現在このように多極在性を持つGAPDHの細胞内輸送機構と各局在 での機能について検討を行っている.この細胞質以外での機能の解明は,低酸素応答機構に多大な情報を提供することが期待される.

発酵制御化学研究室

(1)教員組織

(職種) (氏 名) (生年月日) (最 終 学 歴) (学位) (異動事項)

教 授

カワ

サキ

ハル

ヒコ

昭和18年4月5日 京都大学大学院農学研究科修士課程修了 農博 助教授

キシ

マサ

昭和35年8月11日 大阪市立大学大学院理学研究科博士後期課程 理博 単位取得退学

講 師

サカ

モト

タツ

昭和39年11月24日 大阪府立大学大学院農学研究科博士後期課程 農博 修了

(2)研究現況

微生物は食品や医薬品の製造,エネルギー資源の造成,環境の保全など多方面で利用され,人類に貢献するところが大きい.本研 究室では,微生物の生理機能を酵素や遺伝子などの分子レベルで解析し,その機能の発現や調節のメカニズムを明らかにして,生命 の仕組みの理解に役立てると共に,バイオテクノロジーとして微生物機能の有効な利活用を図る研究を行っている.現在の研究課題 は,有用物質の生産や環境浄化などに利用できる微生物の探索と改良,有用酵素や遺伝子の単離,構造解析および改良,およびその 発現制御メカニズムの解明などに重点をおいている.

1)環境汚染物質の微生物分解および分解酵素・遺伝子の解析と利活用:農薬(ダイアジノンなどリン系農薬)や有機塩素化合 物を分解する微生物をスクリーニングし,その分解酵素や遺伝子,プラスミドを分離・解析して,バイオレメディエーション(環境 修復)や残留農薬簡便検出法へ利活用すべく研究している.

2)微生物の環境(ストレス)応答の分子メカニズム:麹かびの一種Aspergillus  kawachiiはpH5の環境ではペクチナーゼBを生 産するが,pH2ではペクチナーゼAを生産する.pHによる遺伝子発現調節メカニズムを研究している.他にマンガンにより発現調節 されるペルオキシダーゼ遺伝子についても解析している.

3)微生物の生産する細胞壁多糖分解酵素およびその遺伝子について:アラビナンおよびペクチン分解酵素:農産廃棄物の有効 利用を図るため,植物細胞壁成分であるアラビナンとペクチンを分解する酵素を微生物より取得し,性質を解析している.その遺伝 子をクローン化し,組み換え微生物による酵素の大量生産を図っている.

4)酵母の休眠遺伝子の発現調節機構:酵母Saccharomyces  cerevisiaeはポリガラクツロナーゼ遺伝子を有しているが普段は発 現していない.変異処理や特定のDNA断片導入により当該酵素を発現する株が得られる.この休眠遺伝子の発現スイッチを調節して いるメカニズムを解析している.

5)微生物の有用酵素および有用遺伝子に関する研究:種々の微生物酵素について,精製,解析,遺伝子クローニング,組み換 え株による大量生産を行っている.現在はカタラーゼ,ペルオキシダーゼ,フェルラ酸エステラーゼ,ポリグリセリン分解酵素,ヒ ノキチオール分解酵素などを研究している.

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