第 5 章 微環境個人曝露モデルによる曝露濃度の推計
5.6 微環境曝露モデルでの曝露濃度の計算結果
ここでは,中国31地域、都市と農村別のすべての年齢属性の中から最も曝露濃度の高か った65歳~69歳農村無職男性と60歳~64歳農村無職女性を取り上げる。
Figure 5.3とFigure 5.4に65歳~69歳無職男性60歳~64歳無職女性のPM2.5の一日平均
曝露濃度を示す。この図から、女性の曝露濃度は男性よりもかなり高くなっていることが 判る。また、東北地方で曝露濃度が男女とも高くなっていることがわかる。これは、調理・
暖房のそれぞれの燃料として PM2.5 の排出係数の高い石炭及びバイオマスの使用率が高い ためと考えられる。
1317.03μg/m3 14.25μg/m3 150μg/m3 14μg/m3
Figure 5.3 Annual PM2.5 exposure concentration for urban male aged between 65~69
2347.30μg/m
323.96μg/m
3250μg/m
314μg/m
3Figure 5.4 Annual PM2.5 exposure concentration for rural female aged between 60~64
5.6.1 全年齢・属性別平均の日平均曝露濃度の地域比較
地域別、都市農村別の全年齢・属性別平均の PM2.5 の一日平均曝露濃度と各微環境の寄
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与の内訳をFigure 5.5とFigure 5.6に示す。都市と農村のいずれも、南部の温暖な地域であ る広東省、広西省と海南省では暖房を使用しないとしたため暖房による寄与はない。
都市(Figure 5.5)では農村(Figure 5.6)に比べて曝露濃度が1/2程度となっている。これは、
室内での使用燃料の違いが原因である。本研究では都市と農村地域において用途別の燃料 機器別のエネルギー消費量を考慮した。都市においては、都市ガスの普及率が高く調理・
給湯と暖房には主にLPG、天然ガス、都市ガスと地域熱供給(集中暖房)を使用しており、排 出係数が大きい石炭・バイオマスの使用量が少ないためである。また、Figure 5.5の結果か ら見ると、都市においては北京市、天津市のような大都市以外の北部地域の内モンゴル、
山西省、遼寧省と吉林省では暖房からの寄与が大きいが、南部の浙江省、福建省と江蘇省 などの地域では室内の発生源の寄与が小さく、微環境 D に分類される屋外から室内への流 入の寄与が大きい事が分かった。また北京市、天津市、上海市など大都市では屋外起源の
寄与が80%以上を占めている。
Figure 5.6の農村では、平均曝露濃度が高いのは黒龍江省で約235.6μg/m3であった。寒冷
時期に気温が低くなる東北地区の内モンゴル自治区、遼寧省、吉林省と黒龍江省、西北地 区にある甘粛省、青海省、新疆自治区では、微環境 B に分類される暖房での曝露濃度が微 環境 A に分類される調理・給湯での曝露濃度より高くなっており、これは暖房に使用する バイオマスや石炭の燃焼による PM2.5 の影響が大きいことが原因である。中部に位置する 安徽省、福建省では調理・給湯での曝露濃度は暖房の寄与より大きく、これは調理・給湯 に使用する一人当たりエネルギー消費量が暖房の約5倍であることが原因である。
Figure 5.5 Provincial average personal exposure to PM2.5 in urban area
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Figure 5.6 Provincial average personal exposure to PM2.5 in rural area
5.6.2 年齢・属性別の日平均曝露濃度
Figure 5.8に都市と農村における年齢属性集団別のPM2.5一日平均曝露濃度の全国平均の
推定結果を示す。乳幼児の曝露濃度(76μg/m3)が高いのは、家庭での滞在時間が長く、母親 が調理中も一緒の微環境に滞在すると想定しているためである。学校・職場の汚染濃度は 屋外大気汚染の影響を受けるだけで室内に汚染源が無いと仮定しているため、就学年齢に 達すると曝露濃度が減少する。都市では、屋外大気汚染物質の流入による室内での曝露が 主たる要因であるため、男女間の差が少なく、むしろ暖房を使用した環境への滞在時間が 長い男性の曝露濃度が高くなる傾向が見られた。
農村においては、女性はどの年齢層でも男性に比べて曝露濃度が高くなっている。微環 境の内訳を見ると、暖房からの曝露濃度は男性と女性はあまり大きな差がないが、調理・
給湯からの曝露は男性より女性のほうが 2 倍程度の寄与を示している。農村地域において は女性が調理・給湯の微環境に滞在する時間が長く、その際、バイオマスと石炭を使用し て調理・給湯を行うため、曝露濃度が高くなる。また、男性・女性ともに、無職者の方が 室内滞在時間が長くなるために、曝露濃度も高くなった。
Figure 5.7 National average personal exposure to PM2.5 in urban for each sex and age group
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Figure 5.8 National average personal exposure to PM2.5 in rural for each sex and age group