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第 4 章 中国の地域別家庭部門での用途別、燃料種別の汚染物質排出量

4.3 家庭での燃料燃焼に関する室内 PM2.5 排出係数

排出係数とは単位質量当たりの燃料を燃焼させた時に排出する汚染物質の質量である。

本研究では、既往の研究からPMの排出係数を収集した(Table 4.1)。汚染物質の排出係数は 燃料種の特徴、燃焼設備、燃焼する方法と実験の方法などに左右される(Wei et al., 2013)。

Kinsey et al., (2009)は異なる種類の薪を用いて調理コンロで燃焼させた結果、水分を多く含 んだ薪のPM排出量が乾燥した薪より1.2~2.2倍高いと分かった。Yuntenwi et al., (2008)も 開放コンロで燃焼させた結果、30%の水分を含む薪から排出されるPMが5%の水分を含む 薪より1.3倍高いという測定結果を得た。多くの研究は密閉した実験室で測定したものであ るため、実際に家庭で燃料を燃焼して排出される汚染物質の排出係数とは大きく異なる (Shen et al., 2010)。

中国の農村では、改良コンロ(閉鎖性の高い燃焼室と屋外への煙突など)を使用する家庭は 約8割ある(Ministry of Agriculture, 2001)。Figure 4.1に示すのは農村の家庭で一般に使用され ている調理・給湯、暖房用の機器と燃料種の一部例である。写真(A)、(E)は伝統的な暖房機 器であり、主に木炭、薪を燃料として使用する。特に湖北省、安徽省、湖南省など地域暖 房システムがなく、夏が暑く、冬が寒い地域においては、このような暖房機器の熱を上手 に利用して上には鍋を乗せて調理にも利用している(写真 F)。写真(D)は携帯暖房と呼ばれ、

機器の真ん中に石炭や木炭を入れて使用する。こちらは持ち運びしやすいため、農村でよ く使用されている。写真(B)は東北地域でよく使用される暖房機器である。こちらの暖房機 器は主に薪を使用し、煙突が付いているため、薪を燃やす時に発生する煙はほとんど屋外 に排出される。写真(C)は改良調理コンロであり、煙突が屋外に出すように設置してあり、

主にバイオマスを燃料として使用する。

Figure 4.1 Various stove for cooking and heating in rural area

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Wei et al., (2014)は中国の江蘇省に位置するNantongの農村において、調理器具として使用

年数が長い調理コンロと使用年数が短い調理コンロ、燃料として作物残渣を用いて、調理 時に排出されたPMのサンプルを収集し、カーボンバランス法を用いてPM排出係数を分析 した。Yuntenwi et al., (2008)は伝統、改良調理コンロと異なる水分量の含む薪を用いて、給 湯実験をして、PM排出係数を測定した。同じ調理コンロでも燃料の水分量が異なることに よってPM排出係数も大きく差が生じる。Chen et al., (2005)は練炭と原炭を使用する石炭調 理コンロをフード状のもので覆って、無煙炭、瀝青炭と褐炭から室内に排出された PM2.5 の排出係数を測定した。

Zhang et al., (2008)は工業部門と家庭部門で無煙炭、瀝青炭と褐炭の燃焼によるPM2.5排

出係数について測定した。家庭部門での測定は、暖房ストーブ(Figure 4.1(A)と同じ)とブリ ケットコンロで行った。家庭で無煙炭、瀝青炭と褐炭から排出された PM2.5 排出係数はそ

れぞれ1054mg/kg、7373mg/kg、5242mg/kgとなっている。それに対し、工業部門で無煙炭、

瀝青炭、褐炭から排出されたPM2.5排出係数はそれぞれ16 mg/kg、100 mg/kg、45 mg/kgと なり、家庭部門の排出係数の100分の1程度である。

まず、収集したPM排出係数(Table 4.1)に燃料種別、用途別につぎPM2.5排出係数の値は 本研究での燃料種別、用途別の PM2.5 排出係数と、これらに実験で使用した調理器具は中 国にも使用したものであることで、測定した PM2.5 排出係数を優先で考慮した。そこで、

本研究に使用したPM2.5排出係数をTable 4.2に示す。暖房に使用する石炭の排出係数に関 する情報がないため、ここでは調理・給湯に使用する石炭と同じ値を設定した。PM2.5排出 係数を測定した燃料種については、調理・給湯に使用する薪の排出係数はLi et al., (2009)と Mcdonald et al., (2000)の平均値を使用した。調理・給湯に使用するバイオガスは調理・給湯 に使用する天然ガスと同じ値を設定した。他の用途別、燃料別のPM2.5排出係数はTable 4.1 から値を抽出して、使用した。

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Table 4.1 Summary of emissions factor of PM

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Table 4.2 Emission factors of PM2.5 used in this study

用途 燃料 排出係数

μg/kJ

排出係数

g/kg 出典

調理・給湯 石炭 392.19 8.20 Shen et al. 2014 調理・給湯 薪 265.78 3.89 Li et al.2009 McDonald et al. 2000 調理・給湯 作物残渣 284.86 4.43 Li et al.2009 調理・給湯 灯油 3.11 0.13 Zhang et al. 2000 調理・給湯 天然ガス、 4.11 0.16 Zhang et al. 2000 調理・給湯 石炭ガス 11.47 0.20 Zhang et al. 2000 調理・給湯 LPG 5.58 0.28 Zhang et al. 2000 調理・給湯 バイオガス 7.65 0.16 天然ガスと同じ値

暖房 石炭 392.19 8.20 Shen et al. 2014

暖房 薪 340.79 5.70 McDonald et al. 2000

暖房 作物残渣 302.68 4.43 Li et al.2009

暖房 灯油 4.92 0.21 leader et al. 1990

照明 灯油 75.92 3.27 Fan et al. 2001