第 3 章 中国の地域別、都市農村別の家庭部門エネルギー消費構造と消費量の推計
3.2 推計手法
3.2.3 地域別、都市農村別、用途別、燃料種別のエネルギー消費量の推計方法
ここでは地域別、都市農村別、用途別の燃料種別エネルギー消費量の推計方法を検討し た。
(1) 暖房用燃料種別エネルギー消費量
ここでは、3.2.2 で推計した全国の都市農村別、暖房用燃料種別のエネルギー消費量の割 合を
ur f, 、地域別、都市・農村別の暖房用全燃料種の消費量の割合を
i ur, と、地域別、都25
市・農村別の暖房用燃料種別の消費量割合は式(3.1)のように表せる。
, , , ,
i ur f ur f i ur
式(3.1)家庭部門の暖房用の最終使用エネルギーはIsaac and van Vuuren (2009)が示した式(3.2)を 用いて求める。地域別、都市・農村別の年間家庭部門の暖房需要の最終使用エネルギー
HED(GJ)は人口 P(人)、一人当たり延べ床面積 S(m2/人)、単位デグリーデー当たり必要な熱
量UE(kJ/(m2/(℃・日)))、暖房デグリーデーHDD(℃・日)と燃料種別の機器効率EF(%)を用い
て表される。
P S HDD UE
HED EF
式(3.2)
本研究では、ボトムアップ手法で地域別、都市農村別の家庭部門の暖房需要の最終有効 エネルギー消費量は式(3.3)を用いて求める。ここでは制約条件として、以下の2つ条件を満 たす必要がある。
① 式(3.3)では、暖房デグリーデーから計算した暖房需要である。式(3.4)の左辺は、「中 国能源統計年鑑 2008」に掲載されている都市・農村別、固形燃料(石炭、バイオマ ス)と暖房機器別の効率を用いて、計算した全燃料種の暖房用エネルギー消費量で ある。これと式(3.3)で計算した暖房需要と等しくなる必要がある。
② 全国の燃料種別の暖房用エネルギーと全国の燃料種別の家庭部門エネルギーの総 合の比が石炭、バイオマス(薪、作物残渣)別の全国暖房用エネルギー割合と一致す る必要がある(式3.5)
, , ,
i ur i ur i ur i
HED P S HDD UE
式(3.3)[( i ur f, , i ur f, , ) f] i ur,
f
E
EF HED
式(3.4), , , , ,
, , ,
( i ur f i ur f i ur)
i
ur f i ur f
i
E E
式(3.5)
ここで、式(3.1)を式(3.4)と式(3.5)に代入すると
i ur, は式(3.6)のよう表せる。, ,
,
, , , ,
i ur i ur i
i ur
i ur f ur f ur f
f
P S HDD UE
E EF
式(3.6)
ここで、
26
推計された全国の都市・農村別の全燃料種の暖房用エネルギー割合i ur, を式(3.1)に代入し、
地域別、都市・農村別、暖房用石炭とバイオマス(薪、作物残渣)の割合
, , i ur f
を計算した。こ れと「中国能源統計年鑑」にある地域別、都市・農村別、石炭とバイオマスの家庭部門エ ネルギー消費量を用いて、地域別、都市・農村別の暖房用石炭、バイオマスの消費量を推 計した。推計式は3.2.4節で述べる。
暖房用の電気消費はエアコンの保有量、機器別原単位と暖房デグリーデーから推計した。
(2) 調理・給湯用燃料種別エネルギー消費量
Figure 3.1 に示したように、固形燃料(石炭、バイオマス)は家庭部門において調理・給
湯と暖房のみに使用されている。調理・給湯用の固形燃料の消費量は「中国能源統計年鑑 2008」(国家統計能源総合局, 2008)のエネルギーバランス表に記載されている固形燃料の総 量と暖房用の固形燃料消費量の差として推計した。調理・給湯用の電力消費量は電子レン ジ、炊飯器、給湯器など調理・給湯に関係する電化製品の保有量と機器別の消費原単位か ら推計した。
(3) 照明用燃料種別エネルギー消費量
照明用の電気消費量は白熱灯、蛍光灯の単位床面積あたりエネルギー消費量、省別の利 用戸数と省別の都市の平均世帯床面積から推計した。農村地においては、室内照明は主要 な電力消費量の用途の一つである(清華大学建築節能研究中心, 2012)。現在では、農村地域 においても電気による照明が普及しているため、照明用途の灯油消費量は0と仮定した。
「中国建築節能年度発展研究報告2012」(清華大学建築節能研究中心, 2012)に記載されて
f
:燃料種i
:地域(30省・直轄市)ur
:都市・農村別,
f ur :全国の都市・農村別の燃料種別の暖房用割合(%)
,
i ur :地域別、都市・農村別の全燃料種の暖房用エネルギー割合(%)
, , i ur f
:地域別、都市・農村別、燃料種別の暖房用エネルギー割合(%)
, , i ur f
E :地域別、都市・農村別、燃焼種別の家庭部門エネルギー消費量(GJ)
,
EFur f :燃料種別のストーブ効率(%) ;ストーブ効率とはストーブによって消費されたエ ネルギーのうち、住居空間を暖めるために消費されたエネルギー割合である。
,
HEDi ur :暖房需要の最終エネルギー消費量(GJ) HDDi :地域別の平均暖房デグリーデー(℃・d )
,
Pi ur :地域別、都市/農村別の人口(人)
,
Si ur :地域別の一人当たり住居面積(m2/人)
UE :暖房用の単位デグリーデー当たり有効エネルギー(kJ/(m2/(℃・d ))
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いる常徳、邵阳、衡阳、湘潭の一人当たり照明灯具保有量から一人当たり平均電球保有量 を2.82と計算した。そうして、一人当たり電球保有量2.82を地域別人口に乗じることによ って地域別の全人口の電球保有量を計算した。これと白熱灯のみを使用している家庭、白 熱灯と蛍光灯を併用している家庭、蛍光灯のみを使用している家庭の比率(ぞれぞれ56%、
29%、15%)(外岡 et al., 2009)によって各照明の使用戸数を計算してから、年間一人当たり電
力エネルギー消費量を計算した。
(4) 冷房、電化製品用電力消費量
家庭用電化製品と冷房に使用した電気消費量は、エアコン、扇風機、テレビ、冷蔵庫、
洗濯機及びその他の家電機器の保有量と機器別の消費原単位から推計した。なお、冷房に ついては、冷房デグリーデーを考慮した。電気消費量は3.2.4、各電化製品の保有量は3.3.2 に述べる。