第二部 パネルディスカッション
3 齊田 紀子 弁護士 資料
石綿に関する建築基準法改正の経過
アスベストに関連する近年の最高裁判決
1.アスベストについて
2.労働者による損害賠償請求についての判例 3.賃貸物件内の工作物責任についての判例
東京弁護士会
環境委員会アスベスト部会
(出典 ANN)
1.アスベストについて
1.アスベストについて
天然の繊維状の鉱石で、
クリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、
アモサイト(茶石綿)等がある。
2.アスベストの特徴
非常に細い繊維状の物質で、加工しやすい。
耐久性・耐熱性等に優れる。
安価であるため、建設資材や電化製品等に広く使用されていた。
(写真出典 アスベストセンター)
アスベスト原石
吹付けアスベスト
1.アスベストについて
3.アスベストの被害
飛散により空気中に浮遊し、
肺がん、悪性中皮腫等の原因となる。
数十年と潜伏期間が長い。
閾値がなく、少量の曝露でも 健康被害の発症の可能性がある。
(写真出典 独立行政法人環境保全機構)
1.アスベストについて
4.現在も残るアスベスト
解体時に飛散の可能性の高さで分類
レベル1:発じん性(飛散しやすさ)が著しく高い 石綿含有吹き付け材等
レベル2:発じん性が高い
石綿含有保温材・断熱材 レベル3:発じん性が比較的低い
石綿含有成形版等
-64-平成26年 10月9日 最高裁判決
(泉南アスベスト判決)
労働者の健康被害について 国の責任を認めた判例
(出典 大阪泉南アスベスト国賠訴訟原告団・弁護団)
事件の概要
元労働者・遺族ら 国
大阪の泉南地域等でアスベスト製品を製造していた工場で 石綿製品製造に従事し、肺がん等を発症
国の責任 ・石綿疾患の発生等を防止するために 労働基準法・労働安全衛生法に基 づく規制権限を行使しなかったこと
(国家賠償法1条1項)
(写真出典 泉南市役所)
最高裁の判断 (平成26年10月9日)
最高裁の判断枠組み
国の権限不行使 権限を定めた法の趣旨・目的・権限の性質等に照らし、具体 的事情の下において、不行使が許容限度を逸脱して著しく合 理性を欠くときは違法。
昭和33年頃には医学的知見が確立し、局所排 気装置の義務付けに必要な技術的知見もあった。
昭和33年5月26日(労働基準局長通知)
から国が規則を定め装置を義務付けた
-65-平成25年 7月12日 最高裁判決
吹き付けアスベストによる工作物責任の判断枠組みを示した判例
(写真出典 関西労働者安全センター)
事案の概要
鉄道会社
文具店(個人営業)
昭和45年3月 賃貸借契約 平成15年3月 解約
取締役A 昭和45年 平成14年5月 粉じん曝露 平成14年7月 悪性中皮腫罹患
平成16年7月 死亡
(原告はAの遺族)
2F 倉庫・事務所
1F 文具店
アスベストの 中でも危険性
使用された吹き付け材アスベスト
が高い。アスベスト(クロシドライト25%)含有吹き付け材が約3センチの厚さ でむき出しのまま施行。
鉄道の振動により、昭和62 63 年以降は、アスベスト繊維が粉じんと なって飛散し、倉庫内の商品棚・商 品・床面等に降り積もっていた。
原告の主な請求
工作物責任に基づく損害賠償請求
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他
ドキュメント内
環境シンポジウム報告書「アスベスト被害 予防の現状と課題~建物に使用されているアスベスト問題~」
(ページ 65-68)