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最高裁の判断 (平成25年7月12日)

工作物責任についての判断枠組み

① 人がその中で勤務する本件建物のような建築物の壁面に吹き付け石綿 が露出していることをもって当該建築物が通常有すべき安全性を欠くと評価 されるようになったのはいつの時点かを証拠に基づいて確定した上で

② その時点以降に、Aが本件建物の壁面に吹き付けられた石綿の粉じんに 曝露したことと、Aの悪性中皮腫の発症との間に相当因果関係を認めること ができるか否かを審理して初めて判断できる。

① 違法となった 時期

② ①以降の損害

差戻し控訴審の判断(平成26年2月27日)

①瑕疵があると評価されるようになった時期:

昭和63年2月

遅くとも、環境庁・厚生省が通知を発した「昭和63年2月ころ」

には、建築物の吹付けアスベストの曝露による健康被害の危険性及 びアスベストの除去等の対策の必要性が広く世間一般に認識される ようになったと認めるのが相当。

○昭和63年以降も吹付けアスベストが露出したままの建物が多数存在した点・・・

対応が追い付かなかったにすぎない。

その他の点

-67-差戻し控訴審の判断(平成26年2月27日)

②①以降の粉じん暴露と中皮腫発症の相当因果関係:

あり

石綿粉じん曝露と石綿関連疾患との間には関係があり、被告の責任期間は昭和 63年2月からでも約13年9ヶ月という長期間で、それ自体中皮腫の潜伏期間 として相当と考えられる期間である。

被告の責任期間内の曝露と責任期間外の曝露の両者が不可分一体となって被 害者を中皮腫に罹患させたと推認するのが相当である。

被害者の中皮腫がもっぱら被告の責任期間外の曝露によるとの疑いを抱かせる程 度の反証がない以上、被告の責任期間内の石綿粉じん曝露と石綿関連疾患との相 当因果関係は高度の蓋然性をもって立証されている。

中皮腫 S63.2 発症

13年9か月:潜伏期間として相当 不可分一体

S45.3

最高裁の判断の枠組み

最高裁の判断

知見の発展とともに瑕疵と認識された場合の工作物責任 の有無について、瑕疵と判断される基準時と、それ以降の損 害との間に相当因果関係を認定することを求めるもの。

今回の判例で判断されていないこと

・アスベスト使用建物がいつからが瑕疵と判断されるか

・アスベスト使用建物の瑕疵の存否の判断の考慮要素

・債務不履行・不法行為責任の前提となるアスベストの被害 に対する予見可能性の判断枠組み

-68-平成25年7月12日最高裁判決  参考画像

(関西労働者安全センター提供)

左上:文具店内の掃除の状況

左下及び右下:文具店吹きつけ青石綿

-70-建物解体・改修における アスベスト飛散事故と裁判例

東京弁護士会 公害環境特別委員会

アスベスト部会 3 月 14 日

事例1

中野区内のスーパーマーケット 解体での

アスベスト飛散事故訴訟

近隣住民との訴訟上和解

飛散事故 平成17年4月頃 訴訟 平成18 - 21年

-71-

-72-時系列

平成16年9月 工事予定段階で区に住民が相談。

平成17年1−2月 事前の住民説明会1、2回目 3月 解体工事開始

4月15日ー 粉じんが飛散。近隣住民のベランダに粉じん付着。

ぞうきんで拭く。(後にアスベストが後に検出される。)

4月25日 騒音規制違反につき始末書区が指示 4月28日 区が石綿関連の違反を業者に指摘。

4月30日 第3回住民説明会:アスベストは無いと業者が断定。

:住民は素材調査を要請。

5月2日 素材を採り、調査に出す。

5月10日 素材からアスベストが見つかる。

5月19日 謝罪、工事中断。

6月2日 解体工事協定書を住民と業者が結ぶ。

6月 アスベスト除去工事完了。

原告 近隣住民25名(就業者含む。)

被告 建物所有者(解体目的で購入)

解体業者 請求 損害賠償

(*建材の専門家が専門委員となる。)

和解 約300万円

訴訟 平成18年 提訴

-73-事例2

文京区立S保育園改修工事 アスベスト曝露事件

保育園で、平成11年 1999 年に改修工事。

アスベストの飛散する場所で保育した。

文京区の安全配慮義務違反等。

平成15年 1次提訴

平成16年 訴訟上の和解

さしがや写真 3枚 さしがや保育園アスベスト飛散 事件訴訟

1次原告 園児・保護者6名(全園児108名のうち)

2次原告 園児・保護者2名

被告 文京区,改修業者,電気設備業者,

水工事業者 請求の趣旨 損害賠償金

司法改革のモデルケース ・プロセスカード

・陳述録取制度的運用

・証拠開示的扱い

発症リスク上昇 ・約1週間で東京大気での一生分との報告書。

-74-事例3

神奈川県の綾瀬市立小学校 煙突解体事件

煙突内のアスベストを除去せずに解体 生徒在校中

コンクリートとしてリサイクル(再生砕石)

途中で気付いた住民が知らせる。

工事中断 リサイクル先不明

住民訴訟(違法工事の費用返還を求める)

建設リサイクル法

・危険なアスベストはリサイクルできない

解体・改修前に除去しなければならない。

分別解体計画

契約締結前に、文書で説明する義務を負う

(建リ法12条)

・契約締結前の説明義務は、調査義務を要するか?

要する が簡略なもので足りるとされた

(横浜地裁判決)

⇔見積金額を途中変更せず、無いとして、事故多数!

より慎重な調査義務があると解すべき。(要改正)

事例4

レベル3の飛散と、土壌汚染

H23年 9月 台風で外壁スレートが飛ぶ。

10月 住民説明会では三浦市も立会い、

手ばらし・湿潤化を約束。

21 26日 ハンマー・電動のこぎりで叩き割る。

隣地へアスベストスレートが飛散。

-75-

-76-事例5

周辺住民とのリスクコミュニケーションで アスベスト飛散が防止できたケース

【概要】厚生年金会館(新宿区)の解体工事における 石綿飛散・曝露防止の立入り調査

【当事者】 ① 土地・建物購入企業(カメラ・家電量店)

② 解体事業者

③ 解体現場に隣接する区立保育園保護者

【時期】 2010年2月頃から11月頃

【経過】 説明会、協定交渉、立入り調査、改善

協定要求と、合意への流れ

<住民の要求>

①立入調査(新宿区の指定する者による)

⇒アスベスト対策漏れを指摘できた。

②飛散事故時の対応の取決め

・ 0.6 本 / リットルを超えたら工事中止、

・あらかじめ決めておいた転園先に転園できる。

<協定難航>⇒住民のビラまき 工事業者は肯定

新宿区は渋る

工事業者が工事進行の為、協定への動き

周辺住民とのリスクコミュニケーション

周辺住民は、

①工事によってリスクを負わされる恐れがある。

②工事によって金銭的利益をえない。

+ 情報があれば + 専門家の協力で

法的・社会的サポート

・利益相反禁止規定・分離発注を環境法に導入を。

・罰則の強化と発動を。

・補助金制度の活用を促進すること。

・自治体・弁護士など法的インフラの充実を

(解体・改修・不動産売買・破産処理・空き家対策に

-77-アスベスト処理と 廃棄物処理法

東京弁護士会 公害・環境委員会 アスベスト部会

1

アスベストと廃棄物処理法との関係

Q.廃棄物処理法は何を規制しているか アスベスト含有廃棄物の

排出時から最終処分(埋立処分)まで