第 4 章 不均一支持箇所の軌道座屈発生への影響
4.3 座屈リスク箇所の簡便な抽出法の検討
4.4.5 座屈発生温度上昇量の推定と座屈リスク箇所の抽出
(1)検討方法
以上の検討結果を踏まえ,4.3節で検討した営業線の対象区間における座屈発生温度上昇量 TA
の推定を試みる.推定は図4-19のフローに従い,以下の通り行った.
・浮きまくらぎ検出手法により,自重作用時の道床面死荷重 P を求め,道床横抵抗力を設定する.
・道床横抵抗力分布と,全支持ケース TA 時のレール変形形状より,まくらぎ11本分の ES を求 め,式(4-4)を用いて TA を推定する.
・この処理をまくらぎ1本ずつずらして繰返し行い,TA の分布を作成する.
ここで,道床横抵抗力分布については図 4-5 のものを,全支持ケース TA 時の変形形状につい ては図4-11および図4-14のものを用いた.
式(4-3)
(2) 全支持ケース TA 時のレール変形形状(11本分)
ES
まくらぎ位置
……
(3) 道床ひずみエネルギー ES の算出
TA
まくらぎ位置
… 式(4-4)
(4) 座屈発生温度上昇量 TA の算出 y
まくらぎ位置 1本ずつずらす 頂点
(1) 道床横抵抗力分布 g0=μ×(2W +P) (P は浮きまくらぎ検出手法で算出) g0
まくらぎ位置
図4-19 営業線軌道を対象とした TA の推定フロー
57 (2) 検討結果
図4-20に TA の推定結果の一部を示す.最終道床横抵抗力 g0 の値,浮きまくらぎ箇所,およ
び前 4.3.4 項で TA の推定精度が良好であった,初期軌道変位の頂点と TA 時の最大変位箇所が
合致した箇所も併せて示した.これによると,推定した TA は解析ツールで算出した TA の形状を 概ね正しく推定できていることがわかる.TA が周囲より低く,その極小値となっている箇所は,
初期軌道変位の頂点と TA 時の最大変位箇所とが一致しており,良好な推定精度が得られている.
図 4-21 に浮きまくらぎ区間における TA の推定結果と解析ツールで求めた結果との比較を示 す.ここで,凡例は連続浮きまくらぎの本数を示し,同一連続まくらぎ区間ではその TA の最小値 をそれぞれプロットしている.この図より,両者は相関係数0.92と良好な推定結果が得られてお り,今回提案した手法を用いて,TA が相対的に低くなる座屈リスク箇所については概ね良好に推 定することができると考えられる.
なお,本節で用いたレール変形形状,ES 算出に用いるまくらぎ本数,および式(4-4)については,
表 4.2~表 4.4 で示した軌道の諸元および式(4-1)で示した初期軌道変位によって決定される.し
たがって,これらと異なる諸元で検討を行う場合は,別途同様の検討により適正なものを設定す る必要がある.
0 2 4 6 8 10 12 14 16
20 30 40 50 60 70 80
0 10 20 30 40 50 最終道床横抵抗力 g ( kN)
0座屈発生温度上昇量 T
A( ℃ )
まくらぎ番号
図4-20 営業線軌道を対象とした TAの推定結果の抜粋 解析ツールで算出したTA 推定したTA
最終道床横抵抗力g0 ○ 浮きまくらぎ箇所
♢ 解析ツールの計算により頂点=最大変位となった箇所
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図4-21 TA の推定値と計算値の比較
52 54 56 58 60 62 64 66 68 70 72
52 54 56 58 60 62 64 66 68 70 72 解析ツールで求めた T
A( ℃ )
推定したT
A(℃)
1本 2本 3本 4本 5本 6本
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