第1章 総説
第3節 教育課程の役割と編成等
1 教育課程の役割
各幼稚園においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並び にこの幼稚園教育要領の示すところに従い,創意工夫を生かし,幼児 の心 身の発達 と幼稚 園及び地 域の実 態に即応 した適 切な教育 課程を 編成するものとする。
また,各幼稚園においては,6に示す全体的な計画にも留意しなが ら,「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を踏まえ教育課程を編 成すること,教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこ と,教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともに その改善を図っていくことなどを通して,教育課程に基づき組織的か つ計 画的に各 幼稚園 の教育活 動の質 の向上を 図って いくこと (以下
「カリキュラム・マネジメント」という。)に努めるものとする。
(1)教育課程に関わる法令等
幼児は,家庭,地域社会,幼稚園という一連の流れの中で生活してい る。特に,教育基本法第 10 条で示されているとおり,家庭は子供の教育 について第一義的責任を有している。幼児が望ましい発達を遂げていく ためには,家庭との連携を十分図って個々の幼児に対する理解を深める とともに,幼稚園での生活の様子なども家庭に伝えていくなど,幼稚園 と家庭が互いに幼児の望ましい発達を促すために思っていることを伝え 合い,考え合うことが大切である。
幼稚園では,幼稚園教育要領第1章総則の第1に示す幼稚園教育の基 本に基づき,幼稚園生活を展開し,その中で幼稚園教育において育みた い資質・能力を育んでいく。幼稚園は,そのことにより,学校教育法第 23 条の幼稚園教育の目標を達成するよう努めなければならない。幼稚園 においては,幼稚園教育の目標に含まれる意図を十分に理解して,幼児 の健やかな成長のために幼児が適当な環境の下で他の幼児や教師と楽し く充実した生活を営む中で,様々な体験を通して生きる力の基礎を育成 するようにすることが重要である。
学校教育法第 22 条では,「幼稚園は,義務教育及びその後の教育の基 礎を培う」とあり,これは幼児期の特性を踏まえた幼稚園教育をしっか りと行うことが,義務教育及びその後の教育の基礎を培うことにつなが ることを意味している。
幼稚園教育要領では,発達の側面から,心身の健康に関する領域「健
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康」,人との関わりに関する領域「人間関係」,身近な環境との関わり に関する領域「環境」,言葉の獲得に関する領域「言葉」,感性と表現 に関する領域「表現」としてまとめ,示している。幼稚園では,これら に示す「ねらい」が総合的に達成されるよう教育を行うことにより,生 きる力の基礎を育成している。そして,その成果が小学校につながり,
より豊かな小学校生活が送れるようになる。なお,幼稚園教育は,義務 教育の基礎を培うことはもとより,義務教育以降の教育の基礎,つまり 生涯にわたる教育の基礎を培う重要なものであることを忘れてはならな い。
例えば,幼稚園においては,幼児はそれぞれの興味や関心に応じ,直 接的・具体的な体験などを通じて幼児なりのやり方で学んでいくもので あって,小学校以降の学習と異なり,教師があらかじめ立てた目的に沿 って,順序立てて言葉で教えられ学習するのではない。幼児が,遊びを 通じて,学ぶことの楽しさを知り,積極的に物事に関わろうとする気持 ちをもつようになる過程こそ,小学校以降の学習意欲へとつながり,さ らには,社会に出てからも物事に主体的に取り組み,自ら考え,様々な 問題に積極的に対応し,解決していくようになっていく。幼児期に多様 な体験をし,様々なことに興味や関心を広げ,それらに自ら関わろうと する気持ちをもつことは,幼児期から育むことが重要である。
(2) 適切な教育課程の編成
教育課程の編成に当たっては,国立,公立,私立を問わず,全ての幼 稚園に対して,公教育の立場から,教育基本法や学校教育法などの法令 や幼稚園教育要領により種々の定めがなされているので,これらに従っ て編成しなければならない。その際,幼稚園の長たる園長は,幼稚園全 体の責任者として指導性を発揮し,全教職員の協力の下,以下の点を踏 まえつつ編成しなければならない。
(ア) 幼児の心身の発達
幼稚園において教育課程を編成する場合には,幼児の調和のとれた 発達を図るという観点から,幼児の発達の見通しなどをもち,教育課 程を編成することが必要である。
(イ) 幼稚園の実態
幼稚園規模,教職員の状況,施設設備の状況などの人的・物的条件 の実態は幼稚園によって異なっているため,教育課程の編成に当たっ ては,このような幼稚園の条件が密接に関連してくる。幼稚園の実態
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に応じて,効果的な教育活動を実施するためには,これらの条件を客 観的に把握した上で,特に,教職員の構成,遊具や用具の整備状況な どについて分析し,教育課程の編成に生かすことが必要である。
(ウ) 地域の実態
幼稚園は地域社会を離れては存在し得ないものである。地域には,
都市,農村,山村,漁村など生活条件や環境の違いがあり,文化など にそれぞれ特色をもっている。そのため,幼稚園を取り巻く地域社会 の実態を十分考慮して,教育課程を編成することが大切である。また,
地域の資源(近隣の幼稚園・認定こども園・保育所・小学校,図書館 などの社会教育施設,幼稚園の教育活動に協力することのできる人材 など)の実態を考慮し,教育課程を編成することが必要である。
なお,幼稚園における教育活動が,教育目標に従ってより一層効果 的に展開されていくためには,保護者や地域住民に対して幼稚園の教 育方針,特色ある教育活動や幼児の状況などの基本的な情報を積極的 に提供し,保護者や地域住民の理解や支援を得ることが大切である。
(エ) 創意工夫を生かすこと
幼稚園において,地域や幼稚園の実態及び幼児の心身の発達を十分 に踏まえ,創意工夫を生かし特色あるものとすることが大切である。
(3) カリキュラム・マネジメントの実施
それぞれの幼稚園は,その幼稚園における教育期間の全体にわたって 幼稚園教育の目的,目標に向かってどのような道筋をたどって教育を進 めていくかを明らかにするため,幼稚園教育において育みたい資質・能 力を踏まえつつ,各幼稚園の特性に応じた教育目標を明確にし,幼児の 充実した生活を展開できるような計画を示す教育課程を編成して教育を 行う必要がある。
幼稚園においては,編成,実施した教育課程が教育目標を効果的に実 現する働きをするよう,教育課程の実施状況を評価し,改善を図ること が求められている。教育課程の改善は,編成した教育課程をより適切な ものに改めることであり,幼稚園は教育課程を絶えず改善する基本的態 度をもつことが必要である。このような改善によってこそ幼稚園の教育 活動が充実するとともにその質を高めることができるのである。
その際,園長は,全体的な計画にも留意しながら「幼児期の終わりま でに育ってほしい姿」を踏まえて教育課程を編成すること,教育課程の 実施に必要な人的または物的な体制を確保して改善を図っていくことな
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どを通して,各幼稚園の教育課程に基づき,全教職員の協力体制の下,
組織的かつ計画的に教育活動の質の向上を図るカリキュラム・マネジメ ントを実施することが求められる。
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