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(8) 安間敏雄 「児童の権利条約は教育情報の開示を求めているか」 r教

  職研修総合特集No. 106情報公開読本』 (教育開発研究所1993   年) 55頁

(9) 天笠・前掲145頁

(10) 安間・前掲56頁、 惣脇 宏「児童の権利条約における教育条項の   ポイント」 r「児童の権利条約」の要点と学校経営』 (教育開発研究所

   1994年) 45〜46頁も同趣旨

(11) 同趣旨伊藤公一 「児童の権利条約の意義」 ii「児童の権利条約」の要

  点と学校経営』(教育開発研究所1994年) 75頁

(12) 天笠・前掲145頁

(13) 安間・前掲56頁 なお、菱村幸彦 「児童の権i利条約と学校教育」

   r「児童の権利条約」の要点と学校経営』 (教育開発研究所1994年)

  45〜46頁、伯井美徳 「児童の権利条約が要請する教育を受ける権利   の範囲」 同154〜155頁も同趣旨

(14) 下村哲夫 「指導要録の開示請求に応じなければならないか」 r「児童

  の権利条約」の要点と学校経営』 (教育開発研究所1994年) 17

   1頁

(15) 広沢・前掲118〜119頁

(16) いわゆる高槻市内申書裁判において、原告側主張の中で児童の権利に

  関する条約第28条第1項(d)が援用されている。教育情報開示弁護

  団 r高槻市内申書開示請求事件の記録(増補第2版)』 (教育情報開

  示弁護団1991年) 110頁

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第III部教育の個人情報開示請求例に

       おける親の教育権の存在意義

13 内申書開示請求例にみる親の教育権

 親の教育権に基づく開示請求権については、先に親の教育権に絞りを繋げ、

限定した親の教育権に内在する知る権利乃至はプライバシー権iの概念を構成し たのであるが、この概念に基づく個人教育情報の開示請求は個別・具体的な事 例においてどのような存在意義を認められるのであろうか。個人情報保護条例 等を有している地方自治体において、教育情報の開示請求がかなりの件数行わ れており、個人情報保護審査会の答申例も見られる。訴訟で開示請求を争った 事例の少ない現時点では、この地方自治体の個人情報保護審査会答申のケース を取り上げ考察を加える意義があるものと考える。ここでは、高槻市における 内申書開示請求のケースについて若干の考察を試みたい。現在までのところ高

槻市においては、1991年1月7日と1992年1月6日の2件にわたって

内申書開示請求がなされている。後の1992年1月6日の開示請求に対する

個人情報保護審査会の答申については、前回の答申内容を継承したものとなっ

ているので、ここでは前回の1991年1月7日になされた開示請求を中心に

検討したい。

 まず、高槻市の内申書開示請求の概要について、少し長くなるが整理をして おきたい(D。

(1) 内申書開示請求の経過

 高槻市においては、1991年1月7日に高槻市個人情報保護条例に基づき

内申書の開示請求がなされた。この開示請求に対し高槻市教育委員会は1月1 6日文書不存在を通知した。請求人はこの文書不存在通知を実質非開示決定処 分と判断し、非開示決定処分取消を求め2月2日異議申立てをなした。高槻市 個人情報保護審査会は審査を開始し、2月28日全面開示の答申をなすも、高 槻市教育委員会は答申に対する態度未決定の態度をとり続け、6月7日に至っ

てようやく異議申立て棄却の決定を行う。請求人側は非開示処分取消請求訴訟 を6月20日大阪地方裁判所に提起し、現在裁判が継続中である。

(2) 個人情報保護審査会における当事者の主張及び答申の概要

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<1>請求人側の主張

 個人情報保護審査会の答申によれば異議申立て人(請求人)側の異議申立て の趣旨は概略次のとおりである。①実施機関による文書不存在通知は、実質上 の非開示決定処分に該当する。②内申書が第3者に提示されるものである以上、

その記載内容に誤りや恣意的な記載がないかを本人である生徒がチェックでき ることは、生徒の自己情報コントロール権(プライバシー権)から当然認めら れるべきである。③内申書の評価の公正さを保つためには、その内容を生徒や 保護者に開示し、批判や訂正要求にさらすことが必要である。④内申書の記載 内容が開示されないと生徒及び保護者は適正な進路決定を行うことができず、

進路決定についての自己決定権が保障されない。⑤本人に内申書が開示されれ ば生徒はその評価を参考に、自覚、反省を促され、さらに発達することができ、

たとえ本人に不利益な内容であっても、これを混入に開示し、意見表明の機会 を与えることが、本人にとって良い教育効果をもたらすことになる。⑥内申書 を開示することにより、親は子どもの教育状況を知り、子どもに対する教育の 内容の決定をし、学校、教師に対する教育要求権を適正に行使することができ、

親の教育権を保障することになる。⑦教育評価の内容を開示すれば、その内容 が生徒・保護者の納得のいくものであればその内容を知ることによって、納得 のいかないものであればそれについて討議を重ねることによって、生徒・保護 者は教師に対する信頼を持つことができるようになる。⑧教師の教育評価権と いえども絶対無制約のものではなく一定の限界が存在する。また、評価は一定 の基準に基づいてなされるべきものであり、主観的基準といえども客観的な説 明は可能である。⑨「生育歴等親子関係の事実」や「本人に関する病気」等の 事項を記載することは法の下の平等(憲法14条)に反するものであり、また 人格評価の記載は客観性が全く担保されておらず事実や評価の過程に誤解や偏 見が入り込む可能性が大きく、これを開示して、本人や保護者の異議申立ての 権利を認める必要がある。⑩開示による学校側の物理的対応が不可能であるこ

とによる混乱が生ずるとは考えにくい。

 以上の理由により、内申書は開示されるべきであると主張する。

〈2>教育委員会側の主張

 個人情報保護審査会の答申によれば実施機関(教育委員会)側の弁明の趣旨

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は概ね次のとおりである。①実施機関(教育委員会)のなした文書不存在の通 知は、異議申立て人(開示請求人)側が請求した時点では存在していないので 正当である。仮に、請求時期に本件文書が存在していたとしても、非開示処分 としたであろうから異議申立て人側が本件文書不存在通知を実質的に非開示処 分と解することに異議はなく、この非開示処分は③以下の理由で正当である。

②内申書は入試の命中学校長が作成するもので、入試の成績のみで合否を判定 する弊害を幾分でも回避し、内申書をも含めて総合的な観点から合否を判定す るものである。③内申書の作成は、教師の教育評価権の行使であり、もっぱら 教育的見地から公正な判断に基づき、できるだけ客観的に記載されることが望 ましいが、そのためには記載内容が秘密であることが制度上必要であり、これ によって公正さが担保される。④内申書を開示することにより生徒に対し、集 団における自らの序列や位置づけを認識させることは、教師や学校に対する反 感や不信感を抱かせることになり、開示によって教師と生徒・保護者間の信頼 関係を破壊することになる。⑤「総合所見欄」には、本人には知らせたくない が、今後の指導上志望校には知っておいてもらいたいと保護者が希望している と判断される事項や、本人に知らせない方が教育上望ましい事項が記載される 場合も考えられ、このような場合、開示することにより親子関係の崩壊や自己 の将来への絶望感、教師への不信感や遺恨等を招くことになる。⑥内申書作成 及び提出の時間的なことを考慮すると、開示により現場に対応で大変な混乱が 生ずる。また、評価をめぐって、保護者等から学校や教師に各種の圧力が加え られ、内申書作成や進路指導等の教育行政事務の公正かっ適切な執行の大きな 妨げとなる。⑦大阪府の公文書公開等条例の取扱い及び行政機関の保有する電 子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律では内申書は非開示となって

いる。

 以上の理由により、内申書非開示は正当であると主張する。

〈3>個人情報保護審査会の答申内容

 個人情報保護審査会は次のような理由でもって全面開示の答申を出した。ま ず、高槻市個人情報保護条例の基本的な考え方を述べ、例外的に非開示事項と されているものについては、 「条例の基本的な理念に照らせば、これらの例外 条項の運用については、本人の人権擁護の観点から、慎重に判断しなければな

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らない」とし、異議申し立ての対象となっている情報がこれらの例外条項に該 当するかどうかの検討をなしている。本件文書が、条例の例外条項の「本人に

知らせないことが正当であると認められる」(第13条第2項第2号後段)か

否かについては次のような理由を挙げ例外条項に該当しないとする。①教師が 教育評価権を有することと、内申書を開示することとは別の問題であって、教 師の教育評価権が尊重されなければならないのは、教師が教育者としての専門 的知識と経験に基づき、確信と責任を持って評価を行っているからであり、そ のような評価が行われている以上、開示することにより、教育評価が侵害され るとは考えられない。②内申書の評価は客観的になされており、教科の客観性 を示すことが困難な教科であっても、評価する以上は何らかの基準でなされて いるはずであり、その基準が合理的かつ適切であれば、それを開示することに より、生徒や保護者との信頼関係が損なわれるとは考えがたい。③総合所見欄 中に「生育心乱親子関係の事実」や「本人に関する病気」等の記載がなされて いるとすれば、そのこと自体高等学校入学者選抜には不要かっ不適切な記載で あり、むしろ本人に開示することにより記載内容の適正化をはかるべきである。

④開示をすれば、ほぼ全員の生徒が開示要求をし、教育現場に大混乱が生じる とする具体的根拠が示されていない。教師が確信と責任を持って評価したこと だけを記載していれば疑問・質問等には十分対応しうると考えられる。また、

条例の訂正要求権は、「事実の記載に誤りがある」ときにだけ限定しており機 能麻痒に陥るとする危惧は根拠がない。

 また、条例の、 「開示することにより、公正かつ適切な行政執行の妨げにな

る」(第13条第2項第3号)という事態も、作成が公正になされるようにす

でに対策がとられているので、開示により特に事態が変化するとは考えられな いし、中学校が確信と責任を持って調査書を作成していればこれに対し、充分 な対応ができるはずであるとし、第13条第2項第3号に該当しないとする。

 以上が、高槻市における内申書開示請求の概要である。

 さて、この高槻市の内申書開示請求のケースは、条例で具体化された個入情 報開示請求権に基づく開示請求であって、直接親の教育権に基づく開示請求と いう構成ではないが、親の教育権に基づく開示請求権に多大の示唆が得られる ものと思われる。

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