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年度資源変換・再生研究センターシンポジウム

ドキュメント内 研究業績・活動報告2008 (ページ 174-200)

The 2008 Asian Conference on Nanoscience and Nanotechnology (AsiaNANO2008)

平成 20 年度資源変換・再生研究センターシンポジウム

平成20年11月25,26日,於 東北大学さくらホール,参加者数:102名

主題:複雑な物質・材料への新たなアプローチ

(1) 同位体顕微鏡で覗く太陽系の起源

北海道大学理学研究院 圦本尚義 最近の研究により隕石中に太陽系誕生以前の物質が含まれていることが明らかになった。この物質は化学組成か らでは判別することができず、同位体組成によってのみ特定できる。同位体顕微鏡を用いたこれらの物質の研究 を進めることにより、太陽系の起源でとぎれていた我々の歴史が宇宙史の中に位置づけられる日が来ると考えら れ、それらの研究例が紹介された。

(2) 鉄鋼資源制御のための評価・解析

新日本製鐵(株) 齋藤公児 ここ数年で鉄鋼業を取り巻く環境は劇的な変化を遂げている。それは、原燃料の種類の大幅な拡大と安価原燃料 の多量使用等の鉄鋼プロセスにおけるインプット条件の変化とエネルギー・環境問題の顕在化に伴う鉄鋼プロセ スからのアウトプット条件の変化の2点である。従来の予想を超えたこの劇的な環境変化には、必ずその問題点 を解決するための評価手法が必要であり、ここでは講演者らが取り組んできたいくつかの分光法を利用した鉄鋼 の資源評価やプロセス応用の実例が示された。

(3) スラグ中の有害元素の解析と制御

東北大学多元研 中村崇 スラグは主に金属製錬から排出される。それらのスラグの有効利用を行うには、有害元素の溶出規制をクリアー することが必要である。講演ではスラグの構造解析手法と溶出試験について簡単に整理し、具体的な例として下 水汚泥スラグからのCrの溶出とスラグ中のCrの形態が強く相関があることが示された。

(4) 金属素材プロセス副生成物の評価と制御

東北大学多元研 鈴木茂 金属素材プロセスの分野では多量の素材が生産されるため、副生成物中の有害元素を制御することが期待されて いる。これらの課題中で、非鉄製錬において発生する代表的な有害元素である砒素の固定化反応、および鉄鋼製錬 で発生するスラグ中の化学状態を、X線吸収分光法、X線光電子分光等の手法により調べた結果についての紹介が あった。

(5) 時間分解X線回折による一方向急冷凝固素過程解析

住友金属工業(株)  米村光治 放射光施設に実際に溶接機を持ち込み、回折結晶学的検討に基づいた装置開発により、溶接中に一方向成長する デンドライトからの微弱回折の複雑な変化を最速0.01sの時間分解能で二次元時系列観測した。さらに、急速昇 温・冷却過程で生じる諸現象の理解に焦点をおき、逆格子空間での時系列結晶構造解析により、一方向凝固素過程 を定量的に評価した結果を示した。

(6) 鋼中の微量Cuが関わる硫化物析出現象の解析

JFEスチール(株)  石黒康英 鋼中の析出現象を理解するに当って、形態別定量法は有効な実験手法である。形態別定量は、析出量を析出物全体

の総量で捉えるのではなく、個々の析出物種類毎の定量を行うことを指し、IF鋼の場合、TiCやTi4C2S2などの 個々の炭化物を、種別毎に定量的に把握する方法である。講演では、微量Cuが硫化物形成する事実とその析出挙 動についての紹介と共に、硫化物の形態別定量の際には、Cu-SによるS析出量を考慮することによって正確な形 態別定量法の実践が可能であることなどを提案した。

(7) 透過電子顕微鏡による先端材料評価

東北大学多元研  進藤大輔 透過電子顕微鏡を用いた材料の評価の新たなアプローチとして、ここでは電子線ホログラフィーによる電場と磁 場の解析について述べた。帯電効果に関する電場の解析では、新規に開発した2探針ピエゾ駆動ホルダーを活用 した電気的シールドの導入が有効であることを示した。また、交流磁場印加下での磁化過程の観察には、ローレン ツ顕微鏡法によるその場観察を適用した結果も示した。

(8) 放射光X線による先端材料のダイナミックス解析

日本原子力研究開発機構 水木純一郎 放射光X線の特長を生かした研究や材料評価・解析キーワードとして「in situ観察」、「極端条件」、「ダイナミッ クス」があげられる。これらは放射光X線が高輝度、高指向性、エネルギー可変性の特性を持つことに起因して いる。ここでは、特にin situ条件下での様々なダイナミックスに注目した物質・材料研究を紹介し、それによっ て新しく観えてきた材料の特徴について紹介があった。

(9) 中性子を用いた材料組織の解析

茨城大学理工学研究科 友田陽 中性子散乱回折法は材料の結晶構造解析からナノ・ミクロ組織の定量測定に有効な測定手法である。機械的性質 と組織因子を関係づけるには材料試験片サイズを対象とした組織の巨視的平均を測定することが望ましく、中性 子を使うと可能である。近々、J-PARC大強度中性子ビームの利用が可能になるので、加工熱処理など製造プロ セスの時分割測定によるその場測定の発展が期待される。それらに向けて、中性子散乱回折法による材料解析の 例が示された。

セミナー アクチノイドの化学

平成20年11月27-28日,於 東北大学多元物質科学研究所材料・物性総合研究棟,参加者数:27名

主題:アクチノイドセミナー ―原子力バンクエンド―

(1) 京大炉ホットラボラトリにおけるアクチニド化学研究 (京都大学原子炉実験所 藤井俊行) 京都大学原子炉実験所の現況、設備状況および現在進行中のアクチノイド化学研究全般についての紹介に引き 続き、濃厚電解質溶液中のアクチノイド元素の化学挙動に関する研究が紹介された。分光学的手法および電気化 学的手法を用いて溶融塩中でのアクチノイドイオンの存在状態を測定した結果より、水溶液中での存在状態と異 なる点および共通する点が整理された。

(2) 使用済燃料の乾式再処理におけるアメリシウム挙動の研究 (日本原子力研究開発機構 林 博和) 窒化物燃料を用いた新しい核燃料サイクルに対応した乾式際処理プロセス開発のための基礎検討として、プロ セス中でのアメリシウムの挙動を検討した。AmN試料の調製が行われ、これを用いてLiCl-KCl-AmCl3塩浴中 でのAmNの陽極溶解および陰極での回収挙動データの取得や、Amの化学形の検討が行われた。

(3) FLUOREX法におけるUF6に同伴するPuの回収 (日立製作所 笹平 朗) 乾式再処理法の一つであるフッ化物揮発法と現行の溶媒抽出法を組み合わせたハイブリッド再処理システム

「FLUOREX法」の研究開発の現状が紹介され、このプロセスの中で回収ウランに同伴するプルトニウムの回収

手段として検討されているウラン系吸着剤(UO2F2)の試験データが示された。

(4) ピリジン樹脂へのf元素吸着挙動とマイナーアクチノイドの分離 東京工業大学原子炉研究所 鈴木達也 新たに開発された3級ピリジン樹脂を用いて、マイナーアクチノイドとランタノイドの分離およびマイナーア クチノイド間の相互分離について検討が行われた。塩酸−メタノール混合溶媒系でのクロマト実験の結果より、用 いた樹脂はイオン交換性とソフトドナー性双方の特性を併せ持つことが分かった。これを利用したMOX燃料の リサイクル技術についても検討が行われた。

(5) ハイブリッドマイクロカプセルによる核種の選択的分離・回収 東北大学大学院工学研究科 三村 均 基体としてカルシウムアルギネートを用いた抽出剤内包マイクロカプセルを用いて、発熱元素(Cs, Sr)、白金族

元素(Pd, Ru, Rh)、オキソ酸イオン(Re, Mo)、アクチノイドとランタノイドの選択的分離回収の検討が行われ

分離データが示された。内包させる抽出剤を変えることにより、様々な精密分離が可能であることが示された。

(6) U(VI)-有機酸錯体の酸化還元挙動 電気化学的分析と微生物還元 日本原子力研究開発機構 鈴木義規

U(VI)‐有機酸錯体の還元挙動の電気化学的検討から、より安定な錯体ほどU(V)への還元がされにくくな

る事が示され、反応機構についても検討が行われた。得られた知見を基に、細胞分子表面のタンパク質c-type

cytochromeによるU(VI)−クエン酸錯体の触媒還元反応の電気化学的な検討が行われた。

(7) キャピラリー電気泳動による+3価ランタニド、アクチニド相互分離と移動度からの金属−配位子間結合

距離の導出 大阪大学大学院理学研究科 吉村 崇

キャピラリー電気泳動法を用いたAm(III), Cm(III), Cf(III), およびランタノイド(III)の相互分離が検討さ れ、分離挙動からアクチノイドイオンの2-ヒドロキシイソ酪酸イオンとの錯生成定数および、イオン半径が導出 された。またこれらのデータを基に、ランタノイド錯体の構造データを組み合わせることにより、アクチノイド錯 体の構造データの推定が試みられた。

(8) 核磁気共鳴法による二酸化アクチノイドの電子状態の微視的研究 日本原子力研究開発機構 徳永 陽 二酸化アクチノイドの基礎物性研究として、低温の電子状態の検討が核磁気共鳴法により行われた。世界で初め て取得された235UO2の四極子分裂によるNMRスペクトルおよび、U17O2, Np17O2スペクトルが示され、UO2 の双極子秩序やNpO2の八極子秩序について検討が行われた。

(9) 選択硫化反応を用いた再処理法の研究−マイナーアクチノイドの挙動について− 東北大学多元物質科学研 究所  桐島 陽

現行のPUREX法に変わる使用済核燃料の半乾式再処理法として硫化物法の検討が行われた。X線回折を用い

たマクロスケールでの検討結果からウランを酸化物としたまま、FPを選択的に硫化することが可能であることが 示され、236Pu,241Am,239Np,152Euといったトレーサーを用いた検討結果から、硫化物を利用した再処理法の 概念的成立性が示された。

ドキュメント内 研究業績・活動報告2008 (ページ 174-200)