• 検索結果がありません。

第 6 章 発生頻度が高い凶悪犯罪の研究

3 年少者対象の性犯罪における犯人の犯罪経歴推定(研究 8 )

渡 邉・鈴 木・田 村(

2001

)は ,年 少 者 対 象 の 連 続 強 姦 ,連 続 強 制 わ い せ つ 犯 の 犯 罪 経 歴 は 多 岐 に わ た る も の , 性 犯 罪 の 経 歴 が 最 も 高 く , し か も 年 少 者 へ の 犯 行 割 合 が 高 く ,初 犯 に 比 べ て 犯 罪 経 歴 者 の 再 犯 率 が 高 く , 特 に 男 児 対 象 の 場 合 は ,

6

割 が 再 犯 者 で あ っ た と 指 摘 し た 。宮 脇(

2013

) は , 男 児 を 対 象 と し た 男 性 の 強 制 わ い せ つ 犯 を 分 析 し , 犯 罪 経 歴 者 に よ る 犯 行 が

5

割 強 で あ り , う ち 性 犯 罪 が

4

割 弱 を 占 め た と 指 摘 し て い る 。

ま た ,渡 邉・ 藤 田・ 和 智・ 横 田・ 佐 藤(

2007

)は ,年 少 者 対 象 の 強 制 わ い せ つ 犯 の 再 犯 リ ス ク 要 因 を 分 析 し た 。 そ の 結 果 , 犯 人 が

18

歳 以 上 で あ り , か つ 被 害 者 が 親 族 以 外 の 場 合 ,「 性 犯 罪 の 前 科 前 歴 で

2

回 以 上 有 罪 判 決 ,も し く は 性 犯 罪 で

3

回 以 上 逮 捕 」の 経 歴 を 持 つ 者 は ,ほ か の 性 犯 罪 者 に 比 べ て 再 犯 リ ス ク が

4

倍 高 く ,実 際 に

5

割 が 再 犯 者 で あ っ た と 論 じ て い る 。

こ の よ う に , 先 行 研 究 で は , 年 少 者 対 象 の 性 犯 罪 は , 他 の 性 犯 罪 よ り も 性 犯 罪 経 歴 者 の 割 合 が 高 い と い う の が 共 通 し た 見 解 で あ る 。 現 状 の 捜 査 環 境 を 考 慮 す る と , 犯 罪 捜 査 に よ る 性 犯 罪 の 再 犯 者 対 策 に は ,「

DNA

型 鑑 定 に よ る 再 犯 者 割 出 」,「 再 犯 性 が 高 い 性 犯 罪 経 歴 者 の 監 視 」,「 性 犯 罪 監 視 に よ る 再 犯 者 割 出 」 等 の 方 法 が 選 択 肢 と し て あ げ ら れ る 。

こ の う ち , 第

1

の 手 法 で あ る

DNA

型 鑑 定 は わ が 国 で も 制 度 化 さ れ て い る が ,す べ て の 性 犯 罪 経 歴 者 が 登 録 さ れ て い る わ け で は な い 。第

2

の 手 法 で あ る 再 犯 性 の 高 い 性 犯 罪 者 の 監 視 は ,先 述 し た 渡 邉・藤 田・和 智 ・ 横 田・佐 藤(

2007

)の と お り ,再 犯 リ ス ク の 高 い 性 犯 罪 経 歴 者 の 特 徴 が 判 明 し て お り , こ れ ら の 知 見 も 参 考 に 再 犯 防 止 措 置 が 進 め ら れ て い る 。

8 岩 見 (2013b) に 掲 載 さ れ た 内 容 を 再 編 集 し た も の で あ る 。

150

3

の 手 法 で あ る 性 犯 罪 監 視 に よ る 再 犯 者 割 出 は ,現 在 の と こ ろ ,捜 査 員 の 経 験 に よ っ て 実 施 さ れ て い る が , 性 犯 罪 経 歴 の 有 無 を 識 別 で き る 知 見 は 決 し て 多 く な い の が 現 状 で あ る 。

本 研 究 で は , 日 常 的 に 発 生 す る 性 犯 罪 を 監 視 し , 再 犯 者 を 割 り 出 す 第

3

の 手 法 を 補 う た め に

2

つ の 研 究 目 的 に つ い て 検 討 し た 。第

1

研 究 は「 性 犯 罪 経 歴 者 の 割 合 が 高 い 事 件 特 徴 の 把 握 」で あ り ,第

2

研 究 は「 性 犯 罪 経 歴 推 定 に お け る 第

1

研 究 結 果 の 適 用 可 能 性 」 で あ る 。

方法

1982

年 か ら

2004

年 の 間 に 検 挙 さ れ た 年 少 者 対 象 の 強 姦

1,159

事 例 及 び 強 制 わ い せ つ

7,516

事 例 を 分 析 対 象 と し , そ れ ぞ れ 分 析 し た 。 強 姦 , 強 制 わ い せ つ に お け る 性 犯 罪 経 歴 者 の 割 合 は , と も に

27

% で あ っ た 。

(1)第 1 研究 の方 法

性 犯 罪 経 歴 者 の 割 合 が 高 い 事 件 を 把 握 す る た め に ,

EXHAUSTIVE CHAID

に よ る 決 定 木 分 析 を 用 い た (

IBM SPSS Statistics 19

)。 従 属 変 数 は 性 犯 罪 経 歴 の 有 無 , 独 立 変 数 は 犯 行 特 徴 及 び 観 察 可 能 な 犯 人 特 徴 と し た 。 ツ リ ー の 最 大 深 度 は

3

か ら

10

, 親 ノ ー ド 最 小 ケ ー ス

50

, 子 ノ ー ド 最 小 ケ ー ス

25

に 設 定 し た 。 ノ ー ド

0

で あ る 全 体 の 性 犯 罪 経 歴 者 率 を カ ッ ト オ フ 値 と し , 同 率 以 上 の ノ ー ド に 該 当 し た 場 合 , 性 犯 罪 経 歴 者 の 割 合 が 高 い 事 件 特 徴 と み な し た 。さ ら に ,

10

交 差 検 証 法 を 実 施 し ,決 定 木 の 精 度 及 び そ の 安 定 性 を 確 認 し た 。

10

交 差 検 証 法 は , 元 デ ー タ を

10

個 の ブ ロ ッ ク に 分 割 し , ひ と つ め の ブ ロ ッ ク を テ ス ト デ ー タ , そ の 他 の ブ ロ ッ ク を ト レ ー ニ ン グ デ ー タ と し て ,モ デ ル の 構 築 と 精 度 を 算 出 す る 。 次 に , ふ た つ め の ブ ロ ッ ク を テ ス ト デ ー タ に し て , 同 様 の 作 業 を 繰 り 返

151

し ,

10

回 算 出 さ れ た 精 度 の 平 均 を ,そ の モ デ ル の 推 定 精 度 と す る 方 法 で あ る 。

(2)第 2 研 究の方 法

年 少 者 対 象 の 強 制 わ い せ つ の み 検 証 し た 。 決 定 木 分 析 デ ー タ に は 含 ま れ な い 犯 人

42

名 の 同 種 解 決 事 例 を 検 証 用 デ ー タ と し , 第 一 研 究 の カ ッ ト オ フ 値 に 基 づ い て 性 犯 罪 経 歴 の 有 無 を 判 定 し た 。 複 数 ノ ー ド に 該 当 す る 事 例 は 判 定 不 能 に な る た め , 複 数 分 岐 直 前 ノ ー ド の 性 犯 罪 経 歴 者 率 を 用 い て 判 定 し た( 図

6-5

を 参 照 )。ま た ,ツ リ ー 最 大 深 度

3

か ら

10

ま で の 判 定 精 度 を 比 較 し た 。

6-5

複 数 ノ ー ド に 該 当 す る 事 例 の 判 定 方 法 の 例

結果

(1)第 1 研究 の結 果

決 定 木 分 析 の 結 果 , 年 少 者 対 象 の 強 姦 , 強 制 わ い せ つ に お い て , カ ッ

152

ト オ フ 値 以 上 の 性 犯 罪 経 歴 者 率 を 有 す る 事 件 特 徴 は , 図

6-6

の と お り で あ っ た 。

6-6

性 犯 罪 経 歴 者 の 割 合 が 高 い 事 件 特 徴

ま ず , 強 姦 で は ツ リ ー 最 大 深 度

10

の 場 合 , カ ッ ト オ フ 値 以 上 の 事 件 形 態 が

8

種 類 抽 出 さ れ た 。 図

6-6

に 示 し た と お り , 同 事 件 の 主 な 特 徴 と し て は ,「 犯 行 用 具 準 備 」,「 犯 人 の 年 代 」,「 追 尾 」,「 路 上 等 」,「 学 校 等 」,

「 下 見 」,「 脅 迫 言 動 」,「 被 害 者 情 報 の 収 集 」,「 首 を 絞 め る 」,「 正 常 位 以 外 」 等 の 有 無 が 関 係 し て い た 。 こ れ ら の 特 徴 の 有 無 の 組 み 合 わ せ に よ っ て ,性 犯 罪 経 歴 者 の 割 合 が 変 動 し た 。カ ッ ト オ フ 値

27.0

% 以 上 の 経 歴 者 率 で あ っ た 性 犯 罪 経 歴 者 の 可 能 性 が 高 い 事 件 特 徴 は , 表

6-4

に 示 し た 。

153

6-4

性 犯 罪 経 歴 者 に よ る 犯 行 の 可 能 性 が 高 い 事 件 特 徴 ( 強 姦 )

事 件

形 態 経 歴 者 率 事 件 特 徴 (分 岐 順 序 ではない)

1 64.4% 追 尾 なく,路 上 等 で接 触 し,被 害 者 情 報 を収 集 する

2 58.3% 30 代 ・50 代 の犯 人 が,犯 行 用 具 準 備 し,住 宅 街 ・学 校 等 以 外 で接 触 し,被 害 者 情 報 を収 集 せず,首 を絞 めず,正 常 位 以 外 の体 位 はない

3 46.5% 学 校 等 で接 触 し,被 害 者 情 報 を収 集 せず,正 常 位 以 外 の体 位 はない 4 45.2% 被 害 者 情 報 を収 集 せず,正 常 位 以 外 の体 位 がある

5 40.5% 追 尾 なく,道 路 等 で接 触 せず,被 害 者 情 報 を収 集 する

6 38.8% 30 代 ・50 代 以 外 の犯 人 が,下 見 なく,学 校 等 以 外 で接 触 し,脅 迫 言 動 を用 い,首 を絞 めず,被 害 者 情 報 を収 集 せず,正 常 位 以 外 の体 位 はない

7 36.8% 学 校 等 で接 触 せず,首 を絞 め,被 害 者 情 報 を収 集 せず,正 常 位 以 外 の体 位 はない

8 27.6% 30 代 ・50 代 の犯 人 が,犯 行 用 具 準 備 し,学 校 等 以 外 の住 宅 街 で接 触 し,被 害 者 情 報 を収 集 せず,首 を絞 めず,正 常 位 以 外 の体 位 はない

次 に ,強 制 わ い せ つ で は ,ツ リ ー 最 大 深 度

7

の 場 合 ,カ ッ ト オ フ 値

27%

以 上 の 事 件 形 態 が

30

種 類 認 め ら れ た 。 ま ず , 犯 人 の 年 代 が 関 連 し て い た 。主 な 下 位 特 徴 と し て は ,「 犯 行 用 具 準 備 」,「 同 性 対 象 」,「 下 見 」,「 朝 」,

「 自 転 車 」,「 低 層 住 宅 」,「 入 れ 墨 等 」,「 自 称 」,「 偽 計 接 触 」,「 親 切 な 」,

「 威 力 接 触 」,「 脅 迫 言 動 」,「 暴 力 」,「 首 を 絞 め る 」,「 陰 茎 露 出 」,「 胸 陰 部 触 る 」,「 性 器 を 舐 め る 」,「 撮 影 等 」,「 精 液 を か け る 」,「 昼 夜 連 続 犯 行 」 等 の 有 無 が 関 係 し て い た 。 カ ッ ト オ フ 値 以 上 の 経 歴 者 率 で あ っ た 性 犯 罪 経 歴 者 の 可 能 性 が 高 い 事 件 特 徴 は , 表

6-5

に 示 し た 。

な お , 強 姦 の ツ リ ー 最 大 深 度

10

で は , カ ッ ト オ フ 値 を

50.0

% に 設 定 し た 場 合 の 決 定 木 モ デ ル 及 び

10

交 差 検 証 の 推 定 値 か ら , 正 答 率 は そ れ ぞ れ

75.2

% ,

71.6

% と 比 較 的 高 い も の で あ っ た 。た だ し ,性 犯 罪 経 歴 な し の 的 中 率 は

96.4

% と 極 め て 高 い も の の , 性 犯 罪 経 歴 あ り の 的 中 率 は

16.3

% と 低 く , カ ッ ト オ フ 値

50.0

% で の 性 犯 罪 経 歴 者 あ り の 識 別 力 は , 極 め て 低 か っ た 。

154

6-5

性 犯 罪 経 歴 者 に よ る 犯 行 の 可 能 性 が 高 い 事 件 特 徴( 強 制 わ い せ つ )

事 件

形 態 経 歴 者 率 事 件 特 徴 (分 岐 順 序 ではない)

1 69.9% 30から50代 の自 転 車 犯 が,他 施 設 等 で接 触 せず,脅 迫 言 動 を用 いる

2 68.8% 入 れ墨 等 がある30から50代 の自 転 車 を用 いない犯 人 が,日 中 に,屋 外 で偽 計 接 触 しない

3 62.5% 30から50代 の自 転 車 犯 が,空 き地 等 で接 触 し,脅 迫 言 動 はない

4 62.2% 40代 の自 転 車 を用 いない小 太 りでない犯 人 が,山 見 をして,表 通 り以 外 の屋 内 で 犯 行

5 62.1% 20代 ・60代 の犯 人 が,脅 迫 言 動 を用 い,首 を絞 め,陰 茎 露 出 せず,胸 陰 部 を触 り,精 液 はかけない

6 61.8% 20代 ・60代 の犯 人 が,脅 迫 言 動 を用 い,精 液 をかける

7 60.0% 入 れ墨 等 がない30から50代 の自 転 車 を用 いない犯 人 が,日 中 に屋 外 で男 児 に 対 し,親 切 なところをみせない

8 58.5% 20 代 ・60 代 の犯 人 が,陰 茎 露 出 し,脅 迫 言 動 を用 い,胸 陰 部 を触 り,精 液 をか けない

9 56.3% 30 から 50 代 の自 転 車 犯 が,空 き地 等 で接 触 なく,低 層 住 宅 で,脅 迫 言 動 を用 いず,暴 力 がない

10 55.6% 30 から 50 代 の自 転 車 を用 いない犯 人 が,下 見 せず,自 称 を用 い,他 の侵 入 方 法 によって屋 内 で犯 行 する

11 52.8% 30から50代 の自 転 車 犯 が,空 き地 等 以 外 で,脅 迫 言 動 を用 いず,暴 力 を振 るう 12 51.3% 入 れ墨 等 がない30から50代 の自 転 車 を用 いない犯 人 が,日 中 に屋 外 で親 切 な

ところをみせる

13 46.9% 30から50代 の自 転 車 犯 が,他 施 設 等 で接 触 し,脅 迫 言 動 を用 いる

14 45.5% 入 れ墨 等 がある30から50代 の自 転 車 を用 いない犯 人 が,日 中 に屋 外 で偽 計 接 触 する

15 44.0% 20 代 ・60 代 の犯 人 が,日 中 に道 路 等 で接 触 せず,年 少 者 を誘 い出 さず,脅 迫 言 動 を用 いないが,威 力 のある接 触 をする

16 43.4% 10代 ・70代 以 上 の犯 人 が,犯 行 用 具 を準 備 し,撮 影 等 する

17 43.2% 30 から 50代 の自 動 車 犯 が,下 見 せず,自 称 を用 い,他 の侵 入 方 法 を用 いず屋 内 で犯 行 する

18 41.3% 入 れ墨 等 がある30 から50代 の自 転 車 を用 いない犯 人 が,山 見 せず,自 称 を用 いず,低 層 階 以 外 の屋 内 で犯 行 する

19 40.3% 30 代 ・50 代 の小 太 りでない自 転 車 を用 いない犯 人 が,表 通 り以 外 で,下 見 をし て,屋 内 で犯 行 する

20 39.3% 20代 ・60代 の犯 人 が,道 路 等 で接 触 し,脅 迫 言 動 を用 いず,撮 影 等 する 21 38.9% 20 代 ・60 代 のバイクを用 いない犯 人 が,道 路 等 で接 触 し,脅 迫 言 動 を用 いず,

撮 影 等 せず,スプリー犯 行 する

22 37.9% 10代 ・70代 の犯 人 が,朝 以 外 の時 間 に,犯 行 用 具 準 備 なく,表 通 り以 外 で犯 行 する

23 36.5% 30から50代 の自 転 車 犯 が,夕 暮 れ以 外 の時 間 に,空 き地 等 や低 層 住 宅 で接 触 せず,脅 迫 言 動 を用 いず,素 手 の暴 力 もない

24 36.1% 10代 ・70代 の犯 人 が,朝 の時 間 に,犯 行 用 具 準 備 なく犯 行 する

25 34.1% 20代 ・60代 の自 動 車 を用 いない犯 人 が,脅 迫 言 動 を用 い,首 を絞 めず,陰 茎 露 出 せず,胸 陰 部 を触 り,精 液 はかけない

26 33.6% 入 れ墨 等 がない30から50代 の自 転 車 を用 いない犯 人 が,日 中 に屋 外 で,男 児 以 外 を対 象 に,親 切 なところをみせない

27 32.2% 10代 ・70代 以 上 の犯 人 が,鈍 器 ・緊 縛 以 外 の犯 行 用 具 を準 備 し,偽 計 接 触 し,

撮 影 等 しない

28 31.3% 20代 ・60代 の自 転 車 を用 いない犯 人 が,下 見 せず,自 称 なく,低 層 階 以 外 の屋 内 で,性 器 を舐 める

29 30.8% 20 代 ・60 代 の犯 人 が,脅 迫 言 動 を用 い,陰 茎 露 出 し,胸 陰 部 を触 らず,精 液 を かけない

30 27.6% 20代 ・60代 の犯 人 が,裏 通 り以 外 で,脅 迫 言 動 を用 い,陰 茎 露 出 せず,胸 陰 部 を触 らず,精 液 をかけない

155