第 5 章 発生頻度が低い凶悪犯罪の研究
4 司法機関を対象とした放火事件の犯行形態と犯人像(研究 )
本 研 究 の 分 析 対 象 で あ る 司 法 機 関 を 対 象 と し た 放 火 事 件 は , 取 り 締 ま る 側 が 犯 人 の 標 的 と な る た め , そ の 社 会 的 反 響 が 大 き く , 警 察 機 関 は 威 信 を か け た 捜 査 を 迫 ら れ る と 考 え ら れ る 。 ま た , 目 撃 情 報 が な い な ど , 容 疑 者 が 不 明 な 場 合 , 捜 査 が 長 期 化 す る 懸 念 が あ り , 捜 査 支 援 の 一 環 と し て , 犯 罪 者 プ ロ フ ァ イ リ ン グ 担 当 者 は , 事 件 発 生 当 初 か ら 分 析 要 請 に 備 え る 必 要 が あ る 。
こ の 種 の 捜 査 支 援 で は , 犯 行 形 態 に よ っ て は , 放 火 , 連 続 放 火 の 先 行 研 究 に お け る 知 見 が 十 分 に 利 用 で き る と 考 え ら れ る 。 し か し な が ら , 本 研 究 の 犯 行 対 象 が 特 異 な こ と か ら ,こ れ に 関 す る 先 行 研 究 が 皆 無 で あ り , こ の 種 事 件 に 限 定 し , 犯 行 特 徴 及 び 犯 人 特 徴 に つ い て 調 査 し た 結 果 を 記 述 す る こ と に 価 値 が あ る こ と か ら , 本 研 究 で は こ れ を 目 的 と し た 。
方法
1987
年 か ら2013
年 ま で の 検 挙 事 件 の う ち ,一 連 犯 行 に 司 法 機 関 の 関 連 施 設 が 含 ま れ る 放 火 事 件 を 収 集 し た 。本 研 究 で は「 司 法 機 関 」を 警 察 , 検 察 , 裁 判 所 と 定 義 し た 。 な お , 司 法 機 関 内 に お い て 取 調 べ 等 の 処 理 中 に 犯 行 に 及 ん だ 事 件 は 除 外 し た 。 共 犯 事 件 の 場 合 に お け る 犯 人 特 徴 は , 主 犯 格 の み 分 析 対 象 と し た 。最 終 的 な 分 析 対 象 者 は
83
名 で あ り , 犯 行 特 徴 及 び 犯 人 特 徴 を 収 集 整 理 し た 。 犯 行 特 徴 は , 犯 行 時 間 , 犯 行 場 所 , 犯 行 方 法 で あ り , 犯 人 特 徴 は , 連 続 性 , 犯 人 数 , 性 別 , 年 齢 , 職 業 , 犯 行 動 機 , 主 要 犯 罪 経 歴 , 精4 岩 見 (2014a) に 掲 載 さ れ た 内 容 を 再 編 集 し た も の で あ る 。
107
神 障 害 関 連 , 検 挙 経 緯 , 移 動 手 段 , 犯 行 移 動 距 離 等 で あ る 。 こ れ ら の 情 報 は
Microsoft Excel
に 入 力 し , 犯 行 特 徴 及 び 犯 人 特 徴 の 要 約 統 計 を 算 出 し た 。 ま た , 犯 行 移 動 距 離 に つ い て は72
名 が 計 測 可 能 で あ り ,IBM SPSS Statistics 19
に よ っ て 年 代 別 ,移 動 手 段 別 に 要 約 統 計 を 算 出 し た 。 ま た ,年 代 を20
代 以 下 と30
代 以 上 に 二 分 し ,対 数 変 換 し た 距 離 に つ い てt
検 定 を 実 施 し , 若 年 層 と そ れ 以 外 の 層 で 犯 行 移 動 距 離 に 違 い が あ る の か 検 討 し た 。結果
(1)犯 行 特 徴
表
5-6
は , 司 法 機 関 を 対 象 と し た 放 火 事 件 の 犯 行 特 徴 に 関 す る 要 約 統 計 で あ る 。表
5-6
犯 行 特 徴 に 関 す る 要 約 統 計 量犯 行 特 徴 特 徴 カ テ ゴ リ ー ( % )
犯 行 時 間 夜 間 (72.3% ): 夜 (80.0% ), 未 明 (20.0% )
日 中 (27.4% ): 朝 か ら 午 前 (43.5% ), 昼 か 夕 暮 れ (56.5% )
犯 行 場 所
警 察 関 連 施 設(91.6% ):交 番・派 出 所(51.3% ),駐 在 所(11.8% ),
警 察 署 (32.9% ), 警 察 本 部 (2.6% ), 官 舎 (1.3% ) 検 察 庁 関 連 施 設 (2.4% ): 区 検 察 庁 , 宿 舎
裁 判 所 関 連 施 設(6.0% ):簡 易 裁 判 所 ,家 庭 裁 判 所 ,地 方 裁 判 所 , 宿 舎
犯 行 用 具
ラ イ タ ー の み (16.9% )
ラ イ タ ー (88.8% ), ガ ソ リ ン (38.6% ), 灯 油 (20.5% ), 火 炎 ビ ン (10.8% ), 時 限 発 火 装 置 (1.2% )
被 害 関 係 者 と の 対 面 性
非 対 面 (76.8% ), 対 面 (23.2% )
対 面 犯 行 の 100.0% が 現 行 犯 逮 捕 , 非 対 面 で の 現 行 犯 逮 捕 は 28.6%
飲 酒 犯 行 あ り (6.0% )
現 場 再 訪・い 集・連 絡( 現
行 犯 逮 捕 を 除 く ) あ り (8.9% ) 犯 行 予 告 ・ 犯 行 声 明
あ り (6.0% )
通 信 手 段 は 電 話 の み ,3名 は 対 面 犯 行 ,2名 は 非 対 面 犯 行 で 別 件 に よ っ て 検 挙
108
犯 行 の
7
割 強 は ,夜 間 に お け る 犯 行 で あ っ た 。犯 行 場 所 は 警 察 関 連 施 設 が9
割 を 占 め , そ の ほ と ん ど は , 交 番 ・ 派 出 所 , 駐 在 所 , 警 察 署 と い っ た 最 前 線 施 設 を 対 象 と し た 犯 行 で あ っ た 。 非 常 に 稀 で あ る が , 警 察 , 検 察 庁 , 裁 判 所 , そ れ ぞ れ の 職 員 官 舎 や 宿 舎 が 対 象 に な っ た 事 例 も 認 め ら れ た 。犯 行 用 具 は ,複 数 の 犯 行 用 具 を 携 行 す る 者 が
8
割 を 占 め ,油 類 で は ガ ソ リ ン , 灯 油 の 準 備 が2
,3
割 で あ っ た 。被 害 関 係 者 と の 非 対 面 犯 が
7
割 強 を 占 め ,対 面 犯 の 場 合 は 全 て 現 行 犯 逮 捕 さ れ て い た 。 ま た , 現 行 犯 逮 捕 を 除 き , 犯 行 現 場 再 訪 ・ 野 次 馬 ・ 対 象 へ 連 絡 す る 者 は1
割 弱 認 め ら れ た 。な お ,犯 行 予 告 や 犯 行 声 明 は6.0%
あ っ た が , 連 絡 手 段 は 全 て 電 話 で あ っ た 。
(2)犯 人 特徴
表
5-7
は , 司 法 機 関 対 象 放 火 事 件 の 犯 人 特 徴 に 関 す る 要 約 統 計 量 で あ る 。ほ と ん ど が 単 発 事 件 で あ る が ,連 続 犯 が
1
割 弱 認 め ら れ た 。連 続 犯 の う ち , 司 法 機 関 の み を 対 象 と し た 連 続 放 火 は4
割 弱 で あ り ,6
割 強 は 犯 行 対 象 の 一 部 に 司 法 機 関 が 含 ま れ て い た 連 続 放 火 で あ っ た 。8
割 強 は 単 独 犯 に よ る 犯 行 で あ っ た 。 共 犯 事 件 で は 男 女 の 別 な く ,1
割 強 認 め ら れ , 犯 人 の 年 齢 も20
代 以 下 で あ っ た 。 犯 人 の 性 別 に つ い て は 男 性 が 主 で あ る が , 女 性 も1
割 弱 認 め ら れ た 。 犯 人 の 年 齢 は10
代 か ら60
代 ま で で あ り ,各 年 代 と も1
割 以 上 は 存 在 し た 。職 業 に つ い て は , 無 職 が 最 多 の4
割 強 で あ り ,次 い で 労 務 者 と な っ た 。学 歴 は6
割 が 中 卒 で , 高 卒 ま で 含 め る と9
割 を 超 え る 。精 神 病 , 放 火 癖 , 人 格 障 害 , ア ル コ ー ル ・ 薬 物 依 存 , 知 的 障 害 を 含 め
109
た 精 神 疾 患 等 が 認 め ら れ た 者 は
3
割 強 で あ っ た 。主 要 な 犯 罪 経 歴 は3
割 強 に 認 め ら れ た が , 後 述 す る 犯 行 対 象 と 関 連 が あ る 犯 行 動 機 に 関 連 し た 経 歴 ま で 含 め る と , そ の 数 は 過 半 数 と な る 。 な お , 過 去 に 司 法 機 関 対 象 に 放 火 し た 犯 人 は1
名 だ け で あ っ た 。 犯 人 の 移 動 手 段 は5
割 弱 が な し ,3
割 が 自 動 車 で あ り , 土 地 鑑 は ほ と ん ど の 犯 人 が 有 し て い た 。 検 挙 経 緯 に つ い て は , 犯 人 の 過 半 数 が 現 行 犯 逮 捕 も し く は 検 索 中 の 職 務 質 問 に よ っ て 判 明 し て い た 。 ま た , 初 動 捜 査 や 基 礎 捜 査 の 徹 底 に 関 す る も の が 全 体 の36.1%
を 占 め た 。表
5-7
犯 人 特 徴 に 関 す る 要 約 統 計 量犯 行 特 徴 特 徴 カ テ ゴ リ ー ( % )
連 続 犯 単 発 犯(90.4% ),連 続 犯(9.6% ): 司 法 機 関 の み 連 続(37.5% ),司 法 機 関 以 外 も 含 む (62.5% )
犯 人 の 数 単 独 犯 (84.3% ), 共 犯 (15.7% ):2か ら 5名
性 別 男 性(91.6% ):共 犯 事 件(15.6% ),女 性(8.4% ):共 犯 事 件(14.3% )
犯 行 時 年 齢
14か ら 68歳 , 平 均 年 齢 35歳
10代 (23.8% ),20代 (14.3% ),30代 (21.4% ),40代 (17.9% ),
50代 (11.9% ),60代 (10.7% )
共 犯 事 件 :10代 (92.3% ),20代 (7.7% ) 職 業 無 職 (45.7% ), 労 務 者 (27.2% ), 学 生 (9.9% ) 身 体 特 徴 入 れ 墨 ・ 身 体 欠 損 及 び 大 き な 傷 跡 (21.7% ) 学 歴 中 卒 (62.0% ), 高 卒 (29.6% ), 大 卒 (8.4% )
居 住 形 態 同 居 者 あ り (57.8% ), 独 居 (31.3% ), 住 居 不 定 (10.8% ) 犯 行 動 機 犯 行 対 象 と 関 連 あ り (68.7% ), 犯 行 対 象 と 関 連 な し (31.3% )
精 神 疾 患 等
あ り(36.9% ):ア ル コ ー ル(10.8% ),精 神 病(15.7% ),放 火 癖(3.6% ),
知 的 障 害 (3.6% ), 薬 物 (2.4% ), 人 格 障 害 (2.4% ) 精 神 疾 患 等 該 当 あ り の う ち , 現 行 犯 逮 捕 (67.7% ) 精 神 疾 患 等 該 当 な し の う ち , 現 行 犯 逮 捕 (32.7% )
主 要 犯 罪 経 歴
経 歴 あ り (39.1% ): 男 性 (37.3% ), 女 性 (60.0% ) 経 歴 な し (60.9% ): 男 性 (62.7% ), 女 性 (40.0% )
同 種 再 犯(1.2% ),犯 行 対 象 と 関 連 あ る 犯 行 動 機 に 結 び つ く 経 歴 を 含 め る と , 経 歴 者 は 過 半 数 を 占 め る
移 動 手 段 な し(48.2% ),自 転 車(10.8% ),オ ー ト バ イ(12.0% ),自 動 車(28.9% ) 土 地 鑑 あ り (97.3% ), な し (2.7% )
検 挙 経 緯
現 行 犯 逮 捕(45.8% ),聞 き 込 み(14.5% ),検 索 中 職 務 質 問(10.8% ),
取 調 べ (9.6% ), 別 件 検 挙(4.8% ), 映 像 解 析 (3.6% ), 被 害 関 係 者 情 報(3.6% ),自 首(2.4% ),刑 務 所 志 願(1.2% ),購 入 情 報 提 供(1.2% )
110
な お , 犯 行 動 機 は 多 岐 に わ た っ た が , 犯 行 対 象 と 関 連 の あ る 動 機 か 否 か と い う 視 点 に よ っ て 大 別 す る と , 表
5-8
の よ う に 整 理 可 能 で あ っ た 。 犯 行 動 機 の う ち ,犯 行 対 象 と 関 連 し た 動 機 は7
割 弱 で あ り ,そ の う ち の さ ら に7
割 が 犯 行 対 象 の 司 法 機 関 ,も し く は 勤 務 員 に 対 す る 逆 恨 み で あ っ た 。 逆 恨 み の 主 な 原 因 は , 職 員 の 応 対 , 交 通 関 係 , 保 護 に 関 す る も の で あ り , 他 に 刑 罰 , 職 務 質 問 , 補 導 , 犯 罪 容 疑 ,DV
関 連 , 督 促 状 , 制 度 へ の 不 満 等 が 認 め ら れ た 。 逆 恨 み 以 外 の 動 機 に は , 嫌 が ら せ や 脅 か し , 困 ら せ た い , 取 調 べ 回 避 等 が 認 め ら れ た 。 一 方 , 犯 行 対 象 と 関 連 の な い 動 機 の 場 合 , 愉 快 犯 ・ 自 己 顕 示 , 精 神 障 害 関 連 , う っ 憤 晴 ら し 等 が 認 め ら れ た 。表
5-8
犯 行 対 象 と の 関 連 別 に よ る 犯 行 動 機 の 詳 細犯 行 動 機 % 下 位 カ テ ゴ リ ー ( % )
犯 行 対 象 と 関 連 あ り 68.7%
逆 恨 み (71.9% )
他 に は , 嫌 が ら せ , 脅 か し , 抗 議 , 反 感 ・ 不 満 , 保 護 さ れ た い , 困 ら せ た い , 取 調 べ の 回 避 に 関 連 し た 動 機
逆 恨 み の 原 因
応 対 (34.1% ), 交 通 (24.4% ), 保 護 (7.3% )
他 に は ,刑 罰 ,職 務 質 問 ,精 神 疾 患 関 連 ,DV関 連 ,制 度 ,逮 捕 , 督 促 状 , 犯 罪 容 疑 , 補 導 等 に 関 連 し た 動 機
犯 行 対 象 と 関 連 な し 31.3%
愉 快 犯・自 己 顕 示(26.9% ),精 神 疾 患 関 連(19.2% ),
う っ 憤 晴 ら し (15.4% ), 自 暴 自 棄 (11.5% ), 逮 捕 さ れ た い (11.5% ) 等
次 に , 表
5-9
は , 移 動 手 段 別 に 住 居 と の 最 短 犯 行 移 動 距 離 を 比 較 し た も の で あ る 。中 央 値 比 較 で は ,距 離 の 短 い 順 に ,オ ー ト バ イ1.3km
,移 動 手 段 な し1.6km
, 全 体2.2km
, 自 転 車2.8km
, 自 動 車6.7km
と な っ た 。111
表
5-9
移 動 手 段 別 に よ る 住 居 と の 最 短 犯 行 移 動 距 離移 動 手 段 別 に よ る 住 居 と の 犯 行 移 動 距 離
(m) N 最 小 値 中 央 値 75% 点 最 大 値 平 均 値
な し 33 275 1,547 3,290 22,416 2,976
自 転 車 8 518 2,778 4,317 9,083 3,156 オ ー ト バ イ 10 378 1,246 2,718 5,609 1,883 自 動 車 21 637 6,684 9,722 47,364 9,712
全 体 72 275 2,145 5,205 47,364 4,809
さ ら に , 表
5-10
は , 犯 人 の 年 代 別 に よ る 住 居 と の 最 短 犯 行 移 動 距 離 で あ る 。中 央 値 比 較 で は ,距 離 の 短 い 順 に ,20
代1.3km
,40
代1.5km
,10
代2.0km
,60
代2.4km
,30
代3.2km
,50
代4.5km
と な っ た 。20
代 以 下(30
名 )と30
代 以 上(42
名 )の 間 で は ,最 短 犯 行 移 動 距 離 の 中 央 値 は ,そ れ ぞ れ1,683m
,2,687m
で あ っ た が ,対 数 変 換 し た 最 短 犯 行 移 動 距 離 を 比 較 と こ ろ ,統 計 的 に は 有 意 な 差 は 認 め ら れ な か っ た(t = -.40, df = 60.27
)。表
5-10
は , 犯 人 の 年 代 別 に よ る 住 居 と の 最 短 犯 行 移 動 距 離犯 人 年 代 別 に よ る 住 居 と の 犯 行 移 動 距 離
(m) N 最 小 値 中 央 値 75% 点 最 大 値 平 均 値
10代 19 442 1,994 4,332 9,083 2,990
20代 11 378 1,269 9,794 47,364 8,369
30代 16 411 3,156 8,793 45,766 6,926
40代 12 630 1,446 4,853 13,502 3,783
50代 7 728 4,403 6,684 8,043 4,058
60代 7 275 2,399 3,259 3,299 1,819
全 体 72 275 2,145 5,205 47,364 4,809
112
考察
司 法 機 関 を 対 象 と し た 放 火 の 検 挙 事 件 を 分 析 し た 結 果 , 犯 人 の 過 半 数 は 現 行 犯 逮 捕 も し く は 検 索 中 の 職 務 質 問 に よ っ て 判 明 し て い た 。 犯 罪 者 プ ロ フ ァ イ リ ン グ で は , 犯 行 件 数 が 少 な い 場 合 , 解 決 し た 類 似 事 件 に 関 す る 犯 行 移 動 距 離 を 利 用 し て , 犯 人 の 居 住 圏 等 を 推 定 す る こ と が 可 能 で あ る 。 特 に , 移 動 力 の 高 い 自 動 車 犯 の 場 合 , そ の 領 域 は 広 大 と な る が , 犯 行 動 機 や 犯 罪 経 歴 の 特 徴 を 活 用 し て 捜 査 対 象 者 た ち を 把 握 し , そ れ ら の 容 疑 性 の 検 討 材 料 に す る こ と が で き よ う 。
実 際 の と こ ろ , 犯 罪 経 歴 者 か ら 捜 査 対 象 者 を 探 す 場 合 に は , 犯 行 移 動 距 離 を 参 考 に 地 理 的 な 捜 索 範 囲 を 設 定 し , 犯 罪 経 歴 の 傾 向 を 考 慮 し て 捜 査 対 象 者 を リ ス ト ア ッ プ で き る 。 さ ら に , リ ス ト ア ッ プ さ れ た 捜 査 対 象 者 に つ い て , こ の 種 の 放 火 に 関 す る 犯 行 動 機 を 持 つ 可 能 性 が あ る か ど う か 検 討 す る こ と で , 捜 査 対 象 者 の 絞 り 込 み が で き る と 考 え ら れ る 。 犯 罪 経 歴 が な い 者 を 探 索 す る 場 合 に も , 地 理 的 な 捜 索 範 囲 を 設 定 し , 犯 行 対 象 機 関 と の 間 に 逆 恨 み 原 因 を 抱 え た 者 を 優 先 的 に 捜 査 対 象 と す る こ と が 可 能 で あ ろ う 。
一 方 , 犯 行 対 象 機 関 と の 間 に 何 ら 関 係 し な い 犯 行 動 機 を 持 つ 者 に つ い て は , お そ ら く , 通 常 の 連 続 放 火 も し く は 放 火 に お け る 犯 人 像 と か な り 酷 似 し た 者 に な る と 考 え ら れ る 。
放 火 は , 検 挙 事 件 の 情 報 か ら 判 明 し て い る 犯 行 情 報 は も と も と 乏 し い が , 現 場 に お け る 基 礎 捜 査 で は , 発 生 事 件 の 情 報 の な か に 犯 人 像 を 絞 り 込 め る 情 報 が 存 在 す る 可 能 性 が あ る た め ,事 例 分 析 が 非 常 に 重 要 で あ る 。 そ れ ら の 情 報 は 捜 査 部 門 , 鑑 定 及 び 捜 査 支 援 部 門 が 保 有 し て い る 可 能 性 が あ る 。 通 常 , 実 際 の 事 件 で は よ り 多 く の 捜 査 情 報 が 入 手 で き る と 考 え ら れ , 犯 人 絞 り 込 み に 有 力 な 情 報 を 積 極 的 に 活 用 し た 推 定 が 実 戦 的 な 手