81
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アフリカ連合(AU) 東アフリカ共同体(EAC) 東・南アフリカ市場共同体(COMESA)
【農業】
・アフリカでは人口の約4分の3は農村地域に住み、農業に頼って生計を立てている。
また、多くのアフリカ諸国では全体のGDPに占める農業の割合は非常に大きい。
・アフリカ大陸は肥沃な土地と自然資源に恵まれ、世界の耕作地の約60%はアフリ カにある。
・一方で、農業生産性は非常に低い。その理由の一つは、アフリカの農業に対する投 資が少ないことである。
【農産品加工】
・農業では生産性に課題があり、ポストハーベストロスが40%にも及ぶ穀物もある。し かし、同課題は同時に、農産品加工や農業ビジネスのこれからの成長可能性が高い ことも示している。
【農業生産・生産性、食糧の安全保障・栄養】
・農業は地域のGDPのうち36%を占める重要なセクター。ただし、人口増加に伴う食 料需要の高まり(年増加率5-10%)には対応しきれていない.。
【農産品加工】
・産業の魅力度はもっとも高く、(域内の指標では8.20ポイント)。そのためもっとも 高い成長が期待されるセクターである。
【農業】
・農業は地域のGDPのうち28%を占め、70%の労働人口が従事する重要セクター
(1997年時点、現状さらに重要度が増している国あり)。
・食糧安全保障(Dietary Energy Supplyでは15/21の国がアフリカ平均を下 回る、人口成長率3%に対して食糧生産成長は1.4%)と農業との関連産業とのリ ンクが課題。
・4“I”にフォーカスすることを打ち出している。(Incentive:農民が余剰作物をつくる ようなインセンティブ(農業市場の戦略的法規制整備、生産コスト低減のための研 究、マーケティングチャネル改善、加工技術改善)、Input:低い利率によるクレジッ ト提供、マーケティング、繁忙期の人員不足を補う機械化促進)、Institution:農 地改革、零細農民向けのトレーニング・研究・エクステンションサービスの充実、
Infrastructure:農村部道路や保管設備の整備)
・農産品の自由貿易が推進される
【漁業】
・Common Marine Fisheries Investment and Management Policy の 導入により、加盟国の近海の魚介類を確保し、Exclusive Economic Zone内の 魚介類流通を最大化する予定。
・HACCPをベースとした品質保証システムを導入により魚介類の輸出を促進する予 定。
・魚介類の高付加価値商品(加工品含む)の生産・加工・マーケティングの推進を 目指している。
【畜産】
・畜産業のGDPはCOMESA全体で670億USDに上り、サブサハラアフリカ全体の約 56%(1988年)を占める。
・生産性が低いが、給餌方法(量・質)の改善、病害虫被害の予防、飼育状況の 改善、を行うことで生産性向上が期待される。
・複数のagro-ecological zoneをつくる可能性があり、そこでは多様な農業を混合 させるとともに、栄養・健康管理、飼料管理、品種改良の取組みにより生産性が推 進される予定。
・生産性向上に向けてミルクと食肉を両方生産可能なヤギやヒツジによる付加価値 の高い生産が推進される予定。
【灌漑】
・農業生産性向上に重要となる灌漑への投資促進のための政策導入が予定されて いる。
教 育
N/A N/A N/A
農 業 対 象 セ ク タ ー
*
【
】 は サ ブ セ ク タ ー
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アフリカ連合(AU) 東アフリカ共同体(EAC) 東・南アフリカ市場共同体(COMESA)
水 N/A N/A N/A
医 療
・ 保 健
N/A 【医薬品】
・EAC Industrialization Policy2012-2032 においても重要セクターとされる。
産業の魅力度は第3位(域内の指標では6.8ポイント)。
・現状は、アフリカは現地生産は少なく輸入に頼っている。
・グローバル市場では現在US、EU、日本の売り上げが80%以上を占めるが、アフリカ は疾病の蔓延率の高さや人口の多さ、今後法整備が見込まれることなどから成長が 期待される。
N/A
観 光
N/A N/A ・地元企業と海外の起業家とのJV組成を促進する共同体の観光政策が予定されて
いる。
・安定的な産業成長が見込まれている。
・関連産業としてTransport and Communicationsが考えられ、この部分への投 資により相乗効果が期待できる。
・域内共通市場として観光産業の統合的プロモーションを実施予定。
・倫理要綱、ホテル格付けの標準化、ツアーや旅行の専門エージェント要件の標準 化が予定されている。
I C T サ ー ビ ス
N/A N/A ・経済界・産業界が活用するに堪えうる最新かつ信頼性の高い市場情報を提供でき
ていないことが課題である。
・上記を解決する情報技術導入とe-commerceの促進が予定されている。
そ の 他
( 二 次 産 業
、 三 次 産 業
)
N/A 【製造業】
・2015年には、GDPの8.2%を占め、さらに2050年までには40%の成長が見込ま れている。
・労働力を要する産業であるため、同セクターからは雇用創出が期待される。
【鉱業】
・鉱物資源が豊富で、同産業の加盟国におけるGDPに占める割合は高い。
・ただし必ずしも鉱業の活動から多くの生産価値や雇用が生まれているわけではな い。現状は多国籍企業が加工せず原料のまま輸出しているためである。
【建設業(住宅、都市開発等)】
・地域の経済成長の結果、交通ネットワーク等インフラの改善ニーズが特に高まってい る。
・Vision2050年の期間内に、建設セクターの構造、市場サイズ、企業にとっての主 なオポチュニティ等に関する詳細な分析を実施予定。
【銀行・金融サービス】
N/A
The AU Commission Strategic Plan 2014-2017 EAC Vision 2050 COMESA Strategy 根拠文書
対 象 セ ク タ ー
*
【
】 は サ ブ セ ク タ ー
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図表 3.6-2:共同体別注力分野(ECOWAS, SADC, 日本政府)
西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS) 南部アフリカ開発共同体(SADC) 日本政府(参考)
・エネルギー(*インフラに含まれる)
・市民社会
・インフラ ―交通 ―ICT/通信 ―エネルギー
・ICT(*通信に同じ。インフラに含まれる)
・貿易
・水
・農業
・医療/社会福祉
・通信(*インフラに含まれる)
・政治
・貿易/経済の自由化と発展
・地域統合と貧困削減に向けたインフラ支援 ―エネルギー
―観光(*インフラとは別セクターとする)
―気象 ―ICT/通信 ―交通
―水・衛生(*インフラとは別セクターとする)
―海運、港、内国水路(*交通に含まれる)
・持続可能な食糧の安全保障
・人間及び社会開発
I.経済成長の促進 1.貿易・投資 2.民間・公的セクター開発 II.インフラ整備・能力強化の促進 1.インフラ整備 2.人材育成 3.イノベーション、科学技術 III.農業従事者を成長の主人公に 1.農業
2.食料・栄養安全保障 IV.持続可能かつ強靱な成長の促進 1.環境・気候変動 2.防災
V.万人が成長の恩恵を受ける社会の構築 1.教育
2.保健 3.水・衛生
VI.平和と安定、民主主義、グッドガバナンスの定着 1.安全保障のための制度・管理能力強化 2.紛争予防・管理、平和の定着 3.国境を越える課題 4.民主主義・グッドガバナンス
【交通】
道路:ECOWAS Regional Road Transport and Transit Facilitaion Programmeに基づき、道路セクターの開発を進める予定。
航空輸送:Yamoussoukro Decisionに基づき、航空輸送の自由化、安全強 化、民間航空局のキャパシティ強化、航空会社の業務・企業間協力の推進などを実 施している。Air Transport Action Plan(2009-2015)に基づいてプログラム が実施されてきた。
【エネルギー】
・農村部では電気へのアクセスがあるのは5%のみである。
・地域全体でみても、他の地域共同体と比較して遅れをとっている。(SADC:居住 者の24 %、the Eastern Africa Power Pool area:36%, the Western African Power Pool:44 %)
【気象】
・地理的な理由で、天候に影響を受けるリスクが高い。
・特に農業や発電は影響を受けやすく、域内の約272百万人が被害を被る可能性 がある。そのため気象と関連するインフラは域内で優先分野である。
・その重要性から、1996年にはProtocol on Transport, Communications and Meteorology を採択し、今後の計画を策定している。
・広域インフラ(主要都市間を繋ぐ運輸回廊等)や安価、低炭素かつ信頼性の高い 電力供給における支援(特に、全ての人にエネルギーへのアクセスを確保するための 国連事務総長による「万人のための持続可能なエネルギー」イニシアティブを通じた支 援)が必要である。
・2012年-2020年の優先行動計画で示されたアフリカ大陸のインフラ整備には、
680億ドル又は今後9年間で年間75億ドルの資金が必要とされる。また、PIDAの 2040年までの長期実施に必要な資本コストは3600億ドル以上と推定されている。
・アフリカ大陸のインフラ・ギャップ、特にコスト全体の約95%を占めるエネルギーと運輸 の分野におけるインフラ・ギャップを埋めるには、より一層の民間投資が必要。
【ICTインフラ】
・ECOWAS ICT Policyを基に地域インフラ整備が進められており、ECOWAS Wide Area Network (ECOWAN)の建設が進められている。
・INTELCOM IIプログラムでは、ブロードバンド通信および海底ケーブル・インフラ整 備を促進している。2013年末までに、14メンバー国がケーブルでつながれた。
【エネルギー】
・Emergency Electrical Energy Supply Programmeは2013年に完了し た。
・新規に、①Emergency Programme for Electrical Energy Supply to Grand Banjul、②Emergency Programme for the Supply of Electrical Energy to Freetwon、③Special Programme for Maliの3プログラムに対し1 億800万ドルの予算が組まれた。
【ICTインフラ】
・2012年Regional Infrastructure Development Master Plan ICT Sector Planにて、2027年までの戦略を策定している。
・現状は、多くのICTインフラが域内で構築されているにもかかわらず他セクターの発展 の遅れにより有効活用されていない。例えば域内でわずか4%しかインターネットへのア クセスがない。(但し国によりばらつきがある。)
・ICTSector Planでは特に官民協力を強調し、民間の参入を促進している。
【交通】
・現状の道路、鉄道、港、空輸はおおむね需要を満たしているが、今後の発展に伴い さらなる交通ネットワーク構築が必要と見込まれている。
・2030年までには、域内内陸国は年平均8.2%で成長し5000万トンに至ると予測 されている。
・タンザニアの港やザンビア・コンゴ民の空港は2020年までには処理能力の100%ま で利用者が増加する見込みである。(SADCウェブサイトより)
農 業
・Regional Agricultural Investment Programme (RAIP)を基に、各国が National Agricultural Investment Plan(NAIP)を策定している。
・RAIPの主要要素は、①食糧安全保障と食糧主権、②地域農業開発のための環 境整備、③食糧の脆弱性の改善と安定した食糧へのアクセス確保、④ECOWAS のガバナンス、協力体制、モニタリング評価の実施、である。
・その他、重要プログラムとしては、①地域セーフティネットの構築プログラム、②農業 強化・畜産開発地域プログラム、③地域市場規制プログラム、等があげられる。
・NAIPに基づき、メンバー国はそれぞれ国家予算の10%を種子、肥料、食糧等の 提供に利用している。さらに、ECOWASは、Regional Food and Agriculture Agency (RFAA)を設立した。
【食糧の安全保障】
・地域の食料不足の状況は深刻で状況は悪化している。FAOによれば、1990-1992から1997-1999年の間に栄養不良に陥っている人口は5,270万人から 7,720万人に増加。一部の国では改善がみられるが、地域内の一人あたりの平均エ ネルギー摂取量は2,160kcalと、推奨される2,700kcalを下回っている。
・Dar-es-Salaam Declaration on Agriculture and Food Security in the SADC Regionを発表しているほか、Agricultural Information Management and Servicesを通じて(農作物へ影響を及ぼす)自然災害を早期に警告する仕 組みを構築している。
(SADCウェブサイトより)
【農業】
・包括的アフリカ農業開発プログラム(CAADP)の下、アフリカにおける農業生産の 増大及び農業生産性の向上に向けた取組は順調に進捗。
・他方、特にアフリカ大陸における食料需要の増加及び農業の変革のために、アフリカ 諸国及び多様な国際的パートナー間の更なる協調した取組が必要。
・公的セクターが、ビジネス環境整備を担う一方、民間セクターが、生産や農業の変 革プロセスの基盤となる。
【食料・栄養安全保障】
・持続可能な農業生産の増大及び農業生産性の向上は、食料と栄養の安全保障 を通じた飢餓及び栄養不良の削減、さらに経済成長にとって重要である。
注力分野 リスト
*青字は民間 の関与が考えら れる分野
対 象 セ ク タ ー
*
【
】 は サ ブ セ ク タ ー
イ ン フ ラ