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他国による支援状況をデスクトップリサーチにより取りまとめたうえで、各国でのインタビューをもとに情報を補足した。

これらの支援は、下記表のように、主に、a.政策対話、b.協定、c.技術支援・資金援助、d.フォーラム・セミナー開 催、に分けられる。

図表 2.7-1:各国支援概要

a.政策対話 b.協定 c.技術支援・資金援助 d.フォーラム・セミナー開催 米

N/A ・AGOA

・各地域共同体との貿易投資枠 組み協定

・各地域 Trade and Investment Hub による 各種支援

・AGOA Forum

・The U.S.-Africa Leader’s Summit EU ・Cotonou Partnership Agreement

between the EU and the African, Caribbean and Pacific states

・ECOWAS との年次閣僚会合

・ベルリンイニシアチブ等

・各地域共同体との EPA ・Regional Indicative Programme による各種 支援

・EU-Africa Summit

中 国

N/A ・Framework Agreement on Economic and Trade Cooperation 等

・Strategic Consultative Mechanism 等

・Forum on China–

Africa Cooperation 等 韓

N/A N/A N/A ・Korea-Africa Forum、

・Korea-Africa

Economic Cooperation Conference、

・Korea-Africa Industry Cooperation Forum

出展:PwC あらた監査法人作成

(1) 米国の支援状況

(a) 経済関連の支援

米国による経済関連の支援として、大陸全体を対象にアフリカ成長機会法(The African Growth and Opportunity Act: AGOA)及び Trade Africa イニシアチブが実施されており、Trade Africa のもと設立され ている Trade Hub では地域ごとのプログラムが提供されている。

AGOA は、2000 年 10 月に発効した、アフリカから米国への関税を免除する特恵関税制度を定めた法である。資 格を満たしたサブサハラ・アフリカ諸国に対し、米国への市場アクセスを促進している。有資格者となるには、各国は 法制度や人権、主要労働基準の尊重状況を改善させる行動を続けなければならない。AGOA は当初 2008 年 9 月までの 8 年間の期限付きであったが、2004 年 7 月に G.ブッシュ大統領による修正案が法制化され、2015 年まで延長された。2015 年 6 月 29 日には、さらに 10 年の延長が決定し、2025 年までとなった。

Trade Africa イニシアチブは、アフリカ内での貿易を増加させるとともに、アフリカ、米国、グローバル市場へ貿易・経 済連携を拡大することを目的とした、パートナーシップである。米国、アフリカ両者にとって、貿易により商品・サービス の新たな輸出市場が生み出され、さらに、雇用機会の創出、ビジネス環境の改善、民間投資に魅力的な条件の

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提供につながることが期待されている。第 1 フェーズは、EAC 加盟国をターゲットとしていたが、現在は対象を拡大し

、南部アフリカと西アフリカにも Trade Hub を設置している。

EAC では、2013 年に East Africa Trade and Investment Hub が、アフリカ内外の貿易・投資推進のため に設立された。期間は 2014 年 9 月から 2019 年 8 月で、$65million の支援が予定されている。プロジェクトゴ ールは、①EAC 統合、貿易、投資のための政策環境改善、②農業のバリューチェーンの競争力向上、主食作物の 貿易活性化、③AGOA の下、輸出貿易の支援、④グローバルテクノロジーへの投資と促進と定められている。

同 Hub は、East and Central African Trade Hub (ECA Hub)及び Competitiveness and Trade Expansion Program(COMPETE)を引き継ぎ開始した。現在は、EAC 加盟国であるケニア、タンザニア、ウガ ンダ、ブルンジ、ルワンダと COMESA 加盟国であるエチオピア、マダガスカル、モーリシャス、セイシェルを対象としてい る。

ECOWAS では、ガーナに本部を置く West Africa Trade and Investment Hub が ECOWAS、UEMOA

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や 民間セクターパートナーなどのネットワークと連携し、域内の貿易推進プログラムを実施している。2014 年から 2019 年で$48.6million が割り当てられている。HUB を通じ、農民や農家が品質基準/市場ニーズに合致した商品を 生産し、商用に利用可能な量を生産するための支援を提供している。さらに、資金へのアクセスや契約上の義務を 交渉する場面においても、域内の主要な民間セクターの団体をサポートしている。

SADC には、Southern Africa Trade Hub が、南部アフリカ地域の国際競争力、域内貿易、食料安全保障を 強化することを目的に設立されている。当初の任期は 2010 年から 2015 年の 4 年で$83.7 million の支援を 予定しており、2016 年 3 月に新フェーズに移行される予定である。TBT や SPS 協定

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への対応支援や情報共有 のための貿易ポータルの設立、National Single Window や Coordinated Border Management(省庁 間の手続きの統一)などのプログラムを実施している。

(b) 協定

更に、米国は各地域と協定を結んでおり、これらはオバマの提唱する「U.S. Strategy toward Sub-Saharan Africa

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」を推進する役割を担っている。

米 国 と COMESA と は 、2001 年 に 貿 易 投 資 枠 組 み 協 定 (Trade and Investment Framework Agreement:TIFA)に署名し、同年、同協定が発効した。定期的に会合が開催されており、直近では、2016 年 2 月にルサカにて US-COMESA TIFA Council Review Meeting が開かれた。

EAC との間では、TIFA と US-EAC Cooperation Agreement on SPS, TBT and Trade Facilitation、二 つの協定が結ばれている。TIFA は US、EAC 間での貿易やビジネス環境改善を目指し、2008 年 7 月に署名さ れた。US-EAC Cooperation Agreement on SPS, TBT and Trade Facilitation は、WTO 貿易円滑化

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UEMOA=西アフリカ経済通貨同盟委員会(Union économique et monétaire ouest-africaine)

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TBT=貿易の技術的障害(Technical Barriers to Trade )、SPS=衛生植物検疫(Sanitary and Phytosanitary)、

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2012 年 6 月に発表された戦略で、2012 年からの 5 年間、①民主主義制度の強化、②経済成長・貿易・投資の促進、③平和と安全の推

進、④機会と発展の増進を 4 つの柱としてサブサハラ・アフリカとの協力/支援を進めることを示したもの。

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協定の履行、食料の安全保障・動植物の健康促進、国際基準に合致した対応を行うための能力構築、を目的と し、2015 年 2 月に署名された。

ECOWAS との関係では、US- ECOWAS Trade and Investment Framework Agreement(TIFA)

が 2014 年 8 月に署名された。

SADC では、

南部アフリカ関税同盟(Southern African Customs Union)であり、SADC 加盟国の一部の国によ って構成される関税同盟が中心となり、

US-SACU

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Trade, Investment, and Development Cooperative Agreement (TIDCA)に署名した(2008 年 4 月)。

(c) セミナー・フォーラム

また、米国ーアフリカ間では、フォーラムやサミットなどが開催されている。代表的なものに、African Growth and Opportunity Act (AGOA) Forum や The U.S.-Africa Leader’s Summit がある。AGOA Forum は、

AGOA が発効した 2010 年以降ほぼ毎年開催されている。喫緊では、2015 年には第 14 回フォーラムが、8 月 24 日から 27 日にガボンで開催された。The U.S.-Africa Leader’s Summit は 2014 年 8 月 4-6 日、オ バマ大統領がアフリカ諸国のトップを集めて、初のサミットを開催した。サミットではアフリカに対する貿易及び投資に 焦点をあてるとともに、米国の安全保障や民主的発展への寄与を強調し、米国アフリカ間の連携をより強固にして いくことが言及された。

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SACU=南部アフリカ関税同盟(Southern African Customs Union)であり、SADC 加盟国の一部の国によって構成される関税同盟。

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図表 2.7-2:米国による支援概要(1)

出展:AGOA HP(http://agoa.info/ ), USAID Trade Africa (https://www.usaid.gov/tradeafrica ), USAID “East Africa Trade and Investment Hub Fact Sheet”, USAID “West Africa Trade and Investment Hub Fact Sheet”, USAID “Southern Africa Hub Fact Sheet” 等をもとに PwC あらた監査法人作成

COMESA EAC ECOWAS SADC

対アフリカ 法制度

アフリカ成長機会法(The African Growth and Opportunity Act: AGOA)

・AGOAは、2000年10月に発効した、アフリカから米国への関税を免除する特恵関税制度を定めた法である。資格条件を満たしたサブサハラ・アフリカ諸国に対し、米国 への市場アクセスを促進する。有資格者となるには、各国は法制度や人権、主要労働基準の尊重状況を改善する取り組みを続けなければならない。

・AGOAは当初2008年9月までの8年間の期限付きであったが、2004年7月にG.ブッシュ大統領による修正案が法制化され、2015年まで延長された。

・2015年6月29日に、さらに10年の延長が決定し、2025年までとなった。

Trade Africa Initiative(USAID)

・アフリカ内での貿易を増加させるとともに、アフリカと米国、グローバル市場との貿易・経済連携の推進を目的とした、パートナーシップである。

・米国、アフリカ両者にとって、貿易により商品・サービスの新たな輸出市場が生み出される。さらに、雇用機会の創出、ビジネス環境の改善、民間投資に魅力的な条件の 提供につながる。

・第1フェーズは、EAC諸国をターゲットとしていたが、現在は対象を拡大し、南部アフリカと、西アフリカにTrade Hubを設置している。

対アフリカ イニシアチ

N/A

対共同体 プログラム

(※1)East and Central African Trade Hub (ECA Hub)及びCompetitiveness and Trade Expansion Program(COMPETE)を引き継ぎ開始した。

(※2)UEMOA=西アフリカ経済通貨同盟委員会(Union économique et monétaire ouest-africaine)

East Africa Trade and Investment Hub(※1)

・2013年にアフリカ内外の貿易・投 資推進のために設立され、期間は 2014年9月から2019年8月である。

・プロジェクトゴールは以下の通り。

①EAC統合、貿易、投資のための政 策環境改善

②農業のバリューチェーンの競争力向 上、主食作物の貿易活性化

③AGOAの下、輸出貿易の支援

④グローバルテクノロジーへの投資と 促進

West Africa Trade and Investment Hub

・ガーナに本部を置く

・ECOWAS、UEMOA(※2)や民 間セクターパートナーなどのネットワー クと連携し、域内の貿易推進プログ ラムを実施。

・HUBを通じ、農民や農家が品質 基準/市場ニーズに合致した商品を つくる、商売用に使うことのできる両 を生産するための支援を提供する。

・さらに、資金へのアクセスや契約上 の義務を交渉する場面においても、

域内の主要な民間セクターの団体 をサポートしている。

Southern Africa Hub

・4年の任期で活動している。2016 年3月に新フェーズに移行される予 定。

・南部アフリカ地域の国際競争力、

域内貿易、食料安全保障を強化 することを目的とする。

・TBTやSPS協定への対応支援。

情報共有のための貿易ポータルの

設立。National Single Window

やCoordinated Border

Management(省庁間の手続き

の統一)などのプログラムを実施す

る。

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図表 2.7-3:米国による支援概要(2)

出展:Office of the United States Trade Representative HP 等をもとに PwC あらた監査法人作成

COMESA EAC ECOWAS SADC

対共同体

協定

対アフリカ セミナー/

フォーラム

The U.S.-Africa Leader’s Summit

・2014年8月4-6日、オバマ大統領がアフリカ諸国のトップを集め、初めてU.S.-Africa Leaders Summitを開催した。

・サミットではアフリカに対する貿易及び投資に焦点をあてるとともに、米国の安全保障や民主的発展への寄与を強調し、米国アフリカ間の連携をより強固にしていくことが 言及された。

・サミットのテーマは、「次世代への投資 “Investing in the Next Generation”」であり、次世代へ焦点をあてることが、政府の責任の中心であるとした。また、次世代 へ向け、成長を刺激・促進し、機会を明らかにし、環境を整備する方法が議論された。

African Growth and Opportunity Act (AGOA) Forum

・AGOA発効の2010年以降ほぼ毎年開催され、2015年には第14回フォーラムが、8月24日から27日にガボンで開催された。

・テーマは、「持続可能な米国―アフリカ間の貿易及び投資連携へ向けた道筋を示す」であった。

・AGOAの期間延長を祝うとともに、貿易促進及びインクルーシブで持続可能な経済成長のための女性、市民社会、民間セクターの重要性が強調された。

US- ECOWAS Trade and Investment Framework Agreement(TIFA)

・2014年8月に署名。

・オバマの提唱する「U.S.

Strategy toward Sub-Saharan Africa」を推進する役割 を担う。

US- EAC Trade and Investment Framework Agreement(TIFA)

・2008年7月に署名。

・US、EAC間での貿易やビジネス環 境改善を目指す。

US- COMESA Trade and Investment Framework Agreement (TIFA)

・米国とCOMESAは、2001年に貿 易投資枠組み協定に署名し、同年 発効した。

・定期的に会合が開催されており、

直近では、2016年2月にルサカにて US-COMESA TIFA Council Review Meeting が開かれた。

US-SACU(※2) Trade, Investment, and

Development Cooperative Agreement (TIDCA)

・2008年4月に署名。

・SACUとアメリカのFTA交渉の延長 でTIDCAが締結された。

US-EAC Cooperation Agreement on SPS, TBT (※

1)and Trade Facilitation

・2015年2月に署名。

・WTO貿易円滑化協定の履行、食 料の安全保障・動植物の健康促進、

国際基準に合致した対応を行うため の能力構築、を目的とする。

(※1)SPS=衛生植物検疫(Sanitary and Phytosanitary)、TBT=貿易の技術的障害(Technical Barriers to Trade )

(※2)SACU=南部アフリカ関税同盟(Southern African Customs Union)であり、SADC加盟国の一部の国によって構成される関税同盟。

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