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小売業

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 34-41)

第 3 章 業種別でみたフランチャイズの特徴―中国を事例に―

3.3 各業種におけるフランチャイズの特徴

3.3.2 小売業

表5:ファッション業上位20社におけるフランチャイズ方式の導入状況

順 位

企業名 F

C

加盟店 (店)

総店舗 (店)

売上高 (百万元)

扱う商品,企業形態 (備考)

1 周大福珠宝集団 有 不明 2,988 58,691 宝飾品,民営

5 百雀羚集団 無 ― 不明 不明 化粧品,民営(未上場) 7 百麗国際集団 無 ― 不明 不明 靴,民営(上場廃止) 8 屈臣氏集団 無 ― 15,213 20,362 化粧品,民営 9 海瀾之家股份有限公司 有 6,595 7,254 19,090 アパレル,民営 10 搜于特集団股份有限公司 有 不明 不明 18,519 アパレル,民営 11 上海豫园黄金珠宝集団 有 2,560 2,759 16,677 宝飾品,民営 12 周生生集団国際有限公司 無 ― 506 16,557 宝飾品,民営 13 浙江森馬服飾有限公司 有 8,646 9,556 15,616 アパレル,民営 14 北京金一文化発展股份有限

公司

有 125 271 14,757 宝飾品,民営

15 六福集団(国際)有限公司 無 ― 不明 13,999 宝飾品,民営

16 伽藍(集団)股份有限公司 無 ― 不明 12,445 化粧品,民営(未上場)

17 ZARA中国 無 ― 不明 11,303 アパレル,外資

18 李宁有限公司 有 5,622 7,137 10,511 スポーツ靴・ウェア,

民営

19 波司登国際控股有限公司 有 2,316 2,881 10,369 アパレル,民営 20 上海拉夏貝爾服装股份有限

公司

有 4,707 5,464 10,176 アパレル,民営

出所)中国チェーン経営協会,「2018年ファッション企業百強」により筆者が作成.

まず,ファッション業チェーンのうち売上高で上位20位を占めた企業の中で,16社につ いてはフランチャイズ方式の採否について確認することができた.以下では,特にランキン

グに入った企業数の多い宝飾品業(5社)とアパレル業(6社)を例に挙げ,考察していく

(表5).

宝飾品業の場合,ファッション界全体の中でも最も大きな売上高を占めている周大福珠

宝集団,11位の上海豫园黄金珠宝集団(宝飾品業で2位),14位の北京金一文化発展股份有

限公司(宝飾品業で4位)がフランチャイズ方式を採用している.表4のランキングに入っ た5社の内,3社がフランチャイズ方式を採用していることを確認できた.

宝飾品を扱う企業は,高級感のある店舗にするためのインテリア等の調達や,高額な商品 を仕入れるために資金力が必要であること等の理由により出店コストがかかることやサー ビス水準を維持するために,国際的にみるとフランチャイズ方式を導入することは少ない.

一方,中国では,出産・成人・結婚等の人生の重要なイベントを迎えるに際して伝統的に金 細工品等の宝飾品を購入する人が多く,商品の購入頻度や回転率が高いこともあってか,フ

ランチャイズ方式を採用しているチェーンが多くみられる.

アパレル企業の場合は,ファッション業全体の中で 9 位にランクされている海瀾之家股 份有限公司(アパレル企業としては1位,以下「海瀾之家」と省略する),10位の搜于特集 団股份有限公司(アパレルで2位),13位の浙江森馬服飾有限公司(アパレルで3位),19 位の波司登国際控股有限公司(アパレルで 5 位),20 位の上海拉夏貝爾服装股份有限公司

(アパレルで6位)と,ランキングに入った6社のうち5社がフランチャイズ方式を採用

していることが分かった9

ここでアパレル企業において第1位になっている海瀾之家の例を紹介すると,同社は,フ ランチャイズ方式により販売網を全国に展開しているが,各加盟店の内装や製品構成等は 本部が管理し,店舗の統一性を確保している(李・刑・王,2019).同社におけるフランチ ャイズ店舗の特色としては,①加盟店には加盟金を請求しないこと10,②加盟店オーナーは 店舗の所有権を保有するものの,店舗の管理は本部に委託していること,が挙げられる.さ らには,加盟店オーナーは商品の所有権を保有しているが,それが売れなかった場合も在庫 品を持つリスクを負うことはない11.というのは,売れ残った在庫品は,本部である「海澜 之家」が買い取った後,傘下にある他のディスカウントストアで販売する仕組みになってい

るためである(陳,2018).最終的には,加盟店が保有する商品が販売された後に,本部と

加盟店は合意にしたがって利益の配分を決定する.このような手法により,同社は加盟店店

舗の拡大に成功しており,2019年年末まで,全国に7,254(メインブランドである海瀾之家

は5,598店)の店舗を持ち,全国31の省レベル地域(日本の県に相当する行政地域)と80%

以上の市をカバーする店舗網を持つようになっている.具体的には,店舗の9割以上に当た

る6,595店(海瀾之家は5,541店)が加盟店であり,フランチャイズ方式を有効に活用した

9 例えば,これらのチェーンのうち,上海拉夏貝爾服飾株式有限会社では,チャネルの変更と調整に力を 入れており,直営方式,フランチャイズ方式と共同投資という三つの形態を併用しながら,各店舗の利 益率を高め,店舗展開を行っていくとしている. 「上海拉夏貝爾服飾株式有限会社2019年報」,

http://hgt.cs.com.cn/file/bulletin/2020/6/30/1207969573.PDF,2020630日閲覧.

10 田(2017)によると,2016年までは,フランチャイズ契約を結びまでは 200万元の資金が必要とされ ていた.そのうち,100万元は契約が終了後に返済する保証金で,100万元は店の内装とスタッフのト レーニングに使用された.しかし,2016年からその100万元の保証金は免除あるいは減額されるよう になり,それで2016年の9ヶ月間で店舗数が972店も増加したという.田晖(2017),关店潮下的逆 海澜之家男装2016年新开972家门店,http://news.winshang.com/html/060/4156.html,2020630 日閲覧.

11 「海瀾之家株式有限会社2019年報」,

https://pdf.dfcfw.com/pdf/H2_AN202004281378892370_1.pdf,2020630日閲覧.

店舗展開を行っているといえる12

世界的な動向をみると,アパレル業では製販統合が進んでおり,直営店での展開が主流に

なっている(小池,2003;武・浦上,2016).世界の大手アパレルチェーンの例をみても,

一般に四大ブランドと認識されているユニクロ13,ザラ14,ギャップ15,H&M16では,少な くても本社が立地する国では,直営店での出店が主流になっている.また,ユニクロ(ファ ーストリテイリング社)以外の日本のアパレルチェーンをみると,同社に次ぐ規模のアパレ ルチェーンである,しまむらグループ等でも直営店での出店が基本となっているとされて おり,フランチャイズ方式による出店が多くみられるのは,低価格な作業服等を販売してい るワークマン等のチェーンに限られる.海外に進出したアパレルチェーンを対象として論

じた川端(2010)が論じているように,アパレルチェーンはチェーンや商品のブランドイメ

ージを重視する業種であるため,出店する際には,価格やサービスの水準を均質化しやすい 直営店方式により出店する例が多いといえる.このような国際的な動向とは異なり,中国の アパレル企業の中ではフランチャイズ方式を採用するチェーンも多い.その背景には中国 においてはアパレルやファッションを扱うチェーンが多数あるにもかかわらず,これらの チェーンでは,ブランド力や製品そのものの特徴に乏しい商品を扱っているため,チェーン 間での競争が激しくなっていることが予想される.加えて,これらのチェーンでは,中小規 模都市や農村部の市場を開拓することを目指している企業が多いため,このような市場に

12 10.

13 ファーストリテイリングホームページ,https://www.fastretailing.com/jp/group/shoplist/,202084 日閲覧.20205月まで,国内813店の内,直営店は767店になっている.

14 碇順治(2008)『ヨーロッパ読本 スペイン』河出書房新社,pp.235-236.2008年時点で世界60か国に おいて展開しており,その大半は直営店だったと述べている.

15 “Gap Inc 2018 annual report”,https://www.annualreports.com/Company/gap-inc,202084日閲覧.

16 “2019 H&M full-year report”, https://hmgroup.com/investors/reports.html, 2020815日閲覧.

おいて,どのようにしてスピーティにシェアを高めていくかが重要になってくる.そのた め,スピーティに店舗数を増やすことができるフランチャイズ方式が,多くの企業に選択さ れていると考えられる.

b.コンビニ業

コンビニ業において,店舗数で上位20を占めた企業の中で,13社についてフランチャイ

ズ方式の採否について確認することができた.上位1位,2位の中石化易捷銷售有限公司と 中国石油銷售公司はいずれも国有企業であり,必ずしも営利性を追求する必要がない組織

であるため除外すると,それ以外の国内民営企業と外資企業に分類される11社では,すべ てがフランチャイズ方式を導入しており,直営・フランチャイズの内訳が分かるチェーンで

は,多くの場合,フランチャイズ店舗が主流になっていることが分かる(表6).

また,中国チェーン経営協会によると,コンビニエンス・ストアの成長率は,他の業態の

小売業に比べて,はるかに高くなっている. 2018年には,コンビニエンス・ストア上位100 社の売上規模は前年比で21.1%増加,店舗数は18.0%増加しており,そのうち,フランチャ

イズ店舗数は総店舗数の62.5%を占めていたという .このような傾向は世界的な動向とも 一致しており,中国でもコンビニという業態においては店舗展開を行う上でフランチャイ ズ方式が主要な手法になっている点が確認できる.

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