4. RUI を用いた実世界へのインタラクションシステム
4.5. 実験
RUI を用いて機器制御を行うシステムを実装した.機器制御の方法としては,まず RUI の顔を制御対象に向け,次に RUI の腕の上げ下げによって操作入力を行う.そして,RUI の腕が動くことによって情報を提示する.この様に,RUIの顔の向きや腕の上げ下げで情報 の入出力を行っているが,実際に操作者が RUI をどの程度意図した通りに操作入力するこ とが出来るか,また,RUIからの情報をどの程度正確に受け取ることが出来るのか,被験者 を用いた評価実験を行った.実験としては,条件を変えて4種類行った.
実験1では,RUIの顔を制御対象に向ける機器選択法の評価を行い,ぬいぐるみの有無に よる影響を測定した.実験2,3では,RUIの腕の上げ下げを用いた操作入力法の評価を行 い,実験条件を変えることで,ぬいぐるみの有無,操作者と RUI の位置関係,視覚・触覚 情報の影響を測定した.実験4では,RUIの腕の上げ下げによる情報提示法の評価を行い,
視覚・触覚情報の影響を測定した.
それぞれの実験内容,手順を以下に示す.
実験1では,図 4.10,図 4.11のように,RUIを壁から1[m]離れた机上に固定し,壁には ターゲットとして直径5[mm]の円形のマーカーを-50[deg]から+50[deg]まで10[deg]おきに 配置した.被験者は RUI の後ろに座ってもらい,ランダムに指示される目標に対し,その 方向へ RUIの顔を向けてもらった.RUIとしては,ぬいぐるみの顔が操作者に及ぼす影響 を考慮し,ぬいぐるみを着せた状態と着せない状態の2種類を用意して実験を行った.こ の実験を通じ,操作者が制御機器を選択する際に,どの程度意図した通りにRUI を制御対 象に向けることが出来るか評価を行う.
実験手順としては,ぬいぐるみを着せた状態と着せない状態において,被験者間で一定の ランダム順に目標を指示する.その指示に従って被験者にRUI の顔の正面をターゲットに 向けてもらった.目標の指示は1つに対し5回指示し合計55回行った.測定としては,
実際のRUIの首の関節角度の値を用いた.
図 4.10 実験1の実験系(上面図)
250m m 250mm
壁 1m
目印
被験者 RUI
図 4.11 実験1の実験系(側面図)
20 mm
20 mm 5 mm
図 4.12 ターゲット寸法
30°
60°
180°
90°
150°
120°
0°
図 4.13 RUIの腕関節の指示角度
実験手順としては,被験者にあらかじめ0[deg],90[deg],180[deg]のRUIの腕関節の位置 を覚えてもらった後,10[deg]刻みで目標関節角度をランダムに指示し,その角度まで RUI の右腕を操作してもらった.目標角度の指示は被験者間で一定のランダム順とし,各角度 を5回,合計95回行った.また,実験1と同様にぬいぐるみが操作に及ぼす影響を考慮 して,ぬいぐるみのある状態と無い状態で実験を行った.
実験3では,被験者と RUI の位置関係を実験2と異なったものとし,実際の使用環境を 想定してRUIの位置を被験者の膝の上に設定した.そして,0[deg]を初期角度として,被験
者に0[deg]から指示した角度までRUIの腕を操作してもらった.実際に家電操作を行う際,
視線は制御対象の家電へと向いており,RUI を見ていない場合もある.その時に RUIを見 ずに,手からの触覚情報のみで操作が可能であるかを評価するため,被験者が RUI を見ら れない状態と見られる状態,つまり目隠しをしている状態と,目隠しを外した状態で実験 を行った.RUIに関しては,ぬいぐるみを着せたものを使用した.
実験手順としては,被験者にあらかじめ0[deg],90[deg],180[deg]のRUIの腕関節の位置 を覚えてもらった後,10[deg]刻みで目標関節角度をランダムに指示し,腕が下に向いてい る,つまり 0[deg]の角度になっている RUI の右腕を,相対的に目標角度まで操作してもら った.操作後はRUIの右腕は0[deg]へ戻り,再度ランダムに指示される角度までRUIの腕 を操作してもらった.
実験4では,実験3と同様に実際の使用環境,視覚情報の有無を考慮した状態で,RUI の腕の動作による情報提示が可能であるかを評価する実験を行った.RUIは被験者の膝の上 に乗せ,ぬいぐるみは着せた状態とする.そして被験者は,RUIの腕が0[deg]からランダム にある角度まで動作した後,どの角度まで動いたかを判断してもらった.
実験手順としては,被験者にあらかじめ0[deg],90[deg],180[deg]のRUIの腕関節の位置 を覚えてもらった後,0[deg]を向いている RUIが10[deg]刻みでランダムな目標角度まで動 作し,その動作後の腕の角度を触覚情報や視覚情報を用いて判断してもらった.実験3と 同様に,触覚情報と視覚情報が情報提示に及ぼす影響を判断するため,目隠しをした状態 と目隠しを外してRUIを見た状態で実験を行った.
全ての実験において,計測には第3章で述べた視覚情報提示用RUIの関節情報を用いて おり,その分解能は約 0.32[deg]であった.被験者に関しては,20代の学生6名(男性6 名)であり,実験1~4の全てで同様である.