第 1 部 音韻象徴と文字及び発音
2.4. 実験 4 単独で呈示された濁点・半濁点と明度の感覚間一致
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37 Fig. 17. Stimuli used in experiment 2.4.
2.4.2.3. 手続き
弁別対象である視覚刺激が異なる以外は試行・ブロック・課題の構成、休憩時間 などは全て 2.2.2.3.に準じた。なお、本実験においても文字弁別課題のみを行った。
なお、教示において呈示される図形の特徴に関しては説明を行ったが、それらの図 形が濁点・半濁点を拡大して作成された点に関しては説明を行わなかった。また、
実験後に内省報告として「呈示された図形をどのように認識していたか」という点 について報告させた。
2.4.3. 結果
2.4.3.1. 分析前の処理
得られた全試行の反応時間のうち、弁別が誤っている試行(エラー試行)を分析 対象から除外した。エラー率は課題全体で 0.75%であった。エラー率が非常に低か ったため、その後の分析対象としなかった。また、各条件の平均反応時間から±2SD 以上離れている反応時間に関しては外れ値と見なし、除外した。この操作で除外さ れた試行数は全体の 4.9%であった。
速さと正確さのトレードオフ(speed-accuracy tradeoff)が起こったかどうかを調 べるため、反応時間とエラー数の相関係数を求めた。その結果、有意な相関は得ら れなかった(r(12) = -.31, p = .31)。よって、本実験において速さと正確さのトレー ドオフは起こっていなかったといえる。
2.4.3.2. 反応時間の分析 1(条件間の比較)
Fig. 18 は実験 4 における反応時間を条件別に示したものである。positively correlated facilitation, negatively correlated interference を確認するため条件 (4)を 要因とした一要因分散分析を行った結果、条件の主効果(F(3/33) = 0.79, p = .50)では なかった。この結果から、本実験では positively correlated facilitation および negatively correlated interference は見られなかったことがわかった。
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Fig. 18. Mean reaction times between conditions in 2.4(Error bars indicate SE).
2.4.3.3. 反応時間の分析 2(一致効果)
Fig.19 は実験 4 における反応時間を一致・不一致試行ごとにまとめたグラフであ る。条件(3)×一致性(2)の分散分析を行った結果、条件の主効果(F (2/22) = 0.25, p
= .78)、一致性の主効果(F (1/11)= 0.30, p = .60)が有意であった。条件×一致性の交 互作用は有意ではなかった(F (2/22) = 0.20, p = .82)。これらの結果から、本実験で は一致効果が見られないことがわかった。
Fig. 19. Mean reaction times of each congruent and incongruent trials of 2.4(Error bars indicate SE).
39 2.4.4. 考察
実験 4 では、濁点・半濁点を単独で呈示した場合でも明度との感覚間一致が起こ るのかどうかを検討した。その結果、実験 3 と同様に明度との感覚間一致は見られ なかった。内省として、単独呈示された図形が濁点・半濁点と認識していたかどう かについて報告させた結果、8 名が濁点を「濁点」と認識していたが、半濁点に対 しては単なる丸い図形と認識していたことがわかった。このことから、濁点は単独 で呈示しても濁点と認識されやすい示唆性の高い記号であるのに対し、半濁点は文 字に付加されないとそれと認識されにくい性質を持つことがわかった。今後の研究 として、今回の実験で高い示唆性が示された濁点が、どの程度変化させることで「濁 点らしさ」を失い、単なる図形と認識されるのか、という方向性が考えられる。
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