第 5 章 人型ロボットの適切な社会的態度 58
5.3 予備実験 : ロボットとの 2 者対話実験
5.3.6 実験結果
予備実験では,ロボットを交えた限定的な3者対話においてバランス理論が成立するか どうかを確認するために,対話実験終了後にバランス理論にもとづく印象について「質問 票」での回答を求めた.実験結果の評価は5.1.2節で示した「バランス理論にもとづく評 価グループ」毎に行った.表5.4-5.6に質問票の6評定項目の条件毎の平均,標準偏差,お よび分散分析の結果を示す.図5.6-5.8に6評定項目の条件毎の平均値のグラフとその分 散分析の結果を示す.最後にロボットとの対話実験の様子を図5.9に示す.
表5.4から被験者から見たロボットに対する印象はQ1,Q2に関してプラス評価グループ とマイナス評価グループの間に有意な差が確認された.表5.5から被験者から見た他の被 験者のロボットの印象はQ1に関してプラス評価グループとマイナス評価グループの間に 有意な差が確認された.また,Q2において有意傾向が見られた.最後に表5.6から被験 者から見た他の被験者の印象に関してはすべての質問項目において有意な差は確認されな かった.
また,プラス評価グループとマイナス評価グループの平均値を示したグラフでは,概ね プラス評価グループのグラフのほうがマイナス評価グループよりも大きなグラフを示した.
表5.4: 被験者から見たロボットの印象に関する質問票の集計結果
Q1 Q2 Q3
plus 4.15 (1.356) 3.86 (0.99) 2.86 (0.833) minus 2.00 (1.265) 2.20 (1.167) 1.80 (1.167) 分散分析の結果 F = 6.42 F = 5.86 F = 2.8 (F(1.10)) p=.030(∗) p=.036(∗) p=.125
Q4 Q5 Q6
plus 5.00 (0.756) 4.43 (1.05) 5.00 (0.926) minus 5.20 (1.834) 5.40 (1.625) 5.60 (1.357) 分散分析の結果 F = 0.05 F = 1.32 F = 0.69 (F(1.10)) p=.828 p=.277 p=.426
(n.s.):有意ではない(+):有意傾向(∗):有意p < .05 (∗∗):有意p < .01
表 5.5: 他の被験者のロボットに対する印象を推定した質問票の集計結果
Q1 Q2 Q3
plus 4.86 (12.343) 4.58 (9.153) 3.00 (0.467) minus 2.80 (2.366) 2.80 (1.852) 2.60 (1.12) 分散分析の結果 F = 5.22 F = 4.94 F = 0.41 (F(1.10)) p=.045(∗) p=.050(+) p=.536
Q4 Q5 Q6
plus 5.72 (6.689) 5.15 (2.593) 5.72 (5.039) minus 4.20 (1.023) 4.20 (2.366) 4.40 (1.863) 分散分析の結果 F = 6.54 F = 1.1 F = 2.7 (F(1.10)) p=.029 p=.319 p=.131
(n.s.):有意ではない(+):有意傾向(∗):有意p < .05 (∗∗):有意p < .01
表 5.6: 各被験者間の印象に関する質問票の集計結果
Q1 Q2 Q3
plus 4.00 (1.291) 5.00 (0.578) 3.84 (1.344) minus 3.17 (1.864) 3.67 (1.796) 2.67 (0.943) 分散分析の結果 F = 0.67 F = 2.5 F = 2.53 (F(1.10)) p=.432 p=.145 p=.143
Q4 Q5 Q6
plus 5.50 (0.764) 5.00 (1) 5.17 (1.068) minus 5.00 (1.291) 4.34 (1.886) 4.67 (1.248) 分散分析の結果 F = 0.55 F = 0.48 F = 0.46 (F(1.10)) p=.475 p=.504 p=.513
(n.s.):有意ではない(+):有意傾向(∗):有意p < .05 (∗∗):有意p < .01
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図5.6: 被験者から見たロボットの印象のグラフ
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図 5.7: 被験者から見た相手の被験者のロボットに対する印象のグラフ
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図 5.8: 被験者から見た相手の被験者の印象のグラフ
図5.9: 対話実験の様子(不平等条件)
しかし,被験者からみたロボットの印象のグラフではQ4,Q5,Q6においてプラスとマイナ スが逆転していた.Q1,Q2においては有意な差が確認されており,これら逆転していた3 項目がロボットが好きであるとか,魅力を感じるといったように,ロボットに興味がある 人にとっては高く評価するものであると考えられる.このため,これに関しても被験者数 が少なかったため,このような結果が出たものと考えられる.
以上により,今回の実験では人とロボットの2者対話の組み合わせによるバランス理論 の成立は統計的には確認できなかったが,各評価グループ毎の平均値からこれが成立する 可能性が示唆されたと考えている.