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実験結果

ドキュメント内 検索手法とセンサデータベースへの応用 (ページ 101-107)

第 2 章 関連研究

5.1 センサデータ視覚化システム

5.1.3 実験結果

4章と同様に,センサデータとして気象データCD-ROM「アメダス観測年報(2000 年)」に収録されている気温データおよび降水量データを利用して実験を行った.

空間データ統合に基づく視覚化

まず,気温データを管理する単一のセンサデータサーバに対して,仲介エージェ ントを介して,クエリを送信し,ポリゴンデータと関連付ける例を取り上げる.ク エリに対する検索結果には,各センサデータオブジェクトに対する時系列データが 含まれるが,まず,各時系列に対する処理(たとえば,平均値の算出) を行う.さ らに,各ポリゴンに含まれるセンサデータオブジェクトの時系列処理結果に対して 集計処理を行い,そのポリゴンの属性とする.

図5.3に,A=h123,24,146,46iの範囲の 24時間分のセンサデータを要求し,受 信結果に対して,空間データ統合を適用した時の表示結果を示す.この例では,統 合対象である空間データとして,国土数値情報[国土交通省 a]の「行政界・海岸線 データ(平成11年度)」より抽出した都道府県レベルのポリゴンデータを利用して いる.また,各センサデータオブジェクトごとに,24時間の平均気温を算出し,各 ポリゴンごとに平均気温の平均値を計算し,その計算結果に基づいて,ポリゴンを 色分けして表示している.

図5.4は,問合せ領域として,A=h135.65,35.57,137.65,37.57iを指定した時の,

平均気温の分布を示す.この例では,国土数値情報[国土交通省 a]の「行政界・海 岸線データ」に含まれる市町村区レベルのポリゴンデータを利用している.

図5.3: 空間データ統合に基づく気温分布(都道府県レベルのポリゴンデータを利用)

図5.4: 空間データ統合に基づく気温分布(市町村区レベルのポリゴンデータを利用)

メッシュ統合に基づく視覚化

同様に,時系列の気温データを取得し,各センサデータオブジェクトごとに平均 気温を求める.そして,その結果を,IDWに基づいて処理を行い,メッシュ分布 として表示する.

問合せ領域として,A = h138.52538,34.516792, 141.06485,37.109722i を指定し た時の,図5.5は,IDWに基づくメッシュ統合の結果を示し,図5.6は,この領域 内のセンサノードの分布を示す.

図 5.5: IDWに基づくメッシュ統合による気温分布の表示

図5.5では,セルの大きさは0.1 度四方であるが,図5.6に示すように,センサ ノードの分布が非常に疎であるため,補間処理に必要なデータを確保するために,

max cell= 2 として,25個のセルに含まれるデータを計算対象としている.

一方,図5.7は,図5.5と同一のメッシュに対して,4.3.2節で述べた単純なメッ シュ統合を行った場合の結果である.

この手法では,各セルに含まれるセンサデータのみを用いて,それらの平均値を 計算し,そのセルの値としているため,図5.7からわかるように,値を持たないセ ルが多数出現することになる.センサデータの分布密度が表示範囲に対して小さ く,メッシュのセルサイズが小さいほど,この傾向は強くなる.それに対して,本 論文で実装したIDWに基づくメッシュ統合の手法は,図5.5に示すように,離散 的に分布したセンサデータを連続的な面分布として捉えることができるので,全体 の傾向を把握する上で効果的であると考える.

空間補間によって求められたセンサデータの値は,あくまで推定値なので,その 場所にセンサが設置されている場合と比較すれば,信頼性は高いと言えない.しか し,全体的な傾向を把握するという点では有用であり,ユーザ自身が経験した事実

図 5.6: センサノードの分布

図 5.7: 単純なメッシュ統合による気温分布の表示

を裏付けられるような情報が提供できるのであれば,それが推定値であっても十分 に意味があると考える.今後,様々なセンサデータリソースが利用できるようにな り,センサデータの分布密度が高くなっていけば,IDWの計算結果は近隣のセン サデータ数に依存するので,信頼性は向上していくと考えられる.

オーバーレイ処理に基づく視覚化

気温データと降水量データに対して,オーバーレイ処理を適用する場合について 調べる.問合せ領域として A = h136.74, 34.46, 141.11,38.03i をクエリに指定し,

気温データを管理するサーバと降水量データを管理するサーバから,24時間分の 時系列データを取得した時の,センサデータ統合の結果を図5.8に示す.気温デー タについては 24時間の平均気温,降水量データについては 24時間の積算降水量 を計算し,その計算結果を利用して,各セルの値をIDWに基づいて計算している.

さらに,各セルごとに,気温データについて {AV E(temp)≥ 25},降水量データ について{SU M(prec)10}という条件を指定している.したがって, 図5.8は,

「平均気温が25°C以上で,降水量が 10mm以上の地域を表示せよ.」というクエ リに対する結果を示していることになる.

図 5.8: オーバーレイ処理に基づくセンサデータ統合の結果

また,図5.8を表示する際の,気温データおよび降水量データに対するメッシュ 統合の結果を,図5.9に示す.

図5.9左図は,気温データに対して AV E(temp) 25 という条件を指定してお り,「平均気温が25°C以上の場所は,どこか?」というクエリに対する結果を示 している.図5.9右図は,降水量データに対して SUM(prec) 10 という条件を 指定した時の結果であり,「10mm以上の雨が降った場所は,どこか?」というクエ

図 5.9: 条件検索の結果(左図:平均気温分布,右図: 積算降水量分布) リに対する結果を示している.

図5.9と,それらのオーバーレイ処理の結果である図5.8 を比較することで,気 温と降水量に関する条件をともに満たしている地域が結果として出力されているこ とがわかる.たとえば,図5.9右図より,降水量の多い地域が南北にあることがわ かるが,図5.8より,気温データとの統合の結果,南部の地域で「気温が高く,降 水量が多い」ことがわかる.

オーバーレイ処理に基づくセンサデータ統合を行う場合には,クライアント側 で空間補間の結果に対して条件検索を適用することに意味がある.仮に,サーバ側 で条件検索を行う場合には,クライアント側の空間補間に必要なセンサデータ(点 データ)も,サーバ側で取り除かれてしまうために,図5.8に示す結果は得られな いと考えられる.

オーバーレイなどの空間集約処理に基づいて,センサデータを領域を持つ表現 に変換することで,センサデータ同士だけでなく,他の空間データとの包含関係や 交差関係を調べやすくなるため,様々なセンサデータ統合が実現できると考えられ る.たとえば,国土数値情報[国土交通省 a]には,標高データや各種統計データな どのメッシュ形式で表現された空間データも含まれるが,これらと同じ粒度のメッ シュデータにセンサデータを変換した上で,オーバーレイ処理を適用することで,

直接的な関連付けが可能である.これにより,「標高が高く,気温が低い場所は,ど こか?」,「都市部で大気汚染度が高い場所は,どこか?」といったクエリに対応す ることができると考える.

ドキュメント内 検索手法とセンサデータベースへの応用 (ページ 101-107)