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実験系の概要

ドキュメント内 master thesis katsuta (ページ 33-42)

第 4 章 測定原理

4.2 実験系の概要

4.2.1 ビームライン

実験にはSPring-8BL20B2ビームラインを使用した。光源には偏向電磁石を使用している

ので、ビームの偏光度は水平方向にほぼ100%であり、その偏光度は安定している(付録A.1 照)。図4.2にビームラインの全体図を示す。我々が実験をおこなったのはハッチ3であり、光源 からハッチ3の入り口まで206mである。またハッチ2の入り口(光源から200m)に四極スリッ トがある。本実験では四極スリットは1mm×1mmで用いた。放射光を用いているので、ビーム はすでに平行であり、平行度は垂直方向に0.0034、水平方向に0.086である。四極スリットを 通ることでビームはより平行になり、その平行度∆θ

∆θ(deg.) = 1 [mm]

200×1000 [mm]×180

π = 0.00029 (4.1)

Scintillator

Mirror Incident Beam

rotation

Reflecting Beam Ionchamber

Direction of Beam Polarization

PMT

4.1: 測定方法の概念図。ミラーを回転させると、反射光の到達位置も変化するので検出器 も移動させる必要がある

と計算される。ビームのエネルギーは光源から36.8mに設置された二結晶分光器(Double crystal

monochrometer)をもちいて調整する。本実験では30keVのビームを使用した(二結晶分光器に

ついての詳細は付録A.2を参照)。ビーム強度はだいたい5×107 (photon/sec/mm2)である。

4.2.2 ピンホール

ピンホールは直径500µm、厚さ400µmのタンタルであり、四極スリットの下流かつイオンチェ ンバーの上流に置いた。各β角度においてピンホールを通ってきたビームが、各βの角度で反射 鏡に対して偏光角度以外は全て同じ条件であることが必要であるため、ピンホールを用いてビー ム面を円に整形した。詳しい精度などは§7.3.2に示した。また、30 keVのビームはこのピンホー ルで止められるので、その平行度∆θ

∆θ(deg.) = 0.5 [mm]

204×1000 [mm]×180

π = 0.00014 (4.2)

と計算され、より平行度が高くなる。表4.1に本実験で用いたビームの特性をまとめる。

4.2.3 反射鏡ピース

本実験で使用した反射鏡は多層膜反射鏡である。この反射鏡はガラス基板(30mm×70mm×2mm 上に白金(Pt)と炭素(C)を積層している。そのパラメータは、一層の厚さd=2.4nm、積層数 N=70 、重元素比γ=0.4、表面粗さσ=0.3nmである。このとき、30keVX線に対する理論的 な反射率プロファイルは図4.3のようになり、一次のブラッグ角は0.51で反射率は0.8、二次の ブラッグ角は1.0で反射率は0.004である。一次のブラッグ角での反射率を本実験では測定する。

四極スリット

ピンホール 測定系A 二結晶分光器

4.2: ビームラインの全体図。実験を行ったのはハッチ3で、その測定系Aの詳細は図4.7に示した。

   特性など

エネルギー 30(keV)

偏光度 水平方向にほぼ100 (%) 時間的に安定

               電子軌道面内をずれると若干円偏光

平行度 0.00029 (deg.) 四極スリットで止められたビーム

平行度 0.00014 (deg.) ピンホールで止められた30 keVのビーム

強度 ∼5×107(photon/sec/mm2) 安定性は実験で測定した値を用いた。§5.2.2参照4.1: 本実験で使用したビームの特性

4.3: 30keVX線に対する、多層膜反射鏡の反射率の理論値

4.4: 本実験で使用した多層膜反射鏡。測定中に動かないようにミラーホルダーで固定されている。

4.2.4 CCDカメラ

反射鏡の位置の調整やアラインメントのとき、直接光や反射光の位置測定などにCCDカメラを 使用した。CCDカメラはシンチレーター検出器と同じステージに固定され、ビーム軸方向に対し てCCDの検出面はシンチレーター検出器の検出面と同じ位置にある。(図4.9CCDカメラは C472-95HR(Hamamatsu)で、ピクセルサイズは5.9µm、大きさは4000(H)ピクセル×2624(V) ピクセル(23.6mm×15.5mm)だった。図4.5にピンホールでコリメートされた直接光のCCD メージを示し、図4.6にその反射光のCCDイメージを示す。これらの図から直接光の大きさは φ∼500µmで、反射光のだいたいの大きさは縦1.8mm×0.5mmであることがわかる。図4.3

から一次のブラッグ反射のもつ幅は0.02程度だが、ビームの平行度は表4.1より0.00014と十 分に小さいのでビームは平行であると考えてよい。したがって反射イメージが垂直に伸びている のは、ビームの平行度の問題ではなく、反射鏡の鏡面が歪んでいることに起因すると考えられる。

積分時間は4秒である。ただし図のイメージは4ビンまとめしているので1ピクセルは23.6µm である。

X pixel Z pixel

4.5: 直接光のCCDイメージ。縦軸と 横軸はそれぞれ垂直方向と水平方向のピ クセル数である。1ピクセルは23.6µm

4.6: 反射光のイメージ。縦軸と横軸 はそれぞれ垂直方向と水平方向のピクセ ル数である。1ピクセルは23.6µm

4.2.5 測定系

測定系の概要(図4.2の測定系A)を図4.7に示す。赤枠で囲まれている部分は自動ステージと CCDカメラであり、これらを使ってミラーと検出器の位置を調整する。使用したステージの性能 は表4.2にまとめる。青枠で囲まれている部分は反射鏡、イオンチェンバー、シンチレーター検 出器であり、これらを使って入射ビームと反射ビームの強度を測定し反射率を取得する。

図4.7に左下の点線で囲まれた部分にミラー部分を拡大してある。ミラーとビーム軸のなす角 度を入射角α「偏光面と反射面のなす角度」つまりビーム軸を中心にしたミラーの回転角を偏光 角βと呼ぶ。ミラーの鏡面が水平であるときβ = 0とし、図の矢印方向が正の方向である。図 4.10に示す通り、入射角αはミラーαステージ、偏光角ββ回転ステージを用いてそれぞれの 角度を調整する。

多層膜反射鏡

30keVビーム

ピンホール 四極スリット

PMT 4m

4m 3m

CCD Copper(attenuate)

y z

α x θ

β Pinhole x-stage

Pinhole z-stage

Stand x-stage Stand z-stage Stand α-stage Stand θ-stage

Mirror α-stage Mirror z-stage

β-rotational stage

Detector x-stage Detector z-stage

: 光学調整系 : 反射率測定系 Spring-8 BL20B2

偏光方向

シンチレーター 検出器

イオンチェンバー

偏光角

β

入射角

α

4.7: 測定系Aの概念図

イオンチェンバー

ミラー 30 keVビーム

自動ステージ

(光学調整系)

4.8: ミラーとそのまわりの測定系。図 の左手からビームが入射しイオンチェン バーを通過してミラーに反射する。

シンチレーター検出器

自動ステージ CCDカメラ 30 keVビーム

4.9: CCDとシンチレータ検出器。手

前がµメタルをまいたシンチレータ検出 器、奥がCCD検出器である。

偏光角β

入射角α

ミラーαステージ ミラー ビーム偏光方向

30 keVビーム

β回転ステージ

ビーム

4.10: ミラーとそのまわりのステージ

ステージ  分解能 補足など ピンホールXステージ 2 (µm/step)

ピンホールZステージ 2 (µm/step)

台Xステージ     2 (µm/step)

台Zステージ     2 (µm/step)

台αステージ 0.0012 (deg./step)

台θステージ 0.004 (deg./step)

台βステージ      0.004 (deg./step)    

ミラーαステージ    0.00038 (deg./step) 14(step/pulse)で使用   ミラーZステージ        1(µ m/step)    

検出器Xステージ       10(µm/step)      検出器Zステージ        1.67(µm/step)    

4.2: 測定に使用したステージ。全てKOHZU

4.2.6 イオンチェンバー

反射する前のビームの強度を測定するために、強度モニター用検出器を多層膜反射鏡ピースの 前におきビーム強度をモニターした。強度モニター用検出器としてイオンチェンバー(応用光研 s-1194B1)を用いた(図4.11。イオンチェンバーはアルゴンガスでフロー(∼15cc/min)して 1気圧下で使用した。図4.12に測定に用いたイオンチェンバーの測定系のブロック図を示す。イ オンチェンバーは入射X線がチェンバー内を通る時にアルゴンを電離させ生成する電子·イオン 対を外部電圧で電極に集めて電流信号として取り出す検出器である[17。取り出した電流は電圧 変換アンプを通して電圧に変換され、さらにV/F CONVERTERをとおして電圧を周波数に変 換したものをSCAでデジタル信号に変換した後、パソコンでデータを取得した(図4.13。パソ コンでのデータ取得間隔は7.5秒で、実験の間イオンチェンバーの値はモニターし続けた。表4.3 に、使用したモジュールなどの設定値を示しておく。

形式 性能など

高圧電源 ORTEC 660 1000V

電圧変換アンプ Keithley 428 109V/A オフセット6pA V/F CONVERTER 応用光研733-1

SCA ORTEC 550A

4.3: 測定に使用したモジュールの性能と設定

6cm 10cm

19cm

30keVビーム

4.11: イオンチェンバー

4.12: イオンチェンバーのセットアップ

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