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反射位置変化の原因

ドキュメント内 master thesis katsuta (ページ 67-71)

第 7 章 系統誤差の評価

7.3 反射位置変化の原因

偏光角βごとに反射位置が変化する理由としては、アライメントの精度不足が考えられる。他 に、入射ビームに精度がない場合も反射位置変化と同じような系統誤差があらわれる。以下これ らが、実験結果の系統誤差になる可能性があるかを調べる。

7.3.1 アライメントの精度

反射位置が変化すると、図7.1と図7.2から反射率が変化することがわかる。位置変化による 反射率測定は水平方向と垂直方向に一次元でしかおこなっていないが、微少範囲では反射位置が 基準点(偏光角β = 0での反射位置)から水平方向に∆x、垂直方向に ∆zずれたときの効果は、

水平方向のズレの効果fx(∆x)と垂直方向のズレの効果fz(∆z)の乗算fx(∆x)×fz(∆z)になると 仮定した。ただしfxfzはそれぞれ図7.1と図7.2の反射率曲線を3次関数でなめらかにフィッ ティングしたものを、原点で規格化したものである(fx(0)=1,fz(0) = 1。アライメントのズレ が決まれば、偏光角βごとに基準点からの反射位置のズレ∆x(β),∆z(β)は一意に決まる。した

1%

1%

7.1: 反射位置の水平方向への変化と相対反射率。ゼロ点は本実験と同じ反射位置である。

正の方向はビームの上流側から見て、反射位置が基準点から左にずれる方向。縦軸は相対反 射率。

1%

2%

7.2: 反射位置の垂直方向への変化と相対反射率。ゼロ点は本実験と同じ反射位置である。

正の方向は反射位置が基準点から下にずれる方向。縦軸は相対反射率。

がって、アライメントのズレをパラメーターとしたとき158.5×fx(∆x)×fz(∆z)は、アライメ ントのズレに起因した反射率の偏光角β依存性を表す式となる。この式を本実験で得た結果の図 6.6にフィティングしたものが図7.3である。フィッティング結果によるとアライメントによるズ レは30µmとなったが、これは十分考えられる範囲のズレである。

Relative reflectivity

β angle(deg)

0 50 100 150 200 250

158 159

350 300

156 Relative reflectivity 157

7.3: アライメントのズレが引き起こす系統誤差。赤点は本実験の結果。青線がアライメン トのずれをパラメーターとしたフィッティングである。

7.3.2 入射ビームの精度

7.3.2.1 目的

ピンホールでコリメートされたビームが、偏光角βで反射鏡に対して偏光角度以外は同じ条件 であるかを評価するために、ピンホールでコリメートされたビーム面の真円度と強度一様性の評 価をおこなった。ビーム断面が真円でないと偏光角βごとにビームがミラーに当たる位置が変化 し、ビーム強度が断面内で一様でないと偏光角βごとにビーム反射のムラに違いができる。これ らの変化が反射率に影響する可能性がある。そこで、この変化の大きさを定量的に調べた。

7.3.2.2 ビーム強度の一様性

図7.4にピンホールでコリメートされたビームのCCDイメージを示す。ピンホールのエッジ付 近ではビーム強度は落ちていくので、ビーム中心付近の12×12=144ピクセル(X:496から507 ピクセル、Z:322から333ピクセル= 283µm×283µm)のビーム強度一様性を調べる。上記のピ クセル範囲のビーム強度のCCDカウント数を求めたものを図7.4参照に示す。ただしビーム強度 は、(ビーム強度)=(ビームが入射したときのカウント数)-(暗電流のカウント数) と計算した。暗 電流のカウント数は、ビームが入射していないときに同じ積分時間4秒で同じピクセルをCCD でカウントしたものである。暗電流のヒストグラムを図7.7に示す。図7.6をガウシアンでフィ ティングすると、ビーム強度は4361±71(1σ)となったので、71/4361=1.6%でビーム強度は一様 であるということができた。

X pixel Z pixel

7.4: 直接光のCCDイメージ。横軸、

縦軸ともに単位はピクセルで、1ピクセ ルは23.6µm

X pixel Z pixel

7.5: ビーム強度の半値以上のみを表 示した図。図7.4と同じデータを使って いる。エッジが鋭く落ちていることがわ かる。横軸、縦軸ともに単位はピクセル で、1ピクセルは23.6µm

この結果からビーム面の強度は最大で1.6%程度に非一様である可能性があるので、このとき の反射率への影響を評価する。実際にビームが当たっている直径500µm内の反射率の位置依存 性はわからないが、ビーム面内の水平(X)方向の反射率Rの変化率(dR/dX)§7.2の図7.1 ら求められる(dR/dX)X=0で近似できると推定する。(dR/dX)X=0 はX=0の両隣2点すなわ

ちX=50,-50µmを結んだ直線の傾きとした。このとき、ビーム面内の水平方向の反射率の違い

は500(µm)×(dR/dX)x=0=1.5%と推定できる。垂直方向にも同様の仮定をおくと、§7.2 ref-fig:modmzより、ビーム面内の垂直方向の反射率の違いは最大500(µm)×(dR/dZ)z=0=10%と推 定できる。したがってビーム面内の反射率の位置依存性は最大1+10=11%程度と推定できるので、

1.6%の非一様なビームがβ回転したとき反射率の変化は最大11%×1.6%∼0.17%と推定される。

したがって、ビーム強度による反射率への影響は無視できる程小さいことがわかった。

Beam intensity (CCD counts)

3600 3800 4000 4200 4400 4600 4800 5000 5200

Counts

0 5 10 15 20 25 30

Beam intensity

7.6: CCDでカウントされたビーム強度のヒストグラム

7.3.2.3 ビーム面の真円度

図7.5は、§7.3.2.2で求めたビーム強度の平均値4361の半値2180以上の強度のみをプロット したイメージである。この図からエッジにおけるビーム強度の落ち方がほぼ一様であり、確かに 1ピクセルの精度でビーム断面が円であることがわかる。1ピクセルの大きさは23.6µmである。

したがって、直径500µmに対して23.6µm程度、すなわち23.6/500=4.6%以内の精度で円である ことがわかった。

この結果からピンホールは最大で24µm程度に真円から歪んでいる可能性がある。その歪みが 反射率に及ぼす影響は、β回転によって反射位置が24µm変化することに近似できる。したがっ て24µm程度の歪みが反射率へ及ぼす影響は、§7.2の図7.1,7.2で原点から24µmはなれたときの 反射率の影響の最大値で近似できるはずである。図7.2Z=-24µmのとき最も反射率への影響 は大きく、このとき1%である。1%の変化は無視できない程に大きいので、ピンホールの真円度 の精度が低ければ反射率測定の精度に影響を与えてしまう可能性があることがわかった。

ドキュメント内 master thesis katsuta (ページ 67-71)

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