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実規模における鏡吹付けモデルのまとめ

ドキュメント内 平成 28 年度 修士論文 (ページ 129-132)

第 6 章 実規模における DEM 解析

6.2 実規模における鏡吹付けモデルの DEM 解析

6.2.6 実規模における鏡吹付けモデルのまとめ

DEM解析の結果に基づいて,全断面掘削工法である直壁型切羽,曲面切羽(円型切羽,

楕円型切羽)の鏡吹付けコンクリートを模擬したモデルを施した場合の変位について比較 し,切羽形状の違いによる切羽の安定性に関する検討を行う.

表 6.9に各切羽形状における鏡吹付けコンクリートモデルを施した場合の切羽安定状態 と鏡吹付けの状態についてまとめた.鏡吹付けの応力状態は,同一地山等級での切羽形状 ごとの比較を示す.また,図 6.22にDⅡ地山における各切羽形状の切羽面変位,図 6.23 にE地山における各切羽形状の切羽面変位を示す.E地山における直壁型切羽は鏡面が破壊 されて,大きい変位が生じているため,グラフでは省略している.

表 6.9 実規模における鏡吹付けモデルの切羽安定状態と鏡吹付けの状態

○:安定,×:崩壊,( )内:最大切羽面変位量.

直壁 円

安定 鏡吹付けの

応力状態 安定 鏡吹付けの 応力状態

DⅡ地山 ○(13.18mm) 引張 ○(10.05mm) 圧縮

E地山 ×(1084.28mm) 引張破壊 ○(27.42mm) 圧縮

楕円 円弧

安定 鏡吹付けの

応力状態 安定 鏡吹付けの 応力状態 DⅡ地山 ○(12.95mm) 圧縮

○(12.47mm) 圧縮

E地山 ○(36.87mm) 圧縮

○(32.31mm) 圧縮

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直壁型切羽では,鏡吹付けに引張が作用する.特にE地山では地山自体の耐力が弱く,

地山が変形しやすい状態にあるため,鏡吹付けに大きな力が作用し,鏡吹付けモデルは破 壊された.今回の解析モデルでは,土被りが2Dと小土被りであるため,水平方向への変形 が卓越する.そのため,切羽面と直角方向に対して変形が生じ,鏡吹付けにせん断力が作 用する.そのせん断力が影響して引張破壊が発生した.

円型切羽では,鏡吹付けのアーチ効果により切羽は安定したまま保持された.円型切羽 では切羽前方奥側に大きく掘り込んでいるため地山の押し出しの影響を受け,鏡吹付けに 大きな力が作用した.しかし,圧ざを起こす大きさではなく,軸圧縮により切羽は安定し たまま保持された.DⅡ地山での切羽面変位は最も小さくなった.円型切羽は切羽断面と覆 工を表している線要素とがなめらかに閉合されていることが要因と考えられる.しかし,E 地山での切羽面変位をみると,水平方向への押し出しを大きく受ける中央付近より切羽上 部の変位の方が大きくなっている.これは掘り込みが大きいことによってオーバーハング 状態部分が広く,鉛直方向への変形の影響を受けたと考えられる.自立性の弱い地山や今 回のモデルより土被りが大きい地山での掘削では,鉛直方向変位の影響をより受けやすい と考えられる.

楕円型切羽では円型切羽と同様に,鏡吹付けのアーチ効果により切羽は安定したまま保 持された.鏡吹付けの応力は,軸圧縮であり,円型切羽と比較して均等な力が作用してい るため,局所的な破壊を起こしにくいと考えられる.鏡吹付けのアーチ効果は確認できた

が,DⅡ地山での切羽面変位は直壁型切羽と差はなかった.弱部となる中央付近で変形が大

きく生じたため,変位の観点では曲面切羽の優位性はみられなかった.また,曲面切羽(円 型切羽,楕円型切羽,円弧型切羽)の中では,最も変形が大きく生じた.

0 2000 4000 6000 8000

0 2.5 5 7.5 10 12.5 15

ネル高(mm

切羽面変位 (mm)

0 2000 4000 6000 8000

0 5 10 15 20 25 30 35 40

ネル高(mm

切羽面変位 (mm)

図 6.22 各切羽形状における切羽面変位 地山等級 DⅡ

図 6.23 各切羽形状における切羽面変位 地山等級 E

直壁 楕円 円弧

直壁 楕円 円弧

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円弧型切羽は,円型切羽,楕円型切羽と同様に,鏡吹付けのアーチ効果により切羽は安 定したまま保持された.また,楕円型切羽と同様に鏡吹付けにほぼ均等な力が作用した.

楕円型切羽と比較して大きな差はないが,鏡吹付けに作用する応力は最も小さかった.こ れは,オーバーハング状態になる部分が狭いことで力が小さく,曲率が一定であることで 鏡吹付け全面に力が分配されたと考えられる.

鏡吹付を施した場合の切羽形状の安定性は,円型切羽>円弧型切羽>楕円型切羽>直壁 型切羽であった.今回のモデルでは,土被り2Dと小土被り地山であるため,切羽面の安定 性は水平方向への変形の影響が卓越する.しかし,土被りがより大きい地山では鉛直方向 への変形の影響がより大きくなるため,円型切羽のようなオーバーハング部が大きい切羽 形状の安定性は低下すると考えられる.また,3章や4章で解析した未固結粒状体地山では,

楕円型,円弧型切羽とで切羽面の安定性は異なっていた.今回の解析モデルで用いた実際 の地山は粘着力や引張強度があるため,ある程度地山自身で安定する.そのため,楕円型,

円弧型切羽のような掘り込み距離は同じだが形状は異なっている切羽同士の差異はあまり 生じなかった.

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