第2章 音楽科における沖縄伝統音楽指導の現状
第1節 学習指導要領
本節では、まず音楽科の中学校学習指導要領の中で、日本の伝統音楽指導がどのように 取り扱われてきたのかを見ていき、文部科学省が掲げる国としての方針を確認する。学校 教育の大きな指針となる学習指導要領の内容を確認することで、今日に至るまでの音楽科 における伝統音楽指導の位置づけを整理したい。
中学校学習指導要領
昭和26年告示のものから平成20年公示のものまでの中学校の学習指導要領で、日本の 伝統音楽指導に関連すると思われる部分を以下に抜粋する。
1)昭和22年告示
記載なし。
2)昭和26年告示
第1学年
鑑賞
3)古典音楽に親しみ、その特徴を捉える力を養う。
4)我が国のわらべ歌や民謡を鑑賞する。
理解
6)我が国のわらべ歌や民謡と家庭や社会生活との関係を理解する。
第2学年
鑑賞
4)我が国のわらべ歌や民謡を鑑賞する。
理解
6)各国の民謡と社会生活との関係を理解する。
第3学年
鑑賞
4)我が国及ぴ外国民謡並びに民族音楽を鑑賞する。
理解
6)民謡や民族音楽と、社会生活との関係を理解する。
3)昭和33年告示 教科の目標
3.我が国及び世界のすぐれた音楽に親しませ、よい音楽を愛好する心情を養い、鑑賞 する能力を高める。
。.我が国及び世界の音楽文化に対する正しし・理解を得さ芭すぐれ{音楽を継承し、
我が国の音楽文化を向上させようとする基礎的な態度を養う。
36
第1学年
学年の目標
7.郷土の音楽や我が国及び世界の有名な民謡・民族音楽を取り扱い、それらの違い や共通性を感じさせる。
表現
(4)歌唱教材の範囲
ア 我が国や世界の明るく親しみやすい有名な歌曲、民謡、および郷土の歌。
(5)歌曲教材の程度
キ 我が国において歌い慣れている歌曲の歌詞や平易な外国語(特に英語)の歌詞 は、そのまま用いてよい。
器楽
(4)合奏教材の程度
歌唱(5)のア、イ、及び工に準ずるか、調はハ長調及び同じ調号の日本音階に よるものとする。
第2学年
学年の目標
7.郷土の音楽、各種の民謡及び民族音楽などについて、それぞれめ音楽の特徴ある 美しさを味わわせる。
器楽
(4)合奏教材の程度
ウ 調はイ、変ホの長調を加え及びそれらの関柱短調を加えることができる。日本 音階はそれらと同じ調号の範囲とする。
(5)鍵盤楽器の程度
ア 長音階や短音階及び日本音階の構成の理解の手がかりとする程度。
第3学年
器楽
(4)合奏教材の程度
ウ 調は二、変日長調を加え及びそれらの関係短調、同じ調号による日本音階を加 えてもよい。
鑑賞
(3)鑑賞教材
工 日本音楽の代表的なもの。
4)昭和44年告示 教科の目標
2.我が国及び諸外国のすぐれた音楽に親しませ、よい音楽を愛好する心情を養い、
鑑賞する能力を高める。
4.我が国及ぴ諸外国の音楽文化を理解させるとともに、よい音楽を生活に生かし、
生活を明るく豊かにする態度や習慣を育てる。
第1学年
学年の目標
6.郷土の音楽や我が国および諸外国の民謡、民族音楽に親しみをもたせる。
歌唱
(4)歌唱教材
イ 曲種は、我が国や諸外国の民謡及ぴ古典の歌曲から現代の歌曲までのうち、平 易で親しみのあるものとすること。
鑑賞
(1)いろいろな楽曲の持つ美しさやおもしろさを味わわせ、鑑賞する意欲を高める。
38
イ 日本の音楽や諸外国の音楽が持つそれぞれの特質やよさを感じ取って聞くこと。
(3)鑑賞に必要な理解を得させる。
イ 日本の音楽には独特の演奏形式や表現の仕方があることを知ること。
第2学年
学年の目標
6.郷土の音楽や我が国及び諸外国の民謡、民族音楽の特色を味わわせる。
歌唱
(4)歌唱教材
イ 曲種は、我が国や諸外国の民謡及び古典の歌曲から現代の歌曲までのうち、平 易で親しみのあるものとすること。
鑑賞
(1)いろいろな楽曲の持つ美しさやおもしろさを味わわせ、鑑賞する意欲を高める。
イ 日本の音楽や諸外国の音楽がもつそれぞれの特質やよさを感じ取って聞くこと。
(3)鑑賞に必要な理解を深める。
イ 日本の音楽には、洋楽とは違った形式のあることを知ること。
第3学年
学年の目標
6.郷土の音楽や我が国及ぴ諸外国の民謡、民族音楽の特徴を味わわせるとともに、
日本の音楽の動向に関心をもたせる。
歌唱
(4)歌唱教材
イ 曲種は、我が国や諸外国の民謡及び古典の歌曲から現代の歌曲までのうち、平 易で親しみのあるものとすること。
鑑賞
(1)いろいろな楽曲の持つ美しさやおもしろさを味わわせ、鑑賞する意欲を高める。
イ 日本の音楽や諸外国1の音楽がもつそれぞれの特質やよさを感じ取って聞くこと。
(3)鑑賞に必要な理解を深める。
イ 日本の音楽には、独特の演奏法があることを知ること。
指導計画と各学年にわたる内容の取扱い 6 鑑賞の指導に当たって
(3)日本の音楽を取り扱うに際しては、伝統的な楽曲のほかに、近代・現代のも のも積極的に取り上げるようにすること。また、鑑賞のための資料として、
和楽器を用いてもよいこと。
5)昭和52年告示
第1学年
表現
(3)表現教材
ア 我が国及び諸外国の民謡並びに古典から現代の作品までのうち、平易で親しみ のもてるものであること。また、郷土の民謡を取り上げるようにすること。
鑑賞
(2)鑑賞教材
ア 箏曲、独唱曲、弦楽合奏曲、管絃楽曲、郷土の音楽及び諸外国の民族音楽。
40
第2学年
表現
(3)表現教材
ア 我が国及び諸外国の民謡並びに古典から現代の作品までのうち、平易で親しみ のもてるものであること。また、郷土の民謡を取り上げるようにすること。
鑑賞
(2)鑑賞教材
ア 雅楽、三味線音楽、独奏曲、管絃楽曲、郷土の音楽及ぴ諸外国の民族音楽。
第3学年
表現
(2)表現活動を通して、次の事項を理解させる。
ア 日本民謡の旋律における装飾的な音の動き。
(3)表現教材
ア 我が国及び諸外国の民謡並びに古典から現代の作品までのうち、平易で親しみ のもてるものであること。また、郷土の民謡を取り上げるようにすること。
鑑賞
(2)鑑賞教材
ア 尺八音楽、協奏曲、管絃楽曲、郷土の音楽及び諸外国の民族音楽。
6)平成元年告示
第1学年
表現
(2)表現教材
ア 我が国及ぴ諸外国の民謡並びに古典から現代の作品までのうち、平易で親しみ のもてるものであること。
鑑賞
(1)鑑賞の活動を通して、次の事項を指導する。
ウ 我が国及び諸外国の民族音楽における楽器の音色や奏法と歌唱表現の特徴を感 じ取ること。
(2)鑑賞教材
ア我が国及び諸外』の民謡並びに古典から現代までの作品、郷辛の音楽及び諸外 国の民族音楽とすること。
第2学年及ぴ第3学年 表現
(2)表現教材
ア我が国及び中外国の民謡並びに古典から現代の作品までのうち・平易で親しみ のもてるものであること。
鑑賞
(1)鑑賞の活動を通して、次の事項を指導する。
工 我が国の音楽及び諸外国の音楽について、およその時代的、地域的特徴を感じ 取ること。
42
(2)鑑賞教材
ア 我が国及び諸外国の民謡並びに古典から現代までの作品、郷土の音楽及び諸外 国の民族音楽とすること。
指導計画の作成と内容の取り扱い
2 各学年の内容についての配慮事項
(4)器楽の指導においては、高音、中音及び低音の声部の均衡のとれた楽器編成 を工夫して行うこと。牟お、指導上の必要に応じて、弦楽器、管楽器、打楽 器、鍵盤楽器、電子楽器及ぴ和楽器及び民族楽器を適宜用いること。
(7)表現教材には、郷土の民謡を取り上げるようにすること。
7)平成10年告示
第1学年
表現
(2)表現教材
ア 我が国及び世界の古典から現代の作品、郷土の民謡など、我が国及び世界の民 謡のうち、平易で親しみのもてるものであること。
イ 歌唱教材の観点
(ア)我が国で長く歌われ親しまれているもの。
(イ)我が国の自然や四季の美しさを感じ取れるもの。
(ウ)我が国の文化や日本語の持つ美しさを味わえるもの。
鑑賞
(1)鑑賞の活動を通して、次の事項を指導する。
ウ 我が国の音楽及ぴ世界の諸民族の音楽における楽器の音色や奏法と歌唱表現の 特徴から音楽の多様性を感し取って聴くこと。
(2)鑑賞教材は、我が国及び世界の古典から現代までの作品、郷土の伝統音楽及び 世界の諸民族の音楽を取り扱う。
第2学年および第3学年 表現
(2)表現教材
ア 我が国及び世界の古典から現代の作品、郷土の民謡など我が国及び世界の民謡 のうち、平易で親しみのもてるものであること。
イ 歌唱教材の観点
(ア)我が国で長く歌われ短しまれているもの。
(イ)我が国の自然や四季の美しさを感じ取れるもの。
(ウ)我が国の文化や日本語の持つ美しさを味わえるもの。
鑑賞
(1)鑑賞の活動を通して、次の事項を指導する。
ウ 我が国の音楽及び世界の諸民族の音楽における楽器の音色や奏法と歌唱表現の 特徴から音楽の多様性を感じ取って聴くこと。
(2)鑑賞教材は、我が国及び世界の古典から現代までの作品、郷土の伝統音楽及び 世界の諸民族の音楽を取り扱う。
指導計画の作成と内容の取扱い 2 内容の指導上の配慮事項
(4)器楽の指導については、指導上の必要に応じて弦楽器、管楽器、打楽器、鍵 盤楽器、電子楽器及び和楽器及び民族楽器を適宜用いること。また、和楽器 については、3学年間を通じて1種類以上の楽器を用いること。
44