• 検索結果がありません。

学生の能力養成と学生満足度

ドキュメント内 全 文 (ページ 109-129)

᩺ 䋮

Ⅶ  学生の能力養成と学生満足度

  本プログラムは冒頭述べたように、学生のビジネス展開能力・人間力を養成し、学生に充実感・達 成感・満足感を実感させることめざしている。この間、前者を計測する手法として「フューチャーマ ップ診断」(FM診断)、後者を計測する方法として「学生満足度調査」を試行してきた。ここでは、

その活用方向を整理する。 

 

Ⅶ−1  フューチャーマップ法の分析と活用方法

1  フューチャーマップ診断テストの実施状況

フューチャーマップ診断テスト(開発:セルフウイング株式会社)は、約 100 問の問いに、15 分間 程度で答えることにより、①基本姿勢、②コミュニケーション力、③工夫する力、④自分の現状の意 識、⑤未来への意識、⑥社会で通用する力、⑦仕事への意欲、⑧仕事への理解度、⑨仕事への意識、

⑩仕事選びの意識、などを図示して判定できる(図表7−1参照)。このテストで自分の基本的性格や 強み、改善点などを知ることができる。 

平成 20 年度は次の3回のフューチャーマップ診断テストを行った。

  ・新入生合宿研修(平成 20 年4月 10 日)・・・この研修では、新入生約 110 名を対象に、約3時間 の「ビジネス体験講座」において、正四面体づくりと販売をグループワークで行い、フューチャーマ ップ診断テストを実施した。

  ・2〜4年次ゼミ全体での実施(平成 20 年4月 14〜25 日)・・・前年に引続き、2〜4年次ゼミの 授業時間を利用し、ゼミ学生全員を対象としてフューチャーマップ診断テストを実施、後日、診断結 果を学生に配布した。

  ・起業家塾(平成 20 年8月 18〜21 日)・・・本学としては4回目の起業家塾を夏季集中授業(平成 20 年8月 18 日〜21 日)として開講した(2単位科目)。初日と最終日に、フューチャーマップ診断テ ストを実施し、学生の諸力の伸長度を把握した。 

 

2  フューチャーマップ診断結果の活用方法

フューチャーマップ診断の結果は、図表7−1に示すように多くの項目でそれぞれの得点に基づい て図示されている。この結果から学生の特徴や意識に関して類型化を試みるために、その基礎データ として次のような整理方法を検討した。 

(1)診断結果の分類別平均  A  4分類の特徴を抽出 

フューチャーマップ診断の結果から得られる①〜⑩の要素項目ごとに得点の平均を求め、さらに 次の4つの分類ごとに関係付けた要素項目の平均を求める。この平均得点に対して段階評価を加え る。(例えば、A:80 点以上、B:60 点以上、C:60 点未満) 

 

分  類  関係付けるフューチャーマップ診断の要素  (a)基本特長  ①基本的姿勢、②コミュニケーション力、③工夫する力  (b)自分への意識  ④自分への意識 

(c)未来への意識と社会で 通用する力 

⑤未来への意識、⑥社会で通用する力 

(d)仕事への理解と意識  ⑦仕事への意欲、⑧仕事への理解度、⑨仕事への意識、 

⑩仕事選びの意識 

104

-B  社会人基礎力との関係 

社会人基礎力(図表7−2参照)の 12 の能力要素とフューチャーマップ診断の①〜⑩の要素項目 を関係付け、それぞれの得点の平均を求める。社会人基礎力の3つの分類(アクション、シンキング、チーム ワーク)ごとの平均得点に対して段階評価を加える。(例えば、A:80 点以上、B:60 点以上、C:

60 点未満) 

分  類  能力要素  関係付けるフューチャーマップ診断の要素  アクション 主体性 ⑥‑[2]‑a:決める力 

働きかけ力 ⑥‑[1]‑b:交流の輪をひろげる力 

⑥‑[1]‑c:人と力をあわせる力  実行力 ①‑b:目標に向けて努力する力 

⑥‑[2]‑b:やりぬく力  シンキング 課題発見力 ⑥‑[3]‑c:なぜを考える力 

計画力 ③‑e:計画する力 

③‑a:情報を集めて整理する力  創造力 ③‑c:新しいことを考え出す力 

③‑d:発想を変える力 

チームワーク 発信力 ②‑d:自分を表現する力、②‑e:自己主張する力  傾聴力 ②‑a:受容性 

柔軟性 ②‑c:理解しようとする姿勢  情況把握力 ⑥‑[3]‑a:状況を把握する力 

規律性  

ストレスコントロール力 ①‑c:困難に立ち向かう力 

⑥‑[4]‑c:いやなことを受け入れる力 

本学の4年次学生2名のフューチャーマップ診断結果にこれらの整理方法を適用した例を図表7−

3、7−4に示す。それぞれ、左下のグラフが4分類で平均を求めた結果で右下のグラフが社会人基 礎力の3分類で平均を求めた結果である。

(2)諸資質・能力・社会人基礎力の事例分析 

図表7−3、7−4はいずれも4年次生で、3年次と4年次の診断テスト結果を図示したものであ る。共に就職は決まったが、Aさんは早い時期に内定を得、B君はかなり遅くまでかかった。 

①Aさんのケース 

図表7−3のAさんのケースは非常に望ましいケースである。「基本特長」、「自分への意識」、「未来 への意識と社会で通用する力」、「仕事への理解と意識」の4指標とも、前回(3年次4月調査)より 今回(4年次4月調査)の方が上回った。FM総括結果(フューチャーマップ診断テスト総括結果)

で見ても、「自分への意識」はAランク(80 点以上)でさらにアップし、「基本特長」と「仕事への理 解と意識」はBランク(60 点以上 80 点未満)からAランクへとランクアップ、「未来への意識と社会 で通用する力」はBランクにとどまったが得点はアップした。 

「未来への意識と社会で通用する力」のうちの社会で通用する力=社会人基礎力をみると、アクシ ョンはCランク(60 点未満)からBランク、チームワークはCランクから一気にAランクにアップし た。シンキングはBランクのままで得点をやや下げたが、これが「未来への意識と社会で通用する力」

が上昇したが、Bランクにとどまった要因と見られる。 

Aさんの望ましい結果はどうしてもたらされたのか。数量的には明示できないが、3年次のゼミ活

動にその要因をみることができる。ゼミにおける地域課題解決のための調査研究活動を率先してリー ドし多くの人前でプレゼンテーションも行うという一連の活動が大きな効果を及ぼしたことは確実で ある(ゼミ担当教員の見解)。 

②B君のケース 

これとは逆のケースがB君のケースである。図表7−4から明らかなように、「基本特長」、「自分へ の意識」、「未来への意識と社会で通用する力」の3指標は前回より今回の方が下回った。「仕事への理 解と意識」だけ、わずかに今回が前回を上回った。FM総括結果で見ても、「自分への意識」はAラン クからBランクにランクダウンし、「基本特長」と「未来への意識と社会で通用する力」はBランクに とどまったが得点はダウンした。「仕事への理解と意識」Bランク内でわずかに得点がアップした。ほ とんどの指標が低下していると評価せざるをえない。社会人基礎力をみると、アクションとシンキン グはAランクから一気にCランクに急激に低下し、チームワークはBランクのままで得点を下げた。 

B君の厳しい結果はどうしてこうなってしまったのか。これも数量的には明示できないが、Aさん とは逆に、3年次のゼミ活動等学生生活が停滞していたことにその要因をみることができるという(ゼ ミ担当教員の見解)。3年次のたった1年間で、地域課題解決のための調査研究活動を精力的に行った Aさんと前向きの学生生活を送らなかったB君の立場は完全に逆転してしまった。Aさんは着実に資 質・能力アップに成果をあげた。 

 

(3)活用方法 

以上から明らかなように、FM診断は定期的に行うことにより、学生の「基本特長」(基本姿勢、コ ミュニケーション力、工夫する力)、「自分への意識」(前向きさに関する意識、学ぶことへの意識、社 会とのかかわりの意識、人との関わりの意識)、「未来への意識と社会で通用する力」(未来への意識、

将来に対して、人間関係における力、前に進む力、考える力、自分をコントロールする力)、「仕事へ の理解と意識」(仕事への意欲、仕事への理解度、仕事への意識、仕事選びの意識)の4分野の資質・

能力の水準、バランスおよび時系列的変化を把握することができる。また、データ加工により、社会 人基礎力の水準、バランスおよび時系列的変化を把握できる。図示することにより、個人の特徴を一 覧で把握できる。 

したがって、FM診断を毎年4月に実施しその結果を学生に配布するとともに、時系列的に加工デ ータを作成しゼミにおけるマンツーマン指導の重要な資料(強み・弱みの把握等アドバイスカード)

の1つとして活用する必要がある。また、個別の授業における社会人基礎力の育成とその評価方法に ついては、FM診断とは別の簡易な評価アンケート作成を早急に行う必要がある。 

                             

106

-図表7−1  フューチャーマップ診断テスト結果(事例) 

図表7−2  「社会人基礎力」の能力要素 

分類 能力要素 内容

前に踏み出す力

(アクション) 主体性

物事に進んで取り組む力

例)指示を待つのではなく、自らやるべきことを見つけて積極的 に取り組む。

働きかけ力

他人に働きかけ巻き込む力

例)「やろうじゃないかと」と呼びかけ、目的に向かって周囲の人々 を動かしていく。

実行力

目的を設定し確実に行動する力

例)言われたことをやるだけでなく自ら目標を設定し、失敗を恐 れずに行動に移し、粘り強く取り組む。

考え抜く力

(シンキング) 課題発見力

現状を分析し目的や課題を明らかにする力

例)目標に向かって、自ら「ここに問題があり、解決が必要だ」

と提案する。

計画力

課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力

例)課題の解決に向けた複数のプロセスを明確にし、「その中で最 善のものは何か」を検討し、それに向けた準備をする。

創造力

新しい価値を生み出す力

例)既存の発想にとらわれず、課題に対して新しい解決方法を考 える。

チームで働く力

(チームワーク) 発信力

自分の意見をわかりやすく伝える力

例)自分の意見をわかりやすく整理した上で、相手に理解しても らうように的確に伝える。

傾聴力

相手の意見を丁寧に聴く力

例)相手の話しやすい環境をつくり、適切なタイミングで質問す るなど相手の意見を引き出す。

柔軟性

意見の違いや立場の違いを理解する力

例)自分のルールややり方に固執するのではなく、相手の意見や 立場を尊重し理解する。

状況把握力

自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力

例)チームで仕事をするとき、自分がどのような役割を果たすべ きかを理解する。

規律性

社会のルールや人との約束を守る力

例)状況に応じて、社会のルールに則って自らの発言や行動を適 切に律する。

ストレスコントロール力

ストレスの発生源に対応する力

例)ストレスを感じることがあっても、成長の機会だとポジティ ブに捉えて肩の力を抜いて対応する。

(出所)経済産業省「社会人基礎力に関する研究会−「中間取りまとめ」−」(平成18年1月20日)

108

ドキュメント内 全 文 (ページ 109-129)