−実習生指導のための保育カンファレンス・スキルの開発を目指して−
A study on kindergarten practical training to increase student teacher's ability to offer individually customized guidance while developing well-rounded understanding of kindergartners
− Cultivating conference skills in early-childhood student-teacher training −
研究グループ代表者
那須 信樹
(NASU NOBUKI)短期大学部幼児保育学科・准教授共同研究者名
石黒万里子
(ISHIGURO MARIKO)教育学部児童幼児教育学科・講師
野上 俊一
(NOGAMI SYUNICHI)教育学部児童幼児教育学科・講師
吉川 寿美
(KIKKAWA KAZUMI)教育学部児童幼児教育学科・助教研究協力者名
山本 美香
(YAMAMOTO MIKA)中村学園大学付属あさひ幼稚園・主任教諭
志水 陽子
(SHIMIZU YOUKO)中村学園大学付属あさひ幼稚園・副主任教諭
秀平 花子
(HIDEHIRA HANAKO)中村学園大学付属あさひ幼稚園・教諭
二分 裕美
(NIBUN HIROMI)中村学園大学付属あさひ幼稚園・教諭
福嶋 理恵
(FUKUSHIMA RIE)中村学園大学付属あさひ幼稚園・教諭
中村 麻衣
(NAKAMURA MAI)中村学園大学付属あさひ幼稚園・教諭
河野 裕美
(KAWANO HIROMI)中村学園大学付属あさひ幼稚園・教諭(平成 22 年度)
丸山 由美
(MARUYAMA YUMI)中村学園大学付属あさひ幼稚園・教諭(平成 23 年度)※単年度のみの参加者については、括弧内に参加年度を示す。
研究成果の概要
平成 22 年度には、本学学生の付属幼稚園における教育実習を効果的にサポートする学習支援ツールとして『幼稚園 教育実習ワークブック』を発刊した(2011 年 3 月)。続く 23 年度には、そのワークブックを活用した『ラベルケーショ ン』(林 .2002)による保育カンファレンスならびに組織的な教育実習指導への取組みとワークブック自体のブラッシュ アップを図った。
主な研究成果として、実習時の「学生自身の対話力の向上」、「保育者集団における組織的な指導力の向上」が認めら れた点などについて、第 2 回幼児教育実践学会(大阪)ならびに日本保育学会第 65 回大会(東京)において研究報告 を行った。とりわけ、付属幼稚園を有する大学関係者ならびに幼稚園関係者らの高い関心を得ることができた。
その後、今回の取組みによって指導を受けた実習生を対象に質問紙調査を実施し、これまでの実践に対する検証を深 めた。評価結果より、『ラベルケーション』による実習生同士のかかわり合いを通して、一人ひとりの実習生が他の実 習生の考え方や視点を共有すること、振り返りを通して課題を見つけること等、幼稚園教諭の資質として求められる基 礎的な「対話と省察する力」の獲得につながっていることが明らかになった。
一方で、「幼児理解と判断力」の育成に関する指導内容に大きな課題を残す結果となり、さらなる指導内容の精選と 指導方法の工夫、大学(幼稚園教諭養成機関)との組織的な連携による実習指導力の向上に努めなければならないこと が明らかとなった。詳細については、日本保育学会第 65 回大会(東京)において報告を行った。併せて、2012 年 3 月には改訂版となる『幼稚園教育実習ワークブック2』を発刊した。
研究分野:幼稚園教育実習
キーワード:(1) 幼稚園教育実習ハンドブック (2) ラベルケーション (3) 保育カンファレンス (4) 組織的な教育実習
1.研究開始当初の背景
平成 18 年、中央教育審議会により答申が出された教 職課程の一部変更による『教職実践演習』(本学の教科 目名『保育・教職実践演習(幼稚園)』)の新設や教育実 習の一層の充実に向けた様々な取組みに見られるよう に、幼稚園教諭の養成課程においても保育者として求め られる集団的かつ個別的な指導能力の養成は大きな課題 の一つであった。
このような背景を踏まえ、教育実習指導のあり方その ものを、保育現場と養成校との連携・協働といった視点 から抜本的に見直す必要性が生じてきたことがきっかけ となって本研究への取組みが開始された。
2.研究目的
本研究では、幼稚園教諭あるいは小学校教諭を目指す 学生たちの幼児教育を担う専門職としての指導力の基盤 となる “ 確かな実践力 ” の育成を支える実習指導プログ ラムの開発を主たる目的としている。とりわけ、近年、
保育実践の場においても多用されるようになってきた
「保育カンファレンス」の手法に焦点を当てながら、本 学付属あさひ幼稚園の教諭と実習生を対象にした研究を 通して、多様な幼児理解(個別支援)の視点に基づく保 育カンファレンス・スキルの開発を試みるものである。
なお、研究初年次の研究成果を踏まえて、本学学生の 付属幼稚園での教育実習を効果的にサポートする学習支 援ツールとして『幼稚園教育実習ワークブック』を開発・
活用することを目的とした。
3.研究実施計画・方法
平成 22 年度は、①「OJT(On the Job Training)」的実 習指導や「保育カンファレンス」的手法を活用した先駆的 な実習指導システムを有する他大学へのヒアリングや資料 収集などの実地調査、②文献研究を中心とした実習指導に 関する付属あさひ幼稚園教諭との協働による園内研修の実 施、③実習生が作成する「ケース」を活用した保育カンファ レンスの試行的プログラムの開発を計画した。
続く平成 23 年度は、22 年度の研究実績を踏まえ開 発した『幼稚園教育実習ワークブック』をもとに、幼稚 園教諭と養成校の実習指導担当者、教育実習生間におい て指導(教授)内容を共有しながら、幼稚園における実 習指導の改善にあたった。
4.研究成果
新たに開発した『幼稚園教育実習ワークブック』なら びに『幼稚園教育実習ワークブック2』において導入さ
れた『ラベルケーション』を軸とした保育カンファレン ス・スキルの活用は、実習生一人ひとりが他の実習生の 考え方や視点を共有すること、振り返りを通して課題を 見つけること等の基礎的な「対話と省察する力」の獲得 を生み出すきっかけとなっていることを明らかにした。
学生への自己評価調査の結果によれば、付属幼稚園の 全実習指導担当者が実習生の成長を見据えた上で、意識 的に『ラベルケーション』を中心としたカンファレンス を行ってきたことで、全 13 項目にわたる問いに対して 評価指標 4「十分できた」と 3「まあまあできた」への 回答率が高くなるという結果を得た。ただし、「幼稚園 教育要領と実習中の保育実践との関連性」を問う項目に ついては、実習中にその関連性を実感できたとする回答 は少なく、「幼児理解と判断力」の育成に関する指導内 容に課題を残す結果となった。
今後のより効果的な実習指導にあたってはワークブッ クのブラッシュアップ はもちろんのこと、例えば、実 習生と実習指導担当者との対話を促すもう一つの素材と なりうる「実習日誌」の作成にあたって、その様式に 5 領域名を明示するなどの工夫による保育カンファレンス 実施の必要性も明らかとなった。
いずれも、実習園と養成校が実習前・実習中・実習後に、
実習生に求めたい姿や引き出したい姿を更に具体化し、
その内容や指導法に関する「共通語」になるものを創造 し、連携していくことは、幼稚園教諭を養成する当事者 に求められる共有すべき喫緊の課題であるといえる。今 後も、幼稚園教諭を含む保育者養成の質向上に向けた取 組みの一助となる教育実習のガイドライン等の作成も視 野に入れた取組みとして展開していきたい。
5.主な発表論文等
〔学会発表〕(計 2 件)
①(那須信樹)・中村麻衣・丸山由美・山本美香、「実習 生の力を引き出す教育実習指導のあり方について〜実 習指導支援ツールとしての『Teaching Practice Work Book』の活用事例を通して〜」、第 2 回幼児教育実践 学会、2011 年 8 月 11 日、大阪大手門小学校
②(中村麻衣)・那須信樹・二分裕美・丸山由美・石黒 万里子、「実習生の力を引き出す教育実習指導のあり 方について(2)−実習事前・事中・事後の学習支援 ツールの活用と実習生の自己評価を通して−」、日本 保育学会第 65 回大会、東京家政大学
〔図書〕(計 2 件)
①中村学園大学付属あさひ幼稚園プロジェクト研究チー ム編『幼稚園教育実習ワークブック』、2011
②中村学園大学付属あさひ幼稚園プロジェクト研究チー ム編『幼稚園教育実習ワークブック2』、2012
6.予算配布額
(金額単位:円)
研究経費 機器備品 合 計 平成 22 年度 390,000 0 390,000 平成 23 年度 260,000 0 260,000 合 計 650,000 0 650,000