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地震時の水供給の危機管理

ドキュメント内 フロンティアプロジェクト (ページ 51-54)

第 5 章

5.1

おわりに

まとめ

本論での成果をまとめると,以下のとおりである.

(1) 高松平野及び早明浦ダム上流域では,近年の降雨変動幅が 100 年前と比較して大き くなっており渇水頻度が高まっている.

(2) 高松市・内場ダム及び吉野川水系早明浦ダムの降雨とダム貯留量を分析した結果,

1994 年の渇水時には両水源とも水資源が不足していたため,上水確保のために農業 用水や工業用水の協力により上水のカット率を緩め,利水者間での配水調整を行った.

一方,2005 年は早明浦ダムのみ水資源が不足し,高松市・内場ダムの水源は比較的 余裕があったため,自主減圧のみで渇水を乗り切ることができた.

(3) 高松市の上水道計画においては,自己流域内での安定した水資源を確保することが渇 水時の危機管理に対する重要な政策課題となる.

(4) 高松平野(流域)の非灌漑期における休耕田の面積 40%以上を 3 ヶ月間人工涵養し た場合,1994 年及び 2005 年の渇水リスクを回避することができる水量が地下水に 新たに涵養される.

(5) 高松平野の公共性の高い病院や学校を井戸の設置対象とした場合,検討地域内で 26 箇所分布し,さらに影響半径を考慮して井戸間隔を適切にとった結果,このうち 21 本の井戸が設置可能となる.

(6) 地下水人工涵養プロジェクトを導入すると,一人一日 300 リットル供給すると高松 市民の 38%に水を供給することができ,また一人一日115リットル供給した場合,

高松市民全員に水供給が可能となる.

(7) 地下水源水道を分散型独立自己水源として評価するために,地下水源水道単価(15 円/m3)は高松市の原水単価(香川用水1m3当たりの受水費:約68円/m3)と比較し

て1/4と安価である上に,費用便益比(B/C)が6.2と高く経済的である.

(8) 地下水人工涵養プロジェクトは,流域の健全な水循環システムを持続的に保全・強化 することができることだけでなく,高松市の渇水リスクを軽減するための流域全体の 河川の表流水や地下水を含めた総合的な水資源管理における一つの有効な手段であ る.

(9) 本論で提案したプロジェクトの深井戸(分散型地下水源水道)を導入することにより,

渇水時のみならず地震時などの震災時の水供給にも有効な手段となりうる.

今回の分析・評価の結果より,高松平野における非灌漑期の休耕田の面積40%を3ヶ月間 人工的に涵養し,増加した地下水を,21本の深井戸により渇水時などの緊急時に揚水する地 下水人工涵養プロジェクトは,高松市の渇水リスクをより分散・軽減するために,自己流域 内での安定した水資源を確保するための有効な手段であるとともに,流域の総合的な水資源 管理の視点から水循環システムを保全・強化する持続的なオプションであることが示された.

本論で提案した地下水涵養プロジェクトは,香川県で頻発化しつつある渇水による水不足 を解決できる手段であることを示した。しかし、地下水を利用していくにあたって、地下水 を適切に管理しなければ、地下水が減少するだけでなく、塩害・地盤沈下・地域住民の生活 への影響などの社会的問題につながり、本論で提示したプロジェクトも無駄と化してしまう。

よって、地下水を今後とも持続的に利用するためには、“地下水は香川県民みんなの公共財”

として、地下水涵養域を保全・保護するとともに、地下水を適切に管理していく必要がある。

このためには、本論で提示した熊本県の事例のように、地下水保全管理プランを策定し、そ の理念を上水・農業・工業に関わる事業者及び市民が協力し合い、水利用においての無駄を 省くとともに、水源を大切にする意識を共有することが重要である.

ドキュメント内 フロンティアプロジェクト (ページ 51-54)

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