【北海道地方】 (表 1 3 1 :図 1 3 1 a 〜図 1 3 1 c )
まず北海道については、全体としての自給自足率が1975年までに低下し、それ以降は80%台 前半で低迷していることが表 1 3 1 の最下段からわかる。産業別にみても自給自足率が100%
を超えている産業はきわめて少なく、1965年に 7 産業だったのが2005年には 3 産業減ってわず か 4 産業、農林水産業、食料品、パルプ・紙製品、運輸サービスのみであった。それでも農林 水産業や食料品は、東北や四国、九州地方と並んで高い水準であり、多少の変動はあるが継続 している。またパルプ・紙製品も実は四国の方が高いが、それに次ぐ高さとなっている。
一方、自給自足率が 1 桁という著しく低い産業として繊維製品、非鉄金属、精密機械などが あるが、これらは1965年に95%もありその後大きく低下した非鉄金属を除いて、繊維製品や精 密機械は当初から低かったことがわかる。自給自足率が 1 桁ではないが、これ以外にも木材・
木製品、鉱業、鉄鋼製品、その他の輸送機械では自給自足率が大きく低下しており、化学製品、
一般機械、電気機械、自動車、その他の製造業等は当初より一貫して低水準であった。特に鉄 鋼製品は、1965年当時には北海道経済を支える基幹産業の 1 つだったが、この自給自足率の大 幅な低下がその後の凋落ぶりを物語っている。さらに、電気・ガス・水道の自給自足率も低下 傾向であり、日本で最も低い水準にまで落ち込んでいる。
北海道に限らず一般に、財貨に比べてサービスは移輸出入の割合も低いため、100%に近い水 準で自給自足率も推移する傾向があるが、北海道では運輸のみが100%を上回る水準を維持して いる。しかし他のサービスは100%以下で、特に一般サービスは1985年以降低下傾向である。
図 1 3 1 a 〜図 1 3 1 c のスカイライン図表をみると、起伏の低さが顕著であり、特にサ ービス化が進展し、当初はグラフ中央にまで張り出していた製造業の棒グラフもグラフ左側の 方に押しやられていることがわかる。自給自足率の水準を意味する各棒グラフの網掛部分最底 辺をみると、1965年当初は鉄鋼製品やパルプ・紙製品が北海道経済に果たした役割がうかがえ るが、すぐに鉄鋼製品は衰退してゆき、1985年には農林水産業や食料品がそれに代わっている。
そして2005年には、食料品の自給自足率が低下し、1985年時点よりも自給自足率が15%ほど低
下した一般サービスのしめる割合が広まっていることも顕著である。
図 1 3 1 a 北海道地方1965年のスカイライン図
表 1 3 1 北海道地方の自給自足率
図 1 3 1 b 北海道地方1985年のスカイライン図
図 1 3 1 c 北海道地方2005年のスカイライン図
【東北地方】 (表 1 3 2 :図 1 3 2 a 〜図 1 3 2 c )
域内経済全体としては、自給自足率は1975年まで低下を続けたがそれ以降は上昇に転じ、1985 年は1975年に対して10%以上上昇している。しかし1985年以降は大きな変動はみられず、90%
台前半を維持している。北海道に比べると2005年に100%を超える産業も数多い。電気機械を筆 頭に、精密機械、電気・ガス・水道、非鉄金属、農林水産業、窯業・土石製品、パルプ・紙製 品、食料品といった順に自給自足率は高くなっている。
自給自足率が最も高い電気機械は、実は1965年当時は35.1%とかなり低く、これほどの主力 産業に上り詰めるとは当時は誰も想像できなかったに違いない。100%を超えて急激に成長し始 めたのが1980年である。2005年の203.5%という自給自足率は、全国 9 地域の電気機械のなかで 最も高い数値となっている。精密機械もまったく同様であり、2005年の169.5%という自給自足 率はやはり全国最高である。
自給自足率が 3 番目に高い電気・ガス・水道も、当初から高かったわけではなく、100%以下 の状態から1980年に100%を越えて大きく発展している。中部や中国地方も電力・ガス・水道の 自給自足率は当初より高かったが、その後伸び悩んだために東北地方が数値の上では上回って いる。
また農林水産業の自給自足率も134.1%と数値上では日本で最も高いが、北海道、東北、四国 は横並びでほぼ同等とみていいだろう。そして北海道や九州とともに、食料品の自給自足率も 109.3%で最も高くなっている。
自給自足率を大きく低下させた産業として、鉱業、非鉄金属製品、鉄鋼製品をあげることが できる。特に非鉄金属製品は、1965年に278.9%あった自給自足率が1985年には86.0%にまで落 ち込んだ。しかし2005年には137.0%まで回復している。鉄鋼製品もまた1965年の98.6%から一 時は40%台まで下落したが、2005年には72.6%まで復帰している。その他には、木材・木製品 や公務サービスなどにも自給自足率の低下が看取できるが、全体的には上昇している産業が多 い。
図 1 3 2 a 〜図 1 3 2 c のスカイライン図表をみると、北海道よりは起伏が大きくなって
いるが、それは電気機械や非鉄金属製品等の移輸出率、さらには自給自足率が高いために突出
しているためである。他に農林水産業や電気・ガス・水道も高い移輸出率となっているのも特
徴的である。
表 1 3 2 東北地方の自給自足率
図 1 3 2 a 東北地方1965年のスカイライン図
図 1 3 2 b 東北地方1985年のスカイライン図
図 1 3 2 c 東北地方2005年のスカイライン図
【関東地方】 (表 1 3 3 :図 1 3 3 a 〜図 1 3 3 c )
域内経済全体としての自給自足率には変動もみられるが、1965年当初から一貫して100%は上 回っており、1985年には108.5%にも達していた。しかしその後いくつかの基幹的産業が低下し たこともあり、2005年には103.8%になっている。
1965年当初より関東地方で最も自給自足率が高かったのは精密機械で、1990年までは200%を 越える状況が続いていたが、1975年以降は低下傾向も示しており、2005年には東北地方の精密 機械の方が高くなっている。その精密機械よりも自給自足率が高くなったのは自動車である。
関東地方の自動車はもともと100%を超えており、1965年当時も 4 番目に高い自給自足率だっ た。1985年にかけて186.4%まで上昇を続けたが、その後はやはり低下傾向を示している。
精密機械や自動車以外にも、一般機械や電気機械等の機械類や、化学製品、そしてサービス 関係で自給自足率は高い値を示している。しかしそのなかで電気機械のみは、1985年の189.9%
という高い自給自足率を境に、2005年の112.6%まで続落している。逆に商業や一般サービス は、変動を繰り返しつつも上昇しており、2005年には両サービスとも日本で最も高い数値とな っている。
1965年当時やそれ以後に100%を超えるような高い自給自足率であったが、徐々に低下してし まった産業としてパルプ・紙製品、金属製品、その他の輸送機械、その他の製造業をあげるこ とができる。しかしこの他にも鉱業や食料品、繊維製品、石油・石炭製品、運輸サービス等は、
当初から100%以上はないが自給自足率がさらに低下している。鉱業の自給自足率は全国一律に 異常な低水準であり、関東地方はさらに繊維製品も低くなっている。
図 1 3 3 a 〜 1 3 3 c のスカイライン図表をみると、たとえば北海道よりは起伏に富んで
いる。特に1965年や1985年はグラフ中央部の棒が目立って高く、100%ラインよりも上の白色部
分が顕著である。もちろんこれは機械類の自給自足率が高いためである。しかし2005年になる
と、グラフ右側のサービス産業の割合が増えて中央に進出してくるようになり、自給自足率が
高い機械類は左の方へ押しやられていることもわかる。また、自給自足率が100%を大幅に上回
っているわけではないが、生産の構成比が高まるにしたがって横幅が広がっている一般サービ
スも、1985年から2005年にかけて目立ってきている。
図 1 3 3 a 関東地方1965年のスカイライン図
表 1 3 3 関東地方の自給自足率
図 1 3 3 b 関東地方1985年のスカイライン図
図 1 3 3 c 関東地方2005年のスカイライン図
【中部地方】 (表 1 3 4 :図 1 3 4 a 〜図 1 3 4 c )
中部地方の特徴は、関東地方と同様に多くの産業の自給自足率が100%を超えているため、域 内経済全体としても2005年に121.9%ときわめて高水準であり、日本で最も高い値を示している 点である。最高は1985年当時の129.5%であった。
産業別では特に自動車が、1965年当時は185.5%と 4 番目に自給自足率の高い産業だったが、
その後一貫して伸び続け、1990年には570.5%に達した。1995年には一度低下を経験するものの さらに上昇を続け、2005年には676.6%という前代未聞の数値に達している。日本のなかでも最 も高い数値であろう。その他の輸送機械も自動車に次ぐ自給自足率の高さであり、2005年は 265.2%だったが、1975年には自動車よりも高い403.9%に達していた。
他に窯業・土石製品や電気機械、一般製品、鉄鋼製品等も100%を大幅に上回る高い自給自足 率をあげている。実は、中部地方は食料品や繊維製品、石油・石炭製品、精密機械を除くほと んどの製造業が100%以上の水準にあり、これが全体のきわめて高い成長率に反映されている。
1965年当時は繊維製品が346.3%もの自給自足率で、生産構成も高かった。それが徐々に低下 してゆき、2005年には100%を切ってしまった。このように自給自足率が低下傾向である産業 は、中部地方の場合、他に探すのに苦労するほど少ないが、鉱業、食料品、木材・木製品、電 気・ガス・水道、そして商業サービス等が該当している。製造業は自給自足率の高い産業が多 いが、その一方でサービスは関東地方と比較しても低い。商業サービスだけは2005年にも100%
以上を維持しているが、運輸サービスも一般サービスも91%台である。
自給自足率が最も低いのは他の地域と同様に鉱業であり、さらに中部地方の場合は農林水産 業や食料品、精密機械も低く、関東や東北地方とは対照的である。
図 1 3 4 a 〜 1 3 4 c のスカイライン図表をみると、まず起伏の大きさが目立っている。
これほど山と谷が大きな地方は他にはない。また100%水準と自給自足ラインとの間の白色部分 の面積も大きい。これは自給自足率の高い産業が、地域生産構成も高い場合にのみ生じるが、
自動車が中部地方にいかにインパクトを持っているかを、図表で表現したものとして興味深い。
繊維製品から自動車へという主役の交代も表されている。
ドキュメント内
近畿の産業連関
(ページ 53-81)