第3章 保護者から見た未就園児保育について
第3節 在園児保護者から見た未就園児保育 1.調査の方法と手続き
前節のクラスにおいて、活動をサポートしている(保育参加)ボランティア、在園児の母 親6名に記述形式の質問紙調査を行った。調査内容は、①参加動機 ②子育て支援にかかわ
る幼稚園の先生との連携について ③参加している親子とのかかわりについて ④活動を通 しての気付きや変化 ⑤困ったことや戸惑いについてである。回答期間は2011年10月16 目から1週間であり、5名の回答を得られた。なお、ボランティアは、年度初めに幼稚園が 募集をし、6名がボランティアとして保育参加している。各月2名ずつが担当している。
結果と考察において、【】太字ゴシック体の箇所は、回答の抜粋である。なお、本調査で は、すべて在園児保護者が対象者であるためr在園児保護者」とする。
2.結果と考察
(1)参加動機について
「自分の子ども以外の他の学年の子どもとかかわりたかった」「入園前に自分の子どもが、
にこにこラッコに通っていたため、手伝いたかった」いう2点が挙げられた。前者の中には、
別項員で、未就園児親子に対し【顔見知りの親子が増えた】【声を交わすようになった】と 回答している在園児保護者もいた。意識的ではないが、未就園児親子とのかかわりを嬉しい と感じていることが分かる。一方、後者は、未就園児親子とのかかわりを期待しているもの ではなく【役員が抽選で免れたので】とPTA活動同様、幼稚園教育の充実のために参加し ているという意識が強いようである。
(2)ボランティアをして気付いたこと
調査前、ボランティアとして末就園児親子とかかわることで、自身の自分自身の子育てを 客観的に考えたり、振り返えったりするきっかけとなっているのではないかと仮定していた。
しかし、【お母さんだけが頑張っている感じがする】【親子で触れ合う遊ぴがあるのがいい と思った】と活動内容についての気付きは挙げられたが、自身の子育てに対する気付きや影 46
響についての記述は、見られなかった。「④活動を通しての気付きや変化」の項目では、6名 中、4名が無回答であった。活動を「お手伝いする」と捉えている在園児保護者が多いと考 えられる。
親育ちプログラムの視点からは、保育に参加することにより、日頃の子育てを見つめ直し、
子育ての手がかりをつかめるようにする重要性や子育て意識の変容があること6)が示唆され ている。それゆえ、幼稚園における未就園児保育は、未就園児親子の子育ての支援だけでは なく、ボランティアをする在園児保護者の親育ちの機会であるという視点も加えていく必要 があるのではないかと考えられる。また、親育ちの観点から、未就園児と在園児の保護者が
「つながる」ことで、互いの子育てに刺激を受けたりすることが大切であるといえる。両者 がスムーズに言葉を交わしたり、交流したりするきっかけを作ることが求められているので はないだろうか。つまりrつながる」ために、教師のrっなげる」カが求められている。つ ながりを作ることは「支え一支えられる関係」の基礎を作り、子育て支援の目的である「肩 代わり支援」から「親が親として自立する」ことに発展していくと考えられる。
在園児保護者は、ボランティアとして参加することで、自分の子どもの保育参観では気付 かない点に気付くことが重要だと考えられる。毎回、活動後に教師を中心に点検が行われて いるが、この点検においても、保護者が感じたことを言語化したり、担当教師と保育を振り 返えったりすることで、自身の活動の意義を認識し、子どもの発達理解や子育ての楽しさを 実感することが期待される。
(3)担当教師との連携について
前章の調査において、活動後の点検で在園児保護者の気付き(活動内容に!)いて、未就園 児親子の姿についてなど)が保育を計画していく上で重要な視点になっていること、教師の 指示がなくても未就園児親子に積極的にかかわっていること、準備や片づけを手早くできる ことから、教師は、在園児保護者と連携が取れていると認識していた。しかし、在園児保護 者は、【当日、前日まで何をずるかよく分からなかった】【仕事は未就園児親子の受付のみだ っだ】【何をしていいか分からなくて困った】という記述しており、教師との連携を取れて いないと感じている者もいた。両者の感じ方のズレは何が原因なのだろうか。一方、連携が 取れている回答した在園児保護者の理由として【事前にプリントをいただいているので分か りやすい】と挙げられた。「教師と保護者が連携を取る」とことについて、教師は、活動中 や活動後における在園児保護者とのかかわりを連携の判断基準にしており、在園児保護者は、
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活動前に教師とやり取りがあるかどうかで判断していることが分かった。つまり、在園児保 護者は、活動中や活動後よりも、活動前に教師の意図をしっかり理解した上で、保育に参加 したいと感じていると考えられる。一度活動が始まってしまえば、保育を進めている教師に 直接指示を仰ぎにくい状況が想定できる。在園児保護者の担当は数ヶ月に1回の1コーテーシ
ョンで廻っている。たとえ活動後に気付いたことがあっても、次の担当の回まで間が空いて しまい、それを生かしにくいのだと考えられる。活動前にどれだけ教師が立てた保育計画や ねらいを理解し、それを教師と共有できているかという点がキーポイントになってくること が分かった。
(4)参加者の捉え方について
在園児保護者と未就園児保護者は、子どもの年齢は違えども、子育てをする当事者同士と して捉えているのではないかと仮定していたが、「積極的にかかわっている」「十分かかわれ ている」という回答はなかった。また、自由記述の欄に、【親子とかかわりたいとは思わな い】【教奮実習生や他の教員も参加すれぱいいと思う】とあり、在園児保護者は、先輩ママ
としてかかわっている意識はないようである。
しかし、前節で記したように、未就園児保護者は、ボランティアに対し、親近感を持ち、
子育ての相談をしたいと感じている人が多い。つまり、両者の思いに相違があるのである。
教師は、在園児保護者を単なる保育補助という位置づけでなく、「在園児」の保護者という立 場が、未就園児保育に重要であることを意識化できるように働きかけていく必要があるので はないだろうか。例えば、未就園児保護者から入園後の生活についての質問があった時に、
教師が答えるだけではなく、在園児保護者からも話を聞けるように、未就園児保護者と在園 児保護者が話をするきっかけを作ることなどが考えられる。これは、幼児同士の思いをつな げるために、教師が仲立ちをしながら徐々に互いの思いを通わせられるように働きかける教 師の姿勢と類似している。つまり、従来、教師が在園児に対し用いている保育技術がここで 援用されると考えられる。
にこにこラッコ教室では、支援者と参加者という立場であるが、入園後には、同じ保護者 同士として連携したり学びあったりする関係に発展していくことを見通す視点も求められて いるのではないだろうか。
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