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圧密着雪発生の危険度を評価するための指標

ドキュメント内 および着雪特性に基づく雪害対策手法の提案 (ページ 181-184)

設備への着雪量を表す指標には、風速、気温、降水量から求められる着雪ポテンシャ ルが活用できることが示されてきた[5]。本節では、これを塩雪害時に見られた圧密着 雪の危険度を推定する手法として、がいし着雪に適用する。

5.3.1 がいしへの着雪ポテンシャルの定義

第二段階として、ある気象条件の下でがいしに供給されうる雪の量を数値化するた め、着雪ポテンシャルによる評価を行った。ある期間 a[h]で積分された着雪ポテンシ ャル Psnow [kg/m2]は次式で与えられる。

snow( ) w t T

t a

P t p v E dt

w

(5-2)

ここで、tは時間 [h]であり、ρwは水の密度(1000 kg/m3)、pは 1時間降水量 [m/h]、v は 水平方向風速 [m/s]、wは雪の落下速度であり、ここでは 1 m/sと設定する。ETは気温 T [°C]のみに依存した着雪効率であり、次式で与えられる。

T

1 0.5 1.5

( ) 0 0.5 , 1.5

C T C

E t T C T C

   

    

(5-3)

すなわち、Psnow の次元は[M1L-2]であり、水平方向の降雪の質量フラックス(単位時 間・単位面積を通過する降雪の質量)に無次元量の着雪効率を乗じたものについて、必 要な期間だけ時間積分して求まる量である。言わば、単位面積に切り取った板を壁の ように垂直に立てたとき、風の乱れと端の乱れの影響を受けない理想的な条件での板 への着雪の質量である。当然、Psnow が大きいほど、がいしへの着雪量が多くなりやす く、塩雪害発生の危険度は大きいと見てよい。

5.3.2 着雪ポテンシャルを用いた評価事例

図 5-12 は、実際に現地新潟で発生した 4 つの着雪事象について、(5-2)式ならびに観 測データを用いて算出した着雪ポテンシャルである。それぞれ、以下のような特徴を 持つ事象である。(1)~(3)については、いずれも、「5.2.3 風速から見た着雪様相ならびに 漏れ抵抗特性」で述べた(1)~(3)と同じ着雪事象である。(4)は新潟下越雪害が発生した 時間ごろ最大値であるが、これについては観測値がないためアメダス観測点「新津」の データを引用して求めた。

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(1) 降雪量が比較的少なく強風を伴う着雪の気象条件(2010年 1月 13日)

(2) 降雪量が比較的多く強風を伴う着雪の気象条件(2016 年 1 月 19 日)※2005 年 12月以来の暴風雪

(3) 弱風下における典型的な冠雪の気象条件(2011年 1 月 23-24日)

(4) 新潟下越雪害(2005年 12月 22 日)

図 5-12 から、「(3)弱風下における典型的な冠雪事象」における着雪ポテンシャルは、

風速が低いために他の 3 事象に比べて小さくなっていることが分かった。また、「(1)降 雪量が比較的少なく強風を伴う着雪事象」における着雪ポテンシャルは、風速は比較 的大きいものの降雪量が小さいために「(4)新潟下越雪害」と「(2)降雪量が比較的多く 強風を伴う着雪事象」よりも小さくなっていることが分かった。反対に、「(4)新潟下越 雪害」においては、主風向の西南西方向(海側)の着雪ポテンシャルが、他の方角、あ るいは他の三つの着雪事象よりも明らかに大きくなっていたことが確かめられた。こ のことから、2005 年雪害時の暴風雪が、着雪ポテンシャルの面から見て、最も厳しい 気象条件であったことを示された。

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Figure 5-12. Examples of evaluation on four snow events using Psnow.

These events were those observed at Niitsu site and described in Clause 5.2.3 and the snowstorm at Niigata Kaetsu area on December 22, 2005 as shown below.

(1) The case of high v10, little precipitation, and little snow accretion observed at Niitsu site on January 13, 2010.

(2) The case of high v10, much precipitation, and much snow accretion observed at Niitsu site on January 19, 2016.

(3) The case of low v10 observed at Niitsu site on January 23 to 24, 2011.

(4) The snowstorm at Niigata Kaetsu area on December 22, 2005.

The case (2) was the Psnow from south-southwest was much larger than the other directions because south-southwest was the main wind direction at the disaster. Moreover, it can be concluded that the snowstorm in 2005 was an unexpectedly severe event because of much higher Psnow than the others.

図5-12 新潟下越地域におけるがいし着雪の 4 事象について算出した風向別

着雪ポテンシャル

(1) 降雪が比較的少なく強風を伴う着雪事例(観測日2010113日)

(2) 降雪が比較的多く強風を伴う着雪事例(観測日2016119日)

(3) 弱風下における典型的な冠雪事例(観測日2011123-24日)

(4) 新潟下越雪害(20051222日)

弱風下での典型的な冠雪事例では、着雪ポテンシャルが他の3事例に比べて極めて小さ くなった。2005年の新潟下越雪害においては、主風向の西南西方向(海側)の着雪ポテ ンシャルが、他の方角、あるいは他の三つの着雪事象よりも格段に大きくなった。この ときの暴風雪が、着雪ポテンシャルの面からも厳しい気象条件であったことが示された。

140

120

100 80

60 40

20

0 Potential ability of Snow accretion, Psnow [kg/m2 ]

NNE NE ENE E ESE SE SSE S SSW SW WSW W WNW NW NNW N Wind direction

(4)

(1) (2)

(3)

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