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がいしの形状と気象条件に基づくがい しの着雪特性の検討

ドキュメント内 および着雪特性に基づく雪害対策手法の提案 (ページ 163-166)

5.1 まえがき

本章では、各種がいしの着雪特性の比較・形状効果の解明、ならびに、これらを踏ま えた対策品の効果について、電気工学的な観点から検討する。これらを検討するに当 たっては、自然環境下における観測により、各種がいしへの着雪発達過程に及ぼす気 象条件、がいし形状等の影響を明確化する必要がある。これまでに発表されたがいし の冠着氷雪の観測結果は、ノルウェーのオスロ近郊の実送電線を利用したガラスがい しと送電用ポリマーがいしへの冠雪の観測[1],中国の海抜 1400 mにある山岳部の試験

所 Xuefeng Mountain Natural Icing Stationでの着氷の観測[2],日本の豪雪地域(東北電

力管内米沢実験場)における長幹がいしと送電用ポリマーがいしへの冠雪の観測[3,4]

などがあるものの、自然環境下の各種がいしの冠着氷雪過程を、気象条件と共に、連続 的に長期間に亘って観測した研究は見当たらない。

したがって、本研究では、自然環境下のがいしの着雪過程を長期間連続観測し、気象 条件とがいし形状に関連付けることを試みた。このため、本章での検討は、基本的には 自然環境下でのフィールド観測をベースとしたが、これらのフィールド観測でデータ 取得が困難な気象条件、中でも強風域のデータについては、室内着雪実験の実施によ り補完あるいは代用した。以下、5.2節では、新潟地区と釧路地区の観測システムの構 成について述べた後、自然環境下における着雪特性について、主に新潟地区で行った 観測結果を述べる。5.3節では、降雪のフラックスを用いてがいしの塩雪害発生の危険 度を推定する方法を提案し、自然環境下での観測結果に適用する。5.4節では、室内着 雪実験の結果を述べ、各種磁器がいしの着雪特性に関する数値的な評価を試みる。5.5 節では、2005年の下越雪害以来の慣習となっている「冠雪」「圧密着雪」といった言葉 の使い分けが、現象的にはどのように違うかを指摘し、この二つの事象に対するポリ マーがいしの適用性を検討する。

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5.2 自然環境下における着雪特性

本研究のフィールド観測は、新潟地区、釧路地区で実施した。新潟地区での観測は、

2005 年に塩雪害の事故点が集中した下越地域にある、新潟市秋葉区内の実運用中の送 電用鉄塔敷において 2008年度から2015 年度までの 8冬季間実施した。また、2014年 度から 2015年度は、高頻度な観測機会を求めて、強風湿型の着雪が頻繁に発生する釧 路地区での観測を実施した。本節では、これらの観測地点における観測結果から明ら かになったことをまとめて述べる。なお、以下、風速 3 m/s未満を弱風、3~8 m/sを中

風、8 m/sより大きいものを強風と呼ぶ[5]。

5.2.1 フィールド観測の概要

(1) 新潟地区

新潟地区がいし着雪観測システムの位置を図 5-1 に示す。越後平野の比較的内陸部 に位置しており、標高は 6 m 程度である。日本海の海岸線からの距離は約 17 kmであ る。第 1章の図 1-13の新潟市街中心部と新潟変電所を結ぶ線上に位置し、新潟変電所 から市街地方向に直線距離でおよそ 13 kmの地点である。供試がいしは、66 kV実送電 鉄塔の下側の空き回線1の腕金に、懸垂吊りの配置で、無課電で設置した(図 5-2、図

5-3 および表5-1)。設置高さはおよそ 17 mである。気象要素は、地表面の気温、相対湿

度、地上 10 m付近での風向、風速の他、降水量とその導電率(降雪の場合はその融雪 水の導電率)を測定し,それぞれの 10分値を記録した。がいしへの着雪の状況は,ネ ットワークカメラ(CANON 製、VB-C50iR)により、66 kV 相当の長幹がいし(LC8024)

ならびに、耐塩用懸垂がいし(SU-165BF)の着雪状況の連続観測を行い、着雪特性に 関するがいし間の比較を行った。また、同敷地内では、別途、これら 2 種類のがいし の漏れ抵抗の測定と着雪様相の記録も実施した(図 5-4)。

(2) 釧路地区

前項の新潟下越地域でのフィールド観測においては、強風湿型着雪の観測機会が限 られており、限られた研究期間の中で十分なデータを得ることが難しかった。そこで、

より高頻度な観測機会を得るため、北海道釧路市大楽毛に強風・湿型のデータ取得を 主眼としたがいし着雪観測システムを構築し、2014年度に観測を開始した。本項では、

2014~2015年度冬季に得られたがいし着雪事象について報告する。

釧路地区観測システムの位置を図 5-5に、観測機器の設置状況を図 5-6示す。がいし の冠着雪特性監視システムでは、試験用の鉄塔の地上高約 10 m の位置に9連(8種類)

の送電用がいし類を設置して観測を実施した。供試がいし類の形状を図 5-7に示す。長

1 電 線 が 架 線 さ れ て い な い 回 線 の こ と を こ こ で は 空 き 回 線 と 呼 ぶ 。

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幹がいし(LC8017)については、懸垂吊りと耐張吊り(水平)で各 1連を設置した(が

いし No. 1-2)。懸垂がいしについては、250 mm 耐塩用懸垂がいし(SU-165BF)、250mm

懸垂がいし(SU-165BN)を各 7個連結し、それぞれ 1 連ずつ設置した(がいしNo. 3-4)。ポリマーがいしについては、がいしの形状が着雪特性に及ぼす影響を把握するた め、笠間隔、同直径、および笠直径に違いをつけた 5連を設置した(がいし No. 5-9)。

以上の供試がいしは、いずれも 66 kV相当の連結長・表面漏れ距離を持つものである。

吊り方は、長幹がいし 2 連のうち 1 連を耐張吊りとした以外は、懸垂吊りであり、い ずれのがいしも、新潟下越における観測と同様、無課電で曝露を行った。がいしの種 類、吊り方、主要寸法などを表 5-2 にまとめて示す。

気象要素は、地表面の気温、相対湿度、地上 10 m での風向、風速、放射量、降水量 の各 10 分値を記録した。がいし類への着雪の状況は、ネットワークカメラ(SONY製、

SNC-RS86N)により、がいしからの距離約9 m の位置から 5分おきに撮影した。また、

長幹がいしに関しては、耐張吊り、懸垂吊りとも、支持点に設置したロードセル(共和

電業製、LUX-B-500N-ID)により着雪の質量の経時変化を測定した。夜間の観測には、

ハロゲンランプを用い、ネットワークカメラと同じ距離から照射した。

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38.5

38.0

37.5

37.0

36.5

Latitude [

o

]

140.0 139.0

138.0 137.0

ドキュメント内 および着雪特性に基づく雪害対策手法の提案 (ページ 163-166)