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国際展開および標準化

ドキュメント内 電磁波研究所 ビジョンとミッション (ページ 52-59)

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4.1 電磁環境技術に関する取り組み

電磁環境技術に関して電磁環境研究室が携わる標準化活動は、二つの分野に大別される。一つは技 術的・工学的な観点から国際規格へのアプローチを行う枠組みであり、参画する主な国際機関としては IEC(国際電気標準会議)、CISPR(国際無線障害特別委員会)がある。もう一つは、健康影響や人体防 護といった医学・生物学的な観点におけるアプローチを行う枠組みであり、主な国際機関として ICNIRP

(国際非電離放射線防護委員会)に参画している。それぞれにおける取り組みを以下に紹介する。

IEC(国際電気標準会議)、CISPR(国際無線障害特別委員会)

IEC は、電気および電子技術分野の規格の標準化を目的とする国際機関である。またCISPR は、

無線障害の原因となる各種機器からの不要電波(妨害波)に関し、その許容値と測定法を国際的に 合意することによって国際貿易を促進することを目的として1934年に設立されたIECの特別委員会 である。

電磁環境研究室先端EMC計測技術グループでは、妨害波測定技術に関する研究を通して、活 動に貢献してきた。前中長期目標期間の活動としては、EMC測定法に関する基本規格作成に貢献 しIEC1906賞を受賞(2013年)するとともに、IEC/TR 61000-4-1(EMC基本規格概観)の改訂および 技術報告化に寄与した(2014年)。NICTが主導した雑音振幅確率分布(APD)測定法の国際規格は、

大手測定器メーカーが市販品に採用するとともに CISPR においても製品の国際規格として初めて 制定された(2015年)。また無線電力伝送や省エネ家電で重要となる30MHz以下の妨害波測定技 術に関して、アンテ較正法及び妨害波測定技術を開発しCISPR国際規格化を牽引した。今中長期 目標期間も引き続き、IEC およびCISPR関連会議や委員会活動などを通じて、国際標準化に向け た活動を行っていく。

また、同研究室生体 EMC 技術グループでは、電磁波被ばく露評価技術および無線システムの 適合性評価技術に関して活動を行ってきた。これまでに、無線電力伝送の適合性評価手法の検証 を行うとともに、関連する IEC 標準化活動(TC106/WG9)における技術レポートの編集担当者や国 内対応WGの幹事を務め、国内外の議論を主導した。また5G端末における電波防護指針の適合 性評価技術について、他国からの提案よりも再現性・簡便性に優れた手法を開発し、関連する IEC 標準化活動(TC106/AHG10)に提案してきた。引き続き、2020年の5Gシステムサービス開始をにら み、国内外の標準規格への反映を目指す。

ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)

ICNIRPは、非電離放射線(紫外線・赤外線・可視光・レーザー・電磁波・超音波など)による健康

影響について科学的な検討を行い,曝露(ばくろ)限度に関する指針を定めるなどの勧告・助言・啓 発活動を行う組織である。ICNIRP が策定するガイドラインは我が国を始め、EU 等の世界各国の規 制に採用・一部反映されている。WHOは後述のIEEEガイドラインとともにICNIRPガイドラインの採 用を加盟各国に推奨している。

同研究室生体EMC技術グループでは、電波ばく露評価技術の研究成果によってばく露指針値 の策定に必要な人体の電波ばく露特性の解明等に貢献してきた。特に、生体EMCで開発した高精 細数値人体モデルを用いることで、今後、利用普及が見込まれる WPT 等の中間周波数帯(WHO

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の定義による 300Hz-10MHz)や5G 等で用いられる準ミリ波・ミリ波帯における電波ばく露指針値の 妥当性確認や指針値改定のための基礎データを提供することが期待されている。また、前期より、

ICNIRPの最上位組織であるMain Commission(定員14名)に選出され、ICNIRPとNICTの共催ワ ークショップを開催する等してきている。今中長期目標期間も引き続き、ICNIRPとの緊密な連携・協 力関係を維持し、世界で最も影響力を有するICNIRP国際ガイドライン策定において主導的な役割 を果たす。

WHO(世界保健機関)

世界保健機関は 1948 年に設立され、国連システムの中にあって保健について指示を与え、調 整する機関である。WHOは、グローバルな保健問題についてリーダーシップを発揮し、健康に関す る研究課題を作成し、規範や基準を設定する。また、証拠に基づく政策選択肢を明確にし、加盟国 へ技術的支援を行い、健康志向を監視、評価する。WHO は 1996 年より、国際電磁界プロジェクト

(International EMF Project)を開始し、電磁界への人体ばく露に関する関連研究の推進と健康リスク 評価について活動してきている。

同研究室生体EMC 技術グループでは、電波ばく露評価技術の研究成果に基づき、医学・生物 学的な電磁波の健康影響に関する研究におけるばく露装置の開発やばく露評価に貢献してきた。

前中長期目標期間においては、小児の携帯電話利用と脳腫瘍発がんについての国際疫学調査、ミ リ波・THz 波の健康影響についての細胞・動物実験等の医学・生物研究に参画し、WHOの環境保 健クライテリア(Environmental Health Criteria)の評価対象研究に選定される等、WHOの健康リスク 評価活動に大きく貢献した。引き続き、利用拡大が予想されるミリ波・THz 帯や中間周波数帯

(300Hz-10MHz)における医学・生物研究への協力を進め、国際的な電波防護に関するリスクマネ ージメントへの貢献を目指す。

ITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)

ITU-T(国際電気通信連合電気標準化部門)では、電気通信に関する標準化活動を行っている。

同部門は多数の研究グループ(SG)から構成されており、SG5 において電気通信システムからの電 磁界ばく露に対する人体防護に関する標準化活動を行っている。

同研究室生体 EMC 技術グループでは、これまでに、主に携帯電話基地局からの電波ばく露量 評価に関するITU勧告への提案・審議に関与してきた。特に、新興国・途上国からの提案の不備等 を指摘し、わが国を含む先進国で既に適用されている規制・規格との整合性確保に尽力してきた。

引き続き、携帯無線システムを中心に様々な電気通信システムの人体防護に関する ITU の標準化 活動に参画していく。

IEEE/ICES(IEEE国際電磁界安全委員会)

IEEE/ICES(International Committee on Electromagnetic Safety;IEEE国際電磁界安全委員会)

では、1960 年代に策定された世界で最古の電磁界安全規格(米国標準規格(ANSI))をルーツとし、

現在は、人体防護規格を策定するTC95と適合性評価方法に関する規格を策定するTC34の二つ の技術委員会から構成されている。

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同研究室生体EMC技術グループの研究成果は、TC95やTC34で策定されている関連規格に 反映されている。特に今期より、TC95 における高周波電磁界の電波ばく露許容値に関する規格策 定において、文献レビュー作業班への参画等の活動をしている。また、2018年中にIEEEとIECの デュアルロゴスタンダードとして規格策定が開始される5Gシステム等を対象としたミリ波帯携帯無線 端末の適合性評価方法の国際標準化への参加も打診されている。今後も引き続き、IEEEの関連規 格策定に貢献していく。

4.2 時空標準技術に関する取り組み

標準時の基となる「秒」は、計量における7つのSI(国際単位系)基本単位の一つであり、国際度量衡 の枠組み(図4.1)において、定義値決定等の審議が行われる。時空標準研究室が参画するのは、CCTF

(時間・周波数諮問委員会)である。計量標準における国際協力としてはまた、地域レベルで各国の標準 機関が協力する枠組み(地域計量組織:RMO)での活動も重要である。重要な取組みとして、国家測定 基準の相互承認(CIPM-MRA)協定に関する活動がある。これは CIPM-MRA を獲得した国家間では相 手国の認定基準を認め合う協定で、国際貿易や商取引で非常に重要なものであり、国際調整は BIPM が行っている。時空標準研究室が参画するのは、APMP(アジア太平洋計量計画、図4.2の青色部)であ る。

以下に、CCTFおよびAPMPでの活動を紹介する。この他にも、標準時の通報業務においては無線通 信における国際レギュレーションが関わってくるが、こちらについては本章の最後にまとめたITU-R(国際 電気通信連合無線通信部門)における活動を参照されたい。

CCTF(時間・周波数諮問委員会)

CCTFは、国際度量衡総会CGPM(国際度量衡における最高議決機関)下の国際度量衡委員会 CIPM下に設置された10の諮問委員会CCの一つであり、秒の定義など標準時および周波数標準 に関する検討を行う。国際原子時TAIおよび協定世界時UTCを構築する国際度量衡局BIPMは CIPM下の機関である。

図4.1 時間と周波数の標準に関する国際的枠組み 図4.2 地域計量組織

http://www.bipm.org/en/worldwide-metrology/regional/

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